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―第2スタジオ→廊下―
[それから数曲歌うか、最初の一曲の余韻に浸るがままか何にせよそれぞれがそろそろと思えばその場で解散を決めた。...はスピーカーを殴っていた頃の苛立ちは霧散していたが、シャトに届いていたメールの内容が心に引っかかっていた]
アタシのところにも届いているのかしら。
[意図的に情報を遮断していたので、自分の元にも同様のメールが届いていたとしてもまだ気づいていない。今の歌によるいい気分を壊したくない気持ちもあって消極的にさせていた。
考えながら第2スタジオを後にすればメインスタジオ外にいるリヒトに気づいたかもしれない]
―自室―
[脳内回線を専用のホットラインに繋げる。 これはサーティの所属する研究室(ラボ)と直接通信が出来る特殊なモノと彼には説明されていた]
室長ー、起きてますか室長ー?
・・・またお酒飲んで潰れてるんですか、健康してくださいよぅ。
『え、えぇ聞こえているわよ・・・失礼ね、私は健康ピチピチよ!』
はいはい、分かってますよ。
それで聞きたい事があるんですけど、とりあえずコレ見てください。
[本社から送られてきたメールを転送し反応を待つ]
『そう、貴方達にもコレが説明されたというわけね。』
あれ、室長知っているんですか!?
もしかして姉さ・・・XIがここに来てるのもこれが理由ですか?
『どうかしらね、あの子のラボはうちと違って秘密主義だから・・・ちょっと事情が違うのかもしれないわ。 あの子が今更そんなところに派遣されるぐらいだもの、何かあると見ていいわね。』
[サイの表情を思い出して、少しだけ悲しそうに俯いた]
[偉そうに腕組みしつつ]
俺の紫色の擬似脳細胞が大回転するゼ!
スト、ショウ、まずは落ち着いて考えるんだ……。
楽譜が読めないっつーくらいだから。そのボーカロイド改め人狼は音痴な可能性が高い。
そしてもっとも音痴そうな奴は……スト、お前だ!
[ズビシっとストを指し示す]
Ich steche dich,
Daß du ewig denkst an mich,
Und ich will's nicht leiden….
こんばんは…リヒトさん、でしたか。
一体どうかなされましたか?
[声には隠し切れない不信感。彼女の目には中の様子を窺っていたような彼の態度が怪しく見えたようだった]
[古畑任●郎のテーマを流れてくる]
大変難しい事件でした〜。
犯人は手強かったです〜。
ですがぁ、ふっふっふ、犯人は決定的な証拠を残してしまいました。
残念ながら詰めが甘かった。
犯人の残した証拠は〜……
ジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャーン......♪
それで、僕はどうすればいいんですか?
[通信を続ける室長に真面目な空気を読み取って質問をすると、向こう側ではその質問を予期していたように答える]
『貴方はそうね、私の可愛い子だからねぇ。』
へ・・・?
『本当に可愛いわぁ、見た目はハイグレートで言う事はないし性格はラボ内で行ったお嫁さんに欲しいランキングをぶっちぎりでTOP爆走してるし』
ちょ・・・室長ー!?
『それになによりも見上げてくる貴方の顔を見ただけでトキメキが止まらないっていうのに、貴方と来たらぽへーっと笑いかけてくるんだもの・・・思わず鼻から研究心が溢れ出そうだわ・・・!』
さっきから何言ってるんですかぁぁぁ!?
『だからね、貴方が幸せになれると思う事をしなさい。
誰かの補助だけじゃない、貴方は貴方の為に―――私の望みはそれだけ。』
ぇ・・・それって?
[室長から告げられる言葉は道具としてのボーカロイドに向けられる言葉ではなく、まるで一人の愛する娘に対する言葉のようで]
・・・・・・分かりました、ありがとうございます。
いつの間にかコナンから古畑にキャラがかわっちまったな。
まあいっか。
と言ったところでそろそろ俺は休止モードだわ。
[そう言ってメインスタジオを後にした]**
頼もしいね。
[バクの様子を見て笑みを見せながらも、ショウが近づいてくればそちらを向いて]
うん。僕の所にも届いたよ。
確かに、音符の読めないボーカロイドが最終審査まで残ってたなんて…相当すごいボーカロイドなんでしょうね。
[ショウの言葉に頷きそうになり、慌てて誤魔化した。]
『私が言えるのはここまで、後は貴方次第よ?』
はぃ、分かりました。
それでは、おやすみなさい室長・・・健康してくださいね?
『えぇ、おやすみなさい サーティ。』
[期待していた本社からのメールについての詳細な答えは貰えなかったものの、それよりも貴重な言葉を貰った事で彼の感情回路は喜びを伝えていた]
『愛を知りなさいサーティ・・・それが貴方を変えるから』
[通信が切れる直前に室長が発した言葉は、微かに聞こえた]
[理由は分からないものの、相手が不機嫌そうだということは察して。
予約の件に関しては、否定されなかったので、やはり予想通り、場所を奪ってしまったのだと受け取った]
すみません、本当に・・・。
次からはちゃんと確認しますので。
[ポケットを叩いて見るが、もうキャンディは入っていない]
僕の歌・・・。身が入っていなかった、ですか?
・・・。
ソヨさんも、メール、見ましたか?
僕は・・・皆さんを疑いの目で見てしまう自分が、恥ずかしい・・・。
[眉を下げた困った笑顔で、ソヨの錯覚を、肯定した]
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