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ゼウスに挨拶を済ませたあと。
500年ぶりの再会を喜ぶひとたちと、今回の儀に負けてしまった仲間たちの顔を見廻す。勝ったの俺だけだからさ!ははははは。
負けた……ってのは向こうさん目線の話だが、俺としては、みんなの協力でこの未来を掴んだってくらいの気持ち。勝手にね。
誰かの希望を潰しただろうことも忘れてないが、それでもやっぱり、新しい世界ならやっていけるんじゃねーかなと思う。
だって、悪徳だって許される、美徳だって許される、そんないいとこ取りの優しい世界なんだから。
「新しい世界かあ!どんな感じなのかね」
望んだはいいが、ぜーんぜん具体的に想像はできない。今まで通り、着の身着のまま説法を商売道具に身軽な一人旅が出来るのか……ま、でも何とかなるだろう。
なんたって、俺が願った世界なんだから。
あ、でもこれからは、あんまり女の子の胸ばっか見るのは止めないとダメか。怠惰はなかなか治りそうにないし、一個くらいは我慢しよう。
「帰ったらやることがいっぱいあるな。まず新しい環境に慣れること最優先で、それからあの子の街を探して〜……あ、その前になんかとびきりの贈り物でも調達するか」
さあ、あの子は何を喜んでくれるかなと今から楽しみにする。訪れた地にある綺麗なものを1つずつ集めて、会えた時にどどんとプレゼントするのもいい。
再会してから毎日1つずつ渡してもいい。
さっき別れたばっかりなのに、次に会うのが楽しみだった。
「……生きてるかー。弱者諸君。楽しく生きな。命あっての物種だぜ」
善と悪は表裏一体。過ぎたるは及ばざるが如し。
もう一人のアテナと、俺の座右の銘みたいなふたつの言葉、新しい決めゼリフにさせてもらおう。
美徳と悪徳、両方あって、選んで生きていける世界。そんな世界を全力で愛そう。
「みんな生きろ。俺も生きる」
誰にともなくそう言って、ニヤリと笑ったのだった。
>>445 ロンヒ
カタブツがより輪をかけてカタブツになったか?
などと思っていたら思いがけず真っ直ぐな言葉に軽く目を見開く。
「500年。そうか……500年か。
よく永らえてくれた。
まるで乙女の告白だな。
その500年の報酬として余りある尊顔拝謁する光栄に涙くらい流しても構わんぞ?
正直なところだな、今は太陽の化身から1日雨の神に鞍替えしてもいい気分だ。」
手を伸ばしていたのは自分だけではなかった。
それだけで報われたと言うほど殊勝な心がけはないのだが……
「お前に500年前に伝えそびれたことがある。
オレ様の名前はユリシーズ。ユリシーズ・パーシバル。
また会おうと、今度こそ言わせろ。」
>>470 アポロン
何故か、アポロンは此方の言葉に驚いたようだった。そんなにおかしなことを言ったろうかと首を傾げる。
「よく永らえたは此方の台詞だろう。よくぞ……よくぞそれだけの間、地を照らし続けてくれた。きっと……悪徳の世の中でも、貴殿の光に救われた者も多かろう。そう、頭では思うのだが。
ずっと貴殿を降ろしてやりたかった。たとえ、この世から太陽が無くなっても。
だいぶ待たせてすまって、すまなかったな」
目を潤ませたのを見ていたのかと、一瞬戸惑う。
「……口が達者なのはそのままのようで何よりだ。生憎、感情の起伏は激しい方では無いので、転生後に期待するといい」
名を聞けば、ふ、と笑って、兜を外すだろう。
「ユリシーズ・パージバル。貴殿にふさわしい輝かしい響だな。
私はロンヒ。槍という意の、ロンヒだ。
ああ、必ずまた会おう」
おそらくまだ本調子ではないであろうユリシーズの手を此方から取って、強く握手した。
✵神殿、玉座にて左にアメリア、右にアイリスを従えたゼウスはゆっくりと立ち上がる。✵
「アイリス」
「アメリア」
「……貴方達の初仕事です。さあ、行きましょうか。
────新しい世界の目覚めへと」
✵コツリ、コツリとヒールを鳴らせば庭へと赴く。
新しき太陽に、翳ることない月。
朝日が昇る晴天の空の元、ゼウスは桜色の唇を開いた。✵
✵───この日を境に、世界は変革を迎える。
世界の果ての果て、その先は神のみぞ知る事であろう。✵
>>449 アテナ(ロンヒ)
笑いの沸点が究極に低くなっている自覚はあった。
馬鹿にしているわけじゃないが、浮かれすぎて何でも楽しくなってしまう。
「ロンヒ!槍!
