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[ジェラルドの年齢に困惑するパウロを見て、カウンターの中からくすりと笑う。
混乱するのも無理はない、ジェラルド自身は60歳以上だと言っていたが]
24(100)歳ぐらいに見えるよねぇ。
[カウンターから乗り出して、問いかけてみた]
[ところで。
捌いた肉を片付けながら、男はカウンターでマシュマロをつつくファズボールをちらりと観察した。
そして誰にも聞こえないよう密かに呟く]
うーん。
……やっぱり「最初」は彼でいいかな?
[ポケットの中で何かを遊ばせて。
その少しだけ楽しそうな呟きの意味は、まだ内緒。**]
58かあ。外した外した。
人の年齢を当てるのは中々難しいねえ。
[大幅に外したジェラルドの年齢予想だが、特に驚く調子もなく。
次に自身の年齢を問われれば少しだけ目を細めて]
さあ……何歳だったかな?
千を過ぎてから数えるのをやめてしまったけれど……。
万を超えたか、超えないか。そのぐらいだった気がするな。
[特別な感情もなく、さらりと。]
[ジェラルドから羊羹を受け取り、冷蔵庫に仕舞う。そろそろ使い切らなければならない食材があるなあ、などと思いながら]
ん、そうだね……。
こんな身体になったのは丁度、25の時だったかな。
でも何があったかはもう忘れてしまったよ。
[冷蔵庫を閉め、カウンター越しにジェラルドに微笑んだ]
だから……というわけではないけれど、楽しそうにしている人を見るのは好きだな。
特に恋愛。やっぱり若者は恋をしないとね?
[眩しそうに目を細めた。58歳は男の中では若者だ]
恋、ねえ……。
[ジェラルドに問われれば、腕を組んで記憶を辿る。
遠過ぎる昔に見送った、愛しい人の声を思い出そうとしてーー。]
素敵な恋愛をした覚えはある。
けれど、もうその人の顔も名前も忘れてしまったよ。
[少しの間、言葉は続かず。
いけない、と首を振って、組んだ腕を離して明るい笑顔を向けた]
さ、こんな年寄りの話はこれぐらいで。
お茶のおかわりはいかが?
[求められれば、温かい茶を注ごうと。]
失礼。興味深い話をしておられるね。
[耳に入った話を無視できず、思わず声をかけてしまう]
私は物書きとして生計をたててはいるが、どうもそういう、情緒の深い話を書くのが苦手でね。編集者にも、恋愛シーンのひとつもいれることが出来れば、もう少し売り上げも上がるだろうにと説教される始末だ。良ければ、もう少し話を聞かせていただきたい。ああ、貴方の話を書くと言うわけではなく、話を聞くことで、私の中の恋愛と言う感性を目覚めさせたいんだ。
何しろこの年になるまで、そういう感情とはまるで無縁でね…。
[苦笑を浮かべて]
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