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渇きの君 ザリチェ の役職希望が 占い師 に自動決定されました。
集会場は不信と不安がない交ぜになった奇妙な空気に満たされていた。
人狼なんて本当にいるのだろうか。
もしいるとすれば、あの旅のよそ者か。まさか、以前からの住人であるあいつが……
どうやらこの中には、村人が4人、人狼が2人、占い師が1人含まれているようだ。
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。
この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。
当日、現場に出入りできたのは今ここにいる者で全部だ。
とにかく十分に注意してくれ。
自警団長 アーヴァインが「時間を進める」を選択しました
そうだな……塔にはもう戻らない。
そろそろ飽きてきたところだし、どうせ貰い物なのだし。
[僅かの間持ち物となる契約を結んだ、とある領主のことを思い出してほくそ笑む。
幾つか持っていた別荘の一つに仮初の愛人として彼を住まわせたかの領主は、その地位を保持するのも難しくなるほど魔力を無くし、遂には親族の一人に領土と爵位を奪われた。辺土へと落とされた元領主が今も生きているのか、それとも真の死を迎えたのか。彼にはもう興味のないことであったけれども。
その時、間違えようない銅鑼の音が、彼方より彼の耳に轟いた。]
変なの。
真剣にやるから「遊び」は愉しいんだよ。
[眼を細めて、笑みを形作った]
[琵琶の音色を覆い隠すように銅鑼の音が、五度]
[水もないのに、床を踏む小さな足が、ぴちゃと音を立てた]
アハ。
一緒に、「踊る」?
[誘うように、ゆるりとグラスを持ったままの手を上げた]
[弦の響きが広間に溶けて消える
その間際に]
――…。
[銅鑼が鳴る。
間違いなく 丁度、5つ。]
……始まったか。
[椅子から立ち上がると、腰に手をあて眼を細めた。
場の空気が変わったのは肌で感じ取れる。]
[響く琵琶の音に、唇が震える。
声ならぬ声――空気の波紋をそっと送った。]
[ぷわっ………ぱ、ぱ………]
[そっと吐息を泡にして――]
[銅鑼の音を耳元に感じ、顎をくいと上げて周囲を「みわたす」――目はうっすらと開いたままに。]
[殺気と覇気で、空気が揺れる。
ジュアンは肌にビリビリとそれを受け、毛穴の中に針が入るような心地を覚えた。]
…………………。
[琵琶を掻き鳴らす黒い爪の動きが、止まる。]
[確かに五つ、銅鑼の音が聴こえた。
翡翠色の地の先にある彼の館では、宦官の儀を終えたばかりの従僕が、クァルトゥスの帰りを待ちわびているはずだったが──]
――そうか。
[真剣に遊ぶから面白いと幼魔は謂う。
水音。
水の気配か、或いは。]
踊る か、
ステップは上手く踏めるのか?
[ウェスペルの言葉は、
からかい混じりに聞こえたかもしれない。]
……パーティの始まりですねぇ。
[銀糸の弦が、かれの身体と瑠璃色の琵琶に巻き付いた。瑠璃の頭部はかれの顔のすぐ近くに。そして、引き摺られても離れぬようにと、瑠璃の胴は2箇所で固定された。]
あー………
「音」、何もしなくても聴こえますねぇ……
[さらに目を細めて、笑う。]
[ろくでもない。
ウェスペルの憎々しげな呟きを背で聴きながら、ロネヴェは炎の壁を通り抜けた。脂の爆ぜるような音を立てる黒い炎は彼女を灼くことをしない。
その壁の向こう、ウェスペルが遠ざかってしまうと、炎も完全に消えた。]
本当に”可愛い。”
ねえ?
そう思わない?
――――何奴も此奴も。覗き見の好きなこと。
[ロネヴェの振り返った先、庭の片隅で火の手が上がり――]
[”候補者”の放った使い魔が、ロネヴェの手の中で炭化する頃。
銅鑼の音が彼女の耳に届いた。]
――少し、気が早かったみたい。
どうでもいいわね。そんなこと。
[使い魔の残骸はぼろぼろと、崩れ落ちた。
手指の煤を払う。]
上品なのは、苦手。
[手に力が篭められた。
硝子が割れ、皮膚が裂け、入り混じる緋と赤]
上手?
