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奇妙な感覚に首を傾げながら、
幻と。気のせいと。自分を納得させて、探索に戻ろうとした矢先、
いつの間には目に前に二人の子供が立っていた。
髪色こそ違うものの、顔立ちのよく似た二人はおそらく双子なのだろう。
キミ達は?
私が口を開くのと同時に女の子の方が「ねぇ、一人?」
と声を掛けてきた。
私が頷くと
「一人なんだ」
男の子の方がそう呟いて二人で何やらひそひそと、囁きあっている。「一人」「なら大丈夫」「よかった」
キミ達は?私が再度その質問を出すと「一人・・・なんでしょ?」
冷たい声と生気の感じられない瞳。
私が戸惑っている間に子供達は、笑いながら去っていった。
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一人が、なんだって…?
二人以上の来訪者が居るとまずい理由でもあるのか、はたまた来て欲しくない人物がいるのか。そんな疑問が心中に去来したが、なんとなくこの場に留まるのが嫌で歩きだした。
すると、先ほどまで変わり映えの無かった廊下に1つの新しい扉が。
私はドアノブに手を伸ばした。
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「それは…」
数瞬の躊躇いのあと、意を決して私は口を開いた。
「その人は…ここにくることは出来ない。
なぜならその人はもう、歩くことができないからだ」
…車椅子に乗った、あの初老の主人を脳裏に思い浮かべる。
いつも分厚い膝掛けをかけた、その足の膝から下がないことに
気づいたのは果たしていつだったか。
ある晩酒の勢いで冗談めかしてそのことを聞いたとき、
「ああ、これかね?昔このあたりで抗争があったときにちょっと、な。
だが、足の一、二本亡くした程度で人間死にはしないのさ」
「あの日、ワシらが本当に失ったのはな…『人の心』だよ」
…笑いながら、そう言葉を紡いだ主人のあの冷たい目を、おそらく私は忘れることはないだろう。
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私がそのことを告げると、彼は愕然とした表情を見せた。
「そんな・・・復讐に身を焦がし、彼奴と戦って勝つために悪魔に魂を売り、この力を手に入れたのに・・・」
私は彼を哀れに思ったが、そう思ったところで何もしてやれることなどなかった。
「旅の方、身勝手なお願いだとは承知していますが、どうかあの悪魔を倒し、わしの魂を救ってくれませんか・・・
悪魔は敵を油断させるため、子供の姿をしております。恐らく、この孤児院の中にいるので、どうか・・・
ぐふっ」
そのとき、突然獣人が胸を押さえて苦しみだした。
その顔は見る見る青くなっていき、ついに床に崩れ落ちた。
そのとき、遠くの方で子供の笑い声が聞こえた、ような気がした。
『くすくす・・・』
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その瞬間
ゾクリと寒気が走った
「1人」でないと危険だと言うのか? 本当に私は今1人なのか? 本当に?
