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武士の娘 紗都 は 私奴 とら に投票した。
名主の末子 成親 は 私奴 とら に投票した。
舞姫 梨枝 は 私奴 とら に投票した。
私奴 とら は 隠遁僧 蓬同 に投票した。
隠遁僧 蓬同 は 私奴 とら に投票した。
旅装束 風華 は 私奴 とら に投票した。
私奴 とら は村人達の手により処刑された。
名主の末子 成親 は、武士の娘 紗都 を占った。
隠遁僧 蓬同 は、名主の末子 成親 を守っている。
次の日の朝、隠遁僧 蓬同 が無残な姿で発見された。
《★占》 武士の娘 紗都 は 人間 のようだ。
《★霊》 私奴 とら は 人間 のようだ。
現在の生存者は、武士の娘 紗都、名主の末子 成親、舞姫 梨枝、旅装束 風華 の 4 名。
[成親の叫びにも近い声は、耳に届いていた]
鬼を退治するまでは、幾らでも死人が出るわ。
これ以上、死人を出したくなければ、鬼を退治するしかないの。
[とらを視界に留めたまま、成親に答える。
そして、とらが手にしていた包丁を床に落とすのを見れば、その隙に一気に間合いを詰める]
これで…終わるわ……!!
[振りかざしていた刀を、とらの首筋に近づければ、一気に横へ振るう。
気のせいだろうか。
とらは、自ら刀の方へ身を走らせたような……。
肉と骨を貫く感触、それは刀以上に重く、手にその振動が伝わってくる]
/*
玄佐さんいませんね。
墓に行ったら、もう喋れないのかしら?
あと議事読み返してみて、なんと独り言の多いこと!
ほんっと重ね重ねすみませんorz
もっとちゃんと、話せたらよかったのですが。。
[床に転がるとらの首に視線を落とす。
その表情は、玄佐のものとは違って、哀しみにの中に穏やかさが混じっていた。
まるで、こうなる事を望んでいたようにも感じられた]
どうして……
どうして、そんな顔を……
[小さく、震える声で呟く。
そして、力抜けたように、床へと座り込んだ]
[からん、ととらの手から包丁が落ちる]
[これで、おさまるのかと思った、その瞬間]
[紗都が刀を振ろうと腕に力を込めるのがわかった]
あ…!だ、だめだ…っ!!
紗都!!!
[声を上げたときには、とらの首が宙に舞った]
そ…んな!!
[先刻まで自分が纏っていた衾の上に、とらの首が落ちる]
なんて…なんてこと…
[小袖姿のままばたばたととらの首へ駆け寄る]
[とらの最期の表情からは鬼のような怨念は感じ取れなかった]
なぜ、あんなことをしたのですか…貴方は。
[みるみるうちに血で赤く染まる衾ごととらの首を抱く]
[驚くくらい穏やかなとらの顔の上に落ちる涙]
[とうに枯れ果てたと思っていたが…]
[乱れた息が、落ち着く事はなく。
ただ、自分のした事が正しかったのかを問い続ける]
『これで、良かったのよ…。とらは、鬼よ……。
でも、どうしてとらは……。』
[包丁を捨て、自ら斬られようとしたとら。
とらが鬼ならば、何故死を受け入れたのだろうか。
いつしか刀を落とした両手をみつめる。
かなりの力で握っていたからだろうか。それとも……。
手は汗ばみ、小さく震えていた]
[ぎゅう、と強くとらの首を抱え込むように抱く]
[しばらくそのままでいたかと思うと抱く力を弱めて上体を上げる]
[荒い息を繰り返す紗都]
[倒れこんだりえ…]
[はっとしてとらの首をそっと床に置き、二人の方へ向かう]
[紗都は意識があるようだったが、りえは意識があるか定かではなかった]
りえさん?!
だいじょうぶ、ですか?
[側に行くとその首に赤い筋が浮かんでいるのが見えた]
まるで、首を…
[それも、黄泉路映しであるが故のものなのだろうか]
[とらは、鬼よ…と紗都の声が聞こえ、そちらを振り向いた]
…なぜ、とらさんが鬼だと?
[自分には何も感じなかった。とらが鬼と言ったこともない]
[ならば、紗都はなぜとらを鬼と思い至ったのだろう?]
[りえの首の跡を見ながら、紗都に問う]
[成親が、床に転がるとらの首へと駆け寄れば、衾ごとそれを抱く。
小さく身体を震わし、瞳からは涙が零れているようだった]
『何故、泣くのよ……。』
[まるで、自分が成親を哀しませているような、そんな気分になり、これ以上泣いている成親を見る事ができず、震える身体を起しては、堂の外へと走り去った]
[成親が、床に転がるとらの首へと駆け寄れば、衾ごとそれを抱く。
小さく身体を震わし、瞳からは涙が零れているようだった]
『何故、泣くのよ……。』
[まるで、自分が成親を哀しませているような、そんな気分になり、これ以上泣いている成親を見る事ができず、震える身体を起しては、堂の外へと走り去ろうと]
井戸のところで聞いたのよ。
鬼狩りの一族が滅んでしまえばいいって…
鬼でなければ、そんな事思わないでしょう…?
