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[初めに老女の孫のイメージで若い男に変身してみた。
無難な暗い茶髪茶目にしたはずが、無意識にココアブラウンの髪と金の瞳の姿を取っていることに気付き苦い笑みを噛み締める。
若者の姿はかつて真似ていた者や死者の姿に引きずられやすく、戦場以外では控えていた。……こういう時に胸の苦しさを思い出してしまうのも分かっていたから。
アレク――彼はいまや、帝国同盟総司令官の側近として働いている。噂や戦場で集めた情報を受け入れ切れてはいなかったが、彼が女神を信仰・あるいは利用する帝国同盟の人間として動き続けるのなら。
もう、心の奥にせめて残していた何もかもぶん投げられる幼い信頼すら手放すほかないのだろう。
ネガティブな愚痴を吐きながらも信じていた変わらない幸せなんて存在しやしないんだと、性悪女は教えてくれたのだから]
……。
[強く目を閉じれば、髪色は明るさを増し加齢して中年の男へと変じた。足早に森の木立へと踏み込み、小さく鋭い口笛で鳥を呼ぶ]
[魔力で繋がっている鷹は素早く呼び寄せられて腕に止まった。
ここ一帯の人の出入り、奇妙な動きがないか読み取ってチェックする。
やがて一通り情報を確認し終えれば、人目がないことを確かめて枇杷茶の羽を持った鷹に変身して空へと。
魔法の素養があるものは、舞い落ちる羽が一瞬浅葱◆に輝いて消えることに気付けるかもしれない*]
ー連合国・???ー
[現在、ミツルに上司、部下はいないようだ!(同僚はいるかもしれない)
入隊前に「好きにやらせてもらえるなら入る」と軍に条件を出していた。
それが許されるのは戦闘力がずば抜けているからである。ミツルに訓練など必要がないので、いつもどこかでふらふらしている。(ミツルが本気を出せば国一つを滅ぼすことが出来るかもしれない)
>> 14 もし、クロロがミツルを見つけ話し掛けてきたら会話をするだろう**]
どうして俺はこんな姿に…
[全身、毛の鎧で纏われ、先端が丸みをおびている耳、手足には鋭い爪(狼爪が長い、掴んだ獲物は逃がさないだろう)、口には鋭い牙(獲物を捕らえ、食いちぎり食べる時に使われるだろう。]
夜になると我慢できなくなってしまう…
この姿で千早に会ったら千早はどう思うだろうか…
この姿で会ったら俺は千早を…
まずは俺と同類の人を探さなくては…
[当てもなく何処かへ行くミツルであった**]
イリア様。
[大丈夫だと言った彼女は、ちっとも大丈夫には見えなかった。本当の意味で"優しい"彼女は、今の状況に心を痛めているのだろう]
傍に、います。
僕なんかで良ければ、
貴女が寂しくないように、いつまでも。
……此処に、オルガンがあれば良いのに。
[気の利いた言葉なんて、分からない。
だけどオルガンの音なら、彼女を癒せるのではないかと、少し、思った]
僕は、やはり死んでしまったのですね。
覚えていないのです。
あまり、その時のことを。
[思い出そうとすると酷く頭が痛んで、顔を顰めた]
セシル。
[脳裏に薄らと浮かぶのは、最期に視た少女の姿]
[入室の許可を下すその声は、正しく件のアレクシスのものだった。冷めた感情の読めない声音。恐ろしいとまでは思わないが苦手だ。近づきすぎない方がいいかもしれない、と無意識に感じていた。]
失礼致します。
[扉を開けて、中に一礼。末席に設けられた、自分の席に進む。孤児院にいた頃の顔見知りは、アレクの他に二人いた。どちらも特別親しかった訳ではないが、戦争が始まってから変わったように思う。
女神像の喪失から、孤児院の子供達は散り散りに戦争に引き込まれて行った。再会も離別もあったが、誰も皆今まで通りとはいかなかった。当たり前だ。安穏とした孤児院と凄惨な戦場では何もかも違いすぎる。変わることは必然。そこまで考えて、自分の現状を思って自嘲的な笑みが零れる。変わらない自分、どっちもどっちだ。]
ー数日前ー
[嗅ぎ取るは同朋の臭いか。
彼と同色のココアブラウンの毛並みに、金の瞳。
その狼の姿はまだ彼の心が闇に呑まれ切ってない事を示していた。ーーと言っても、明確には『アレクシスでは無い』のだが。狼は顔を上げれば、闇を彷徨う。]
[しゅたり、と崖から飛び降りた地上。
重力で空間が短縮されれば一気に別国へ。
足を踏み入れれば、其処はもう同盟国の陣内。]
(ーー同朋か。
……気配を感じたが、よもや敵国に。)
[面白い。と。
金の瞳が赤へと変色して、狼の口が嗤う様に吊り上がるのだった。]
― 回想/完全独立組織・自室 ―
女神がきっと救ってくれるぅ?
[きゃははっと声を上げて笑う少女が一人。
戦争の原因である女神が救うだなんて、夢を見るならもっとマシな夢を見てほしいものだ。
女神がもしもいるならこの手でぐちゃぐちゃに引き裂いて、一生女神なんて呼べない容貌にしてやるのに!]
