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お米犬 タンガリザ に 11人が投票した。
月虹 アロラ に 1人が投票した。
お米犬 タンガリザ は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
現在の生存者は、魔王 ケテル、エンフェルケスーカの渡り人 ナジ、召喚獣 チャペ、戦士 アルシェス、死喰い人 ダート、月虹 アロラ、魔剣士 フリッツ、信徒 レティーシア、黒騎士団団長 アミー、竜の子 ダリア、悪魔の司教 リリ・リリト の 11 名。
既に皆困っている。
爆破する気が無いなら、なぜ自分が逃げるための要求をしない。
それに何故要求がそんなに温いんだ?
時間を稼げば"迎え"でも来るのか。
私に船上での交渉権などある訳も無い。
あったとしても、そんな要求に屈するつもりは無い。
今、着火すれば"命と引き換えに人類の反攻作戦を頓挫させた勇者"という名声が得られるぞ?
やればいい。
[>>3:237 >>3:238
要求から覗き見えるのは持久戦か? 着火させる隙が欲しいのか? それとも進路変更命令を出すのか? 思考を巡らせ様々な最悪のパターンを想像しながら、タンガリザに主導権を渡さず様子を見るため挑発を続ける。]
<<おい! 何をしている!>>
<<……米犬が爆弾を持ち込んでいるぞ!>>
安心しろ。
あの米犬は自爆して果てるつもりは無いらしい。
[船倉に大人数を集めた所で爆破したいのかと一瞬考えたが皆が寝静まっている今の段階で爆破すれば良い事。
持久戦が目的と当たりをつける。
扉を開け放ったまま会話を続ければ見張りの人間が事態に気づき伝声管を使い船の各所へ連絡を行う。
船員に背後から声を掛ける最中、敵襲や緊急事態を告げるための鐘が鳴り響き深夜の静寂を乱す。]
<米犬なんてのせるからこんな事になるんだよ!>
<あの野郎! ぶっ殺してやる!>
[今までの比では無いタンガリザへの濃密な敵意が船内に渦巻き、階上から届く悪態には明確な殺意が感じられる。
敵意に駆られる者、腕に自信のあるものが船底へ向かおうとするが爆弾がある船倉へ乱入されてはたまらないと食い止めようとする船員と冒険者との間の騒動も広がってゆく。
同時に隔壁越しに着水音も聞こえる事から爆弾に巻き込まれてはたまらないと騒乱の中で飲食料の確保もせず脱出艇で逃れようとしている者達が居る事も把握できた。]
[この混乱の中で一瞬の隙を見つける事は容易かった。
濃密な敵意と室外での混乱に注意を乱したタンガリザへ向けて短剣を投擲。
刃は正確に利き腕の肉球を貫き鮮血が宙を舞う。
痛みに苦しむ僅かな隙を利用して間合いを詰め短槍の柄だけを即座に魔術形成する。
柄だけとはいえ、放たれた鋭い突きは右の胸骨を砕き折れた骨が肺に突き刺さる。
突きの衝撃で後方へ転倒し悶絶するタンガリザを関節技で制圧すれば室外へ呼びかけた。]
制圧したぞ!
