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城君、かくれんぼ終わりだって。
城君?
[具合が悪そうだ。]
部屋に戻る?
肩貸そうか?
[身長的にそれは厳しい気がする。
城に手を貸して208号室を後にすると、彼の部屋だという206号室へと送り届けた。]
双海さんもこの部屋だったっけ。
男女一緒の部屋って、たくさん遠慮しそうだなぁ。
じゃあ私食堂に戻ってるね。
[部屋を一度見回してから、ドアを閉めて食堂へ。]
―台所―
[―――盛大に立ち往生。
戦場に向かうがごとき雰囲気を醸し出す。
小麦粉の袋を抱き締めていた。何故か。]
……
[嗚呼、中辻。
わたしはお前に許しも乞えないというのに]
[更科は双海に連れられて行ってしまった。がんばれと念を送る。あ、食中毒は起こしてくれるな。ここに医者はいない。
そして振り返ると矢口と風峯が軽く薄紅色だった。罪なヤツ]
まあいい。
風峯。碓氷とジョジョを探すぞ。
[それだけ言って、返事は聞かず歩き出した]
―砂浜―
[海を見やる。]
………………。
………………。
[ダンボールの中で、タイツを脱いで、メガネをかけて、何か納得がいかないことがあったという風に、難しい顔をしている。]
…………………。
……何で僕は逃げたんだろう?
[よく分からなかった。]
―大浴場・脱衣所―
むー……。
[さすがに、服のまま風呂に飛び込むのは無理があった。
せっかく着替えたのだが、もう一度着替えなければなるまい。
置いてあったタオルでとりあえず頭をがしがしと拭き、服の水滴を出来るだけ絞ってから、着替えを取りに再度205号室へ行く事に。
ぺたりぺたり。
濡れた足跡が廊下についていく。]
−キッチン−
[更科が、何でそんな悲壮な顔をしながら小麦粉を抱きしめているのか
知らないものだからさておいて]
…んー、知奈も調子悪い続きみたいやしなあ…
[どうしよう。
ホットプレートという案は出ているが、どうしたものか。
更科を前に、鈴と首を傾げて]
あとは、お好み焼きとか…焼きソバとか。
[ホットプレートを使う料理。
あとはたまにパエリアとか作れるけど。と指折り数えていく。
…ふと、台所で少し深刻な顔をして小麦粉の袋を握り締める更科に気付いて
ぱちりと瞬いた。――そんなに小麦粉が好きなのだろうか。
…いや、にしては空気がすごい重苦しい。]
…青ちゃん?
[どしたの?と首を傾ぐ。]
[ふと。
肩をとんとんと叩かれる。
振り返るとそこには、見覚えのある人影。]
ああ。中辻さん。こんにちは。
[服装は姿が透けていて阿太郎にもよく見えない。]
更科さん?
……多分、ログハウスの台所じゃないかな。
さっき、連行されていくのを見たよ。
[それだけ告げると、中辻さんはログハウスの方へ向かった。
ひやりとした風が、潮風に混ざって髪を揺らした。]
[さて、碓氷やジョジョを捜す方法だが、これには困った。
なんせ、あの二人は大人しい。
大きな声で歌ったり、階段から転げ落ちたり、コンボを決めたり、暴走して徘徊したり、無駄に身体がデカかったり、ダンボールで移動したりしない。これではどうやって捜せばいいのか]
……おーい。碓氷ー、ジョジョー。
かくれんぼは終わりだから出てこーい。
[鬼役ではない自分が呼べば出てくるだろうという結論に辿り着くまで、少し時間がかかったのが恥ずかしかった]
―202号室―
[部屋に飛び込んだ直後、ずるずると。
ドアにへたれかかって、煙が上がるほどに火照った顔をぺちぺちぺち]
……あ、頭。
さわ、触られちゃった……。
[……うん、だめだ。
冷たいシャワーでも浴びて、落ち着こう。
湯船につかったら、たぶん、のぼせて死んじゃう]
―205号室―
うひゃ…
[濡れた服が、ぴっちりと肌にまとわりついて、気持ちが悪い。
苦労して脱ぐと、昨日着ていた服と一緒に纏めた。
後で洗濯機に放り込もう。
ちなみに、家では二層式の洗濯機しか使った事が無いので、全自動にはおっかなびっくりだが、そんな事はどうでもいい。]
ん…。
[荷物の中からドライバーが出てくる。
そういえば、ログハウスの中を探索する事をすっかり忘れていた。]
……………。
[中辻さんのひんやりした風が去った後、再び海を見る。]
……………。どちらにしても。
[恋であるにしてもそうでないにしても、今まで憧れていたから、到底手の届かないところにいるように見える。
それに、その。
さっき風峯がほこりを取っていた時、とても嬉しそうだった。
ように見えた。]
…………。どちらにしても、諦めた方がいいよね…。
[残念ながらあたろーに押しのけて愛を勝ち取るサバイバル精神はなかった。別の方面でのサバイバル精神は満載なのに何故それを生かさないのか。お兄ちゃんは悲しいぞ阿太郎!]
……寝よう。
[すぐ不貞寝をするなというに。
暫く海を見つめた後、阿太郎はダンボールをずるずる引きずりながら、いつもの林へ*帰った。*]
[ドライバーを手に取って、くるくると回してみる。
そうだ、自分達は理不尽に拉致されて、ここに連れて来られているのだ。]
……。
[頭をぽりぽりとかいて、黒のスリムジーンズを履くと、後ろのポケットにドライバーを仕舞う。
シャツを羽織り、そのボタンを閉めると、205号室を出て階下に下りて行った。]
―キッチン―
あ、いや、…その…
うん、やはり
手出しが恐ろしくてな…
[ちなみに青バラは
ポケットにそっとさしてある。]
…簡単に作れるもの、で
いいのではないかな。
お好み焼き、好きだぞ。
[どこからか自分を呼ぶ声が聞こえる。階段を降り始めると、それが西野の声であることがわかった。]
あ、西野君に風峯君。
うん、かくれんぼ終わったって、ちゃんと聞いたよ。
城君は具合が悪いみたいだから、部屋に戻ってるって。
―モニター室―
ん、、、あれ。
[目を覚ました。回復速度はあがって…るのかどうかは時間の経過描写次第なので放置。]
なんで寝ていたの、僕。
[かくれんぼしていたはずなのに、と首を傾げる。記憶がない。ついでに、身体のあちこちが痛い。またか、また日本政府の陰謀か。
ともかく身を起こし、よれよれとモニター室を出ればどうやらかくれんぼはもう終わっているようだ。ひとまず部屋へ戻ろう。そう思い丈二は二階へと向かうのだった。]
…よし。鈴、ここはハンバーグなどを提案してみる、うち。
[彼女が彼氏につくってあげる料理の定番ですねまったく。
どうだろう、と片割れをじっと見てみる。
勿論ホットプレートではなくフライパンで作るのだ]
更科。調理器具、何処まで使えんのやっけ。
フライパンで卵焼くくらいはできる?
[相変わらず小麦粉を抱きしめたままの更科に視線を向ける]
[そんな説明をしてから食堂の方へ。
キッチンに女子の姿を見つけると手を振った。]
何作ってるの?
お昼ごはん、だよね。
[その近くまで行くと、小麦粉を抱えている更科の姿が目に入って、首を傾げた。]
更科さん、その小麦粉なぁに?
お昼って粉もの?
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