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銘肌鏤骨 カガミ は 1にんからうしろゆびさされたみたい。
赦人 ヒムロ は 2にんからうしろゆびさされたみたい。
青紫の孤影 オクダ は 3にんからうしろゆびさされたみたい。
青紫の孤影 オクダ は ぎわくをかけられて、なきながらどこかにいっちゃったみたい。
浅葱 カツラ は 青紫の孤影 オクダ にガッチリつかまれて、みちづれにされちゃった。
銘肌鏤骨 カガミ がどこかにいっちゃったみたい。
もんだいはかいけつするどころか、よけいにひがいがひろがったみたい?
フジノミヤさんの頷きを聞こえない振りして立ち去って。着物に見とれて買い物を忘れてたなって思い出して。3日食べずとも生きていけた気がすると思い出して、あったか〜いコーンスープを買って帰ります。
「イコミキさんが第3陣営だったら、もう1人は…誰かな。ハルヒさんかな、スメラギさんかな…………」
“どうでもいい事”を考えてしまって、頭を振ります。
もう必要のない事でした。フジノミヤさんであっても、どうでもいい。
運に世界を委ねるのなら、私はまたモブに戻るだけです。風景に溶け込むように、誰かの背景になるだけです。
青紫と肌と赤が消えた。
けど、もう、そんなことは関係なかった。
揃いも揃って、負けてしまったんだから。
最終的に笑うのは1番笑わせてはいけない概念。
アイツが笑えば、絶望が。アイツが喜べば執着が。
精緻な歯車を、積み上げた石を、壊すことでしか生きられない。だから、生きていてはいけないのに。
「まあ、どうしようもないか。これは完敗だ。
君だって、これは文句ないだろう?」
モニュメントの傍に座るのは、一人の少女。
もう既にレーゾンデートルが奪われた哀れな少女。
「どうするの、これから。それと、」
目的語を補うようにモニュメントに視線をなげる。
彼女がそれを望むなら、俺はそうする責任がある。
彼女がこれを拒むなら、俺はその責任を共に負う必要がある。
簡単だ、見るか、見ないか。それだけだ。
体育座りをしたまま、置いた花束を見る。16本の花の内、赤と紫と黒という色だけが忌々しくも鮮やかに。
あと3色、たった3色が私と彼女を永遠に隔てていた。
この花束を完全に"元の色"に染めることだけが、彼女と私が再開する可能性だった。
「文句はないよ、ない。けど、未練は捨てきれないほどある。わかるでしょ、それくらい。」
最後に触れた手を思い出す、跳ねられた彼女を、救った私と、怯えすぎた私。
あの時、どんな代償を払ってでも私は彼女を取り戻すべきだったのにその機会は失われた。
「私は謝り続ける、ずっと。悔やんで、泣いて、許せなくて、その感情を抱えたまま見えない唯と空を見る。」
「彼女に、空の色を。」
「本当の色が溢れる世界を。」
創った世界が失われていく喪失感は不思議となかった。むしろ、新しい世界に馳せる思いもある。
しかし、俺は彼女たちを置いて未来に進めない。
彼女たちの機会を奪ったのは俺でもあるのだから。
俺がかけた魔法に順応した陣営、俺の世界の理解者。
俺がかけた魔法に抵抗した陣営、彼女の世界の理解者。
俺がかけた魔法に反応した陣営、概念の世界の理解者。
今回の勝利を収めた破滅の象徴は、この世界をぐちゃぐちゃにしたあと、きっと新たな不幸を探して、またどこかの世界を閉ざす。その先の自分なんでどうでもいい。
「それじゃ、あれは近いうちにゆりかこは無くしていいわけだ。
世界で1番美しい場所は、どこだか分からないね。」
こんな素敵な世界だったのに。その美しさは神野のごとき概念には届かなかった。
「残念だけど、エンディングを始めよう。」
色が溢れる世界も、色がない世界にさようならを言う準備をしよう。
彼らが塗りつぶた未来に、飲み込まれない覚悟を決めよう。
「みんなも、お別れの準備をしよう。」