ぶははははは!まんまじゃねーか!
あー悪い悪い。
すっげー似合ってるよ。良い名前だな、ロンヒ」
やっと知れた友の名を口の中でも反芻する。
まるで初めて友達が出来た時のような高揚感だった。
「そうかそうか。
やっぱロンヒには俺がいないと娯楽ってもんがわからないんだなぁ。
おう!素直でよろしい!」
ついロンヒが急に料理を食べたくないと言った時を思い出す。
500年前、少しだけ変化したロンヒも時を止めていたのだろうか。
それでも、今その時計の針は動き出したんだからいいかとカラリと笑い、共に料理にありついただろう。
>>466 ジョーカー
「……ただの気の迷いだ。
帰ったらどうなっているか、見ものだな。
ただ、お前の娯楽も僕の医療も心身の維持には必要なものだ。世界がどうなっていようが特に変わらない毎日かもしれない。
……喋りすぎたな。喉が荒れる。」
甘いカクテルを1杯。レモンとミントが心地よい。
「今は何を見せても響かないぞ?
どうもしていない時に僕を楽しませたいなら501893区画まで来るんだな。試したいものは他にもたくさんある。
ロータスと言えば誰にでも通じるだろ。」
半ば投げやりに言う。が、実際ここにきて広がった世界を元のように閉じるつもりはないのだ。
>>451, >>452 ヘルメス
500年の時を経て、リベンジは叶った。
「はーっはっはっはっはっはっはっはっ!
あー酒が美味いなあ!
本当に美味い!!」
色んな意味で美味い酒をもう1本、今度は味わいながらヘルメスをニヤニヤと眺めていると、執念で俺の料理を食べて絶叫した。
「うっっっるさ!!!」
間近でモロに聞いた"伝令"の爆音に耳が一瞬遠くなる。
「あーまだ耳がキンキンする。
ったく。
おい、ヘルメス。
俺は"ジェルヴェ"だ。
覚えといてくれよな」
この様子だと忘れそうだななんて笑いと溜息を吐きながら、酔っ払ってうつらうつらしているヘルメスの頬をムニッと摘んだ。
>>319 ラグ
「ハァーイ☆ジョーカーちゃんですヨー。
……なんです?その目は。もしやジョーカーちゃんの美人さに見蕩れてますか!」
ふふーんと鼻高々に笑う。
ドヤ顔はさておき、整った顔は今は露になっていた。
「まーですよネ。俺も分からないので?
そうですネ、もしどーしても困ったら一座『クラウン』までどうぞ?
金を積めば身の安全は保証されますヨ。なんて言ったって、あの世の中で芸なんてやる集団ですからネ」
にい、と笑えばラグの頭を撫でた。
「君はオネーサンのお気に入りなのでいつでも大歓迎☆じゃ、気長に待ってますネ」
手をヒラヒラと振ればラグの元から離れた。
無理強いはしない。だが、来てくれた時はとびっきり歓迎しようと心の内で秘めながら。
>>477 ロータス
「やー、嬉しいですネ?お医者さんのお墨付き貰っちゃった☆
アハハ、私もなんかのーもおっと。」
目の前にあったカシスリキュールとオレンジを割る。無難だけど、これは美味しい味だ。
「ヤバそうな地区ですネ?ふふっ、危険上等ジョーカーちゃんにとってはよい遊び場になりそうデス。
近い内に尋ねますヨ、きっとね。新しい玩具は早く遊びたいデショ?」
「バイバイ!ロータス」
カクテルを飲み干せば大きく手を振る。
どんな世でもジョーカーが生きているのなら、きっと約束を果たしに来るだろう。
───スリルのない日常なんて、つまらない!
