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>>612塵
当たった瞬間は、もう訳が分からなかったからね。
[星を喰らうなんて不運を受けたのは、自分だけだと思っていた。運ばれて、リネアと君も喰らったと聞いた時は、自分のことで悶え苦しみながらも、絶望的に、気絶しそうにショックを受けたものだ。それは君たちには内緒だけれど。]
["俺が貰っちゃうよ?"に、苦みを残しながらもつい笑った。]
相変わらず、兄貴と同じ言い分をするもんだな。
残念だが、お前にはやらないよ。厄介者の兄貴が付属してる以上はね。
[とりあえずそれに関しては、君にとって恐らく最も困難な条件で突っぱねたのだった。重くしてしまった空気を開放するために、苦し紛れの軽口を挟んで、]
[それから君が続けた言葉に、まるで意外かのように僅かに目を見開いて、君の顔を見たのだった。]
……そう、なのか?
俺、お前がヴァルチャーのこと、何でも知ってるのかと、
何でも知ってるから、分かり合って、仲が良いのかと思ってた。……
[一呼吸置いて、 微笑む。そっか、と言うように、頷いて、]
……俺さ、あいつがあんまり見ないような、珍しくて美味しい果物をやるのはどうかな、って思ったんだ。
そういうのって、いいと思う?
[それから君が続けた言葉に、まるで意外かのように僅かに目を見開いて、君の顔を見たのだった。]
……そう、なのか?
俺、お前がヴァルチャーのこと、何でも知ってるのかと、
何でも知ってるから、分かり合って、仲が良いのかと思ってた。
[一呼吸置いて、 微笑む。そっか、と言うように、頷いて、]
……俺さ、あいつがあんまり見ないような、珍しくて美味しい果物をやるのはどうかな、って思ったんだ。
そういうのって、いいと思う?
【街の高台にある小さな広場】
[夕暮れ時、人気も少ない憩いの場所。
木漏れ日の下にゆっくりと傾くロッキングチェアにもたれて目を閉じる、年老いた女がいる。傍らのテーブルに畳まれた眼鏡を置き、膝に小猿を乗せて、微動だにしない。
遠くに見える海からの風が穏やかに吹き上がり、彼女の額を撫でて、背の向こうの木立を鳴らして過ぎた。するともう動かないのではという程、ぴたりと閉じられていた皺の重なる瞼が、それに起こされたように静かに開いた]
…。
[少しだけ首を起こして膝の上に目をやれば、小猿が寝息を立てている。息を吐いて再度椅子にもたれ直すと、木漏れ日の向こう、暮れがかったオレンジの空を横切る、雀の群れが見えた]
【夕前の市場】
>>塵 >>鉄
ヘール、アムにー!
[両手で紙袋を抱えながら、跳ねるように駆けてくる姿を、青年達は見ただろうか。ともかく二人の傍に近付けば、一度背中を丸めて、ほう、と息をつく。それから背筋を伸ばしなおして、無邪気な笑顔を二人に向けた。]
えへへ、なんだか、久しぶりに揃ってるー! って思って、急いじゃった。……もしかして、仕事の話とかしてた?
[見てみれば、単に楽しく盛り上がっていたというわけでもない雰囲気に思えて、無遠慮に飛び込んだ事をほんの少し後悔した。それでもこの二人に対しては「邪魔だったか」とは尋ねたくなくて、やや遠まわしな言葉を選んで、首を傾げる。]
>>617糸
[ヘールへそう言って、果物の山を撫でるように視線を動かしていた。そこへ聞こえた快活な声。よく聞いた声だ。思わず笑顔になってしまう声だ。反射的にそちらへ振り返れば、やはりよく知った顔だった。]
リネア。
仕事の話なんて。全然! 合間の空き時間ぐらい、仕事のことは忘れさせろよ。
[僅かに不安が見られただろう君の表情を打ち消すように、親しみを籠めた口調と笑みで答えた。]
そういえば、長いこと3人で揃うのは無かったっけ。
お前自体、久々だね。悪いな、店に行く仕事は俺に回ってこなくてさ。
夕飯の買い出しか? [小首を傾げ、]
【街の高台にある小さな広場】
>>616獣
[広場にもゆっくりと夕暮れの色が忍び寄るそのころ、少年はちりちりと鈴の音を鳴らしながら、広場へとやって来た。
片腕に抱えているのは紙袋。そこから覗いているのは、まだ瑞々しい色を残した葉だ。
広場に建つ柱の数を確認するように、ぐると広場を見回した時、あなたの姿に目を止めた。
しばらく考えてから、そちらへと薄い靴の足音を鳴らしながら歩み寄る。途中で鈴の音が止まったのは、彼のローブを止めている鈴のついた紐を解いたからだ。
あなたが寝ているのかと思って。もう吹く風は冷たくなり始めているから、上掛けにでもしようと思ったのだ。]
…おいで。
[見つめる雀の群れに、小さく呟く。聞こえる筈もないその声に、しかし誘われるように群れから一羽が離れ、Uターンして舞降りてきた。
テーブルの端に留まったそれを見やる。嘴の根本がまだ黄色い]
…あらま、随分若いのが来てしまったこと…
一人でもちゃんと家に帰れるかしら?