やがて俺は世界の仲介者で居られなくなる。
十三階段を登る途中、振り返って世界を繋げる。
平行世界に飛ばされてた色の守護者が帰ってきた。
崩れる人間関係と世界を繋ぎ止めるために。
ゲームが終わった。
赤色が在る。
紫色も在る。
黒色も在る。
それでも在るものがない。
『勝った』
という高揚感と達成感。
「フジノ…………ミヤさん…っ!」
苦虫を噛み潰したような顔で、彼を見遣る。
思えば、ずっと綱渡りだった。
占い師を騙ったことも、狂人を騙ったことも、最後敵陣営に票を委ねるまでも。
いや、もしかしたら。
人と違う色を見て、それを隠してきた人生そのものから、綱渡りだったのかもしれない。
そんなことを、最後に思って運に身を委ねたのだ。
「──終わっ、た?」
結果が出て……それでも信じられなくて、自分の着物を見た。紫は、消えていないのを確認した。
手の色は──消えていた。
「は、」
自分は、自分と、大事な仲間の世界を守れたのだと、そう思った瞬間。力が抜けて、その場にしゃがみ込んだ。
ずっと『自分ではないもの』を演じていたから。疲れ果てて、目が熱くなって、ぎゅっと膝を抱えて嗚咽を漏らす。
現実味が無くて、そうして仲間に会えるのを待っていた。
「紫、ある……うぅー……」
こんな顔、何でも話を聞いてくれた彼だけにしか見せられない。
>>6 ヒムロ
蹲っているとヒムロの声が聞こえた。
きっと勝利を確信しただろうところから、こちらに全てかっさらわれたのだから、それも当然だろう。
──でも顔は上げられないから。
涙声で返事をする。
「……あやまらんよ。ボクの勝ちやし……」
「……うおお」
目を開けると古いアルバムでしか見た事のないような世界だった。
「真っ赤なものとか紫のものとかそうないものね。
トマトとナスで夏野菜のパスタとか作ってやろうかしら。」
負けたのだ、と自覚した。
「漫画の中には色がある。だけどそれは『記憶の色』。
削ったトーン、塗ったベタはあなたたちに取っては何色だった?」
白いスケッチブックは歪んで、その上に黒い線が踊っていた。
目を開けた。
ほとんどが輪郭を失いかけた頼りない景色の中、それが分かったのは、それがアイツの色だからだ。
"紫"を纏って、子供のようにしゃがみ込んで小さくなった人影。
世界の感触を確かめるようにそっと歩み寄り、その髪に触れた。
「お疲れ。頑張ったなァ、お前」
>>10 イコミキ
袖に涙を吸わせて息を整えていた。
すると、優しく髪に触れる手を感じる。一人になってからずっと聞きたかった声が彼を迎えに来てくれた。
ばっ、と顔を上げてその紫の髪を見たら、安心して口もとが緩んでしまう。
「イコミキさん……ボクうるさかったやろ」
立ち上がって袖で顔をごしごしと拭いた。
みっともない姿を見せたことを取り繕う言葉も、ここから張れそうな虚勢もない。
「もうほんま、かっこ悪いけど……早う話したかった」
>>11 フジノミヤ
「いいや?案外よく喋るなとは思ったけど、おかげで退屈しなくて済んだぜ。
あ、これべつに嫌味じゃねえから」
涙の跡も少し腫れているだろう目元も今の自分には分からない。
それでも清々しい気分だった。
"普通"を変えてしまうことへの畏怖、ほんの僅かだか確かに存在した仲間への疑念。
それが広い空に溶けて消えてゆくように思える。
「……ありがとな。勝てたのはお前のおかげだよ。
あんな、嘘までついて。苦しかっただろ」
>>13 イコミキ
「ふ……イコミキさん、嫌味ならもっと不機嫌やし」
もう瞳の色も、肌の色もわからないから……かっこ悪い顔をしっかりと見られなかったことに少し安心していた。
もちろん、相手の顔もしっかり見えなかったのは……少し寂しかったけれど。
期待していたより優しい言葉にほっとして、少し元気が戻った。腰に手を当てて、意識的に胸を張った。
「……ま、なんといってもボクやし?
