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逃亡者 カミーラ は、修道女 ステラ を占った。
次の日の朝、自警団長 アーヴァイン が無残な姿で発見された。
《★占》 修道女 ステラ は 人間 のようだ。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、村長の娘 シャーロット、流れ者 ギルバート、修道女 ステラ、執事長 モーガン、書生 ハーヴェイ、逃亡者 カミーラ、人形遣い ナサニエル の 7 名。
[深い霧の上空はいつの間にか雨雲になっていた。
不気味な、重い雲は屋敷の屋根も飲み込みそう。
ゴロゴロ、遠くで響く雷が。そしてそれは段々近く。
シャーロットの悲鳴に呼び出されたかのように。
一瞬、世界が白い光に包まれて。
耳をつんざく様な音が響く。
外の木に雷が落ちたらしい。一瞬真っ青に光った外はまるで爆弾が落ちたよう。
それがまるでスイッチのようにあたりに音が響き渡る。
[ガチャガチャ] [しね] [ガタガタ ガタガタ] [シね]
[ゴトリ ガタリ] [死んでしまえ]
[この木と木がこすれあう音。オートマータが奏でる音調の狂った不気味な音色、ずれた時計の時を知らせる音。
すべての人形達が鳴いた。戦慄いた。
これから起こることを予言したのか。
それとも自分らを代弁するものが現れたのか。
喜びか、悲しみか、恨みか、憎しみか
死体もからくりの動物も 皆泣いて鳴いて啼いて]
[ 死ね ][ 去ね ] [死んでしまえ ]
[一瞬の出来事。屋敷の中にまるで呪いが満ちた空気が漂った──]
[ 食堂に入ると、テーブルに置かれた料理が湯気を立てていたが、シャーロットの姿は無い。
はて、と首を傾げた刹那、絹を裂くような悲鳴が響く。]
なんだ!?
[悲鳴の聞こえた方向に走りながら、一瞬何かが背中をなぞったかのようにぞくりとした。]
……何?
[立ち止まって振り返るも、そこには何も無い。]
ははは…確かに。
掃除ができるくらいですからね。
技術的に…ですか。
そうですね、人形に決まった動きをさせるのは、可能と思いますが…
[カミーラの方をみつめながら]
しかし、掃除はともかく、料理は難しい部類に入ると思いますよ。決まった分量の調味料を入れても、同じ味になるとは限りませんからねぇ。
『火』が想定外の動きをしますし、それにあわせて人形の動きを変えるとなれば…
[やはり技術的には困難と思われた]
しかし、人形が作った料理というのもおもしろそうですね。
いや、まずくとも、一度試してみたいものです。
[愉快そうに笑っていると、なにやら悲鳴のような音が]
ん?何か聞こえませんでした?
[テーブルの上の肉料理。先ほどの生首を思い出したのか、眉間に皺がよる。もうこの屋敷でしかめっ面にならない方がおかしいか。
シャーロットの悲鳴、そして次に響いた大きな雷。
そしてざわめき。なんだ?何が起こっている?
悲鳴や雷はともかく、先ほどのあの狂ったような音は何なのか?
屋敷の空気が全て変わったのを肌で感じた]
ちっ、言った傍からこれか。恐らく…アレを見たな。
[ハーヴェイとは対照的に。動くのも億劫といわんばかりに呟いた]
[カミーラの質問に、可能だろうか?と考えていると
突然、悲鳴が聞こえて]
…え?なんだ。
[一足先に駆けていくカミーラの後を追っていった]
[シャーロットを庇っていた青年とは思えない冷えた笑み。
彼の頷きはこちらの問いを肯定したものか。
もう一人…とはこのことだったのだろう。
彼にとり憑いたのもまた人形ならば…目的は何なのだろうか?]
行くのかい、ハーヴェイ?
[言った傍からやかましい悲鳴を上げるシャーロットに内心苛立ちすら感じながらも彼に問う。とりあえず行くなら付き合うしかないか]
流れ者 ギルバートは、執事長 モーガン を能力(襲う)の対象に選びました。
[立ち止まったすぐ後に、大きな音と共に振動が走る。思わず耳を押さえた。]
…雷…。
[気を取り直してもう一度駆け出そうとするも、何故だろう。
目の前の屋敷が、まるで別世界のように見えたのは…。]
[ シャーロットの悲鳴、それに続く轟音……。その余韻が覚めやらぬ中、ギルバートの呟きが耳に入る。]
……アレ、とは? 何か心当たりが?
[ 同じく眉根に皺を寄せ、ギルバートに問う。果たして、それにギルバートはどう答えたか。
そして、彼からの問いに頷きを返す。]
ああ。君はどうする?
