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[小さな村と言えど、家々を一つ一つ回り、且つ老人や幼子まで一人残らず召集となればそれなりに時間と手間を要していたようで、昼の鐘を遠くに聞いてはっとする。
太陽は雨雲に覆われていた。
きっとこれから聖水が大量に求められるだろうな。
……あぁ、それとも求める人間が少なくなってしまうだろうか?
もし心の声を悟れる者でも居れば不謹慎だと後ろ指でも刺されたかもしれないけれど、声に出すことは無い。
急いで残りの家へと回る。
村外れにあるカタリナの家は、自然最後に回る事となったが
昨夜の村長の話>>1:167と今朝の緊急召集と。
それから、俄に囁かれていた噂を結びつけて早合点した村人が先に押し掛けていたかも>>17>>18]
[手を伸ばしてゲルトのうつろな目を閉じさせてやる。
逃げ出した男が帰って来ないので、ベッドのシーツを抜き取って、ゲルトの体にかけた。
首を出して見ると、裏庭で吐いている男を見つけた。
遺体をつつんだから、教会に運ぶように伝える。
弔いの鐘を鳴らしてから、シスターを集会所に呼ぶようにとも]
― 集会所 ―
[それから・・・、
誰かに会ったろうか。
考えるべきことが多くて、曖昧で]
[とにかく、今、村中の人々を前に、村長は立っている。
血の気のない白い顔で]
皆に謝らなければならないことがある。
私は、皆に隠し事をしていた。
[ざわざわと声が沸く]
近隣の××村が、全滅した。残ったのはたった一人。
青年負傷兵だけだ。
[ざわざわが更に大きくなるのを、片手を上げて鎮めて]
村人を食い殺したのは、「人狼」という化物だ。
そいつは村人を食って入れ替わり、隣人を夜な夜な食い殺すという。
[続きを言うのはさすがに声が震えた]
その化物は、今、この村の中の、誰かに成りすましている。
ゲルトが・・・今朝、殺された。
[ざっと、音さえ感じる視線が、ゲルトの年老いた両親に集まった。
ふたりはまだぽかんとしている。
心中を察することは出来たが、関わってはいられなかった。まだ話すことがある]
信じられなければ、教会に行ってみればいい。
遺体を運ばせた。
ゲルトの家は・・・誰か、片付けを手伝ってやってほしい。
[ゲルトの話はそれで打ち切って]
我々は、この中にいる人狼を見つけて、仇をとり、自分たちを守らなければならない。
幸い、昨夜集会所にいた人間は、容疑者から省くことが出来る。
集まっていなかったのは・・・、
[あんたはどうなんだ、と声がした。
あんたは途中、ずいぶん長く抜け出したじゃないかと]
[村長はムッとして声の主を探したが、分からなかった]
・・・よかろう。
では、私も容疑者だ。
これでいいかね?
[村長を疑うとは、身の程知らずめ。
だが、一理はある]
人狼を殺すには、陽のある内に処刑するしかない。
・・・この中の誰を殺すかを、投票で決めたいと思う。
足を潰したのと首を折ったのは、そうしてやろうとしていた、って話ですよね。
爪痕くらいなら、つけられるだろうって思ってました。
[『処刑』>>46
村長の言葉を聞けば、レジーナの顔が真っ青になる
息子が親友殺しの容疑者になるだけでも立腹だというのに、それが命を脅かすものになるなんて、と
崩れ落ちそうになる母を支えれば漸く、混乱して呆然としていた自分にも冷静な思考が戻ってくる
私が宿屋に残ればよかった。ごめんなさい、ごめんなさいと謝る母を宥め背を摩り]
大丈夫さ母ちゃん
大丈夫だから
[根拠の無いそれを、まるで真実であるかのように何度も何度も重ねて
友人のペーターは、父が容疑者になった事を泣きそうな顔で聞いていたろう
彼にも声をかけ、おじじがそんなことするわけないじゃないか、と告げれば彼は幾分か落ち着いただろうか]
・・・ゲルトさんが、殺された?
[まず浮かんだのは、たちの悪いイタズラの可能性だった。
怯え切った様子で走り去った村人を、カタリナは怪訝な目で見送った。
何のことか分からない。
そんなまさか、という疑いの目で見た。
しかし一方で、あの怯え方が演技ではない・・・とも直感している自分自身がいる。
そのことが、ゲルトさんが死んだ可能性を考えさせて――唇が震える。
カタリナは噂に疎い。
村外れの羊厩舎。訪ねてくる者自体が少ない。
カタリナから村にパンを買ったり本を借りにいったり、おすそ分けに行ったりすることはあっても狭い交流だ。
元々物静かな方なので、噂など殆ど耳に入らない。
カタリナは人狼どころか、何も知らなかった。]
[でも、と不思議に思う事が1つ
アルビンは外から帰ってきたのだ。どこで寝泊りしていたのか――宿屋ではなかったことからたぶん自宅にいたのだろう
あのぼろぼろの小屋に。だからペーターが告げ忘れたと考えれば彼が集会所へと行かなかったのは納得がいく
フリーデルも神父に教会を任されていた、つまり自分と同じ立場だったから集まるに集まれなかったのだろう。羊の世話をしているカタリナも同様だ
でも、他は?
