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[と、彼が話し始める前に、また子供たちが走ってくる。]
『すてぃーぶー!』『これー。ひろったー』
[持ってきたのは、何かの荷物。
いつものように、買って欲しいということだろう。]
はいはい、いつもご贔屓にー。
[そう言って、受け取って、"代金"を支払えば、
子供たちはまた、駆け出していく。]
……?
[ふと気付いた。行き先が書いてあるようだが、
それは、調査隊行きの荷物だったか。]
これ、お前が落したわけじゃねぇよな?
[見せれば、彼の反応はどうだったか。]
―中層区画 カフェ―
もむ!
[ユウヅキを見つけたのは口いっぱいにミックスサンドを頬張っていた時だった。>>228手を振って彼を迎える。
ユウヅキがソノランへ"特殊チーム"と言うのを聞けば、へぇと驚きつつも納得する。ソノランの能力なら重宝されている事だろう。
そして、少し胸がざわつく。
特殊チームの人間なら、もしや娘の正体を知っているのではないかと。村での事件の時、アーネストは色々知っているような口ぶりだったから。しかし、今のところ特に娘の素性について触れてくる気はなさそうだ。藪蛇をつつくのは避ける事にした。
ユウヅキとアデルが取引する間>>230は口を挟まず、ご馳走に集中していた。]
……ユウヅキ?
[さっきからちらちらと視線が飛んでくる。>>268 ははぁんと合点がいって、自分の皿からサンドを一つ差し出した。]
一つ、食べてくれない?
とってもおいしいんだけど、
全部食べたら動けなくなっちゃう。*
[ゴミみたいな食べ物やクソ不味い物を口にしても腹を壊さない悪食になったのは、十中八九どころか、十中十、スティーブが原因だろう。
その頃は、まだ両親のショックが大きく『全部食べろよ』と言われれば、どうでもいい気持ちと共に、吐きそうになったり、あるいは少数ながら口に運んだだろう。
妹……男にとっては姉のような存在だったかもしれないが、彼女に譲ることもあったかもしれない。
それでも、暫くそうやってスラムで過ごせば正気を取り戻し、気づくだろう。
『残飯じゃん、これ!』と。
スティーブが味覚に悪い影響を与えていたのは確定的に明らかだった]
……! い、いや…仕事中だから……
[エイミーにミックスサンドを差し出され>>271、1度はそう遠慮の言葉を口にする。
しかしその手はミックスサンドを持つエイミーの手をがっちりと掴み、目がキラキラと輝いている。よだれが垂れていないのは破天荒人間の最後の理性か]
[しばらく取引相手のアデルのほうもチラチラ見て、食べていいのか?いいのか? と少し我慢しようとはした]
[ぐきゅるるるるる]
…ま、まあそこまで言うなら食べてやろう
残すのは勿体無いしな!ああ!
[結局ユウヅキは空腹に負けた。 エイミーの手からミックスサンドを受け取ると心底美味しそうにサンドを頬張り始めた*]
そういう私も仕事中だったりして。
[てへ、と舌を出す。
食事を終えればアデルに頼み、荷物について指示を仰ぐつもりだ。
一緒に家に向かい引き渡すか、家の外に置いて置いて良ければそのようにして、受け取りのサインをもらうだろう。]
……ふふ。
[腹の虫が理性吹き飛ばす音を聞き、くすりと笑った。3ヶ月前の事件以来、色々吹っ切れたのか随分性格が丸くなっていた。]
ね、ね、美味しいでしょう?
いい店連れてきてくれてありがとう、アデル。
[いい顔でサンドイッチを食べるユウヅキをにこにこと眺めた。]*
── 薄暗い部屋 ──
[さて、エイミーから視点を外し、とある薄暗い部屋を映そう。
地下なのだろうか、窓のないその部屋には通信機器やスナック、工具に雑誌などが雑多に散らばっている。
部屋の隅では細く長身の男がモニターを眺めて渋い顔をしている。モニターにはマップが映し出され、中層のカフェに赤い点が点滅していた。]
『アニキ、中々荷物つかねっす。
中層のカフェでとまりっぱで……
配達人、サボってやがる。』
[アニキと呼ばれた小太りの男が食べかけのピザを手に振り返る。]
『なーんだってぇ!?
まだしばらく動かねぇなら発破かけるんだョ!