<大人しくしろ!>
<来いっ!>
[荒縄を手に駆け込んでくる船員が腕と脚を縛り上げ船倉からタンガリザを引っ張りだす。
然し、事態はそれだけで治まるわけも無い。
途中、怒り狂う数十名の冒険者達が周囲を取り囲み船員からタンガリザを奪ってゆく。
船員もアロラもこの状況で命を張ってまでタンガリザを守ろう等とは思わない。
鬱憤を募らせていた者が口火を切る形で、縛られ抵抗ができないタンガリザへ暴力が振るわれる
それは瞬く間に甲板上での私刑となり、度重なる殴打で顔面は腫れ、歯は折れ、頬骨が砕かれものの数分でタンガリザの顔は見る影も無く無残な形へとなる。
更に、泣き叫び懇願する無様な姿を愉しむためか、手足の指を1本ずつ折るという拷問まで始まった。]
<よし。簀巻にして放り込もう!>
<溺死か鮫の餌だぜ!>
……即座に起爆すればよかったものを。
犬死だな。
[傷めつけるだけで終わるはずもなく、血を滾らせる面々が威勢よく叫び声をあげる。
人々の輪から少し離れた所でそれを傍観していた女は肩を竦めた。
奇特な人物が現れなければタンガリザの命運は尽きるだろう*]
[現実は非情である。
事が大きくなったがタンガリザの私刑が乗船者のストレス解消を兼ねているなら止めることもない。
ハンマーを振り上げた男がタンガリザの肩と股関節を粉砕する。記念品と称してナイフで尻尾まで切り取られた後、簀巻にされ甲板からタンガリザは海へ蹴り落とされた。徐々に沈みゆく様に最初は歓声が上がるがやがて熱から覚めるように、飽きた者達が輪から抜けてゆく事で騒ぎは沈静化した。]
馬鹿な気を起こさないように適度な見せしめが必要だな。
[その中で狂騒が抜けきらぬ視線を向けてくる者もいる。"次は人間をいたぶりたい"と思う輩だ。
酷く気だるげに呟き漏らす女。
既にタンガリザの事など忘れたように水平線を眺める*]
― 船内・治療室 ―
[船内の治療室で治療に従事していると甲板の方から騒ぎが聞こえてきた。
患者として来た者にエンフェルケスーカの毒を盛りながら話を聞くと一匹の犬の魔物が食糧庫を荒らしたらしい。
また食糧庫を爆破しようとしたそうだがそれは誰かの働きで阻止されたようだった]
そうですか、食料が……ね
[その食料は勇者候補にとって重要なもののはずだった。
場合によっては他人の生命よりも大事なものである。
何せ魔王城に近づくにつれ食べられる物が無くなっていくのだ]
はい、これで終わりです
近日中に魔王城に最も近い海岸に到着するでしょう
頑張ってくださいね
[無責任なエールを送る。
最も近いとは言ってもそこから更に毒の沼地と不毛な大地が続く。
少しだけ楽になったとは言え、船に乗った時点で"帰り道はない"のだ。
無事に魔王城にたどり着ける者はどれだけいようか]
[食料が目減りしたことを受け、その日から船での食事が減らされることが告げられたことだろう。
また陸に上がった時に持たせる食料も減る。
船員にクレームをつける者も居ただろうがそれが変わることはない。
そうして毒された水と、>>7人間をいたぶりたいと思う勇者が合わされば狙われるのは弱い者である。
勇者候補と言ってもピンからキリまであるだろう。
弱い者は、強い者に奪われる。
魔術師組合の者はその事に関与することは、ない。
勇者候補を北部・魔王城に近づけることが使命であり、
それ以上のことは課せられていないのだ]
[怪我人が来ればエンフェルケスーカの毒を盛る。
盛られた者は極度の興奮状態となり暴れることだろう。
虐げられたこと、魔王へと近づくことによる不安。
それらが爆発したかのように暴れ、
見せしめとなっていくだろうか]
[タンガリザが海中へと沈み浮かび上がらなくなれば人の集いも解散されるだろう。
"ナジ"はエンフェルケスーカへとタンガリザだったモノを落とし、
エンフェルケスーカを通じて魔王城へとそれを転送した。
次の生は人として生まれるのか、
それとも魔として生まれるのか。
それは"神樹と魔樹"のみぞ知ることだ]
― 船内 ―
[船倉での爆弾騒ぎから数日間が経過した。
あの私刑が行われた日を境に、明らかに船内の空気は悪化した。
汚染された水や盛られた毒がそれに拍車をかけていく。
少なくとも共に魔王を討つという仲間意識は其処にはない。
船内では限られた食料を廻り派閥めいたものが生まれ、
自分こそが勇者だと声高に叫ぶ鎧戦士の大男が睨みをきかせ始める。
陰湿なまでの弱者からの略奪と差別。
其処には"米犬の同行者"という肩書を持つ自分達も含まれた。
もっとも力で争うのが不利だとあちらに判断されてからは、
嫌がらせは精神的な物へ切り替わって行ったが。
勿論、この状況に異を唱えた者もいる。
精霊使いという女は凛とした眼差しで、
協力することの大切さを船内の者達へ説いた。
翌日甲板の片隅で、彼女は汚されたままの姿で見つかった。
治療室へ運ばれたそうだが、其の後の行方を知らない]
一体どうなっているの?