[苦笑すると、置いた眼鏡に手を伸ばして耳にかける。
つい、と指で誘えば雀はチョンチョンと手元まで寄ってきた。小猿がその気配に気が付いたように、ひくひく鼻を鳴らして目を覚ます]
>>614 鉄
死んだかと思ったよねえ。
そしたら、兄さんや他のみんなにも落ちたって言うじゃないか。
[あの時は、生きた心地がしなかったなぁ。と、笑って。とんでもないめにも遭ったものだけれど、この十年という月日が、あの日のことを笑って語れる程には余裕をくれた。]
そりゃあ、まあ。俺ら兄弟ですもの。
てか本当に兄貴も言ってたのか……ひどいなぁ。兄さんは、あんなだけれど俺をここまで養ってくれた程には、甲斐性はあるんだよ?
[兄にフォローを入れながらも、“あんな”とか言ってしまう弟である。それでも、その口ぶりや声音は、兄への親しみやら敬愛の念が滲んだものだったか。(続く]
/*
春画を見つけられてたショックでどこに出ようとしてたか忘却
わりとガチで忘却
サラ婆さんとこに出ようとしてたけどリコちゃんとのやり取りを見たくて悩む。
*/
>>618 鉄
[貴方の笑顔を見れば、表情の曇りもぱっと晴れた。快晴の瞳が弧を描く。]
ほんと? 良かった!
なんだかアムにーって仕事してない時なさそうなんだもん。無理はしてないって信じてるけど。
[昨日あったばかりの貴方の雇い主の顔を思い浮かべたか、終始明るい調子で話す。]
それじゃあ、アムにーも自分のお買い物?
ヘールとは良く会うんだけどね。
昨日ね、リュミールさんのお屋敷に行ったんだよ。働いてるアムにー見られるかなってちょっと思ってたけど。
[すれ違いもしなかった、と残念そうに言う。]
うん。スパイス足りなくなっちゃいそうだったから。
それと、ちょっとしたおやつ。
[紙袋を抱えなおして見せる。中でかさりとなる音を聞けば、軽そうだと推測をつけることができるだろう。]
>>621>>622塵
殆ど知り合いばっかし受けたってのは、驚いたな。
運命か何かで繋がってると思うと、この聖痕も悪い気はしない。
[なんて軽く笑って、左胸に手を当てた。聖痕は受けた日からずっと、不定期にきりきり痛んでこの人を苦しめたが、最近はごく頻繁に痛んで憎たらしい。けど、言葉通り、君たちの共通の何かを持つことは嬉しい。
ちょっとクサいことを言ったせいで、照れ笑いを浮かべた。]
まあ、確かに、大したもんではあるかな。 [そんな濁した言い方。ヴァルチャーを素直に褒めることは、普段の彼の挑発のせいで難しい。]
でもそろそろ、お前も独立してやった方があいつの為じゃないか。
あいつ、あのままじゃ男色趣味だとか男やもめだとか、そういう噂が立つのも時間の問題だよ。
[冗談3割、本気7割であった。]
──……。はは。そうだよな。
[君の朗らかな冗談混じりの答えには、冗談の内容とは違って、心底安心したような笑みを零したのだった。何か一つ、心の進歩をしたような。]
うん。そっか、良かった。
じゃあ色が派手なやつにしてやろう。でも、お前が選んだやつみたいな酸っぱいのは駄目だ。[どこか活き活きとした調子で、果物を眺め始める。]
兄さんへ
ベッドの下から出てきた、
“週刊えろえろぼんばー”と“淫らな人妻特集”はきちんと元の場所に戻しておきました。安心してください。
俺はこれからも……兄さんの弟で味方だからね。
なにがあっても、それはこの先かわらないので。安心してください。
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