[成親に問われれば、俯いたまま答える。
そして、一人堂の外へと出て行った]
[りえの目からこぼれる涙に自分も目を伏せた]
[しかし背後で紗都が立ち上げる気配を感じてまたも振り返る]
[紗都が堂を出て行く前に言う言葉に唖然としながら]
貴女を責めるつもりは…ないのですよ?
それを聞いたなら…私も疑ってしまったかもしれません。
[出て行った紗都を追うように堂の階段を降りた]
[しかし、そこから先は進むことができず、肩を落とす]
紗都さん…!
戻ってくるのです…!
[暗闇に向かって呼びかける]
まだ、まだ鬼は…
[多分、居るのだから…]
―堂の外―
[外は風一つなく、静寂さで包まれていた。
自分の、駆ける足音だけが響き渡る。
その足音が、もう一つ聞こえてくれば其方へと振り返る]
蓮同さん……。
[どうやら、心配して追ってきたようだった]
心配しないで。私なら大丈夫よ……。
成親さんの傍に居てあげて。
[そう言うと、蓮同は暫し困ったように無言になるが、やがて一つ頷くと堂の方へと戻っていった。
まさか、堂への帰り道、蓮同が鬼に襲われる事など、この時は思いもしなかった。
蓮同と別れた後、見つけた一軒の廃家に入れば、そこで蹲り、そのまま眠れぬ夜を*明かすのだった*]
[―成親殿は夜目が効かぬのであったな…では拙僧が参ろう―]
[紗都の行く先を気にかけていると後ろから声が聞こえて振り返る]
蓬同様…。
すみません。
[蓬同に頭を下げて紗都のことを頼むと堂へ戻る]
[気を失っているりえと、まだやや呆然としたままの風華がいた]
風華さん、すみませんが、りえさんのことを御願いします
私は、とらさんを…
[すっかり乾いた着物を羽織り、とらの身体を抱き上げた]
『こんな、小さな身体で…』
[とらの首を、からだの上にのせると再び堂を後にした]
─中有の闇の中─
[──足が地に着いた感触がない。]
『はて、どうした事やら』
[暫し思案を巡らせる。
確か紗都を追って外に出て彼女と話して──]
『これはどうも、拙僧は鬼にやられたらしいの。』
[そのあたりの記憶がさっぱり無いのだが。]
『とすると、もしかすると玄佐どのやとら殿もいるのではなかろうか?』
[とらが鬼であったとは思いづらい。
とらが死んだ後に自分も殺されているのだから。
また、りえの様子も玄佐の時とは全く異なっていた。]
『じゃとするならば、とら殿は何を思うておいでであったのやら』
[あの少年の胸の内を聞きたかった。生前にそうしていたなら、或いは違った成り行きになっていたやもしれぬ。]
[そして、鬼であった男にも会えればよいと思う。]
[堂の壁伝いに裏手へ回る]
[目を凝らしながら地面を探り、阿波と玄佐を弔ったと思しき場所を見つけた]
[衾を置いてその上にとらの亡骸を寝かせる
…すでに、三人…
…一度黄泉路へ旅立てば…鬼も人もいがみ合うことはないのでしょうか?
[先に埋葬された二人に向かって手を合わせる]
[堂の壁に立てかけられていた鍬を手に、その横へ新しく穴を掘る]
[穴を掘り終えると、次は井戸から水を汲んできてとらの身体を綺麗に拭く]
私も、貴方と同じ、忌み遠ざけられた子なのですよ…?
禁じられたはずの親族間の縁によって生を受けました。
一族の特徴を受け継いでいたのが大母にはわかっていたのでしょうが、
里の者からはいつも距離を置かれていましたっけ…
[手を動かしながら、とらに語りかける]
綺麗に、なりました?
