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ヴァレリーさんの新作、ですか?
それは……ぜひ、お目にかかりたいです。
[自分の銀細工の傍にあるハートの硝子細工は無関係?
不思議に思いつつも、一挙大公開と聞いて胸は高鳴る。>>194
雑貨屋の片隅に並ぶ小さな細工たち。
店を訪れる度、密かにそのセンスに惹かれていたから]
他の人に先駆けて見られるなんて、ついてるなあ…。
[小さく呟いた。
先程もっとヨールカに飾りを付けないか提案されたので、
手持ちの細工をまた取り出そうとしたけれど。
ヴァレリーの作品があるなら今はいいかと考えを引っ込め]
…………どうかされました?
[鞄の中身を確かめる彼からあがった声に、*首を傾げた*]
[男にしては珍しく、眉間に皺を寄せて考え事。]
なあ、その辺にガラス細工…落ちてないか。
こんぐらいの、タマゴみたいなやつなんだけどよ。
18(20)個ぐらい試作で作って来たんだけど
全部無くなってて…
[こんぐらい、と言いながらその場に居る皆へ
人差し指と親指とを付けて1cm程の隙間を開けて見せた。]
俺、上から落ちて来たから
その時に全部どっかにバラ撒いちまったのかな。
[それとも]
[男は教会の窓を見上げる。
かつて自分が居た部屋、その辺り]
――――……。
[もし、その場で探してくれる人が居たとしても、
18個もばら撒いたのならばそんなはずはないだろうに、
1つとして見つかる事はないだろう。**]
…………………クソ、
[ 何度か唇を歪めて上下を擦り合わせた後、悪態を吐いた。
ポケットを探る手が摘み出したのは、丁寧に巻かれた煙草と燐寸で。
その持ち主の身代わりとばかりに。
ゆっくりと唇で挟む。
――吸い込む煙の味は、幾度となく交わした吐息の温度を思い起こさせ眩暈がした。]**
― キッチン ―
[テーブルへ果物の入った手提げを置いて
きょろきょろと、室内を見回す]
うーん、材料は隣の部屋にあったけど
調理用具が足りないなぁ……
[どうしようかな、と考えていると]
[目の前に……]
……わっ
何これ……!?
[思い描いていた調理用具が現れて、
思わず驚きの声を上げた]
…………不思議
[普通ならそれだけで済まされない現象なのだけど
なんだかそれは、気にしなくていい事のような気がして]
[少女はプリャニキを作り始める
甘くて、スパイシーで、
ほんのり果実の香り漂うお菓子を
腕が上がった
キーラにそう言ってもらえるくらい
食べた人達の笑顔を思い浮かべながら]
[メーフィエはリモーネの香り付けをリクエストしていた
他の人達は、どうだったか]
[何にしても、もっと人が来ても大丈夫なくらい
たくさん、たくさん、作るけれど]
おいしくなーれっ
[冷蔵庫へ入れる前の生地へ、おまじない
妖精さんは、聞いてくれるかしら?]
……………………?
[そういえば、此処へ来る前に
一緒に居た気がする女の子が、いない
薄桃の髪の、妖精さんみたいな少女
今は、何処に?**]
[ここは惨劇の砦ではなく、女が書庫の番をつとめた教会でもない――けれど――森を見渡したときにみたあの水車は…?
――――氷ついてはいなかっただろうか……?
手早く自らの食器を手にして礼をいうと、静かに席をたつだろう**]
………… それ、お前のか。
[煙草をさした問いだが、言葉足らずはあの頃と変わらず。
無遠慮な視線は、小さな火をじっと見ていた。**]
ぎぃ…
[教会の音は静けさの中。一期は悲しげな音をさせていた]
誰かいないのかな…
[薄暗い教会の中をきしきしと、不気味な音を立ててゆっくりと歩いていく。
ふと何やらいい匂いがしてきた]
おいしそうなだ。
[匂いにつられるように、キッチンへ向かう]
[一旦隠れるも、見た子が女の子だったので、そろっと出て行き]
…あの。僕はナタリー
えーっと、君は?
ここはどこですか?
あとできたら、着る物あるとうれしいんだけど。
[両手をあてて寒そうに肩を震わせて、リディヤを見つめていた]
あ、…………こんにちは、はじめまして
[そろそろ生地が冷えたかな、と
冷蔵庫に手を掛けていれば
調理場に現れた少女のような少年のような……]
[この人は、初めて逢う人……だよね?]
ナタリーさん?
えっと、わたしは……
リディヤ、っていうらしいです。
[いまだ自分はリディヤだと自覚は持てず
曖昧な自己紹介]
ええっと……着るもの、着るもの……
[そういえば、此処へ来るまでに
ほとんど寒さを感じなった
雪はあれほど積もっていたというのに]
[ふと、自分の肩へ目線をやる
大人用のものに見える、大きめの肩掛け
……これは誰かに渡してはいけない気がして]
これ……どうぞ
[その下に掛けていた、赤いフード付きケープ
それをナタリーに差し出して]
上に、いくつか部屋があると思うから……
そこになら、お洋服も、あるかも、です。
[指先で階上を指した]
[それから、生地を取り出して
分けて平らにしたもので具を包みつつ]
今、プリャニキ作ってるんです。
いっぱい作るから……
あと40分くらいはかかりますけど
ナタリーさんも良かったら食べてくださいね。
リモーン、アピリスィーン、ヤーブラカ
香り付けの果物、三種類ありますけど
何か希望はありますか?
他のものが良かったら、用意しますし
[年の近そうな子と話すのは、随分久しぶりに感じて
少女の声も弾んでいた**]
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