[始まりの国へと近づくにつれて、異変は明らかなものとなってきた。
一行は普段であれば人で賑わい、戦士や行商人が行きかう街道の上空を通っていた。
ところがもう始まりの国はすぐそこにあるというのに、誰ともすれ違わないのだ。
そして始まりの国へと辿り着いた暁には]
何これ? あちこち滅茶苦茶じゃない!
[始まりの国は既に地獄絵図と化していた。
かのゴルガンダ以上に血の匂いが蔓延し、あちらこちらに何者かが暴れた痕跡が残っている。
それどころかそこら中に骸が転がっているじゃないか。
そのほとんどが体の腕を、足を、頭を欠いており、運良く原型を留めた者でさえ、他殺であることは明白だった。]
[>>15運ばれてきた精霊使いの女はそのままベッドの上に横たえられていた。
身体は清められていたがその目に意志の光は感じられてなかった。
目立った傷は見えないが、心に負った傷は深かろう。
こればかりは神官でも治すことは難しいだろう。
"ナジ"は人払いをすると女に近寄り目深に被った紫色の外套の奥に潜む瞳で覗き込んだ。
"エンフェルケスーカ"と通じた瞳は女の感情を奪っていく。
喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも。
感情を蝕み、溶かし、喰らっていった。
残したのは快楽への悦びだけである]
治療は終わりました
これを患部に塗っておきなさい
[白い麻作りの質素な服を着させて、小瓶を持たせて退室させる。
患部と示したのは秘部のことだ。
渡した媚薬を塗ってしまえば一欠片だけ残された感情は止まらなくなるだろう。
女を船倉に近い大部屋に送り込む。
後は男に抱ける女がいるという噂を流すだけ。
女は暴徒と化している勇者候補のために文字通り身を捧げることだろう**]
[こんな場所にまで魔の手が及んでいるなんて。
猫の想像以上に魔軍の侵攻速度は速かった。
荒廃した国の様子を見て猫は思う。
もうニンゲンの立つ大地はほとんど残っていない。魔の側の勝ちだ。次の時代、世の中心となるのは魔の者だろうな。
それでも、抗って死ぬと言うの? ニンゲンたちは。]
―― 北部・魔王城 ――
[ その場所は魔王城の中で最も周囲を見渡せる場所。
それはリリ・リリトが与り知らぬところではあったが
数日前に魔王が遠望していた外に面した場所であった。 ]
― はじまりの国周辺 ―
[――カドゥタ村を発って、丁度十二日が過ぎた頃だろうか。
アインとエステルを探す旅路は、奇しくも魔軍の侵攻の跡>>2:190 >>2:191をなぞるようにして遡る形になった。
少女はと言えば、自然と口数が少なくなっていた。
村々の異変に心を痛めているということも勿論あったが、何やら自身では知り得ない絆を共有しているらしい二人に、入り込めないことが多く、度々彼ら二人と>>3:227 >>3:228自身一人という組み合わせで過ごすことが多かったためだろう。
苔色の竜の世話は自身のそれよりも丹念に行った。
三人を乗せての旅。各地で起こっている食糧難。予定よりも掛かっている日数。理由は様々あったが、アルシェスとチャペがいつ起きてもいいよう、いつでも出発できるように、気を張る日々が続いた。
慣れない空の旅で疲れているであろう二人に変わって、野宿の夜に見張りを申し出たこともあってか、少女の睡眠時間は然程取れなかった。
そうして今。
勇者と射手を捜す旅は、彼らが出会った始まりの場所へ辿り着き――]
― はじまりの国 ―
――――、だめ、です
[――手に取った腕を離すと、ことんと地に落ちた。
痩せ細った腕――肉を失った骨のような。腕ばかりではなく、剥ぎ取られた衣服の下はアバラが浮き上がり、腹部が腫れ上がり、声ともならない呻き声を残して、事切れる。
これもまた、魔軍が行った作戦の結果。
その飢餓によるものだとは分かるはずもなく。
崩れ落ちた勇者像だったものが、今のこの国を象徴しているかのようだった。]
…………!
