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冒険家 ナサニエル は、流れ者 ギルバート を占った。
次の日の朝、自警団長 アーヴァイン が無残な姿で発見された。
《★占》 流れ者 ギルバート は 人間 のようだ。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、流れ者 ギルバート、双子 リック、修道女 ステラ、冒険家 ナサニエル、吟遊詩人 コーネリアス、学生 ラッセル、書生 ハーヴェイ、牧童 トビー、村長 アーノルド、見習い看護婦 ニーナ、お尋ね者 クインジー、医師 ヴィンセント の 12 名。
―花山邸前―
わかりました。
それでは、準備が整いましたら。
[ひとことふたこと、使いのものと話し
門へと出て待つ。月は傾いていた。]
こいつは、まったく。
[片目を閉じて、同じ側の手で覆った。]
――根が深い。
[己の式神は屋敷の様子を伝えてくる。
風が運ぶのは死のにおいと花の香りだ。
眉をかすかに寄せた。
墨染めの衣を着たおとこがあらわれたなら、共に大殿邸に向かう。途中会うものがあれば、共に行くのを拒みはしない。]
→大殿邸
[ 吾 は み や こ ゆ か り の も の よ ]
[ 喚(おらび) の ろ う ]
[嗚呼それは平安京に蓄積した積もる呪いのうち富樫影秀知る貴き者が一人顔を出したに過ぎぬ――呪詛は渦を巻き、腐敗した果実のような匂いが羅生門には蔓延している。――脳髄を狂わす甘く鼻を穢すにおい。におえばにおうほど、鼻はもげそうになるも何処か匂い続けたくなるような不快なにおい。]
[大殿邸を出た所に一つ、見知った顔がこちらに向かってくる。
誰かと目を凝らすとそれは翡翠のゆれる白藤と黒い衣をまとう者]
…お前は?ここに用が?
―大殿邸前―
橘中将さま、お勤めお疲れさま――ですかな?
[程ほどの距離で立ち止まり。]
ええ、おれは呪を見ねばなりませんし。
此方の方は、花山院の――。
[さて、なんと謂ったものかと言葉を切ったが、
墨染めの痩せたおとこ自身から
何者であるかと中将へと説明があった。
どこかあやふやなものであったが。]
修道女 ステラは、お尋ね者 クインジー を投票先に選びました。
修道女 ステラは、双子 リック を能力(襲う)の対象に選びました。
いや・・・某は何も・・・唯、若宮様が行かれたい所に行くのが最も良い事かと思うたまででございます。
[このような外出の時くらいは、若宮様を束縛したくない。ただそう思う]
呪い、だというのか。これが。
ならば某に囁く貴様は一体何者なのだ。呪いの塊であるとも言うのか?
呪いが人を殺すとでも言うのか?呪いが人を狂わせるとでも言うのか?
断じて信じぬぞ。某は・・・
……勤めではなく挨拶、だがな。
[黒い衣の男はどこか常人離れしていた様子、名を名乗り挨拶は軽く交わすのみ。そしてじろり、とゆれる翡翠を睨む。後ろに控えている鷲は何か指示を待つようにこちらを伺っている。その目は獲物を捕らえたい目であっても物の怪を捕える目ではなく]
…ふむ。別に私がお前を留め立てする権利はないからな。
好きにすればいい。先程鷹が白い鳥を追ったようだがあれはお前の式か?そうであったらすまぬな。傷つけたやもしれぬ。
[そのまま行列は白藤の横を通りぬけ、そのまま羅生門へ向かうよう]
[ふとした折に身に漂う匂い。
それは、若宮が焚き染められていた侍従香の……
匂いが肌に移るほど、長居をしていたのだろうか?