[ やれやれとでも言いたげな様子で頷いたギルバートと共に、キッチンの方へと向かう。]
―保冷庫の前―
[見慣れた後ろ姿を発見]
どうした、シャ……
[言いかけて、シャーロットの足元の生首に気付く。流石の彼女も言葉を失うが、前もってある程度の状況把握はできていたため、取り乱すというところまではいかず]
アレはアレ。行けば判る。但し暫く肉は食えなくなる。
[軽い口調で「生首」とは答えておいたが]
お付き合いしましょうかね。さっき妙に空気が変わった気がした。
もしかしたらアレ以外のことかもしれないしな。
[そして向かう先はキッチン。巨大な冷凍室の前。そこにあるのは…へたれたシャーロットと、自身は既に見ていた水ぶくれの生首]
[巨大な落雷。まるで何かに怒るように。
騒ぐ人形。ざわめく空気。聞こえる悲鳴]
やれやれ。
どうしようもないお客人じゃのう。あれほど戻れというたのに。
今日のお料理は無駄になりそうじゃのぅ。折角腕によりをこめて切り刻んだ肉なのにのぅ。
ほっほっほ。よいか。
ご主人は悲鳴もお好きでいらっしゃろうて。
[ ……彼女は、ハーヴェイの背に抱きつくように。そして、ゆっくりと顔を上げるとギルバートに微笑んだ。
利発さを感じさせながら、どこか幼さを残す顔立ち。だが、その微笑は妖しいまでに色めいて。
栗色の長い髪が揺れる。]
(あの人を…そう、あの人を。)
[ くすくすと笑い声が響く。
彼女は手にした繰り糸を玩ぶ。]
―一階:保冷庫―
[シャーロットは、まるで凍ったかのように身体が硬直していた。
襲った嘔気と嘔吐は既におさまっている。]
カミーラ、さん……
(何もできない、のは分かる……)
[シャーロットは、カミーラの腕の中で、大きく震えていた。]
― 1階:キッチン ―
[保冷庫の前へ行けば、悲鳴の原因はすぐにわかった]
…なるほど。
[転がっている″パーツ″に近づき、肌の具合を確認する]
精巧なつくりもの、…では、なさそうですね。
残念ながら。
[死相には慣れてはいたものの、この臭い…]
はあ…食欲が一気になくなりましたよ。
[目を生首から逸らして呟いた]
[「このまま行くと、あたしらもこうなっちまうんだが」だが、流石にそれはシャーロットには言えず]
[ナサニエルが生首を調べているのを見て少しあきれたように]
ナサニエルの旦那、意外に肝が据わってるねぇ。
それとも、少ぉし、常人とは精神構造が違うのか……
[頭を軽く振って、悲鳴の元へと向かう。
その部屋に足を踏み入れようとすると、微かな冷気が顔をなぞった。
部屋の中には、倒れたシャーロットと、いつの間にか集まっていた客人たち。…それと。]
……。
[転がっているそれを冷めた目で見た。屋敷で見た顔では無い。]
[へたっているシャーロット。彼女を庇うカミーラ。
そして冷静に確認するナサニエル。
何をする訳でも、ましてや手伝う訳でもなく。彼女を見る目は皮肉に光っていたか]
…言った傍からこれ、か、シャーロット。
今晩は眠れなさそうだな?
[紅い髪、蒼い髪。ふわりと揺れる。彼女らは二人で一つ。
いつしかそれは一つの紫に。影はにこりとほほ笑んだ
人に恋した人形。しかし恋された人間は…]
あの人…あの人…。そう、あの人を…。
私の愛しい子を奪ったあの人。私の愛しい人を奪ったあの人。
…遊びましょう……楽しく楽しく………苦しめて。
[くすくす][くすくす]
[ ギルバートの言葉は軽かったが、この場では冗談とも取れなかった。
キッチンへ入る。その奥にシャーロットとカミーラの姿。
ナサニエルがしげしげと見ているそれは、ギルバートの言葉通りの物だった。]
死体もも見たことはあるが……これは初めてだな。
肉は食えなくなる、か。つまり、あの保冷庫の中には……
カミーラ。シャーロットを部屋に連れて行ってやってくれないか? ――いや、カミーラの部屋でも良い。できれば、二人で同じ部屋にいた方が良いだろう。一人になるのは危険だ。
[ハーヴェイの言葉に無言で頷く]
シャーロット、立てるか?
[ハーヴェイに向かって]
シャーロットの部屋がいいだろう。だがみんなが上へ上がるときは声をかけてくれ。
固まって動いた方が安全だ。
……多分な。
[カミーラがあきれたように見るのも気にしないようで]
え…?そうか?
だが、動き出すわけでもなし。もう死んでいるのだろう?