あー、おっかしい!
いつまで幻想に浸ってるのかしら、ほんと笑えちゃう。
[自分が組織に来たのは三年ほど前だ。
戦争がだんだんと酷くなってきた時、自分の身を守る為に開花した魔法の力を望まれた。ただそれだけ。
女神を信仰する軍なんて冗談じゃなかった。だから、寧ろ憎んでいるらしい此処に来たのだ。]
……クーちゃん、元気かな。
まだレターセット、あったかなぁ。
[引き出しをがさごそと漁ってペンと真っ白な紙を探し出して、机に向かう。本当に時々だが、こうして彼に手紙を送っているのだ。]
『クーちゃんへ。
このお手紙が、無事届いていることを願います。
元気ですか?エリィは毎日魔法の練習で、いい加減飽きてきたところです。
最近はようやく荒れていた花壇を整えることが出来て、今度綺麗なお花をたくさん植えるつもりです。クーちゃんが好きなお花は何だったかな。...
戦争は終わるどころか、むしろ激化してさえいるけれど、どうか無事でいてね。
きっとまた皆と暮らせる時がくるはずだから。
それまで体には気を付けて――』
[そんな他愛もないエリィゼの日常やちょっとした愚痴、ささやかな願い等が綴られている。
ただ、肝心な自分の想いだけは書けないまま。封筒の中に造ったリナリアの花を入れて。何もなければ、無事彼の元に届いただろう。]
/*
会議中は警戒厳しそうなうえ帝国はエリィいるから情報欲しければ連合か。
位置関係どんなもんか分からんが、飛び回りすぎると力尽きるから様子見つつ。連合国マゾか迷子か気に食わない野郎しかいない。素敵だな。
[こいつ、変身してる時武器持ってねえのかなと今更考えつつ上空飛行なう]
やーね。
ブレイクタイムっていうお仕事よ。
[ 煙草の火を消されれば、
まだ全然吸ってないのにと
方を落とし、口を尖らせる。 ]
あー、そっか。アンタも聖職だっけ。
やだわぁ、
シスターが銃器取り扱うなんて。
[ 煙草の仕返しに悪態つき、
一つ銃を手に取る。
同じように銃を扱う者としては
メンテナンス依頼が嫌な訳がなく。
「 大事にしてる?嫌われてない? 」
なんて、またまた追い打ちを。 **]
[自分の魔法は戦争向きだ。一人いれば、武器庫に積まれた重火器全てが不要になる。物資も兵士も可燃性なのだから、一般兵レベルなら幾ら集まっても問題ない。加えて安定したコントロール技術と備えられた知識。自分が早々に軍に連れて行かれた理由は、想像に難くない。
子供の内に成熟して凍りきった心は、戦争においても容易くは変わらなかった。いや、変わりたくなかったのかもしれない。戦争向きな能力。殺戮を受容すれば、自分は依存してしまうだろう。求められることに。これは自分なりの防御だった。
外からノックの音。エリィゼだ。彼女もまた孤児院時代からの顔見知りだが、正直もう信頼することはできなかった。スパイ容疑が色濃くあったのもそうだが、纏う雰囲気が異質になった。言葉で説明することは難しいし、わざわざ上層部に進言するのも面倒だ。脆いばかりの城なら崩れるも必定。上司のクルークに一任しておけばいい。]
ー連合国軍本部ー
うわあ…やっぱり、本部は凄いなあ。
[見上げるほど立派で巨大な建物。城のようなその建物は、まさしく連合国軍の本部そのものだった。
門番に名前と所属を確認してもらい、門を開けてもらう。係官による施設説明が終わり、指定の時間まで少しあるので、中を見回ってみようと思っていた…丁度その時だった。]
あれは…ミツル?
でも、僕なんかが声かけても大丈夫なのかなあ。きっとミツルは出世してるだろうし…。
[ずっと訓練兵として訓練を続けている僕と違い、ミツルは開花した魔法能力の高さを認められ、最初から本部配属になった…ところまでは知っていた。
でも、クロロは久しぶりに会う旧友の姿を見て、声をかけずにはいられなかった。]
…お久しぶりです。僕のこと、覚えていらっしゃいますか?
[立場的に失礼に当たらないよう、申し訳程度の敬語を使い、おそるおそる話しかけた。ミツルならきっと昔と変わってないだろうと、自分を棚に上げた、淡い期待を持ちながら。
最近のクロロを知っている人は、彼が自分から他人へ話しかけるなんて、珍しいと思うだろう。クロロは軍に配属されてから、人と関わるのを避けるようになってしまったから。]
―回想/完全独立組織・エリィゼ自室前―
……エリィゼ。
今、ちょっといいか。
[部屋の扉を叩き、声をかけた。
無邪気で泣き虫の愛らしいちびっ子はもういない。切れ味の鋭い憎悪を抱えた少女を、いつからかチビッコとからかう事はなくなっていた。
この頃はまだ自分は中立国を離れる気になれていなかったが、魔法を開花させ憎悪を募らすエリィゼの今後の動向について気に掛かっていた]
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