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これでよし。……えっと。
ご神木に、結ぶんだよな。
[きょろきょろと目当ての木を探しながら、携帯を開いた。]
『美緒。
まだ皆と周ってるんかな。
会いたい。』
『やっぱ待った。
ワンクッション入れて電話で……』
[一通目のあと、二通目を送ろうかと指が動きかけて、いやいやそれはない!と首をぶんぶん振った。
そして、ご神木の方へと。]
[鳥居が見えてきた。さて、どこにいるだろうか。
というか、向こうから探すべき]
。
[と思って、とりあえずソフトクリームを買った。
darkgoldenrod◆色を、ぺろりとなめる]
……あかん、頭煮えてきたわ。
[鳥居の影に日が傾いてきたころ。ぼんやりと。
夕焼けにはわずかはやく、まだ昼の、星の見えない空に。]
だめや。このままやとわい壊れる。
なんぞ食って、切り替えるか……
[周囲を見渡せばアベックの姿ばかりが目に付く。
なんの嫌がらせやねん、とつぶやきながら、とりあえず頭を冷やしてくれそうなものをさがしつつぶらぶらと。]
ん、ナナナミ?
[ソフトクリームをなめる姿が、目の端に。]
…そっか。
[辛くはなかった、書かない、と言いきった夏蓮をじっと見つめる]
…なら、うん。良い恋、だったのかな、夏蓮にとって。
[書こうと思ってたけど。神頼み、何か違う気もすると言うか性に合わない、気がする]
一つ聞いて良いかな。それ、何か意味あった?
[射的で取った不格好な人形を指さして]
…――。
[実際にはクリームなんてついてない。
伊織の可愛いところがみたくての、ちょっとしたイタズラのつもりだった。
だから微笑んで、肩をぽんぽんと叩いて笑い合おう――という予定だった。
ちょっと調子に乗ったとしても、伊織にされたところと同じ箇所にしようと。
けれど――…]
あのときから、初めからそうだったね。
キミの可愛いところに、素敵なところに、ボクはずっと――…
[抗えなかった。
目を閉じて上向く伊織に、席を立って顔を寄せた――]
完全に色気より食い気やな、あれは。
[なんだか、無性に笑いが沸いてきて。
ははは、と笑う。はたからみたら変な光景だったろう。]
どうしようもないわ。
おっちゃん、クレープ二つ。スペシャルで。
[近場の出店でクレープを買って、両手にもって。
小走りで奈波の横に並んで、目の前に腕を突き出す。クレープつきで。]
……ずるい。
[ぼそっと言って]
ま、良いか…
冷たい物食べたくならないか?かき氷とか、ソフトクリームとか。
[どっちが良い?と笑って問いかけると共にベンチに座っている夏蓮に手を差し出す]
ふふ。
[と、含み笑いをして]
ソフトクリームかな…。かき氷は、頭がキーンとくるから。
[と、こめかみに人差し指をやって]
ん。
[それから、差し出された手にそっと手をのせた]
[かたん、と璃歩が椅子から立ち上がる気配
日の光を遮る影
鳩かなにかが飛び立つ音
短い髪を揺らす風
お祭りのざわめきと気配
全部、感じなくなった。
少し緊張が混じる吐息
触れ合う髪
唇に触れる熱……
唯一人だけの気配
それさえ感じていられればいい]
[やがて、離れて行く熱。
きゅっと浴衣の袖を掴んだけど、今ここでもう一度と強請るわけにもいかないから放した]
あたしも、初めて会った時からかな、握手したあの時から。
[握った手に、男を感じたのは、今思えばそうだったのだろう。
それ以上を伝えるのは今はできそうにない。胸の鼓動が苦し過ぎるから]
[コーンの紙をくしゃくしゃっと丸めて、ごみ入れになっている、
もうほとんどいっぱいのダンボール箱にぽい。
足音だらけで気づけなかったが]
!
[かもがクレープを持ってやってきた。
じいっと見る。クレープはもらうが、じいっと見る]
[なんだかんだいって、いざ来てみれば照れくさくて。
こっそりとご神木のもとへ歩み寄る。ちょうど人気は少なくて、独特の静けさが満ちていた。]
ここかー。
まともに来たことなかったわー。
[小中の頃、祭りじゃない時期に「女の情念とかでなんか出ないかなー」と肝試ししたときに来たかどうか、という有様。]
俺も若かった。
……反省してます勘弁してくださいごめんなさい。
[誰に言ってるのか。
とにかく、想いを馬鹿にするような真似したのは悪かったな、と今は素直に思う。
きゅ、と御神籤を少し高めの位置に結んで、目を閉じた。息を吸って、吐く。]
あとはまぁ、心の準備して。
なんというか、宣戦布告というよーなそういうアレだなぁ……。
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