いま、ひとのこえが!
[半ば瓦礫と化した建物の向こう。
誰かの声――実際にはこのような状況になっても略奪を繰り返す暴徒の声だったが――が聞こえた気がして、走り出した。竜もまた、遅れて少女を追う形になったか。*]
―工房―
[玉座の間を退くと、ダートは台車と共に工房へ現れた。
ダートは勇者アインの屍に刻印を刻みつけ、培養液に沈めた。
孵るのはいったいいつごろか。
それを知るのは、魔樹のみ。]
姿が変わらねばよいのだがなぁ。
[かつての仲間が魔に堕ち果てた姿を勇者一行に見せてやりたかった。
はたして、どんな姿に孵るのか。
それを知るのは、やはり魔樹のみ。*]
―回想/船上>>13―
[皮手袋の下の右手は、手首から先が真っ黒に染まっている。
自分はいつまで自分で居られるだろう。
今、この瞬間も、胸に淀む衝動を押し殺している]
……あの人が強いのは、知ってる。
[それでも、彼女の言葉に微かに笑った。
風に靡くベールを視界の片隅に収めていれば、
船内の様子が急に騒然とし始める。
緊急を知らせる鐘>>1に周囲へ意識を向けるが、様子が可笑しい]
"犬が"、と聞こえてきたが。
[やがて遠い狂乱の声>>4を拾い聞き、
顔を向ければ薄く目を細める。
この船内で犬といえば、該当するのは彼しかいない。
足は自然と其方へ向いて―――]
[甲板で繰り広げられていたのは、
凄惨としか言いようのない仕打ちだった。
無意識に、ゴルガンタの惨状が脳裏を過る。
もっともあの時とは、人と魔物の立場が逆だったが。
この時点ではタンガリザが何をしたのか、
正確には把握できていなかった。
けれど、これだけ堂々と行われる虐待に、
"大義名分"はあるのだろうと認識していた]
(………これが、勇者)
[別に清廉潔白な聖者など、初めから求めてはいないが。
魔物を斃すと言う行為、そのものは正しいのだろうが]
―ダートの根城―
[勇者たちの乗る船が陸についた頃だろうか。
米犬の屍はダートの根城に運び込まれた。
兵士たちの手により包みはほどかれ、台上に横たえられた。
ダートは屍を覗き込み、そして、鼻をつまんだ。]
うぉぅ、臭いよる、臭いよる。
[もともと臭う米犬が死して腐りつつある。
ますます酷い事になっていた。]
ぐぶぶ……さんざ痛めつけられて苦しかったろう。
その恨み、晴らしてみたくはないか?
[屍から若干鼻をそらしつつ、もう一度米犬の顔をのぞきこむ。
彼の答えなど聞かぬまま、米犬の口に反魂薬を流しこんだ。
どこからか現れた白い煙が屍に吸い込まれていく。]
[魔軍兵士を作るのとはまた違った高揚感である。
しばらくして米犬が目を開けば、その肩をぽん、と――布越しに――叩く。]
ぐぶぶ……ぅっぷ……
さぁ、己の成したいように成すがいい。
[起き上った米犬を野に放ち、ダートは眼を細めた。**]
まるでスラムだな。
何のための船なのやら。
[下手に動けば蜘蛛の糸が絡まるように面倒事が増えてゆく。船に永住する訳でも無い陸に降りればある程度自由は効くと、食料配分も減る中で女は体力を温存するように船室に留まる事が増えて居た*]
そんな、あの人たちの中に?