それとも、あそこに置いてきたこころの為せる業か。
[その度に五感に生々しく蘇るのだ。
若宮の、抱き締めれば折れそうに細い、そのからだの感触が。]
[昨夜、あるじと橘の中将の間でどのような話が交わされたかを、式から尋ねることはなく
もとより言葉数の無闇に多いあるじでは無い――静かに、また夜道何者かに出くわすこともなく
結局屋敷へ戻ったのは酷く遅かったが、やはり静かに夜は明けた。]
[式は、夜の明ける前にとある寺院へ出向き
かねてより受け取ることを約束してあった唐渡りの文書を取りにゆくつもりでいたのだが、
朝餉の支度や諸々の家事を行ううちにすっかりとそれを忘れていた。]
[そうした些事を置き去りにすれば、禍つ予兆もとり纏めて昨日の通りに、つつがなく陽は昇っていた。]
然様ですか。
[薄笑みで頷く。それはにらまれても同じこと。
主人と同じく、鷲は大きな眼で油断なく白藤を見ている。
おれは美味くないと思うけどねぇ、と少しの間そのまるい眼を見つめ返して、そのあと橘の眼を同じように見た。]
……白い鳥はおれの式ですな。
いいえ、お気になさらず。鷹は狩をするものだ。
[隣を通り抜けていく橘を斜に流し見て]
――羅生門へ向かわれるのですかな?
あそこは澱んでいる。お気をつけて。
忍ぶれば、苦しきものを人知れず……か。
[昨夜橘中将に口頭で伝えておいた内容を、改めて書状に認め陰陽寮を通じて正式の報告書として提出した。
陰陽頭─養父の─は何か言いたいことがあったようだが、顔をあわせて早々に簡略な報告を兼ねた挨拶を済ませて下がってしまった。
退出の後、外に出て気の紛れた折にぽかりと出てきたのがその歌だった。]
お尋ね者 クインジーは、冒険家 ナサニエル を能力(襲う)の対象に選びました。
…そう、かな。
でも…それではお前がお祖父様に叱られてしまうよ、影秀。
[気持ちは嬉しいから声は明るいが、表情は少し困ったように笑う]
…ああ、見えてきた。
あれが――――羅城門、だね。
下から見上げると、やはり大きいものだね……お前に、似ているな。
[見えてきた門と武士を見比べて少し微笑み]
[あるじの登庁の終わる頃を見計らい――すこし短めに見積もったためか、今度はときを違えることはなかった――
陰陽寮のそとで控えていたおとこは、不意に詠まれた歌に瞬いた。珍しいことだと思う]
……うた、に御座いますか。
なにぶん、歌の類には疎いもので――――続く句を知らぬのですが。
……今日はこれから、どちらへ。
[懐にしまった蝶の存在を確かめるように胸に左の手を重ねる]
……。
[羅城門を選んだのは、ひとつの賭けのようなもの。
何かあったとき、彼は本当に来てくれるのか、と]
……ずるい、な。
[自分の姑息さにため息がひとつ]
[鼻を鳴らし、控えていた式をちらりと見遣る。]
お前、らしくないと思っているだろう?
……まあいい。
少し見て置きたいところがある。
ははっ、某は羅生門程には大きな体躯を持ち合わせてございませぬ。ですが、若宮様に仇なす者あらばこの羅生門よりも強く大きく立ちはだかりましょう。
[その笑顔に微笑み返す]
しかし、何やら人気が多いようですな。
さて、一旦腹ごしらえだけはしておこうか…
[西に位置する市にて。
ゆるりと辺りを見回せば、まず探し始めるは干物を売る者。
金を出し、一つ二つ手に持ち齧りつく。
歩きつつ、次は乾飯を売る者に声を掛け。
道の隅にて箱を下ろすと、椀に水と乾飯を入れた]
…同業に話を聞くのは、避けたいところなのだが。
[啜る様に飯を喰らい、道行く人々を見ゆる。
其の目には人の流れの中に薬師や医師も見えているのか。
小さく呟けば、最後の一口。干物を口へと放りこみ]
[白藤と分かれた後向かう先は羅生門。夜にも向かうつもりだったが別に今を見ても構うまい。馬を向け、そう離れても居ないそこへ向かうと見知らぬ影と見知った影。見誤る訳もないのだが]
…若宮様?まさか…。
宮様ともあろう方が…徒歩(かち)な訳が…
[目を凝らしてみてもあの髪の色を間違えるわけがない]
[若宮には伝えていない事だが、蝶の式は主たる己とは常に通じている。
その在処は造作も無く探ることが出来る。
若宮が言った通りにあの式を持ち歩いてくれれば、その居所がたちどころに分かる仕組みであった。]
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