それに、イコミキさんとの作戦が大成功やったからやしね。
……自分で決まり作ってたから、まだ平気。
ふ、とか言うても、イコミキさんにはしんどい言うてたっけ。
もうスッキリしたから、大丈夫」
嘘をついたことを、心配してもらうのが心に沁みる。
ゲーム中、自分の色への思いを押し殺していたつらさは涙と共に流れて、実際、軽くはなっていた。
「そっちは、何かあった?大丈夫やった?」
>>14 フジノミヤ
「そーかよ」
さっきまで丸くなって泣いていたくせに誇らしげにしてみせるものだから、可笑しくなってつい笑い声が溢れる。
辺りは静かだ。
「それが拍子抜けするくらい平和っつーか、暇だったぜ。タルト作ったりしたけど。
皆、色が消えていく中で感情も動かなくなってたのかもな」
「俺の仲間がお前だって当てれた奴は居なかったから、良い気分だった」
事務所に帰って、城に籠ると同時に迎える答え合わせ。回答者カガミと書かれた答案用紙には、赤色添削が沢山入ります。狂人も第3陣営も狼も、全て外していたのです。
赤点で補習…それで世界が元に戻れば一番ですがそうもいかない。私達はゲームに負けた。
消えた髪色と自分の色に納得し、スマホを取り出せば帯の色が消えていて。
お門違いなことを言わなくて、恥をかかなくて良かったと保身に走るのは私らしい。騙されたって、ま。そういう事もあるかと引き摺らないのも私らしい。
役職を持たないただの村人は、お似合いのカードだった。人外が1枚上手だっただけ。私はよく頑張った。
事務所に着いたらまずは、ドール達に代わりがないかチェックして、美しさを見て今日も頑張るぞと気合を入れるのが日課だったのに。今日は目を合わせることが出来なくて、逃げるように仮眠室にはいります。
「ごめんね…………」
離別した人や拐われていった色に、謝るしか出来ないけれど。謝る資格が無いことも、あの人達に勝てなかった事を責められる明日について覚悟を決めて眠りについて。
よほど逃げたかったのか、それとも開放された安心からか、起きた時間は夕方でした。
食欲が湧かないのは、色のない世界だからでしょうか。おなかが空いているはずなのに、食べる気になれなくて。
水だけでなら3日くらいは生きていける話をどこかで聞いたのを思い出し、だったら大丈夫だろうなと買いに行く気にはならなくて。
買いに行く気にならない理由の一つに、ゲームで関わった人に何を言われるのかが怖いというのもあります。ええ、認めます。なので引きこもることに決めました。
各々別れの挨拶等すると思いますが、…わたしにはそんな人、居ませんから。
コーヒーを飲もうとして脳裏に紫色が浮かんだのでココアに変えます。
「──っと、」
パリン。手が滑りマグを落として。破片を集めている時に血の色が気になって。力を入れて親指に痛みが走れば、鮮やな赤が流れ、指先はジクジクと痛みを訴えます。私の変わりに主張しているような気がして、乾いた笑いが出ました。
すっかり色の失われたロータリーへ足を運び、モニュメントの前に立つ。
「キミは相変わらず黒いねえ。
さて、改変された世界でキミは何色に光るのかな?
……ああ、『黒』か。」
ガリガリと頭を搔く。
「…固定観念ってのは中々に拭えないものよね。」
>>15 イコミキ
「ふ、当然です」
一人になってから、周りはみんな違う世界を望む人たちになって。世界を塗り替えるのも少しだけ不安だったけれど、イコミキが笑ったら、やっぱり正しかったんだと思えた。
理解者がいるのは心地がいい。
消えてからの話を聞くと、呆れた顔で肩をすくめる。
「なんや、タルトって……もっと殺伐としてるんかと思うた。ちょっとした休日やんか……心配して損したわ。
……でもまぁ、ええんとちがう?」
「そォか、ふふ。
そら、気分もええな。最後の最後に派手な種明かしや」
扇子を開き、ぱたぱたとあおぐ。そこには地色と牡丹の色だけが、変わらず残っている。
「……ボクの紫が戻るンが楽しみや。イコミキさんの茶色も、早う見たいな」
色の無い世界。…これが俺にとっての日常じゃないか。何も悲しむことはない。ただ、非日常に終わりを告げただけで。
色の無い世界を、俺が他人と同じ景色を共有できる世界を望んでここにきて、そして叶わなかった。
結局のところ、半端者だったんだ。多分、覚悟が足りなかった。色は何も与えてはくれなかったのに、ただただ不幸をもたらすだけなのに、それでも綺麗だと思ってしまったから。
ほとんど当たり前の日常に近付いた世界。そこに残った赤と黒と紫は毒の様だと思った。
「…どんな世界になるんだろうな」
世界は塗り変わる、という。塗り変わったところでこの目には濃淡しか映せないのだろうけど。
>>20 オクダ
イコミキと話し終えて落ち着いた頃。
オクダの姿を見かけたら、唇を小指でなぞってから静かに近づいた。
なんと言おうかと思ったが、そういえば自分は悪役だったなと思い出して扇子を開いた。
終わってべそをかいていたところは、見られていないと信じる。そうじゃなきゃ近寄れない。
「……ボクがあんたに『いけず』したんよ。驚いた?