これは。
[シャーロットが震えているのに気がついて]
ははは…平気ですよ。死体なんて戦地にいけばいくらでも
転がっている。
こういう風に首だけのや、腕だけのや…
[目だけというのもあったのだが、これ以上怖がらせるのも…と思い遠慮して黙る]
…そうだな、一人で不安であれば、カミーラが
側についてあげてはどうだろうね。
[ハーヴェイの意見に賛同の意を示して頷いた]
[自分を抱きしめていたカミーラが、ナサニエルへ言葉を向ける。
震えながらも、シャーロットはナサニエルへと視線を移す。
食欲がなくなると言いながらも、淡々と首を調べるナサニエルは、果たして何者なのだろうか――。]
「…言った傍からこれ、か、シャーロット。
今晩は眠れなさそうだな?」
[初めて耳にした。
ギルバートが、自分の「名」を呼ぶのを。
シャーロットは、震える手でそっと自分の額に触れる。]
(眠れない……)
…随分と苦痛と恐怖に満ちた顔……。
これは…きっと一息には殺されなかったようですね。
それとも何か、恐ろしいものでも見たのでしょうか。
[転がっているそれを見ながら、淡々と言う。]
なるほど、…私達の身は大変危険な状況にあるということですね…。
[ナサニエルの見る顔に自分なりの解釈を付けくわえ]
にしてもえらい顔だ。多分凍ってたんだろうな。
その状態は解凍して水分がしみ出たんだろう。
ってことは…
[視線だけ動かして]
あの冷凍庫の中にもたんまり、ってことじゃないのか?
人形にならなかった材料の屑あたりなら納得いくか。
開けるのか?
[やれやれ。死体を見て騒ぐのはシャーロットだけ、か。全くどいつもこいつも胡散臭い奴らばかり集まったもんだ、と内心呟く。自分のことは棚に上げて]
ああ、ステラ。あんたも一緒に来な。
二人っきりじゃシャーロットも心細かろう。
カミーラ
[彼女らが去ろうとする間際、ひと声かける]
…お前さんこそ、そいつらを取って食うようなことはないこと祈るぜ?
[いつも通り、おかしそうに喉を鳴らしながら少し歪んだ視線を向けて]
[怯えるシャーロットを見つめ、ふっと寂しげな顔になる。]
(ああ…そうね。きっとこれが正常な反応…
正常な…人間の…)
[胸の奥に何かが詰まったような気がした。
カミーラに声をかけられ、頷く。]
ええ、そうですね…。
[ステラの指摘に、へぇ、と感心した様子で、再度、生首を眺める]
…成程、そうかもしれませんね。
一息に殺られていたら、この何某様も、もっと安らかに眠れたでしょうか?
[ふぅ――と長く息を吐き]
ははは…われわれもいつ、このような姿になっても不思議ではない、と。
[ハーヴェイがカミーラに、シャーロットと共に居るよう言葉を向ける。
そして、シャーロットに立てるかと心配そうに手を差し出す。]
だ、大丈夫です…。
[そう一言、シャーロットは呟く。
共にいる事はまだしも、自分の部屋に人を入れる事だけは避けなければならなかった。
あの部屋には、傷ついた人形が眠っているのだから――。
迷った先に、シャーロットは再び口を開いた。]
私、一人で大丈夫です。
みなさんの、足手まといになりたくないですから……。
[本心は違った。
胴から離された首を目にし、この上ない恐怖の中で、一人でいる事など、無理な事であった。
しかし、シャーロットは、一人になる必要があった。
逢うべき、人がいるのだから――。]
[ギルバートに向かって]
はっ。取って食うのなら昨日の晩、こんな事態になる前にとっととそうしてるさ。
このあたしが警戒させたあとでのんびりと手を出すようなまどろっこしい性格に見えるかね?
[シャーロットに]
どうするシャーロット。あたしが信用できないならハーヴェイと一緒でも構わないが。
冷凍庫の中にまだ…あるのだろうかね。
[ギルバートの言葉に]
保冷庫を開けるなら、わたしが開けてもいいが…
女性は上の部屋へ行くようだし、ね。
[想像通りならば、女性はみない方がいいだろう]
「固まって動いた方が安全だ。 ……多分な。」
[ カミーラの言葉に頷く。]
ああ、多分、ね。
一人よりはましだろう。
[ 転がった生首を冷静に観察するステラに意外さを覚えながら、その場を立ち去る女達を見送る。
保冷庫に近付き、振り向いてギルバートとナサニエルの顔を見る。
そして、少しだけ隙間を開け覗き込み……頭を振る。]
これは……大人しくしていたら、全員、同じ運命を辿る事になりそうだな。
[ 生首を見下ろしながらそう言う。そして、ギルバート、ナサニエルに視線を送る。**]
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