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>>59 サンドラ、怖いに決まっているじゃないか。
ほら、手だって、震えているだろ?
[苦笑しながら、俺は震える手をサンドラにかざして見せる]
だけど、ヤバい時には、感情を抑えないと、もっとマズイんだ。
前の村でも、パニックを起こした連中が、村を混乱に陥れていたよ。
まあ、家族が殺されりゃ、感情的になっても仕方ないんだが。
[俺は、辛そうな、哀れむような表情を一瞬浮かべると、それを振り払うように頭を振る]
でも、俺は、まだ死にたくないんでね。
出来るだけ、冷静に生き残る方法を探しているだけなんですよ。
>>60 ベルナルド、ラビさんの様子は、心臓に自信がない限りは見ない方が良いよ。
とりあえず、俺を信じてくれるなら、ドッキリでないのは確かだ。
それとも、手がかりでも探しに行くかい?
[しばらくラビの死体を陶然と眺めていたから、青年が食堂車に顔を出したのはかなり後になってから。悲鳴を聞きつけた人々がすでにだいぶ集まっていただろう。]
……マッチ。
[マッチとろうそくを手渡されれば、コートのポケットにしまい込む。折れてしまうかもしれないが、さりとて適当な入れ物も持っていなかった。]
……アリバイ、なんて。変なの。
[やがてイヴァンの言葉を聞けば、一旦目を伏せ……次に顔を上げたときには、冷たい目。]
おばさんの言うとおりだ。共犯が居ればいくらでも偽装できるじゃないか。
だいたい狩人はどうするの? アリバイなんて聞かれたら本当のことは言えない、狼じゃないのに嘘をつくしかない!
荷物の検査だっておんなじだよ、人狼の武器は爪と牙! 荷物なんてなぁんにもならない!
[食事の時、"狼様"について語っていたときと、同じ熱を孕んだ声の調子。
言葉を切り、くすくすと笑いながら。]
……ねえ、あぶり出すつもりなの?
[動き出す。人々をまとめようとする邪魔な相手を、阻止するために。]
―食堂車内―
[どれぐらいの間そうしていたのだろうか。
幽体離脱でもしているかのように、シャノアールに付き添われたり、ナタリーから労わるように背中を撫でられたり、サンドラがお茶を淹れて手渡してくれる様子を遠くの方で眺めている。
彼のこれまでの人生において、これほどまでに女性に優しく接してもらう経験はなかったものと思われるが、楽しんでいる余裕が無いのは実に不幸な事である。
やがてじわじわと感覚が蘇り、喉から胃にかけてがじんじんと熱を帯びているのに気づく。
経験上、もう少ししたら頭痛がやってくるはずだと思い、気が滅入る。
ふ、と探偵の真似事を始めたイヴァンに、習慣からか何となく反発した感情を抱くが、自分をここまで運んでくれた人物だと気づいて、そうそう強くも当たれない。]
[ふー、っとアルコール混じりの溜息をつくと>>60ベルナルトの方にのろのろと向き直る。]
ええ、間違いありませんよ。
町で警察の人員が足りなくなった時に、鑑識めいた仕事もさせられましたからね。
その時の被害者さんの傷口と…特徴が近いです。
[麻痺した感覚でも、記憶が背筋を凍らせるのを感じる。]
アリバイ…。
[とイヴァンの方を見上げ]
ぼっ僕の事はいいでしょう?!僕は第一発見者です!
その上このザマを見れば、僕がやったんじゃないと皆さんお解かりですよねぇ?!
[聞かれもしないのに、反動からか激昂している。]
あ。そうか。
パニックで吹き飛んでましたけれど、僕が部屋を出たところでシャノアールさんが気にして声を掛けてくれましたねぇ?
ああ、アリバイ!これってアリバイですよねぇ!!はははっ。
…その後の事はよく覚えてないのですけれども、こんな短時間でシャノアールさんが色々できるはずはないですよ!
[何かやっぱりテンションがおかしい。
横に居て、自分に力を送るように添えてくれている白い手を信じたい。
だがその人とは昨日会ったばかりで。
しかし僕に優しくしてくれるのも彼女で。]
[思考のループを振り切るように軽くかぶりを振る。]
ええ、それで、対策、ですか。
荷物検査、ですか?どうしてもしなくては駄目…でしょうか…?