紫はボクの色やから、青紫のあんたがずうっと気に食わんかったから。たくさん困ればええと思うた。
うまあく消えたらええのにと思ったけど……ふ、結局、最後までボクが一緒におる羽目になったんは計算外やったわ
あんたが因縁に気づいた時のカオ、見たかった」
「……」
じっ、と感想を待った。
>>22 オクダ
「あの時は、なかなか察しがええなと思うて、少しだけ焦った」
困った、と言われたら、いたずらが成功した時の子供のようににんまりと笑う。
「そら良かった。ふふ、言わせたようなもんやけど……甲斐はあったな。でもまさか、あんたが本物の狂人やとは思わんかった」
本当に見ていたものを聞かれたら、センスを閉じて腕を組んだ。オクダに対して「気に食わない」と思っていた気持ちは、当初とはかなり違うものになっていた。
「……狂人言うた日に言ったことは、ほとんど嘘と違うよ。ボクは完璧に周りに溶け込んでいたつもりやし、立っとる場所が違うだけで、周りを羨ましいと思ったことはなかった。ここと同じ色で見えてる人らの人数が多いだけやし。
そうやな、今改めて言うとすれば……ボクは、ボクの見える世界はきれいやと思ってた。この世界に来てから見た色で言うと……りんごは青、昼の空は赤くて、お月さんは緑。紫は……いや、紫だけは他の色で言いたくないな。
……それで良かった。だから、自分の世界を否定されるんが……うーん、これあんたには言いたくないんやけど……まあ、怖かったな」
「……あんたは? ボクに話すんは嫌やろか?」
物心ついた頃から「紫」に囲まれていた。
藤の宮の家に生まれた者は、代々紫を家の誇りの色として継承していく。紫は禁色、選ばれし者だけが着られる色。
呉服屋『藤の』は(彼は少し疑っているが)創業は室町時代からだと言われている。伝統と先例を良しとし、彼もその跡取りとして幼少の頃から英才教育を施されたのであった。
良家の子息として、日本の伝統を受け継ぎ美的感覚を磨くため、お琴・日本舞踊・お茶・お花……とても遊んでいる暇なんてなかった。それからもちろん着物についての教育も。
しかし、濃い色と薄い色の組み合わせは何となくわかるけれど、薄い色同士、濃い色同士の並べ方や反対色、同系色の意味合いがよくわからなかった。彼からして、それらの色は言葉と一致しないし、どう見ても「合わなかった」。
だから、子供の頃それを声に出して尋ねてみたことがある。
「おばあさま。この色とこの色はきれいやないとおもいます」
すると、祖母が厳しい顔でピシャリと手を打って、
「それはあんたの目ェのせいやね」
と言ったのだ。
祖母はもちろん色覚異常だなんて思っておらず、「センスが悪い・勉強不足」と言う意味合いだったのだが、彼はその一言にひどく傷ついた。
それ以降、色について自分の意見や疑問を言うことはなくなった。だから、家族は彼が色覚異常だなんて今でも思っていない。
違和感を抱えたまま言われた通りに基本の型を暗記した。「伝統」に気持ち悪さを覚えながら、唯一彼の「紫」だけは愛していた。その色が、自分の色だと思うと心が満たされた。彼の「紫」は「きれい」だった。
>>23 フジノミヤ
別に察してたわけじゃない。ただの防衛反応だ。『違う』ことに対する好奇の視線に留まらず、全部。
訂正する必要も…ないと思い敢えて訂正しないでおく。
「お前達が引っ掻き回したからな。本当にさ」
だけどそれはリスクに対するリターンなのかもしれないと思った。じっとしていたら世界は変えられないのだと。そういう。
話を聞けば少し考える。…生きる場所がどこであれ強かに生きていきそうだ。自分の見える世界が否定されるのが怖いというのは意外だったけど。なんとなく、言ってきた相手を言い負かしそうなんて思ったのは黙っておく。
「人に話したことないんだけど。
…俺は羨ましかったよ。いわゆる、『普通』に見えてる奴がさ。色が無くなればいいってよりは…仲間が欲しかったんだよ。同じものを見て…気持ちを分け合えるようなさ」
