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―東空域・下層→中層―
[触覚を伸ばし、周囲を確認する。
自分達が空に出てから随分とBFの数が減ってしまった。これから後はどうして、どうなって行くのか?中央で交戦中の赤い機体を視界に入れて思案し、唇を噛む]
挑戦したいわよね、スネイルネン。
そもそもそれがあなたが何の為に生まれ存在したのかの理由だもの…それを私も一緒に示したい。
どうなったとしても…後悔のないように、して行こうね。
燻ったままで終わるのは嫌でしょう?
[左手のパネルを5本の指で力を込めて押す、すると上昇する速度が急速に上がり青い蝸牛は再び舞う]
―東/高層域→中層域―
[湿度がやや高くなっている。
雲ひとつなかった青空の東、うすぐらい雲が出ている。
ロジャーはくん、と手綱を引くように左手を動かしBFの高度を下げ始めた。]
くそおっ、せまいなーーーーもーーーーーっ
うあああっ っと、あ
・・・・!!!!っっ!!!
くっそーーーー 近づけ、ないっ
[ランダムに四方に散る光弾幕、避けきれず機体の下方を掠る。
表面装甲の一部が損傷したようだ。
アイボリーから剥き出しになった鋼色の機体内部が見えている。]
―東空域・下層→中層―
[上昇を続けていると、視界に不定形の雲のような姿が確認出来た。もう一度逢いたいと願ったロジャーの駆るアルトキュムラス。
思わず彼に話かけようと、チャンネルをオープンにした所で先に向こうから声を掛けられた。>>125]
ロジャーくん!さっきの弾幕、大丈夫でしたか!?
[励ましの声に応えたいと思い、また伝えたい事はいくつもあるが、何より先程の光弾>>83による被害が無かったかを問うた。
彼からの返事がもしもあったならば、その返答如何によっては彼を援護する提案をするつもりだった]
―― 地上/大会本部 ――
ナサニエルもだが、ゴードンは最高のBFパイロットの一人なんだ。
[第一波。
同時刻頃に、空で行われていたダグラスの解説>>115にもあるが、空を埋め尽くす弾幕の嵐。
今も次々に機体が撃墜され、特殊フィールドバリアに墜ちたそれらを回収する専用回収機体の姿が見える。
最下層部の特殊フィールドバリアの層は厚く、それ以上の被弾は免れる。皆、BigFireに設けられたそれぞれの搭乗者保護機能によって、機体は無事とは言い難いものだらけだが、搭乗者は無事な姿でスタッフやクルー達に救出されていた。
ゴードンが王者になったのは、実に27年ぶりではあるが、今日までの戦果を鑑みるに、5割、いや6割の撃墜率は下らないかもしれない。]
―南西空域下層ピット―
ふぅん…やはりへんてこな機体でありますなー。
…ん。向こうのはシャノン殿の…あ、逃げた。
[取り替えられる部分のパーツをおおむね取り替え、残った部分の冷却を待つほんの少しの間。
空に目を向ければ、にっくきクロウサギの機体がへんてこな機動で空間を跳躍する。交戦していたらしき見覚えのある…開戦前に紹介してもらった派手な戦闘機と、起動しているところは初めて見る、白い機体は、それぞれめいめい向きを変え、あるものは中央空域を目指し、あるものは戦闘を離脱して下層へと下ってくる。
その様子の一部始終を目で追っていると、目の端に写ったのは、緑色の矩形>>108]
んぐっ…
[もう何度目かの身震いが走る]
…だいじょうぶでありますよ、フヅキ。
フヅキには、小官の心配よりも、機体の心配をしてもらわなくては。
[パイロットスーツのバイザーに表示されたメッセージに返す言葉は真摯に、機体を見つめる視線は気遣うように。それは道具どころかあるいは親しい人間に向けるよりもなお…]
…時間がないでありますな。
フヅキ、再度損傷箇所のナビゲートを。
[静止していたのは、その一瞬のみ。バイザーに表示される情報から、機体の冷却を見て取ると、ふたたび整備に没頭した]
…ふむ、こんなところでありましょう。
フヅキ、発信シグナルを…
…あまり必要なさそうでありますが。いちおう念のために。
[本来なら、狭いピットからの発着の混雑を避けるために必要なそれ。
今のところは、必要なさそうだったが、いちおう発信だけはしておいた。
大会開始から間もないこのタイミングは、参加に実力の伴わない者が撃墜されるか、補給を必要としないか、いずれかであって、ピットはあまり必要とされていないのだろう。
まぁ、だからといって早々にピットインしたことを情けないとも思わなかったが。
要は機体と戦術の差であって、勝敗を決する決定的な違いではないからだ]
起動コード・スターリィスカイ
全弾幕兵装スタンバイ
リトルアース、発進であります!
