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[名乗ることも、膝の上の紙箱を開けることも忘れたまま、心はかつての……幸福だった一週間に。
ぱたぱたという足音に反応したのは、それが聞き覚えのある音だったから。]
……似てる。
[嬉しそうにお弁当をのぞき込む金髪の少女。髪や目の色は違うけれど、年齢や仕草はとてもよく似ていた。
自らが、"狼だ"と宣告して、殺したあの少女に。]
……あ。
[目の焦点がいきなり合ったかのように我に返る。先ほどの青年……ユーリーを無下に扱ってしまったことに気づいてうろたえ、慌ててそちらを見た。彼がまだこちらを見ているようなら名乗らねばならないと思って**]
/*
うわぁ、全然話せていなくてごめんなさい。
明日からは頑張ります……!
Σそしてユーリー来ないなら仮想息子にしようと思っていたらずさー来てた。
[食堂車でふと、自分に割り当てられた弁当を取ろうとして視線を窓の外に向ける。窓の外には、夜の帳が落ち、澄んだ大気の彼方に星々が輝いて見える]
あれは天の河…素敵ね。私達の住んでいるこの星も…いえ、太陽系すらも銀河系の一つに過ぎないわ。
[何かに想いを馳せるかの様に空を見つめ続ける**]
― 食堂車 ―
[集まり始める乗客を見回して数え、目を見張る。
客席で既に顔を合わせた者も居るが、そうでない者も少なくない。]
へーえ。
北地行きの列車ってのは案外盛況だ……いつもこうか?
いや、辺境だとばかり聞いてたもんでな。
[案内人に尋ねながら、セルフサービスらしい飲み物を適当に入れる。今は喉が潤えば何でも構わなかった。
ユーリーに続き名乗る者が居たならば、顔と名前を一致させるべく努力はするだろう。とはいえ、一度で覚え切れる保障はないのだが。]
ドーモ。俺はベルナルトだ。
[聞かれようと聞かれまいと自身も名を告げ、グラスを呷った**]
>>*2
うん? 構わないよ。独り寝は退屈していた処だ。
どうにもみんな、ガードが堅くてね。
そう、ガードが堅い。それを崩すには、車内を預かる者を殺して、鍵でも何でも奪ってしまった方が楽だろうな。悪くない。
[ぎしりぎしりと鳴る床を踏締めながら、列車の廊下を進む]
[一列に並ぶ車両の中では、嫌でも人の姿を見掛ける事になる。
客席に座る者や男女の痴話喧嘩じみた遣り取り、荷物運びの乗務員――かどうかは、男の格好からは判別が付かなかったが――など、様々な者達の姿を眺め遣りながら]
……やれやれ、やっと道が開いた。
[それらを全て遣り過ごし、空き室を見付け一つきりの荷物を下ろすと深く息を吐く。
生きた人間の声を聴くと、安堵する。けれど、息子と同じ年頃の青年を見ると息が詰まる心地がする]
何か飲み物……は、食堂車に行けば良いとあの子が言っていたか。
[荷物を下ろしたのとは別の寝台に腰を下ろし、襟元を緩める。
覚えた渇きに、案内人の言葉を反芻してから、また深く息を吐いた]
― 個室 → 食堂車 ―
[一度腰を下ろしてしまうと動くのも億劫で、どうしたものかと思案していると
案内人の幼い顔が、個室の扉から覗いた]
……ああ、夕食の時間なのか。
私の名は、ダニール・マールィシェフだよ。
[思案するまでも無く食堂車への集合の声が掛かった事に苦笑を零し、名簿をチェックする彼に名を告げた]
[そのまま慌しく他の部屋へと向かう小さな案内人の背を眺めてから、入ったばかりの個室の扉を潜り食堂車へと向かう。
大きな車両には見合わぬ乗客の数。
配給された弁当と水を汲んだカップを抱え隅の席へと腰を下ろしながら、それを確認して]
…………ッ!!?
[また、息が詰まる想いがした。
他の乗客へと名乗る青年>>6の姿に、既視感というには生々しい記憶を揺さぶられて]
[黒パンと、豆の煮物。それから中にひき肉を包んだお団子。
美味しそうにもぐもぐと食べました。
周りの様子をきょろきょろ見回しましたが、最初から最後まで一言もしゃべることはありませんでした。]
―食堂車へ―
[同じように食堂に向かう人々を見かければ、会釈する。
その所作だけは礼儀正しいものであったが、
食事を前にしてもマフラーを外すことはなかった]
……目的地が同じ、か。
北の集落は寂れたところだと聞くが、
皆どのような用向きがあって向かうのだろう。
[ぽつり零す言葉は他人事めいた。
実際“事件”は知らぬ内に起こり、そして終わっていた。
己の世界は薄暗く箱の中、四角く切り取られた空だけ――
ふと、思い出したかのように、表情は和らいだ]
ああ、でも……
雪の上を歩けるのは、いいな。
[そして名乗りを交わす人々を穏やかに見つめていた。
自分が名乗る、という発想はいまだ忘れたままだった**]
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