昔も今も同じ気持ちを分け合うことなんて出来なかった。ゲームの役割でさえ一人のままだったんだから。
「その手段が色の無くなった世界を望むってだけ。
お前みたいに俺は俺の見えてた世界を綺麗だとは思えなかったから」
>>19 フジノミヤ
「俺も、もっとボコボコにされたりするかと思ってた。辛辣なこと言われたりとか。
お人好しが多いのかな。
"当たり前"が揺らぐわけないと思ってるから、俺たちが普通と違って"可哀想"だから優しいのかなあって、」
「…………」
薄ら笑っていた口を閉じ、かじかむ両手をポケットに突っ込む。
続けようとしたはずの言葉は何故か行き場を失って、乾いた風に紛れて消えた。
「ああ。俺も楽しみにしてる」
「……後悔してないからな。
退場させられてからのこの何日間かでさ。
誰かに申し訳ないとか、覚悟が本当に自分にあるのかとか、そういうことは正直考えたけど。
俺は、後悔してない」
「自分のことを自分で"可哀想"にしてちゃ話になんないからな」
>>28 オクダ
いい感じに黄昏ていたらこの一週間で大分聞き馴染んだ声に呼ばれる。
「おーくーだーくーーーん……!!」
油の切れかかった機械のようにギギ、と振り向く。
「…お疲れ様じゃねえわよほんとさー。」
肩を竦め、息を吐く。
「まあ、お疲れ様よ。お互い気持ちいいくらいやられたわね。」
そう言ってにやりと笑う。
「笑ってる場合じゃないけどさ、アタシとしても思うところがあるわけよ。」
ゲームは終わり第三陣営の勝利が告げられる。
「占い師と霊能者に出てたら探せる訳がないな。」
世界が変わると言われても俺が望むのは現状を守るだけで。
世界を変えたいというエネルギーには敵わなかったのだろう。
覚悟を持って挑む人間はそれだけ強かった。
ホストを引退してから稼いだ金で使わなかった分は全て寄付や募金に充てた。
万が一何かあった時でも十分な金は現役の頃稼いだから。
自己犠牲をするつもりはないが引退してからも毎月貯蓄は貯まる一方で、それなら遣わない分は必要な人が遣えばいいと。
そんな中で向けられた言葉は感謝だけではなくて。
無意識の傲慢さを指摘された時は自分を恥じた。
けれどもまるで俺が敵だとでも言うように理不尽な暴言が飛んでくることも少なくなかった。
理解して欲しい、理解して欲しくない
同情でも優しくされたい、同情しないで欲しい
話を聞いて欲しい、踏み込んでこないで欲しい
一緒に笑いたい、一緒に泣いて欲しい
求めるものは人それぞれ違うのに。
言う前から諦めて、決め付けて。
傷付けられる前に傷付けようとしてくる彼らは、彼らがされたくないことを自分でやっていた。
それはきっと彼らなりの自己防衛手段だったのだろう。
俺は自分が恵まれた人間だと知っている。
だから最初は恵まれているから恵まれない人に傷付けられても目を瞑るべきか悩んだりもした。
でも俺は『鳳 帝』だったから。
自分自身が商品だったから。
言葉が商品だったから。
俺の価値は俺だけのものじゃなかったから。
俺は恵まれているが故の後ろめたさをぶち壊した。
恵まれていようがいなかろうが
健常者だろうが障がい者だろうが
同じ人間だろう。
出会った人のことを知りたい。
知らずに傷付ける言葉を吐きたくない。
勝手に決め付けるような真似をしたくない。
真綿で包むような優しい言葉だけではないけれど。
相手のことを相手の言葉で知って、言葉を贈りたい。
だからーーー
「俺にとっては言っても意味のないことなんてないんだよ。」
それだけは変わらないプライドだった。
>>30 オクダ
「…オクダくんさ、漫画って読んだことある?」
「昔の雑誌はやっすい紙使ってたから色紙みたいなのにカラーのインクで印刷されてたんだけど、今はほら電子書籍とかでしょ?アタシ詳しくないんだけどさ、あれって本当に白と黒の世界なのよ。」