蘇った友たちと盃を交わす。ジェルヴェの料理を食べる。
ジェルヴェの料理は天下一品で、一口食べてしばらく固まったので、彼は少し焦っていたかもしれない。
「生きている」と、久しぶりに感じた。
──此度のアテナは、生きること、生かすことに固執した男であった。軽薄で色好みで、口のよく回る、私とは正反対の男だったけれど、命に対する考え方は、私よりも余程美徳に近いのかもしれない。
そう思い、いつかふと彼を見たら、ちょうど誰かに口づけをしていたところで、目を逸らしてしまった。
やはり性質というのは、なかなか抜けないらしい。
それにしても、と周りを見る。その頃にはきっと、迷っていたヘラやポセイドンたちも合流して、さらに喜びが溢れているだろうか。
「風よ」
兜を、風に乗せて神殿の外へ。誰かが拾うかもしれないし、この空の地に落ちたまま朽ちるのかもしれない。
それでも、この最後のひと時は素顔で過ごそうと思った。
目を見て話せた方が好きです、と言ってくれた少女の言葉を頼りに。もう顔を隠すことはしまい、と違う。
フランと共に抗い、願った、長い長い年月。願わくば、再び生まれた先で、また皆に会えますように。
>>480 ジェルヴェ
「う〜〜〜なんだよお、前はあんなにまけてたくせにい!!」
ちくしょ、と嘆きながら料理を口へ放る。
吐くんじゃないかって? 吐く訳ないでしょ。意地でも飲み込む。
「んあ、ほっぺつつかないでよね」
なんだよ面白がって。もう。
「おぼえたよ、かんぺき。ジェルヴェ。俺はフラン。フランだよ。おぼえといてね、ほんと!」
ああもう、上手く話せてるかな。わかんないけど。
でも、本当の名を本人の口から聞けて。その名を呼べるのが、すごくすごく嬉しい。
「ジェルヴェのりょうりはせかいいちーーーーーー!!!」
折角なので叫び直しておいた。大事だからね。
にこにこ、皆と最期の食事を楽しむ。
──生まれて、すぐのときは。右も左もわからなくて。
ただ自分の中に存在する心のままに、動いていた。
思えば心のどこかで。もう1人の自分を止めたい、という願いがあったように思う。
それを叶えてくれたのは紛れもなく伝令と盾──否、フランとロンヒで。
ちら、と見えたゼウスの表情を見れば、ロンヒとの会話を通して救われていたようにも思ったのだ。
それなら、私の役目は本当の本当にこれでおしまい。
地上へ記憶もなくこの身体で放り出されればどうなるのか。
不安がないと言えば嘘になる。
けれど。
ここで皆と過ごした時間が、勇気をくれる。
だって、初対面でよくわからない子どもにだって、皆は構ってくれたんだから。
きっと悪徳と美徳の融合する世界でなら、どうにか生きていけるんじゃないかな、なんて。楽観的かなぁ。
もぐもぐ、おにぎりを頬張りつつ。
その時が来れば──皆との記憶を、おにぎりの具のように。宝箱にしまうように自身の中に封じ込めて。
そうして、新しい生を迎えたことだろう。
>>473 アマリア
「え、ちょ!」
意味深な言葉を残して、引き止める間もなくアマリアは去っていった。
「言葉の通り……………まだ、いらっしゃるんですか?
ディオニュソス様…」
そんなはずはない。
確かに500年前、ディオニュソスとの繋がりは唐突に絶たれたのだ。
今もその気配を感じることはできない。
否定する気持ちとは裏腹に、期待する気持ちも同じか、それ以上に存在した。
それならなんで姿を見せてくれないんだとか、声が聞きたいとか、思う気持ちはあるけれど。
「…見守っているなんて、柄じゃねーでしょう?
