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ふわふわと、体を持たないまま海月のように漂っている。それでも五感は滞りなく発揮して、潮の匂いの懐かしさに、不意に涙が出そうになる。
結局、あたしは負けた。なんの力も持たずにこのゲームに駆り出されて、本当に何も出来ないまま、無様に壊された。
あたしはいまさら遠藤慧に戻るのだろうか。戻ったところで───。
本当に久しぶりに、捨てられた時のことを、思い出していた。
*
恵まれた人生を歩んできた。だから、あの時まで、あたしはあたしに不必要なものなんてひとつも無いとおもっていた。きらきらひかる、宝石のようなあたしの人生を、5cmヒールを履いて悠々と歩いていく。そんな世界が、変わったのは夏のこと。
きっかけはあの人。飯岡真澄。
たった一人で遠藤慧の思考を全部奪ったひと。
大学生活の傍ら、何となくで始めた小さな本屋のアルバイト先のひとつ上の先輩。休憩時間にも本を読んでいるような、冴えないひと。
でも、不思議な人だった。引力を発してるみたいに、気づけばあたしはいつも彼のことを考えていて。
ドストエフスキー、カフカ、ヘッセ。彼が読む本はいつも気難しげ。飽きるほど彼を眺めていたから、一度、貸してもらったことがある。
「よくわからないです」なんて、正直に言うと、困った顔で「僕も本当は、よく分かってません」なんて笑った。
静かなところが好きだった。落ち着いた声。実は長いまつ毛が、本をめくる度に小さく震えるのが好きだった。
蘊蓄を語るのは好まなくて、でも、せがむと眉を下げながら、色んなことを教えてくれた。その顔、実家でかってる猫に似ているんです、なんていったらもっと困った顔になったっけ。
一つ一つ彼の好きなところをあげて言ったらキリがなかった。それなのに、どれもきっかけには足りえない。その好きに理由なんてなかった。だから、その分彼の要素を取り出すたび、いちいち好きになった。宝物みたいに、脳にしまいこんだ。
今までの遠藤慧がひっくり返るほど、彼が好きだった。
でも、あの人にとっての遠藤慧は、同僚、それ以下でもそれ以上でもなかった。
*
ふう、とため息をつく。
あの人のことを考えても、あたしの胸は痛まない。
ただ、怒りは湧いてくる。思い出しては、今も。
あんな地味な男が、あたしを見ないことが許せなかった。
何よりこのあたしが彼に執着していることが、許せなかった。
*
「真澄さんって、彼女いるんですね」
好意が他人への憎しみに変わるのは、あっという間だった。
たまたま、彼の彼女と同じ大学だったのは、運が良かったのか、悪かったのか。彼女を追い込むのなんて、指ひとつで出来るスマホゲームよりも簡単だった。だって、彼女も地味で、目立たない、冴えない女の子だったから。
そして、彼の目も、次第に変わっていった。虫も殺せないようなその瞳が冷たく光る時の鋭さ。ヒーロー気取りという訳ではない。ただただ、あたしに居場所を壊されるのを恐れていた。
それでも穏便に宥めようとしてくれた手のひらに、やがて武器が握られ、あたしを拒む態度は、日に日に酷くなった。
理屈で納得しながらも、同時にそれは、火に油を注ぐ行為とも等しかった。あの子はよくて、どうしてあたしは駄目なの?あの子に負けてるところなんて、ひとつも無いのに。
「だって、好きなの」
そう言い募る遠藤慧に、あの人は言う。
「君はその、おもちゃの鏡みたいだ」
いつも持っていた鏡。キラキラした、お気に入りの。
「ぎらついているけど、その実周りに依存している。全て偽物で自分というものがまるで無い。僕じゃなくて、好きなのは君自身だけだろう?」
優しく世界を教えてくれる彼はもう居ない。彼は手にした武器を、ただ振り下ろすだけ。
「君みたいな自意識過剰で傲慢な人間が、この世で一番嫌いだ」
そのくせ、諭すような、あの静かな声であたしにトドメを刺す。この怒りすら無関心を土台にできてることを思い出させる。
「……だから、いくら僕に執着しても、遠藤さんが欲しいものは、手に入らないよ」
───ああ、そうか。
どうしてあたしじゃだめなのか、じゃなくて。”あたし”だから駄目なんだ。
それなら、捨ててやる。あたしを捨てても、彼に愛されたい。
*
────なーんて。
情けなくて、涙が出る。
そうして、削り取られた自己愛の、成れの果てがこのあたし、ニシムラケイだ。
自意識、そう呼んでもいい。あたしの核を、いとも簡単に切り離した遠藤慧が嫌いだ。
あたしを愛さなかったあの男が嫌いだ。
あたしを変えた、恋が大嫌いだ。
こんな感情、思い出したくなかった。
気づけば僕は、一人噴水広場に立っていた。
三日月猫から与えられた名前が載ったプレートの奥には、あの子の。香川さんの国語の教科書が目を覆いたくなるようにビリビリに破け散らばった状態でそこにあり。
「……っ……、……」
余りにも無惨なその光景に、あの日の彼女の姿が重なる。
何も出来なかった。しようとしなかった。馬鹿の一つ覚えのように同じ過ちを繰り返して。
カワモトのレリックはきっと。
彼女とのささやかな、陽だまりのような時間の象徴であり。同時に彼女に手を差し伸べることの出来なかった懺悔の象徴でもあったのだ。
散らばったそれへと伸ばす腕が小刻みに震える。それでもこんなのはもう、見るに耐えなくて。酸素ボンベを取り上げられた金魚のように浅く息を吐きながら必死に、散らばる自身のレリックを掻き集めた。
/*あーーーニシムラさん自我を殺すほどの恋ーーーー自身だからこそ駄目だけど嫌だから自分を殺すぅっっすきっつつ*/
>>-436
わー!お久しぶりです!!!