「オクダくんは、黒…インクの色は何色に見える?」
「黒の濃淡で全部の色を表現するのよ。この人物が、どんな色の服を着ているのかはもちろんアタシの中では決まってる。小説なら『赤色のシャツにブルージーンズ』だとか書くだろうけど、漫画ではそれがない。見た人が感じたそれが全てなの。」
「もちろん、色そのものを知らない人ならその選択肢はないかもしれない。それでもどうにかして世界は色に溢れているということを知ってほしいって思うのはアタシのエゴ。」
「長いこと漫画描いてるとね、ファンレターなんてありがたーいものも貰えちゃうのよ。
その中にね、『アニメが好きです』っていうのがあってね。漫画も読んでくれたらいいなって思ったの。でも、その手紙の子は目が見えないんだって。アタシ悔しくてさ。」
「ああ、アタシの漫画はこの子には届かないんだって。それでもその子はアタシに手紙をくれるくらいのファンなのよ。だったら描くしかないじゃない。どんな人にでも届く漫画をさ。」
「待っててよ。きっといつか、オクダくんにも見せてあげるから。」
>>26 オクダ
「……あんたとの戦績は、ボクの2勝1敗ってとこやな。内訳は言わんけど?」
因縁で困らせたのと、ゲームに勝ったのは勝ち。唯一、負けを認めたのは彼の彼が話した青紫の話。「それがただきれいだったから」と言われたら、もう何も言えなかった。初めから「きれいなもの」として与えられた自分とは、あまりに対照的で。
それから、オクダの話を神妙な顔をして聞いた。
あの日、自分のことを知りたいと歩み寄ってくれたのは、確かに嬉しく思ったから。彼もまた知りたくなったのだ。
語られる言葉から伝わる思いはあまりにも素朴で……「一人」だなんて嘘と共に狂人の名乗りを上げた時のことを思い出して胸がちくりとした。
本当に一人だったのは彼なのに。
「……何や、人付き合いは他所でやってみたいな顔やと思うてたのに。もっとふてぶてしゅうすればええのに。世界が合わせればええんやくらいに……いや、ボクがあれこれ言うてええ話と違うな。
……ふ、因縁は偶然やけど……今のうちに、話してきたらええんと違う?少なくとも、『あの人ら』はあんたの隣に立ってくれるよ。
ああ、それと……」
「あんたは、青紫が似合う人やと思うよ」
>>27 イコミキ
にこやかに話を聞いていたけれど、イコミキの声の調子が少し変わった気がして、何だかそれと一緒に視線を落としてしまった。
それでも、パチンと扇子を鳴らしてぷいっと上を向く。
「本当、お人好しばっかりなんよ。
まあ、お人好し言うんは、勝手に同情してくるんが特徴やからね。そんなら今度はこっちが相手を心配して警告したるくらいでちょうどええんよ。
『ボランティアもほどほどに。お値引きは商品の価値を落とすこともありますんで』ってな」
何となく、イコミキは自分より繊細なんだろうと思った。
イコミキの肩に自分の肩を軽くぶつけて、「ふふ」と笑った。誰かとこういうふうにじゃれるのは初めてだった。
「……うん、ボクも。2回も騙してもうて……まあ、色々と話さないかん人はおるけど……。
後悔はしてへん。
だって、ボクらの世界はぐちゃぐちゃと違う。
ボクらの目指した世界は、きれいやから」
「全然、かわいそうと違うよ。ボクらは、誰かのためにものを作る仕事。その商品が変わっただけやからね」
綺麗なものが好きでした。造形美はもちろん機能美も好きです。音楽も、食べ物も、文字も、芸術も何もかも、私の心が美しいと震える物が好きでした。
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色のない世界で。濃淡で表現される世界で、ドール達はどのような表情をしているのか見るのが怖くて。
ソファに寝転び、代わり映えのない空を眺める。徐々に色濃くなる中で夜が近づくことを知り、それでも動く気にならず、気付けばこんな時間。