いや、何と言うか…。
そ…それなりに僕も男、ですからねぇ。
[赤くなってゴホンと咳払いをする。]
そしてこれからは…、ええ確か、そうだ、占い師さんにお伺いを立てて狼の目星を付けるのでしたっけ。
…いや、お恥ずかしながら、僕の町で人狼騒ぎが起こった際に、僕はちょっと…何と言うか、蚊帳の外だったものですからねぇ。
[暗い面持ちで気まずそうに目を伏せた。]**
……人が死んでいる、ということは、事実なのだろうけれど。
既に人狼の仕業だということを前提に話しが進んでいたこと事態、
私は不思議に感じるのだが。
[経験の相違もあろうが、と添えて]
人狼がいる、と言い出されて、
すぐにこのようなことが起きるなんて……、なんだか話しが出来すぎてはいないか。
[ぽつり、呟いてカウンターへと向かう。
見えない姿をちらり、探してから温かいお茶を一杯注ぐ]
[不慣れな様子で手元を働かせていれば、
熱を孕んだ声音に振り返った。]
サーシャ、
…………ぁ、
[手元から目を離せば湯が跳ねて、
じわり、赤みを帯びた指先でカップを抱えて彼の元へと歩み寄る]
……痛みはもうひいたのか?
[案じる眼差しを向けながら、彼の言葉にゆるく首を傾げた。
カップからはミントの目の覚めるような香りが立ち昇る]
[家族が殺されれば感情的になっても仕方が無い……イヴァンの言葉>>65を否定するように、僅かに口元が持ち上がる。
それが普通の感覚ならば、間違いなく自分は狂っていたのだろう。弟の死が愉しくて、嬉しくて仕方が無かったのだから。]
ま。好き好んで見たいモンでもないし、今はやめとく。
これだけの人数が死んでたってんなら確かなんだろう。
[向き直ったシュテファンの顔>>68を暫く見詰める。
少しばかり落ち着きを取り戻しているようには見えたが、未だ表情に残る怯えを汲み取れば、何も言わず一つ頷いた。]
第一発見者はシュテファン、そんで、一緒に居たのはシャノアール……
……占いの結果は、いつ頃分かるんかな。
[アリバイがあると主張する彼に、何処か憐れむような視線を向けた後、静かに逸らした]
荷物の検査は…別に構わないけれど、
検査して、人狼であることないことどう証明するの?
よくわからないわ。
[疑心暗鬼の方位磁石は、何がきっかけで傾くかわからないから。]
あ、個室を決めた後はずっと一人でいたわ。
悲鳴が聞こえた時も一人…。
でも、ラビさんの悲鳴ではなかったと思う。
[恐らくシュティファンの…。とそっと傍にいるシュティファンを見やった。]
ろらん。
[声をかけられて振り返る。]
痛いのは、もう平気。少し眠れたから……
……ありがと。
[先ほど心配してくれたことを思い、付け足す。]
ロランは見てないかもしれないけど。
俺は、人狼に食べられた人をいっぱい見てきたから。傷口とかで、わかるよ。
……たぶんそれは、みんなも同じ。
[見に行くならついてくよ、と言い添えた。]
そうか、
薬が効いたのだな、よかった。
[手にしたカップをサーシャへ差し出す、
飲まずとも手にしていれば少しは温まるだろう、と]
ああ、そうか……。
人狼というのは食べる為に、人を殺すのだな。
つまり、そのように“見せかける”というのは、難しいということか。
[添えられた言葉には躊躇いの色を見せて、
けれどふと思い至れば黒い瞳は瞬きサーシャを見つめた。]
……君も、見てきたのか?
[そこに信仰の由縁を見出したのかと、静かに問うように]
あ……。
[差し出されたカップ。自分に入れてもらったものだとは思っていなかったから、目をぱちぱちさせて受け取った。]
……ありがと。
[受け取ったカップはじんじんとしびれるほどに熱くて、一度持ち直す。この人が狼ならいいのに、自覚できないほど一瞬そう考えた。]
見たよ。
[問いには簡潔にそう答え。]
……綺麗だった。
[ささやくように、本心が漏れた。]
あー。なんだって?
何が起きてんだ?
[眠りかけていたのか、不機嫌そうな顔で部屋を出、食堂車までくる。
誰か事態を説明してくれるだろうか。]
[サーシャの感謝の言葉には、ゆるり眦を和らげて、
余り美味しくはないかもしれないけれど、と付け加えた]
……そうか、
君が見て、そうだと言うのなら、
間違いなく、そう なのだろうな。
[信仰者のそれは理屈ではなく、一つ納得してみせれば、
零れるような囁き……憧れのようなものが滲むそれに俯く]
……怖くはなかったのか?
[会話の内容が他者の耳には入らぬように、声を潜めた]
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