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おまえは毎日働き過ぎだ。
[身を離した友を、それでも何かあればすぐまた支えられるように、片手を構えたまま、もう片手で薄い外套に降り積もった灰を払い落とす。]
おまえは、この村に必要だ。
[ゆらゆらした友の足取りに、不安を覚えながらも、スーを促し、食堂へと向かう。]
座って待ってろ。
今、水を持ってくる。
[さすがにそんな眼差しをずっと向け続けていることはなく、
ゆっくりとした足取りで教会へと向かうドワイトと、
彼を支えるランスの後ろをついて歩く間、
感慨なさげに眺めていたのは、灰の上につく足跡]
…おおげさ?
むり、してない?
[首を傾げつつ、ランスの言葉に従いドワイトのローブに緩慢に手を伸ばし、触れた。
はらり、と灰が落ちる。
やがて自分の上着からも灰を落とした後、扉を開けた]
さ、ここだ。
誰か暇な奴がいることを祈って――
[少女の反応を見る前に、酒場の入り口を開け放った。
入るよう促して、自分も傘を閉じる。]
おーい、誰かいるかい?
……と、いた。
[ぐるっと見渡して、……しかし、空気は淀んでいた。
なにかがあったのだ、と察して、押し黙る。]
どうも、お揃いで、と。
こっちの子のことで来たんだけどさ。
……ここはここでなんかあったみたいだね。
[威勢良く少女を紹介してやるつもりが、場の雰囲気に出鼻をくじかれた。
ゆるく首を振って、傘立てに薄い緑の傘を収めた。]
すきなもの。
………かんがえとく。
[曖昧な言葉がゆらゆら流れて溶ける。
表情までも精彩を欠いていたが、傘の話>>159を聞くと一変]
…また。
[分かりやすい笑みを見せたが、
それもランスがツッコミらしき言葉>>161を口にするまでのこと]
かさはなおせるけど、
はたらきすぎのしさいさまは、なおせない。
教会……。
そっか。あんがと。
[それは今答えた男への礼か、それとも店主へのこれまでへの感謝か。]
……マスターだけに用事、ってわけではなかったんだけど。
[一通り、その場に居合わせた男達を眺める。
少女を見て何らかの反応を示すものはいるだろうか。]
・・・んー。
[少々じっと少女を見つめ、目を閉じ数秒考えて。]
…うん、分からん。
というか、子供自体あまり見覚えないのに、
思い出そうとしても出るわけないわ。
[どこかで見たかと思い出そうとして見たが、
当然見覚えは無い訳で。
当然、どうして来たかなんてもっとわからなかった。]
…酒場って、子供連れて来ても良いのか?
いや、サイダー飲んでた俺が言えた義理でもないが。
[どれくらい、そうしていたでしょうか。
どこかの墓石が崩れ落ちた音に、わたしは視線を上げました。
あまり、長く此処に居ても良い事は無いでしょう。
先ずは、ドワイトさんへお礼を――もう一人のあの眼鏡の方へは、どうしようかと未だに悩んでいますが――しに行かなくてはなりません。
その後、マスターの亡骸をどうするかは、ドワイトさんと話し合う事にしましょう。
今の時間ならランスさんもいるかもしれませんし、きっといい知恵が出る筈です。
三人寄れば何とやらです。
わたしは、白く灰に埋まった墓場を歩いていきます。
わたしの先には道は無く、あまり人が立ち入っていないことが分かります。
白い墓場に、わたしの道が一本、完成しました。]
いいや、別に不快というわけじゃない。
そういう選択もある、と思っただけさ。
[淡々とそう告げる男。表情に変化はなかった。
掲示板の張り紙によれば――>>0:24 確か、森を越える方法がどうこう、という話だったはずだ。
魔に冒された森へ挑むのは自殺に等しい所業だが、戻ってくるつもりもあるというのなら、最早幸運を祈るとしか言えまい。
彼が死んだとしても――それはそれなのだろう。
会話を重ねる内、再び灰が積もりかけていた。男はそれに気づいて話を切り上げようと]
それじゃあそろそろ失礼するよ。
ああ――
――まだ開いてる食料品店とか心当たりあるかい?
ああ、サイダーならいいね。
ちょっとアンタ、この子にサイダーでも分けとくれよ。
どうせこれから書き物だろ?
[沈痛な空気をぬぐおうとするかのように、声だけは明るかった。
少女の紹介をする時を逸したのを飲み物で誤魔化したかった。
だが、店主を呼ぶわけにもいかない。
ため息の代わりに、鼻から細い息をついて、テーブルに頬杖をついた。]
[墓場を抜け、教会の建物へと歩いて行きます。
わたしが墓場を抜けた頃、ドワイトさん達は教会に戻られたようですが、位置が悪かったのか私には見えません。
墓地から少しばかり歩き、扉の前に立ちます。
手を上げると、少しだけ強めにノックをしました。
教会の前にはまだ新しい足跡があります。
返事を待つ間にフードを脱げば、身体についた灰を払い落します。
手に着いたものも丁寧に拭えば、胸の前で軽く手を組み、中からの返事を待ちました。
自分から扉を開ければよかったのでしょうが、どんな顔をして入ればいいか、わからなかったのです。
だから、少しだけ、表情を作る時間が欲しかったのでした。]
おっとっと。
[食堂へは辿り着けたが、やはり何処か覚束ない。
流石に友人の言葉に素直に甘えることにして、
とさりと椅子へかけた]
…助かる。
[彼の背へ深く頭を下げる。
そして、スーへと向き直った]
そう、また。
私は、直せないか。
だったら壊さないように気を付けないとな。
[グラスを2つ用意して、水を注ぎ、戻る途中、戸棚のガラスに羽を映してみた。]
…………。
[それはもう、「気のせい」ではなく、たしかにあった。
灰色の中に混ざる、赤黒い羽根。
その色は、まるで血が滲んだかのようにもみえる。
どうにか羽を撫でつけて、目立たないようにはしてみたが、痩せたこの羽で、はたしてどれほど隠し切れたものだろう。]
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