[こんどは、消耗しすぎないよう慎重に。そう自分に言い聞かせつつ、通常戦闘モードに出力を上げ、宙に浮かんだピットから青い球体が浮かび上がった]
目標・中央戦闘空域上方。
コメット起動であります!
[整備の仕上がりを確認するような一瞬のホバリングの後、流星の尾を引いて、青い機体は空を貫いていった]
―中央空域・最上層へ―
―― 中央下層 ――
[自らが吐いた炎の余韻を纏いながら、私は乱暴な通信を聞く]
(―― 私は、もっていないがね)
["操縦者"に見えるだろうマリアではなく私に話しかけてきたことにまず私が瞬いて、告げられた内容にマリアが瞬いた]
[マリアがくすりと笑って、私は「私」にアクセントを置きながらあっさり返した。オープンチャンネルであることを意識して、返す言葉はそれだけだ。翼を大きくはためかせ、南東中層空域まで舞い上がる]
[そうして、その黒い機体から大きな大きな光弾が赤い狼を襲う。赤い狼がそれを余裕の様子で避けていくのを、マリアは口元だけで微笑んで鞘に手をかけた]
『行くよ、ウィリー』
(分かっているさ。余裕を持って交わしたそのときが、発射の時だ)
[機体接近警告、と告げるスクリーン。けれどその前に。
『危ない』と通信外の声が聞こえた。
アルトキュムラスとは違う、小さな鋭い声。
ぴた、と一瞬の静止の後、そのBFが離れていくのを見た。]
ありがと。
[小さな声で呟くと、ロジャーは気を取り直し改めて損傷を確認する。
少しだけ機体バランスが悪い。が、次のピットインまでは大丈夫そうだ。
前後左右上下、周囲のスクリーンには、見知った機体。
水晶竜のBFウィルアトゥワや、重装甲のクヴォルフィリアも映る。
ロジャーは様子を伺うように、くるくると旋回しながら中央空域との境界あたりを飛んでいる。]
[やや距離を取り、最小限の動きで流れ弾の直撃を避けながら、上がった息を整える。
自らの身体で駆けているわけではないのに、びっしょりと汗をかいていた。
気分は悪くない。刃のように研ぎ澄まされていく感覚。
通信と共に、あの壮年の王者の楽しそうな顔が見えたような気がした。]
《ずいぶんと悠長なお出ましだな、銀色の似合うイケメンさん。
前回の雪辱晴らすんじゃなかったの?