さっさとウロボン13号にアレ探させねぇと、
俺らがオヤビンにドヤされちまう!』
『ひぃ、そいつぁこええや!』
[身を震わせ、細長い男はモニターに視線を戻した。]
『まさか、さんざ探してたアレが
アデルんちにあるなんてなぁ。』
[呟くと、何やら手配を始めた。]*
…………差出人が書いてないな。
慌てて書きそびれたか、何かあるのか。
[男は、面倒そうに小型の端末を起動し、条件に合う届け物情報を探し始める。
調べるのが面倒ではなく、端末を操作するのが苛立つだけだ]
それらしき荷の流れは複数あるみたいだが。
届けて金が貰えるかね?
[もっとも、このケースの場合、金の有無は男には関係が無かった]
確か調査隊は、この時間なら出発直後だな。
トべば間に合うな。
[機械生命体関連の情報と同じ程度、調査隊の情報も諳んじれる。
男の視線がスティーブに戻る。
発動の素振りは無いが、男の遠隔移動能力は、視界に入った対象>>154が行使先となる*]
むぐ…仕事中ならさっさと…終わらせてやれ…
もぐもぐ…依頼人も…心配して…もぐもぐもぐ
[口の中にサンドイッチをいれながら、それっぽいことを話す。全くもって説得力がない。
ニコニコと笑うエイミーの表情にこちらもニコリと表情が緩む。
サンドを食べ終わると手を拭いて、エイミーの長い髪をサラリと触れ後ろに持って行ってやる。]
ほら、髪が落ちると髪ごと食ってしまうだろ
[アデルに褒められていたエイミーの髪。触れてみて綺麗だなと彼も感じた*]
─ ある任務の記憶・2 ─
[特殊チームの本部へと持ち帰った機械生命体は、あちこちに弾丸を弾いた痕が残り、腕や足の一部は押し潰されたようにひしゃげていた。
片やソノランは腕や肩、胴などに鋭利な刃物で斬られたような痕が残っている。
機械生命体の手は鉤爪状、それらを受けたが故のことだった]
いくら単体特化型が出払ってたからって、こっち回すことなくない?
[ソノランも戦えはするが、どちらかと言えば後衛の部類。
援護や狙撃で真価を発揮するタイプだ。
前線に立ち近接戦を行うのは得意ではない]
こいつらの戦い方?
そーだなぁ…。
[特殊チームのメンバーに聞かれ、戦った時のことを思い出す]
[機械生命体は主に鉤爪状の手を振り回し攻撃して来た。
関節の動きは滑らかで、重量による鈍さは多少あるが、振り下ろしの速度は眼で追うのがやっと。
一撃一撃に間があるわけではなく、振り下ろした直後に切り返しを行ってきたこともある。
壁が欲しい、と言ったのは狙撃の時間を稼ぐのもそうだが、この厄介な動きを防ぐ意味合いもあった]
プログラミング、って言うよりは、動きは思ったより機械的ではなかったね。
人の動きの滑らかさっていうの?
そう言うのがあった気がする。
[振り下ろしてきた爪に対しバックステップを踏み、空間へと身を投じて機械生命体の背後に現れる。
至近距離から機械生命体の首の関節を狙い引鉄を引くが、ガァン!と言う音だけが響いた]
装甲はすっごい厚いよ。
ハンドガン程度じゃ歯が立たない。
関節狙いで斬るならもしかするかもね。
それ以外ならブラスターか、打撃、後は爆薬と熱?
あぁ、電気は有効かもね、何せ機械だし。
後は思いっきり潰すとか?
とにかく動力源潰さないとじゃないかな。
[動力源が残っても活動不能なほどにバラバラにしてしまえば良いだろうが、その手段を持たないためにそんな証言をする。
その時選んだのも、弾丸に加速をつけて動力源を潰す、と言うものだった]
[背後からの衝撃に、機械生命体は振り向き様に爪を薙ぐ。
ソノランは後方へと跳ぶも間に合わず、爪の先が胴を掠めて行った。
衣服が切り裂かれ、肌にもその痕が残る。
傷口がじくりと熱を持ち、その感覚にソノランは舌打ちをした]
[打開策を考えるために何度か牽制の銃弾を放つ。
接近を避け続ける姿勢を見せると、機械生命体は大きく口を開けた。
何を、と思う間も無く高熱のエネルギーが放たれ、ソノランの右肩を抉る]
飛び道具まで備えてるとはね。
本当に厄介だったよ。
[熱線が飛んでいったのが調査員達が避難した方向とは逆だったのが幸いだった。
遺跡の一部が吹き飛んだが、人的被害は無い。
ただそれとは別の方向に子供>>269の姿があった。
その前には二人分と思われる遺体。
へたり込んで動けないだろうことは明白だった]
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