上手なら、教えて?
[欠けた問いかけ。
滴は地に落ちず、宙に留まる。
幾数もの、小さな丸い粒として]
[波紋が広がる如く、大気が波打った]
[彼が伯の居城を訪うことを拒んだのは、驕慢な自尊心の故ばかりではなく、彼の技が大勢を相手にするには向いていない、というのが最も大きな理由であった。
快楽の技は、一対一で用いるのがもっとも効果的な技であり、こんな序盤でそれ以上の手札を見せるつもりのない以上、ひとの多く集まる場所には行かぬのが賢いやり方というものだ。
彼は機嫌良く愛馬の首を軽く叩いた。]
来るぞ。
この己だけを目当てにやってくる輩が。
[ニクスとウィスペルのやりとりを「見て」、かれはすいと目を細めた。]
おやおや。
ニクスさんはダンスのお相手を見つけたでしょうか。
……よろしきことです。ええ。
悪いな。私は戻るより先に、
ヴァイイ伯の心臓と 愛とやらに殉じた銀の悪魔を喰らい──、得た力を試したい。
[何時の間にかクァルトゥスの右手には、彼の身の丈より更に大きな斧槍が握られていた。それは光届かぬ地の底で、クァルトゥスが自らを貫かせていた──あの槍だった。
馬は襤褸の様な外見に似合わぬ速さで、空を駆け抜けて行く。
風音に混じる聞き慣れた愛馬の嘶(いなな)きが、心地良くクァルトゥスの耳をくすぐった。]
少しは愉しめると良いな──
[ククク、と喉を鳴らすと、闇の獣はちらりと黒い眼を背の主に向けて、同意するように鼻を鳴らした。
魔と魔獣は更に速度を上げ、輝く雲海に突っ込んだ。]
[館の中からは、酷く凝縮された殺気、邪念、
交々の気配が波打ち、流れ、染み出しはじめている。
そうした空気を背に、ロネヴェは空へ手をかざす。
美しく整えた爪の先まで、煤が残っていないか確かめる為だ。
それから、口元に指を添えて思案する。
候補者のうちのどれほどかは解らないが、それらの集まる館へ入るべきか、彼らの潰し合うのを待つべきか。]
[節の目立つ武神の掌の内側で、斧槍が歓喜に震えていた。
クァルトゥスはまず最初に、名を良く知る悪魔騎士を狩りに行くつもりだったが、]
… …
[眉間に皺を寄せた。]
[混雑してきた屋敷を出て、ジュアンは外へと向かった。]
[コツリ、と歩くかれの足音――と、羽音。]
――ブウン――…
[――そして、頬にひとつ、傷跡。]
……どなたです?
[振り返ると、そこには無数の羽虫――その身は黒く、ギラギラした赤い目をし、牙と爪と臀部に鋭利さを持つ、言葉を知らぬ虫の群。そして――その虫たちの主の姿も。]
『よお、そこの細いの。』
――……はい。何でしょう?
[にこりと笑うかれの元に、黒い羽の群が襲いかかった。]
[聞き慣れぬ音が]
[声ならぬ声、
ちいさな泡沫が弾ける、かすかな吐息の様な音が届いた。]
─… 《候補者》か?