消えてないんなら、見ていてください。
来世でしこたまどんちゃん騒ぎして、引きずり出してやりますよ」
空を見上げて、笑って挑戦状を叩きつけた。
慈雨と陽光のふり注ぐ島を歩く。
俺はこれからどうするのだろう。
元いた時代には戻っても、そこはきっと元いた世界とは違うのだろう。
俺のそばにあいつはきっといない。でも、生きているかもしれない。
生きてさえいなかったら?
「……それでも、俺は俺で生きてくしかないよな」
あいつのやり方で守ってくれた命を、俺はできる限り繋いでいくしかないんだ。
ここでやったように。自分のやり方で明日を求める。
まあなるようになるでしょ、こんなに頑張って綺麗でいるんだから。
重い何かを放り出すように叫んだ。
「あーあ、やってらんねー!」
でも、きっとこの言葉の意味をこの人はしらない。
だから隣で見守っててあげよう。
その意味を知って、使える時がくれば、
最初の『愛してる』を貰おうかな。
笑った。
再会に。
笑った。
嬉しさに。
笑った。
誤魔化すために。
笑った。
楽しさに。
笑った。
お祭り騒ぎに。
笑った。
喜んだ。
笑った。
500年の時を埋めるかのように。
へべれけに酔っ払い、更に飲んで。笑って。
そうして転生の時を迎えるだろう。
おじさんとくだらない話をしながら、歩く。
多分きっと、元の世界に行っても。こんな風にちっちゃい喧嘩しながら過ごしていくんだろうなっていうのが見えた。
変わっていく世界の中で、突然独りぼっちになるのは怖いし。でも、普通の人としての生を全うしたい、なんて。
そんな我儘が本当に通るとは思ってなかったので、ゼウス様とリロージオには感謝だ。
新しい世界に行ったら何をしようかな。
これから来る未来に想いを馳せながら、小さく笑った。
終わりよければ全てよし。
この言葉は、本当に終わりを迎えた者が遺した言葉だというのがよくわかる。
色々な苦労、恐怖、徒労。
いま、終わりを迎えてみれば些事だ。
元の世界に戻ればまた人を管理するだろう。指示を飛ばすだろう。
…だけど、
だけど、少しくらいは怠惰な時間があってもいい、かな。
>>471 ディオニュソス(ジェルヴェ)
焼け焦げた己の肉の匂い以外全てを無にせざるを得なかった鼻腔を馥郁とした香りが満たしていく。500年ぶりの食事がこの男の作ったものであるとはなんと幸福なのか。
「…………滋味滋養。」
静かに、恐る恐る口にして嚥下する。
その凱旋に身体の内側から喜びが溢れ出した。
「時を止めていた間に腕を上げるとは……よもやだ。
正直肉を焼く匂いなどなどと嗅ぐものかと思っていたのにお前の料理の前には無力!まさに無力!!
否、オレ様が無力なのではなくお前の妙技よ。それに……!」
立板に水が如く感想を述べようとしてふと動きを止める
「またこのような機会が持てるとは……会いたかったぞ。ディオニュソス。
オレ様はユリシーズ。お前に会いたかった。
次は。3度目の食事は。半年とてあけるものか。」
食べ進めながら、磨き抜かれたスプーンに映るディオニュソスに向かって語りかけた。
>>アメリア
「……アメリア、ほんとにそれで良いんだね?」
アメリアが、ゼウスのもとに戻るという話を聞いて。自分からそれを望んだなんて最初は全然信じられなかったけど。まぁ話を聞いたら、それは事実なんだろうと悟って。
寂しいけど。
それが彼女の望みなら、反対する権利なんて俺にはないし。
ぽん、とその頭に手をのせる。なでなでしておいた。
「……アメリア。今度はちゃんと、幸せになってね?」
ふっと微笑む。彼女が幸せなら、それでいい。あ、それと。
そ、と頭にのせた手を頬にうつす。そっと屈んで、ほっぺに軽くキスを落とした。
「じゃあね、アメリア」
挨拶には、これくらいが丁度良いでしょ?
