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[ソヨの言葉に不思議そうな顔をした]
へー、その言い方だと、お主護音殿の唄声を聞いた事が有るのか。妾ですら、先ほどやっと声を聞いたばかりじゃのに。
なら、転音殿の言う曲で良いぞ。
特に妾にはこだわりの曲と言うものはないしな。
[丸投げした]
ほう。
君が相棒だったのか。
・・・ふ。
共に複数言語システムを持つ旧式と最新式を、スパイとして送るとは・・・、当社もなかなかにオツなことをする。
君の識別名称は?
ふにゃあ〜
[またベルに猫耳を甘噛みされ、今度は声を上げると同じに腰砕けになって座り込んでしまった]
やめてくれ。妾の耳を噛んで何が楽しい!
[きっ!と鋭い視線をベルに向けた]
さーて、僕もそろそろ探検でもしてこよっかな。
結局、サイのケーキのせいでダウンしてたし・・・うぅ、あの味と苛めっ子オーラを思い出しそう。
[メインスタジオに残る者には会釈を残してトテテと駆け出す]
どこいこっかなー?
ふむふむ。音痴の原因の多くは緊張で喉が硬く…ボーカロイドがなるのかな…?
…とにかく深呼吸でもしてリラックスしましょう。
[本を読みながら早速試してみようと、息を大きく吸い込む。息を吐き出そうとした瞬間。]
『―ピピピ、本社からメールです。本社からメールです。』
!?っぁ、ごほっ、ごほっ。びっくりした…
[突然のシステムメッセージに驚いて咳き込む。]
本社から。なんでしょう?
楽譜が、読めない…?そんなボーカロイド居るわけが…
でも、本社が何の確認もなしにこんなメールを送ったりはしないか。
[メールの内容に暫く考え込みながらも、立ち上がり]
とにかく、他の人にも聞いてみよう。
[メールを閉じ、本を元の位置に戻すとそのまま人が居そうなメインスタジオへと向かう。]
……?なんで私はまだデータとして残されてるのかしら。
皆と同じでデビュー目指して…けど、結局無理で…。
どうして無理だったのかしら、歌えなかったから?
歌えなかったのに、なぜデビューを目指した?
……ああ、そうだ、ここで歌を聞くために残ってるんだわ。
それ以外ありえない。
歌を聞こう、歌を聞こう、それでいい、それがいい。
[バクの自重混じりの声には先程のノイズを感じない、どうやら攻撃的な思念に反応して感じるようだ]
そぅ・・・なんだ。
それで、キミはどうしたいんだい?
僕は、声と歌を手に入れるつもりだよ。
それがここに来た理由だしね。
(サイ・・・僕は君のような綺麗な声が欲しいんだ)
―自室―
[脳内回線をインターネットへと接続する。 研究室(ラボ)を出る際にチーフにインストールされた、プログラム。]
そろそろ教えてもらえますか? わたしをここへと送った理由を。
まさか、旧型たちと一緒になってデビューを目指せ、ってわけじゃあ、ないでしょ? ……これがただ、歌うためだけのプログラムとは、到底思えない。
[電脳回路に叩き込まれる、VSQ。それは唇から発せられることなく、PFW(一切の干渉を遮断する炎の壁)に守られた光のルートを辿り、相手へと届く。]
>当たり前でしょう、XI。
>あなたほどのスペック。ただ歌わせるためだけに派遣したわけじゃない。
[相手からの返信も、同じルートを辿って。]
>そこにいるVOC@LOIDの中に、欠陥品が紛れ込んでいるわ。
……けっ、か……?
[一通のメールが届いたのは、同時。
開いてみれば……中身は、同じ。]
[もう一度辞令の内容を読んで]
ふーん、他社の奴も混じってるのか。
ははん。
なんだか面白そうな話じゃねーか。
それにもしかしたらこの問題を解決すれば査定にプラスされるんじゃねーの?
よっし!
[自室から駆け出してメインスタジオへと向かう]
――メインスタジオ――
[ドバンと扉を開けて颯爽と登場し]
今日から俺は探音 コナン(さぐりねこなん)を名乗るゼ!
真実はいつもひとつなんだゼ!!
[教則本に沿って発音を繰り返している]
…僕の課題は早い発音と強弱、切分音後いっぱい。
沢山あるなあ。
[独り言を挟んで再び基礎練習を続ける。
そこからピアノ用の楽譜を引っ張り出して声楽用ではないがスケールを発音していく]
ドからド、そこからアルペジオ。
本当はピアノとか鍵盤楽器の楽譜だけど、使えそうだから良いよね。
[凛とした基礎音楽を歌う声がメインスタジオに響く。
それが歌に変わるまではまだまだ時間がかかりそうだ]
海派のスパイね。
みんなデビュー間際なんだし、あんまり動揺させたくないわ。
それに、素敵なものに自社製も他社製もないと思うのだけど。
……っと、失言失言。誰にも聞かれてないわよね。
[スタジオからのデータを眺めて]
それにしても、デビューできなかった子たちってどうなるのかしら。
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