《候補者》――……
[ぽわ、ぽわ、ぽ、ぽ。
子どもの悪戯のように、空気の泡を送る。]
……だと、良いのですが。
なぁんて。
[笑むような「吐息」をそうっと送った。]
[滴り落ちるのは緋色。
それもまた液体だ。
黒い手袋に包まれた指先に淡く銀が編まれる]
生憎と、私は教えるのは不得手でな。
欲しければ盗み取れ。
[背は真っ直ぐに伸びている。
出で立ちも相俟って、ダンスの始まりを待つ者に見えただろう。
波紋が広がる、注視する。]
[エイのような飛魔は彼らの後を、一拍遅れて雲に飛び込む。
視界を遮る熱のない光の隧道を、夜色の魔獣の後姿を求めて一気に貫いた飛魔であったが、]
[突如として、輝雲の壁を破ってか黒い影が横合いから飛び出し、開いた顎に飛魔をがっきと銜えた。]
[次の刹那――…ざわざわざわと羽音がする場所の中心から、瑠璃色の球が浮かぶ。]
いけませんねぇ。
そんなに早すぎたら、あからさまにしょげた溜息ついちゃいますよ。聞きたくないって言ってもダメです。
[ザシュッ――…!
球の八方から瑠璃色の枝が一気に伸び、
ジュアンを取り巻く羽虫を次々に串刺しにしてゆく。
虫たちの哀れな断末魔と緑色の液体が飛び散り、大理石のテラスを思い色に染めた。]
どうするんですか?
こんなにたくさんの使い魔を一気に殺されちゃって。
[ジュアンは琵琶の頚を持ち、瑠璃色の傘をくるくると回す。
生気を失った虫がその動きに振り落とされ、ぼとりぼとりと地面に着地した。]
僕は笑った方がきっとあなたは救われますよね?
――…なぁんて。
[ヴァイイ伯の庭、屋敷を仰いでロネヴェは思案を巡らせる。
戦いがどれほど続くかは解らない。今すぐ雑魚の掃討へ力を使うことは、戦略的に考えてあまり得策とは思えない。
しかし、彼女は弱きものをいたぶる事は好きだった。悪魔の集まる中、己の力を誇示するという行為にも、酷く心惹かれた。
だが、いわゆる”露払い”に力を使うことは、己の品格を貶めるようにも思える。]
……。
[御馳走を前に、どれから食べようかと思案するような顔つきで、館の窓に時折映る影を眺めた。
煙が立つように、黒い影が視界へ割り込む。羽虫の群。何者かが交戦しているようだ。いまのところこちらへ攻撃しようとするものでは無さそうだが。]
さーて、誰でしょう。……なぁんて。
《候補者》さんなら、僕の姿は見たことあるかもしれませんねぇ。
[ぽ、ぽ、ぽ。吐息を送る。]
あなたこそ、誰でしょう?
声はよーく聞こえてくるのですが。ええと……
[小さく口元を弛めて、声の質を確かめる。
低く響く声。体躯はどのくらい……おそらく、己よりもはるかに大きな人間。喉を包む、首の筋肉の質量は。それから――…
――しかし確かに聞き覚えのある声だが、はっきりとした区別は付かないようだ。]
ああ、すみません。今ちょうど交戦中でして。
雑音が入ったので、一気に片づけますねー。
[瑠璃色が、羽虫を蹴散らす。
弱者の断末魔は耳に快い。
あの羽虫を使役していたものは、恐らくもう永くは保たないだろう。
ひとまずは弱者の滅びるところでも眺めてやろうと、ロネヴェは跳び、切り立つ庭石の上へ。
見ると、羽虫を蹴散らしたのは、ジュアンであるらしい。]
[黒の中に生まれる煌めきに、眼が弧を描く]
意地悪。
でも、その方が面白そうかな――
[続けようとした言葉は、耳に入る細かな羽音の連なりに止まった。
細い眉が顰められ、宙に留まっていた滴は制御を失って地に落ち、床を濡らす]
これだから、狭い場所も乾いた場所もキラいなんだ。
[視線を背後に向け、地を蹴って、跳ぶ。
軽やかに舞う身体は宙で回り、黒く縁取られた裾が蝶の羽のように広がった。片足で着地すれば硝子を背にする形になり、「パートナー」を見つめたまま]