墓下絡んでくださってありがとうございました(ノシ 'ω')ノシ バンバン
みしぇでしたよ!!幼児返りしとるわ!って思いながらやってました!!!
/*帰ったら、上手くいってたかもしれないのにまた破局するかもしれないのか………………
これ、自害しても生き返させられるか、強制合流なんだもんな………………*/
/*ちょっともう、戻ったナガオが幸せになって良いかダイスに決めて貰おう………。
救う:1
救えない:2
聲:3
3(3)
*/
>>-473
救いはあるけど救いは無いで考えてたのがあったから……
人格合流後のロルはエピ終わり頃に落としたりして良いのかな
/*アサギ的には、戻った時に幼馴染がどうなってるかが分かれ目でなぁ
アサギの名前も引用してきたのがあるんだけど、アサギの名前の人物も救いは無いけど救いがあった終わり方してたし、うーん*/
あっそっか………………………………………………………………………………幸福は…………一夜遅れてくる…………………………自分で言ってたわ…………忘……もうだめだ………………
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>>79 ノギ
「……筋肉付けるのには苦労したのよ。職業柄必要でね」
ニッ、と口の端をつり上げる。
「……やァね、湿っぽい。お酒が飲みたくなったらいらっしゃい。お店もカウンターもカギは開けとくから、アタシがいなくても好きなやつ持って行っていいからね」
離れていくノギの後ろ姿を見送って、店に向かった。
片付けなければ。
今ようやく侵略者と三日月猫のやり取り見てきたけど、初めから狼勝ちが決まってたみたいに綺麗な流れで、村勝ち狐勝ちのときもめっちゃ気になるなあ……
『幸福はきっと、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。』
ああああああどうして……どうして私は……太宰……エモ……うぅ……
店に入ると、自分が消えた時よりも綺麗に片付いていた。掃除されている。
そういえば、アマノがしてくれていたな、とゆるく思い出す。
カウンターには、あの日、ドアに貼ったメニューを書いた時のペンがまだ置いたままになっていて……
微笑んでそれを手に取ると、クルリと1回回した。
新しい、最後のお知らせを、誰もいない店で書いた。
カウンターの上でペンが走る音が、しんとした空気に響く。
「これでいいか」
《閉店サービス》
在庫大放出
お好きなお酒、ソフトドリンク類お持ち帰りOK
長らくありがとうございました。
BAR『M』
店長:舛城秀輝
>>-485 ありあけちゃん
更新直前のお話の続きもしたい……どこで会おう……
バー行く途中で会ったことにする??
>>72 マスジョウ
スッキリしないというマスジョウさん──もとい、香坂秀輝。
その本名は、この島で生きる彼にはあまり似つかわしくなかった。バーで濁り者たちの良きママをしている彼しか、ハフリベは見たことがなかったからだろう。
ハフリベは笑った。
「本当ですね。ハフリベなんて苗字、俺は嫌いだったのに……今じゃそう呼ばれる方がしっくりきます。」
そして、マスジョウさんが話した過去に、棄てざるを得なかったものに思いを馳せる。
「刑事……失礼を承知で言いますが、かなり意外です。てっきり、向こうでもバー関係の仕事をしてたのかと。……香坂さんもあっちで、嫌な思いをしてきたんですね」
率直な感想をまじえて。
「俺、香坂さんのこと結構好きでした。魅力的で話し上手で、いつでも笑って受け入れてくれる理想的なママ」
「島が消えたらここでのことはなかったことになるのかもしれないけど……それでも。もし向こうですれ違った時は、また縁があることを祈ってます。
それまでに、俺も自分と向き合う努力をしておきます。」
>>82 ハフリベ
「そうよね、もうどのくらいここに居たのかも思い出せないけど……結構愛着が湧いちゃってね」
憧れの刑事の名前。それを自分の苗字として与えられて、恐れ多いような嬉しいような気持ちになった。
自分は、この苗字を思い出として、新しく生きていけるのだろうか。それとも……
「フフ、意外でしょう〜?コッチでは、荒事は御免って感じで、自分の好きなことに忠実に生きてきたからね。
あんまり女々しい女々しいって言われてたから、開き直ってこーゆー話し方にして、バーのママになっちゃったわけよ。
最初はちょっとやけっぱちだったことも否めないけど……すっかり板に着いちゃって。楽しかったわ」
好きでした、と率直に言われて、目を細める。
真正面から好意を伝えられるのは、こそばゆいけど、やはり嬉しい。
「……ありがとう。アタシの人生で奇特な男ね。
アタシも、もっと早く宮地君と出会っていれば良かったな。もっともっと良い友人になれたかもしれないのに」
「そうね、いつかご縁が出来ることを祈るわ。
あ、お店開けっ放しにしておくから、何か欲しいものがあれば持っていってね」
別れ際は、きっとお互いに頷きあうだけで十分だった。
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