私は美しさも、富も、権力も、強さも、恋人も、駒も、嫉妬も、羨望も、たくさん、たくさん欲しいの。
たった1人の、色欲のかけらも感じない、草や虫を食べる、私が拗ねてから連絡をしてくる、他の女とベタベタと仲良くする、毒ばかり食べて心配させる、信じてくれない、名前を呼んでくれない男の愛なんて、いらない。いらないわ。
「……プリャツィコの、ばか」
「おい!聞こえているか駄神!
神代一だらしなくみっともなく節操がなく享楽と己の願望にのみ忠実で愚かなアポロンよ!!
お前の時世は終わった。天弓にお前を置くとまた不始末の火消しに走り回らねばならんだろうが。
オレ様も降りさせてもらう。
お前がおらずとも500年勤め上げた端末を手放すことはさぞ悔しかろう!これはオレ様からのイヤガラセだ。せいぜい断絶する太陽の系譜に歯噛みするがいい……!!
……オレ様が出立する日にお前がかけた言葉を覚えているか。
「愛された過去がどんな困難からも自分を守る」と。愛された証としてオレ様の幼少期の写真を持たせたお前の思想はどうかしていたが……まさしく金言であった。
今はただ人を愛せ。お前の愛が世界を照らし、護りつづけるだろう。
……ありがとう。アポロン。さらば。」
空に向かって神との別離を宣言する。
届くかどうかはわからない。しかしこの空はどこまでもかの神のように自由で、気ままで、居心地が良かった。
もはや自分にとって空は遠いものとなった。
しかしビオラの手を固く結ぶ。もう2度と離すまいと。
大地を踏み締め、きっと天の気まぐれに腹を立てながら自分の足で歩いていく。
目指す場所は今はないが、ならばどこにでも行けるだろう。だってオレ様はユリシーズ、冒険の名を太陽から与えられた男なのだから。
「500年分、付き合ってもらうぞ?
また歌を歌い、月を眺め、得意の菓子でも振る舞え。」
ビオラの唇を押し包むように口付けを交わす。
ああそう言えば毒があったか。まあいい。
明日何をしようか、そんな思いで転生のその瞬間を待ち侘びた。
太陽は、その光のみにて太陽にあらず。
ここに来てからたくさんのものを知った。
温かい食事
人との会話
命を奪わないやりとり
志を同じくする仲間たち
そして恋
手に入ったものは一瞬で、ほとんどのものはまた手が届かないところに戻ってしまう
それも良い。けれど一度知ってしまったものは中々忘れることができないんだ。
去りゆく背中を見て決意する。
この数日だけでは物足りない。全員の顔と名前を覚えよう。
もう一度会える時を、話せる時を夢見て。
「さ、て。」
ペペルはひとつ伸びをした。
「はー、わっけわかんねえまま連れて来られたと思えばゼウス様がいて?顔面潰れたり漏らしたり頭かち割られて死んだり?そんで全部済んだら悪徳の世が終わる?夢かよ、です。」
ペペルは孤児である。生まれた時からそうであったのか、はたまた親に捨てられたかは定かではない。
親代わりとしてペペルを育てたのは、街で教会を開くシスター・ペルシャであった。
シスター・ペルシャは敬虔なゼウス信徒であり、悪徳の実践者だった。ペペルは幼い頃からペルシャの説教を聴いて育ち、14歳になる頃には立派なシスターとなっていた。
ペペルの住む街は悪徳の中にあっても、比較的治安の良い街だった。互いが啀み合うこともなく、盗ったり盗られたりするのはもはや日常であり、誰もがにこやかであった。
ある日のこと、夕飯を調達しに出掛けたシスター・ペルシャの帰宅が遅れた。
様子を見に行ったペペルが路地裏で見たのは物言わぬシスター・ペルシャの姿だった。物取りにでも合ったのだろう。身ぐるみを剥がされ、遺体には暴行の痕があった。ペルシャ37歳、ペペル16歳の時である。
ペルシャを名乗るようになったペペルであったが、生活は乱れた。