扉をくぐる時、私は
ズチャリズチャリと
私以外の足音を確かに聞いた
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勿論、実際に歌うはずなど無い。
「駄目だ、完全に疲れているな。この辺で一度休憩しよう。」
疲れている時はこれが一番だね、とMy水筒に入っている「ホットコーラ」を飲んで、気持ちを落ち着かせた。
30分程休憩をして、再び私は部屋の中へと入っていった。
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私はただただ歌い続けた。
どんどん気分が高まってゆき、
ついには躍り始めた。
「へびーいろおーてーしょーん♪」
お世辞にも上手いとは言えない歌声が院内に響く。
そして歌い終えた後、私は溜め息を付きながら、こう言った。
「・・・疲れた」
当たり前である。
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その笑い声は少年のようでも少女のようでもあり、また、その両方であるようにも聴こえた。
倒れた獣人に駆け寄り、その体を揺さぶる。
私の腕の中で、獣人はまるで眠っているようにも、既に助からないようにも見えた。
『魂を救って』彼はそう言った。まだ救える手立てがあるということなのだろうか。
「…悪魔……子供の、姿…」
彼の残した言葉が、真か嘘かはわからない。
それに従わねばならぬ義務もない。
それでも、行動に変換できるだけの、哀れみと義憤があった。
言われてみれば孤児院らしき食堂用の大きな長椅子に獣人を横たえ、鞄から引っ張りだした擦り切れた毛布をかけると、私は奥へ続く扉を開けた。
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ヘビーローテンションで痛くなった喉を潤した私は、しばし休息を取ることにした。
この部屋は静かだ。私しかいない。
時計の音が鳴り響く。それに混じってまたしても足音が聞こえてきた。
「また兄の幻影か・・・」
無視して寝てしまおうか。そう思いつつも、入口に目をやると、そこにいたのは兄ではなく、髪をだらしなく伸ばした少女が立っていた。
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「くすくす」
「くすくす」
「もぉ いいかぁい?」
「くすくすくす…………。」
奥へ進むにつれ、子供の笑い声は四方八方から反響してくる。
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部屋を立ち去ろうとした時、ふと誰かに服の袖を掴まれたような気がして、恐る恐る振り返ると、先程見た少女が立っていた。
「ねぇ、何で一緒に歌ってくれないの。お兄ちゃん、さっき歌ってたよね、何で私と一緒に歌ってくれないの、一人で歌うより二人で歌った方が楽しいよ。」
・・・どうしよう。
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歌ったら二度と戻れなくなる気がする。
だけど・・・
好きなんだ・・・この曲・・・・・・
歌いたい 歌っちゃダメだ
でも歌いたい いや歌っちゃダメだ
それでも歌いたい いや絶対歌っちゃダメだ
例えそれでも歌いたい・・・・・・・
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四方から聞こえる声に耳を澄ませる。
くすくすと笑う声は楽しげなのだが、何故か私は恐怖を覚えた。
ポケットに忍ばせた御守り代わりのロザリオをそっと握りしめると、私は勇気を出して声のする方へと歩き出した。
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ヘビーローテーション歌いたい、歌いたくない。
私は葛藤と戦っていた。
そしてふと見上げると、さっきの少女が目の前にいた。
少女はこちらを笑いながら見つめていた。
だが、その目は魚の死んだような、生気の無い目だった。
そして少女は話しかけた?
「ねぇ、私のこと誰だか知ってる?」
私は……。
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声はしかし、確実に近づいていた。
握りしめたロザリオが、熱を持っているのがわかる。
――厭な、予感がした。
「子供の姿をした悪魔」……か。
本当は、こんなところ、早々に立ち去りたかった。
旅人としての私の勘が、「ここは危険だ」と
頭の中でシグナルを鳴らし続けている。
それでも私が前へ進むことを選択できたのは、
ひとえに、あの哀れな老人の為である。
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母……?
私の母は兄さんに殺された。
この目の前にいる少女は、私を母と呼んでいる。
「母?」
私は思わず問い返した。
「そう、貴方の思い出から生まれた、貴方の心に宿る母親」
少女はそう答えた。
「貴方は寂しがってるのよ、さぁ、私の元に帰りなさい」
少女がそういうと、周りの風景が真っ白に染まっていった
この空間には、私と少女しかいない。
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「大島優子の天下はもうすぐ終わる。その時こそ…」
私はハッと我に返った。この少女は何かを企んでいる
このままでは…
私はポケットからあるものを取り出した
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これであの女の頭に綺麗な花を咲かせてやるッ!