酷い時間に起きたせいで目は冴えてるし、疲れてもないので睡魔は来ず。昼夜逆転を治す為に寝なくちゃいけないのに、全然眠れない。ただ無気力に時が過ごし、ゲームの終わりを静かに待つだけ。
誰かがあの神様に、終わったあとの事を聞いてました。何を言っていたかあの時はゲームに必死で、後のことなんて聞きこぼしていて、過去の自分を後悔します。
魔法の力を使えばすぐに分かることですが…もう触れたくない。誰かと誰かの交流も、嘆きも、喜びもシャットアウトして。親指の痛みが引いたように、私の心はさめていく
>>カガミ
夜でも全然眠くない。SNSを開いては、書いては消し、書いては消しを繰り返していた。
今の自分が何を言っても、それを目にした人は不快になるかもしれないと思った。
それでも、そういえば、カツラはあの日、勝手につぶやいて勝手に消していたなと思い出して、ふ、と笑った。
「後で、くつろぎコーナーも行ってみるか」
少し考えて、つぶったーの方ではなく、LINEの方に送ることにした。
彼女にだけ伝われば良かった。
遠回しな言葉なんて必要なくて、ただ自分の本心だけそこに書いた。
虫のいい話なのはわかっていたけれど、どうか返事がありますようにと願いながら。
『会いたいです』
店に戻る。
ほんの数日空けていただけでもう違う店のように思えた。
「……ただいま。悌二、戻りました。」
店の奥で菓子を作る父親や店番をする母親にいつもするように声をかける。
当然、返ってくることばはない。
色はもう僅かにしか残っておらず、また陳列棚に歯抜けに収まる馴染んだはずの菓子は他人の顔で自分を迎える気もないらしい。
ダウンジャケットを脱いでからっぽの和菓子のケースに置けば、お年寄り向けのベンチに座り込む。祖父から譲られた……しかし灰色に変わった着物だけが寄り添ってくれていた。
「……どうなるんだろう。これから」
>>41 リンドウ
イコミキと話し終わったら、そうっとリンドウの店を覗いてみる。店内のベンチに座るリンドウの姿が見えて、軽く咳払いをして中に入った。
ショーケースに目をやれば、ショートケーキのいちごの赤や、黒い羊羹の光の反射が浮かんでいるようで、彼の目にも寂しく感じた。
「……リンドウさん。数日のこととはいえ……お久しぶりな感じがするなあ。
ええと、その……お菓子を買いたくて相談に来たんやけど……
もし、ボクには売りとうないというなら、帰ります。あんたにはそう言う権利があるから」
彼の目を見て話していたが、少し視線を落として「あ」とつぶやいた。
「もしかして、大島か」
ふ、と口元が緩む。
「……和装が二人で、和菓子専門店みたいやね」
>>42 フジノミヤさん
「いらっしゃいませ」
咳払いを聞く。普段もあまり言うことのない言葉がつい口をついて出たものの、相手を見て喫驚した。
「あ、フジノミヤさん。
大丈夫です。お菓子は、お店を訪れる人に平等にあるものですから……
あまり選べるものはないですが、どうぞ。お代も結構です。
えーと、その。俺は生まれも育ちも祇崎なので言葉通りに受け取ってもらって大丈夫ですよ。」
棚を見遣り、好きな金平糖を手に取ればもうすべての色を失っていた。
「これ、俺が好きなものなんですけどね……見てもらいたかったな、全部の色がついているところ。」
着物を着たら会話の糸口になるかも、と一番好きなものを着たあの日の晩が随分と遠い。タイミングをのがしたなぁ、なんて思いつつコやっぱり会話はしたかった。
「そう、大して高いものでもないですけど、大島紬。祖父のお下がりです。
フジノミヤさんから見たら着こなしも質もなってないかもしれませんけど、好きですよ。これ。お菓子の柄も悪くないとは思いますけども。」
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