教会には性欲を吐き出す為に男に共が集まり、次々にペペルを抱く。女ではあるものの、元々力の弱いペペルは抵抗の術を持たない。男共はそれを知っていた。
幸か不幸か、それがあるから食うに困ることはなかった。
次第に暮らしにも慣れ、身体を重ねることにも楽しみを感じるようになる。
同時に、悪徳を愛するようになる。大切な人を奪った悪徳であるが、もっと大切な神という存在を与えてくれた。そうして、心酔していくのだった。
「…帰ってたら世界がすっかり変わっちまってんですかね。参ったな、あたしの居場所あんですかね。
……まあいいです。なるよーになるですよ。」
ひらひらと手を振って、その時を待つ。
ペペル・ペルシャの世界は、愛に溢れている。
すっかり凪いだ水鏡を見つめる。
ここにいる間ずいぶん世話になったが、もう一度だけ働いてもらおう。
「んーと?国家権力から守ってくれる……権力のコインねえ?>>2:130
どっちかっていうと城ひとつ買える方が良かったんだけどなあ」
イザヤのポケットから抜いた銀のコインを弾いてはキャッチする。
裏面にはぎょろりと目が覗き、こちらを品定めしているようだった。
「……なんかムカつく」
一際強く指先に力を込める。軌道の逸れた銀貨は小さな水音を立て水鏡に波紋を起こした。
ゼウス様には悪いけど、俺には必要ないね、そんなもん。
守ってくれるものは心の中にあるから。
「あ。元々貰ったやつに返してやればよかったかな。
まあいいか」
ふふん、と笑って俺は歩き出した。
長かった。
長い長い間、頭の中に響き続けた声を、すくいあげて。抱きしめて。離さないで。
ずっとずっと、助けると約束し続けて。
本当はずっと、不安だったし。
終わってくれるんなら終わってほしいなんて、思ってしまうことだってあったんだ。
でも、それでも。
願い続けて。自分と彼等の間に立てた約束を果たそうと、想い続けて。
──やっと、その時が来た。
ねえ。今回の儀式に参加した、皆。
俺のせいで巻き込んでごめんね。
でも。それでもさ。俺は……君達に任せられて本当に良かったって、思ってるよ。
そのつもりはきっとなかったんだろうけど。
ありがとう、皆を助けてくれて。
ありがとう──俺を、助けてくれて。
寝坊助 ミュート が見物しにやってきました。
疎ましい朝が来た。
二度と来ないと思っていた朝。
生まれ変わって。
何も考えなくていいと思っていた。
考えたくないと思っていた。
けど、太陽は昇った。
眩しくて目を細める。
相変わらず、頭の方の目は覚めてるけど身体が重い。
ふと。
声が聞こえた気がした。
懐かしい声。
一番遊ぶのが楽しくて。
一番一緒にいるのが楽しかった、彼の声。
「っ、ミュート!!」
最後の最後に起きてきた、朝は全然テンションの上がらない彼に駆け寄る。
はは、もう。
「おっそいなァ! ほら、遊ぶよ!」
あの日。あの時。
この時ばっかりは名前を呼ばせてよ、なんて言い方したけどさ。
今も呼ばせてよ。出来ることなら、これからも。
──新しい未来が、やっと。今度こそ始まるんだ。
その実感を胸に抱きながら、大好きな友人に飛びついた。
──宴の時間は終わり、それぞれが在るべき場所へと帰る時がやってくる。
今回の儀式の参加者は、美徳と悪徳の入り混じる未来の世界へ転移され。
前回の儀式に関わる者は、その世界のどこかの時間軸へ転生する。
悪徳神ゼウスの眷属たちは、身体の時間が戻り地上へと送られ。
天空神ゼウスの神官となった者もまた、身体の時間が戻って新しい世界の幕開けを迎える。
美徳と悪徳の融合した世界では。
どのような物語が、待ち受けているのだろうか。
──かくして、人狼物語は幕を閉じたのであった。
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