そこまで考えてぶるり首を振る
考えたくない。今までともに笑いあい暮らしてきた彼ら
その中に、人狼がいるなんて
それでも母を、村の皆を守るためには仕方の無い事なのかもしれない
たとえこの手が血に塗れても――――人狼を、殺さなければならないのなら]
[この、耐え難い事実を受け入れ、話し合い、誰かを処刑するしかないのだろう
だってゲルトが、死んでしまったんだから
獣の爪で切り裂かれてしまったのだから
人狼に、殺されてしまったのだから]
[カタリナは、考える。
考えながらも手を動かした。
羊厩舎には雨が降った時や、台風など何らかの事情で羊達を外に出せない時のための備えがあった。
天気はいつ悪くなるか分からない。
だからといって、羊に何も食べさせないわけにはいかない。そうした時の備えは常に確保してあるのだ。
――暫く、ここを離れるかもしれない。
そう、考えた。
もし、話が本当なら。
村に噂の真相を確かめにいく必要があるだろう。
嘘であって、ほしかった。]
[ガーディとハーディは、当然だと言うようにカタリナを慰めてくれる。
守っているつもりで、守られてもいる。
それに支えられていると、改めて思う。
しばらく、そうしていた。
カタリナは、泣いてしまった。
もし、本当にゲルトさんが死んでいたなら。
その可能性についても、悲しかった。
そして、この子たちのありがたさについても。]
[それでも。
それでも、ハーディとガーディは置いていくことにする。
さっきの様子を見れば、恐らく――。
また、恐がられてしまうだろう。
ハーディでさえも、恐がる人はいるかもしれない。
小型犬といっても、犬は強い。
本能的に恐れてしまう人がいるのは、分かるから。
戻るのに時間がかかる可能性を考えて、この子たちのごはんも用意はしておいたけれど。
さっき食べたばかりなのに、どうしてそうしているのか不思議そうにしていた。泣いてしまったから、余計に心配しそうについてきたがってしまう。]
[愛犬との少しの押し問答があったけれど、結局は指示を聴いてくれた。
ここを、守っていて欲しい。
ちゃんと戻ってくるから、と何度も言い聞かせて。]
・・・。
[そうして、カタリナは村へと急いだ。
何か持っていこうかと考えたが、かえって疑われる気もしたので特に何も持たなかった。]
― 集会場 ―
[広い集会場も村中の人間が集まれば酸素が薄くなったのか僅かに息苦しさ感じる。
人の輪から少し外れた場所で壁に凭れながら村長の話をそっと聞く。容疑者として名前が挙がった面々>>45>>46の顔を脳裡に映して、予想以上に少ないな、と考えた。
しかし、唐突にこんな話を聞いて――おまけに容疑者にされた者の気分はどうだろうか。
特にまだ幼さの残るエルナや、ずっと清廉に神に仕えていたフリーデルは。
この人海の中では彼女たちの表情を窺う事はできなかったけれど。
自身に嫌疑がかかる事は想定済みだった。
毎日この村の中で助け合いながら暮らしている村人たちに比べれば、自分の信頼が無いことくらい当然だろう。
それにしても。
自分をも容疑者に組み込んで多数決で処刑とは、やはりこの人は良い村長さんだ]
[仕事に忙しく朝餉の余裕がなかった人たちに売ったり味見したりしたパンの残りを抱え直す。
カボチャ餡を包んだのは好評だった。川魚をアレしたアレは微妙だったけど。フィッシュパイは美味しいんだから、自分の発想が悪かったんだろう。要検証だ。
叫び声>>13を聞きつけた男衆が出ていってしばらく、普段の朝の慌ただしさとは違ったざわめきが辺りに広がり始める。まさか、何か被害が出たのか。今日には柵の修繕だって行われたのに。
羊の心配はないだろうが、さて。何があったのか。
眉を寄せつつ、いくらか酔いがマシになってきたから急いでチーズと野菜を挟んだパンをかじった。
誰かと肉と交換してもらって挟んでも良かったな、なんて思いながら。食べなければ、働けない。
アルビン伝いに聞いた通り集会所へ集まる列に加わろうと、最後の穏やかな食事を飲み下した]
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