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『to:シモン君
「シモン」に会って話したいことがある。
明日の昼でも、夜でもいい。都合のいい時間を教えてほしい。
……このことは内密に。』
[送信]
日本語教師 ユウは、ここまで読んだ。 ( B109 )
自分の中で、まだアイツが残ってる。
こんな状況で、誰かに本気になるなんて、なって貰ったままなんて。
……無理だ、俺には出来ない。
[部屋にかかっている自分のブレザーの中、まるで抱きしめるように隠してあるセーラー服に、そっと触れる]
や、養わなくちゃいけないほど悪くな――
[ 言葉の途中で手を取られて。
気付いた時には。
ザムエルの腕の中にいて。
――今だけな。
降ってきた言葉は。
ひどく残酷なものだったかも、しれないけれど。
それでも。]
[ 波が数度、音を立てる。
それは、まるで一瞬のように。
温もりは、離れて。
振り返ることなく去って行く背中を、ただ、ぼんやりと、見つめる。]
[ 影が、闇に消えてからも、しばらく、見つめていたけれど。
やがて。へたりと。その場へ座り込む。]
…ばかだなぁ……ミコは…
[ 頬を、涙が伝う。
それを、拭うこともせず、ただ、空を。]
日本語教師 ユウは、ここまで読んだ。 ( B111 )
[ ザムエルの一挙一動が嬉しくて。悲しくて。切なくて。
手に触れる砂をさらさらと、風に舞わせる。
ああ、こんな風に。想いも溶けてしまったら。楽なのだろうか。]
空……。
[ 見上げてぽつり。風に乗せる。]
……空、だ。ね。
[ 近くて、遠い。
触れられそうで、触れることが、できない。]
あ、らっしゃいませー!
廃屋ですか? それともレギュラーですかー?
……え? 廃屋?
廃屋7番、満タンはいりまーす!!
[奥へ声を掛けると、おどろおどろしいミュージックとともに、
朽ち果てた洋館が現れる]
それじゃ深夜の心霊スポット、廃屋満タン、
お楽しみくださいっす!!
[帽子を脱いで挨拶をして、廃屋へ入っていく客―カップルだった―を見送った]
ふう、夜中のバイトは疲れるっす。
でもここより給料良いとこあんまないっすし、
もちっと頑張るっす。
[労働の汗を拭うと、尻ポケットの携帯が震えて]
にゅ? メールっすか。
誰からっすかね?
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