行かないなら、もらっちゃうよ?》
[万年二位で有名な彼を挑発するように短い通信。
かつて幼い頃、羨望のまなざしで見た大会の中継映像。
その中にいた男と、今は肩を並べている。
目の前では赤い狼を捉えようと緑色の檻が展開されていく。
捕らわれた機体へと、残像を残して迫る白刃。]
―― ゴードン ――
『一度効かなかった手が、効くかァ!!』
[オープンチャンネルでゴードンが吼える。
宣言通り、ユージーンの第一撃を機敏な動きで赤い狼は交わしていく。同時に、クヴォルフィリアへと反撃をしようとしたその鼻先にチャージ弾が迫る]
『おぉっとぉ!!』
[流石に冷や汗をかいたのか、常人ならば決して避けられはしないだろうその一撃をぎりぎりでゴードンは避けていく]
『はっはぁ、惜しいがいい攻撃……何っ!?』
[強制通信に動揺が幽かに乗った]
―― マリア ――
[大きなチャージ弾が迫る時。
私とマリアは身を低くして滑空のポーズを取っていた。
風向き、よし。一気に加速する]
(宇宙一刀流――)
『いっけぇええええええ ビーム居合い!!』
[ゴードンの脇をすり抜けるように私は跳んだ。
マリアは、思いきり鞘を払って刀を振りぬいて――]
―― 地上/大会本部 ――
[黒隗はグレンを暫し見つめ、]
「紅蓮、楽しそう。」
[にっこりと笑うと、空を仰ぎ見た。]
「わ。マリンブルー・スネイルがくるくる回ってる。」
弾幕を巧く避けられる方法を、最初から分かっている参加者ばかりじゃないんだ。
「紅蓮も最初はそうだった?」
ああ、そうだよ。
弾幕の嵐を乗り越えて、ゴードンに迫った。
[その口調からは本当かどうなのか読み取れない。
だが、とても楽しげにグレンは言葉を返す。
それから暫しの間、空で行われる戦いに思う事は全て胸に秘めたまま、*見守った。*]
――北西エリア/高空――
[中央エリアの一画を取り囲んでいた緑色の“檻”が、維持限界を向かえ、消滅する。
格子状に並んで発射されていた小型弾はコントロールを失い、無秩序な動きへと変化した]
あの中は――やっぱり、大した事には、なってないか。
[機体を北辺へと大きく迂回させつつ、少女は『バードケイジ』が残した結果をチェック。
“檻”そのものに触れたならともかく、内部に生まれる小型弾にはさほどの破壊力は無い。
前チャンピオンは健在。装甲強度にもさしたる損害は無いようだった]
−会場上空・中央空域−
[ゴードンの機体が見えてくる。その途中も、多くのBFからの攻撃を受けるが、ささっと避けていく]
……まだあれを使うには早い、という事だな。
もっとも、そう余裕なばかりではいられないだろうが。
[あれ、つまりは"銀色の星"。
回避と「魅せる」事を狙った弾幕。]
そろそろゴードンに、挨拶をしないとだな。
相変わらずだな、ゴードン。
今のお前ならば、この位は余裕だろう?
[ゴードン機に向かい、矢のようなレーザーを放った。
まるで矢にくくりつけた手紙−矢文の如く。
ゴードンがその手紙を受け取っての反応を観察する構えに入る]
―中央空域最上層―
ふぅむ。佳境、といったところでありますか?
[コメットの出力を切り、フルムーンの噴射でその場に静止。ふたたび戻ってきた空域で、眼下の戦闘を眺める]
[赤い機体を取り囲む緑の檻。うねる光弾を吐き出す黒い機体と、それに呼吸を合わせるように好機を待つ水晶竜。白金の機体も今を好機と突撃するようだし…]
(…ちょっと妬けるでありますなー)
[と、場違いな思考は、黒い機体と共闘体制に入っている友人に向けて。
無論、場違いである自覚はあるし、どうこうしようとか、よしんば邪魔しようなどと考えるような類のものではなかったが]
…コード・ファストスター。
照準はこちらでつけるであります。フヅキ、補助を。
[せめて自分は補助か…あるいは保険をかけておこうと。
静かに、眼下の戦いを見守っていた]
[どうやら、この通信はノイズが多いらしい。
こちらからはクリアに聞こえるものの、向こうでこちらの応答を確かめるような声が聞こえて、私は嘆息した]
BBQとは羨ましいな。
なあ、キミ。誰だかわからないし、上手く繋がるかも不安だが、あんまり序盤に落ちないで欲しいものだね。
せっかくのこうした縁なのに、すぐに切れてはつまらない。
[忙しそうな応答に、同じく選手なのだろうと当たりをつけて声をかけた。こちらとて、忙しいのは同じ。それ以降しばらくは通信を途絶えさせてしまっていた]
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