[>>3:228嘘だ、と首を振るも、確かにタイミングを考えればチャペの言う通りだ。
それまでだって狙おうと思えば狙えただろうに、何故人数の多いあのタイミングだったのか。
それに、他にも実力者が集う中で、何故消えたのがアインとエステルだったのか]
僕は……あの人たちが、悪い人だなんて思えない。
……信じ、たいよ。
[チャペを諭そうとするも、その語調は弱々しい。
アロラは頭脳明晰だ、しかし冷酷で底知れない相手だと感じた。
フリッツは強くてかっこいい憧れの剣士だ、しかしその瞳に狂気に似た揺らぎを感じることはなかったか。
レティーシアやダリアへは恐れのような感情はなかったが、勇者を倒せるほどの手練れなら、感情を偽装して振る舞うこともお手の物だろう]
[ぐるぐると悩んでいた所に、チャペに不安げな声を掛けられる。
タンガリザはこの場にいない。
少年は彼を切り捨てることに同意したが、言葉巧みに誘導された可能性は本当にないのだろうか。
仲間を一人見捨てたかもしれないという恐怖に、背筋がぞくりと震えた]
チャペ……。
[猫の潤んだ瞳と視線が合う。
仲間の二人は消え、一人は分断され、更にチャペまでもいなくなってしまったら――]
大丈夫だよ、チャペ。
チャペのことは絶対に、僕が護るから。
[チャペの肩に両手を置くと、決意を込めて口にした*]
― はじまりの国 ―
[死者の都となったはじまりの国だが。
まだ抵抗する人々は居た。
或いは暴徒と化しても死徒の群れには加わりたくないとする者達も。
アミーと翼竜は向こうから向かってこなければ積極的には動かない。
結果、レジスタンス的な市民と暴徒と化しつつも生者で居るものと。
かつて市民だった者達の群れと。
3勢力が城下には居るような状態だった。]
― 船内 ―
[小さな船室の扉が開く。
相変わらずの無表情の中に、
何処かうんざりとした色を滲ませた男が姿を現す]
………戻りました。
[抱えていた配給された食糧を机に置く。
男の手は血で濡れていた。自分の血ではない。
右の頬には浅い切り傷がある。
部屋を出る度に、諍いに巻き込まれるのが通例となっていた]
あと1日もすれば到着するそうですよ。
その後の指針は、特に指示されてはいませんが。
"彼ら"は集団で北を目指すらしいです。
[彼ら、とは一番大きな派閥を形成している者達のこと。
数で闘うと言うのは、まあ、間違ってはいないのだろうけど*]
[そして、死の舞踏は今日も続く。
デュラハンと化した王が玉座に腰かける傍らで。
アミーが舞踏会を眺めていた。
この光景に耐えきれず自決した宮廷音楽家も多い。
結局は死者として連れ戻されるだけだから一緒なのだけれど。
城下町を探っていれば気が付く事もあるだろう。
死者の都で唯一、享楽めいた音が聞こえる事に。]
― はじまりの国へ ―
[竜の背に乗り南下する。
それはこれまでの旅路を逆行するもので、時折は先に訪れた村を再び見ることもあっただろう。
しかし、どこの村も今は、見るも無残な状況にされていて。
故郷に近付くにつれ、少年の顔から笑顔は消えていった]
[ダリア>>20との関係が変化したのもその頃だったか。
旅のはじまりはダリアのこともそれなりに気を掛け、話し掛けていたつもりだった。
しかしいつしかチャペと二人で会話することが多くなり、ダリアの口数が減ったことや彼女へ負担を掛けていることに気付く余裕もなくなっていた]
[そして、ついに少年は故郷の地を踏んだ]
― はじまりの国 ―
うそ……嘘だ……。
[街の入り口で、少年は立ち尽くしていた。
あちらこちらに散らばる骸。
うろつく死徒に、暴徒と化した住人たち。
かつての、温かく平和だった故郷の姿は何処にもない]
か……母さん! 父さん!!
[思わず叫んで、自分の家へ向け走り出す。
その声に反応するように、ぎろりとこちらへ向く視線があったが、構ってはいられない]
[死体置き場と化した広場を突っ切れば、かつて少年が憧れ誓いを立てた勇者の像は、既に跡形もなく崩れ落ちていた*]
行っても、碌な事はないよ。
生きるも地獄、死ぬも地獄。もう救いの道は残されていない。
[それぞれ別の方向へ駆けて行く2人を冷たい目で見つめる。]
逃げたって構わない。目を逸らせたって構わない。
直視するべき現実だなんて、この国からはとうの昔に消え失せたのだから。
[猫はどちらにも付いて行こうとしなかった。
暴徒の蔓延る街の中を、まるで何も無いかのように歩いていく。]
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