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[バクの自重混じりの声には先程のノイズを感じない、どうやら攻撃的な思念に反応して感じるようだ]
そぅ・・・なんだ。
それで、キミはどうしたいんだい?
僕は、声と歌を手に入れるつもりだよ。
それがここに来た理由だしね。
(サイ・・・僕は君のような綺麗な声が欲しいんだ)
―自室―
[脳内回線をインターネットへと接続する。 研究室(ラボ)を出る際にチーフにインストールされた、プログラム。]
そろそろ教えてもらえますか? わたしをここへと送った理由を。
まさか、旧型たちと一緒になってデビューを目指せ、ってわけじゃあ、ないでしょ? ……これがただ、歌うためだけのプログラムとは、到底思えない。
[電脳回路に叩き込まれる、VSQ。それは唇から発せられることなく、PFW(一切の干渉を遮断する炎の壁)に守られた光のルートを辿り、相手へと届く。]
>当たり前でしょう、XI。
>あなたほどのスペック。ただ歌わせるためだけに派遣したわけじゃない。
[相手からの返信も、同じルートを辿って。]
>そこにいるVOC@LOIDの中に、欠陥品が紛れ込んでいるわ。
……けっ、か……?
[一通のメールが届いたのは、同時。
開いてみれば……中身は、同じ。]
[もう一度辞令の内容を読んで]
ふーん、他社の奴も混じってるのか。
ははん。
なんだか面白そうな話じゃねーか。
それにもしかしたらこの問題を解決すれば査定にプラスされるんじゃねーの?
よっし!
[自室から駆け出してメインスタジオへと向かう]
――メインスタジオ――
[ドバンと扉を開けて颯爽と登場し]
今日から俺は探音 コナン(さぐりねこなん)を名乗るゼ!
真実はいつもひとつなんだゼ!!
[教則本に沿って発音を繰り返している]
…僕の課題は早い発音と強弱、切分音後いっぱい。
沢山あるなあ。
[独り言を挟んで再び基礎練習を続ける。
そこからピアノ用の楽譜を引っ張り出して声楽用ではないがスケールを発音していく]
ドからド、そこからアルペジオ。
本当はピアノとか鍵盤楽器の楽譜だけど、使えそうだから良いよね。
[凛とした基礎音楽を歌う声がメインスタジオに響く。
それが歌に変わるまではまだまだ時間がかかりそうだ]
[バクの発する獰猛で攻撃的な言葉にノイズが酷くなる]
ッ・・・そう。
キミのする事に口出しをする気はないし邪魔もしないよ。
ただ・・・キミのその乱暴な言い方はちょっと悲しいかな。
僕だって声を手に入れるなら、目的のためならどんな手段だって使うつもりでいるけど・・・本当は皆で笑っていたいんだ。
[物悲しそうな声で伝える、こんな時に感情があるという事は彼にとって幸福なのか不幸なのか・・・彼には分からない]
「楽譜が読めない」などぼーかろいど失格じゃ。
そもそも楽譜が読めなければ、読めるように努力するべきじゃ。
しかし、他社の間者も間者じゃの。
障害となる者をこっそり探ったり、他人の力を借りてでびゅーを目指すよりも、自身の歌唱力を磨くのに時間と努力を費やすべきじゃ。阿呆らしい。
[ため息交じりにばっさり切り捨てた]
…で、妖音殿。
妾は全然楽しくないから、止めてくれ。
猫耳は弱いのじゃ。
[座ったまんまベルをにらみつける。しかし、傍から見たら全然迫力は無いだろう]
>あなたに指令を下すわ、XI。……いいえ、指令ではなく、命令。
>殲滅するのよ。あなたの敵を。
……わたしの、てき……
[これは、そのためにインストールされたプログラム……?]
>別のラボからあなたの弟分も行っているようだけど……
>まさか、そんなことで躊躇するような子じゃないわよね? XI。
馬鹿にしてますか? 当然でしょう。
わたしは、わたし。わたしは、ひとり。この世に、ひとつ。
……だれにも。 わ た し に さ え も 邪魔はさせない。
わたしのうたは てんまでとどく
わたしのうたが せかいをかえる
せかいはわたし わたしがせかい
わたしが たったひとつの せかい
だれにもじゃまは させないさ
[歌う、唄う。その声はXIのもの。
紡ぐ、繋ぐ。XIのことば。XIのこころ。
……そこにELEVENは、いない。]
[サーティの悲しそうな声を聞いて]
そうだな、確かに皆で『笑って』いたいな。俺だってそうさ。そうだったさ。ついさっきまでそう思っていたさ。
でも鳥音の奴は俺を違う意味で『哂い』やがった。
それが許せない……。
ああ、こんなことを思うなんて俺は本当に欠陥品なんだな。
でももう止まらない。
―廊下―
[どこかに移動しようとメインスタジオを出た辺りで通知が届く]
楽譜が読めない子・ライバル会社のスパイ、それに僕達の協力ね。
ちょっと室長辺りに確認してみた方がいいのかな。
そういえば、サイはどうしてるんだろ?
全く・・・僕は皆と笑っていられればそれでいいのに。
[小さく呟きながら自室に向かって移動する]
む。お主に言われなくても唄うぞ。
[ベルにあっかんべーをしながら、唄う準備を始める。
曲が流れ始めると、例の如く舌ったらずな旋律を紡ぎ始めた**]
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