[堂の窓からもれてくるかすかな光だけが頼りだった]
[繰り返しとらの身を拭いていたので、もうきっと、綺麗に清められたろうと]
[静かに穴にとらの身体を横たえ、首をその手に抱かせた]
いって、らっしゃい…
[丁寧に土をかけていく]
[泣き声をあげる心]
[口を開けば嗚咽が漏れそうで必死に堪えていた]
[穴を埋め終えると最後に手をそっと合わせ、堂へ戻る]
[紗都はまだ戻ってきてはいないようだった]
[倒れたままのりえの傍らに座る風華の、その横に座って*目を閉じた*]
─闇の中─
[蓬同がいると分かり]
ごめんなさい、僕はただ、かあさまに会いたかったんです。
でも、駄目でした。
死んだら会えると思ってたのに。
きっと、自分のことしか考えていなかったから。
せめて、この村の行く先を見届けるのが、僕の償いです。
[地上で悼んでくれる声が、*痛い*]
「そなた、ほんに楽しげに物の怪を切る。」
淡々とした、だが、呆れたように響く声。
言われた男は、血濡れた刀を肩に担いで笑ってみせる。
「……全く、幾許かでも気が咎めはせぬか? 物の怪とて、命あるものに変わりはあるまいに。」
淡々とした声に、咎め、諫めるような響きが混じる。言いながら、その者は男に顔を向ける。だが、その目は男に向けられているようには見えぬ。
薄く開かれた瞼から覗く焦点の合わぬ瞳は、この者が盲しいである事を知らせていた。
「ふん、楽しまずにどうする?」
笑い飛ばすような声。男のその物言いを聞いた盲しいの者の眉間に皺が寄る。盲しいの者が何か言わんとするのを制するかの如くに、男は言葉を続ける。
「放って置けば、きゃつめらは人を襲い喰らうのだ。だから俺はきゃつらを殺す。やるかやられるか、喰うか喰われるか、ただそれだけの事よ。」
言い放つ男に、盲しいのものは暫し黙り込み……やがて、大きく肩で息を吐く。呆れたとも、感心ともつかぬ溜息。或いは、両方なのかも知れぬ。それ以外のものも混じっているのやも知れぬ。確かなのは、言葉に出来ぬ思いを浮かべているという事だけだった。
「とは言えど……皮肉な話ではあるがな。人を喰らう化け物とさえ戦える力を与えてくれる我らが血も、元を辿れば……」
皆までは言わず……男にしては珍しい、憂いを混ぜたような笑みを浮かべる。
「――分かっておるのなら!!」
行き成りの叫び。
「分かっておるなら……忘れた訳では無かろう? この血に引かれ過ぎた者がどうなるのか。そなた、このままでは……」
滅多に情を揺らさぬ盲しいの者が、声を震わせ、顔を歪ませながら言った。息が荒い。眼には涙すら滲んでいた。初めて見るそのような姿に、男はばつが悪そうに頭を掻く。そして頬に手を伸ばそうとして――朱に染まったままの己の手を見て……引っ込める。
「……案ずるな。そんな間抜けな事に成りはせん。楽しいから、物の怪を切るのではない。己が意の下にそれをすると決めておるから、嘆かぬために、楽しもうとしている。楽しむしかない。そういう事だ。」
……小さく、啜り泣く声。盲しいたその瞳を真っ直ぐに男に向けていた。男は目を伏せ、背を向ける。
「…なあ。もし、俺が血に引かれ変わり果つる時が来たとしたら、お主は……」
そして、血に染まる己が掌を見つめた。
「……お主は、如何する?」
[明け方、廃屋から出ると、そのまま里の入り口へと向かう。
眠れずに、一晩考えていた事は、とらは鬼であったかどうか。
考えれば考える程に、違うような気がしてならなかった。
それでも入り口へと向かうのは、とらが鬼であった事を望む故。
自分の行為を、正当化したかったのかもしれない。
入り口の奥、そこは深い森。
それを覆うものは、此処へ来た時にもあった濃い霧。
霧が晴れていないという事は………]
や……だ………
とらは……鬼じゃなかった………?
―――私……人を…殺してしまった………
[未だ、里から出られない事が分かると、ぺたんと地に座り込む。
身体の震えは次第に強くなり、自分の両手をみつめては瞳から光を零す]
[どれほどの時間、座り込んでいただろうか。
しとしとと、いつしか空から雨が降り出すも、そこから動く事はなく。
ただ、雨に濡れながら、その場で*泣き続けた*]
[夢を、見ていた]
[そこに居たのは二人の男]
[会話のすべてが聞き取れたわけではないが、共に鬼狩りの一族であるようだった]
[自分と同じ心眼の者と…もう一人は]
[大振りの刀を担ぐもう一人の人物のその面影はどことなく玄佐に似ていただろうか]
[血に惹かれし一族の者が堕ちたのが、鬼]
[そして、一族の力も元は…]
[途切れ途切れの会話から聞き取れたのはおよそ夢とは思えぬ現実味を帯びた言葉]
[―もし、俺が血に引かれ変わり果つる時が来たとしたら、お主は…―]
[そう、問う男に心眼の者が返した言葉は]
[―その時は…必ずや私の血でそなたの血を絶ってみせよう。
たとえ、幾年掛かろうとも…―]
[その、言葉が妙にはっきりと聞こえ、そこで目が覚めた]
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