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[見知らぬ男たちにはフィグネリアと名乗って、見事な細工物を目にしたなら賞賛の言葉を贈るのだろう]
ジェット・マロースがいないとやっぱり少しさみしいわね。
[思い出すのは人形師見習いの少女が食べることも忘れて仕上げてくれた見事な――]
ぇ?
[ぽふんと出現したそれに目を丸くする]
― キッチン ―
[後ろから少女の声>>57]
これはラム肉のパニーニよ。
[足元の黒狼に少し驚くも]
これでよければあげるわよ。
それとも、お肉だけがいいかいら?
[出来上がったパニーニとまだ詰めていない肉を別々の皿に取り分け、少女のもとに近づく]
食べるなら隣のホールがいいわね。
運んであげるわ。
[少女が同意すれば一緒にホールに向かうだろうし、
その場で受取るというなら皿を少女に託すだろう]
― 教会前 ―
……わ、人がいっぱい
[教会の門の向こうに、大きな樹木
その傍には、見覚えのある気がする男達や
恐らくは初めて見る大人の女性]
あの、…………
[彼らへ声を掛けようとしたが、
沢山の人の輪へ入っていくのがなんだか憚られて
門の影からこそりと顔を出す形で、
彼らをじっと見ていた**]
花屋 オリガ がやってきたよ。
[ふと気付けば、見慣れた教会の前に立っていた。
あれ、今日は墓参りの日だっただろうか…?
そんな事をぼんやり考えながら]
…………?
[珍しく教会の門が開いているのに気付き、吸い寄せられるようにその門をくぐった]
(……何かが、違う…?)
[自分の見知った教会とは何かが違う気がする。
でも、何が違うのかは今の彼女には把握出来なかった。
誰かに見守られているような、そんな温かな気配を感じながら…。
教会の奥へと歩を進めていた]
大丈夫よ。この子、おとなしいの。
喋らないけど、ことばも、ちゃんとわかるのよ。
[女性へむけて、にこりと笑み]
パニーニですって。食べられるかしら?
[黒狼へ首傾ぐ。]
[ふわり、ふわりと。
足取りは軽い。
地を歩くような感覚ではなく、まるで宙を弾むような、ふわふわとした感触。
内部へと足を進め、ヨールカに目を向け]
(わぁ、綺麗……)
[そう、呟いたつもりだった]
…………?
[声に出したつもりが、言葉は耳には入らなかった。
ただ口をパクパクとしただけで、息は漏れども言葉とならない]
…………。
[続けて言葉を発しようとするも、虚しく吐息が零れるだけだった]
うぅん、お肉だけにしておいた方がいいかもしれないわね。
[黒狼の背をなでなで]
ありがとう、お姉さん。
いきましょ わんちゃん。
[そして自分の身の丈よりも大きいだろうそれを、
軽々抱き上げ女性の後に続く。
重さはほとんど感じないのだ。]
[ヨールカの前には、幾人かの姿が見えた。
見慣れた村人の姿も、また見知らぬ人の姿も。
――覚えは無いのに、何故か懐かしさともの悲しさをかき立てる姿も。
声をかけようと近づくが、声が、出ない]
…………。
[寂しげな表情を浮かべ、歩を止める。
そして、悲しみに満ちた瞳で、じっとヨールカを見上げた]
(……どうして、私はこんな処に居るんだろう。
そして、どうして話す事が出来ないんだろう……?)
キリル がやってきたよ。
『きもだめし、するよー!』
[舌足らずの声と共に、小さな体躯が雪上を抜ける
齢10にも満たない、緑色の服の少年
精悍そうな顔つき、大きな焦茶の瞳がきらきらと瞬く
雪の中に、教会
あの頃、何度も肝試し、と探検をした、教会]
リーリャ!
[本のページがめくれていくように
緑色の服の少年が、はらりと変わる
齢10にも満たない幼い姿は、20代の女性のものに
黒いワンピースと、白いエプロン
少年にしか見えなかった幼い時代に比べれば
現在はさすがに女性にしか見えない服装
飾り気は一切無いけれども
精悍な顔つきも、短い暗色の髪の毛も、焦茶の瞳も
幼い時の、そのままに]
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