興を削がれた。
[肘で窓を割る]
[闇馬は鋭い牙を飛魔の胴体に深く喰い込ませると、勢いのままに輝く雲を突き抜け、雲海の外へ飛び出した。
獣が駆け抜けた跡には、引き裂いた雲の尾が長く軌跡を描く。
馬上の淫魔はもがく飛魔を笑み含んで眺め遣る。]
覗き見でなく、じかに訪ねて来られよ。
何時でも歓んで迎えましょう……至高の快楽をもって。
[魔獣は首を一振りし、飛魔をバラバラに引き裂いた。]
[耳障りな羽虫の羽音、ウェスペルは眉を寄せた。
弾けた雫、地に染みていく。]
……此処は、其方が存分に踊れる
「舞台」ではないということだな。
[銀の霧を指先に纏わせながら、
空を舞う蝶の様な蒼の魔を見た。
ふわり、花びらの如く。]
それは、残念。
[砕けた硝子は光を反射してきらめいた。]
[けらけらと上がる嘲笑いには、たっぷりの毒と媚がまぶされている。
恐らくは飛魔の眼──視界を通じてその主にも、凄艶な嗤いが見えていた筈だ……飛魔が声にならぬ断末魔の喚きを残して息絶えるまで。
ふと、馬上の淫魔は頭を回らし、空と大地とを見渡した。]
あーもう。
こんなところで力を使うの勿体ないなぁ。
何で僕の所なんですか。
[瑠璃色の傘をくるりと回し]
弱そうだから……ですか?こまりましたねぇ……
[地を蹴り上げる]
それではお邪魔いたします。
[にこぉ、と笑うジュアンの手から、八方に広がった傘の「骨」がひとつの方向へと走り――…鋭い牙を突き立ててジュアンに飛びかかってきた「虫たちの主」の身体に、ざくりざくりと肉を割く音を立てて瑠璃色が突き刺さった。]
あー、僕、噛まれるの好きじゃないんですよ。痛いの嫌いだし。
牙の色って、怖いじゃないですか。綺麗な色にしましょうよ。
[抉るように、ジュアンは瑠璃色の傘の「骨」を何度も相手の肉の中に出しては入れる。そのたびに「虫たちの主」は使い魔たちと同じ緑色の飛沫と叫び声を上げ、大理石の上で身もだえている。やがてその息が切れたのか……「虫たちの主」は、タイルの上にどさりと崩れ落ちた。]
ダンスフロアには、不十分だもの。
[足下に散らばるひかり]
またの機会にしよう。
――銀の君、名は?
[かれの纏う色を眺め、問う]
[見えぬ相手に唇を歪め、眉を上げた。]
…成る程。
私が誰か知った上では無く。
誰にともなく、戯れに吐息を乗せた泡沫を送ってみたと言う所か。
お前が囁いている相手は、クァルトゥス。
魔槍のクァルトゥスだ。
[クックッと喉の奥で嗤う。
雑音、交戦と言う言葉に、]
──遊んでいるのか?
ならば、また暇になったら声を掛けるが良い。
随分と、奔放に踊る魔と見える。
ああ―――それでは、場を改めて、
次の機会に。
[ウェスペルは眼を細め、薄く笑んだようであった。]
私はウェスペル。
其方は。
ええ。気が向いた人が拾ってくれたらいいかなー…なんて。
クァルトゥスさんが拾ってくださったんですね、僕の泡。
ありがとうございます。
ああ、そうそう。こちらはジュアンです。
「瑠璃」に振り回されている、あのジュアン。
あ、遊びは終わりました。悲しいくらいにあっさりと。
せっかくのパーティなのだから、もーちょっとくらい遊びたかったんですけれど。まーでも、近くにただならぬ気配があるんで、これくらいでいいです。下手に手の内見せちゃったら、僕が損するだけですからねぇ。
――ニクス。
[花の咲くような、明るい笑顔で応える]
ウェスペル。
覚えておくよ。
今度は「盗ませて」貰う。
またね。
[窓辺から飛び立つ、夜の青と淡い白。
外に在る者に意識を向けることもなく駆け、
空気に溶けこむように、闇の中へと*消えた*]
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