そう思ったとき背後から轟音がした
少女は表情を強張らせる
「なっ?RPG!?」
チッ、他にも敵がいたか?どうする…
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私は咄嗟に少女を抱き寄せ、少女のこめかみに銃口を当てながら叫んだ。
「動くな、これ以上近づくとこの女の命は無いぞ」
母と名乗る少女を盾にして、この危機を乗り切る事にした。
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さらに奥に進むと、目の前に扉が現れる。
見たところ、どうやら勉強部屋らしい。
扉をあけようとするも、恐怖感が邪魔するのか、扉は動かない。
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さらに力を込めて、扉を開けようとする。
びくともしない。
どうやらこの扉はロックされているらしい。
とはいえ鍵らしきものは見当たらない・・・。
それでは内側から鍵を掛けているのか・・・。
はたまた不思議な力で開けられなくしているのか・・・?
「むぅ・・・。」
と思案していると、扉に紙が貼られているのが目に入る・・・、
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私は走った、ひたすら走った。そして息も切れ切れになった刹那、少女の姿は忽然と消えていた。
少女、いや、少女のいたはずの場所を見てみると、少女の服だけが落ちていた。
「今のは、一体なんだったんだろう」
気を取り直し、孤児院の探索を続けることにした。
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上を見上げるとまたもや張り紙と・・・、レバーらしきものがぶら下がっている。
このレバーを下げると扉が開く仕組みなのか・・・?
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夢?いや私の英雄願望の表れか…
「なかなかいい感じだったな、おっと?」
妄想で体力を使った私は小腹が空いている事に気づいた
「調理場を探そう。腹が減ってはいくさは出来ぬ…ってねぇ!」
テンションの高い私は一番近い襖を勢いよくガラッと開けるとそこは…
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「よく来たわね、ここは現世と魔界のちょうど境界線のようなもの。もし貴方がここの結界を破ろうとするならば国家認定陰陽師である私が相手になるわ」
くっ、凄いオーラだ
やはり国家の陰陽師ともなれば福利厚生が充実してるのだろうか?それは許せない!
ここは…
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さてレバーを引こうとなったところで私は思い至る。私は身長が残念な程しかないことに。それだけが幼少期からのトラウマであった。相撲で誰にも負けないようにする為には筋肉を鍛えればいい。村一番の物知りになるためには人一倍努力して勉学に励めばいい。しかし、背丈だけはどうにもならなかった。
「どうしようかな!!!」腹立ち紛れに大声を出してみる。あたりにイス等踏み台になるものは見あたらなかった。
そこで私は思い出す。食卓の机がある部屋に置いてきた、獣人の存在を。
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この場から立ち去ろうとすると、あたりから
「えー、もう帰っちゃうのー。」
「つまんないやー。」
「ああ、やっぱり今回も駄目だったよ・・・。」
「このいくじなしー!!」
「くすくす・・・」
子供らしき笑い声とも罵声ともつかない声が響いてくる。
その声を振り切るようにあの部屋に戻っていった。
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獣人が倒れていた筈の部屋に戻ってみたが、その部屋には誰ひとりとして残っていなかった。
代わりに残されていたのは、一枚の紙きれ。
私は、その紙切れを手に取った。
それは、多少汚れで見辛くなっているものの、どうやらこの建物の地図の一部であるようだ。
裏には「おまえさん、このまえ」と書かれている。
これは一体どのような意味なのだろう。
何かしらの暗号なのだろうか。
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「もう面倒だからお前も来いよ、一緒に行こうぜ。」
国家認定陰陽師の手を掴んで、一緒に部屋を抜け出した。
こうして、俺達の愛の逃避行が始まった。
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「待って、貴方に渡したいものがあるの」
そういうと母は手提げのバッグからあるものを取りだしたのだ
「これは……」
母は頷いた
「そう、これはふくやの明太子よ。貴方が好きだったね」
自分でも忘れてた事を母は覚えていてくれたのだ!
私はしばらく涙が止まらなかった
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この建物の地図らしきものを手に入れたのはいいが、
このままではあのレバーを引く事が出来ない。
「仕方がない、あの椅子を踏み台に使うか・・・」
部屋に置かれていたマボガニーの椅子を持って行く事にした。
忽然と消えた獣人・・・。
あの地図に書かれていた暗号・・・。
私には色々と引っかかるものがあるが・・・、
とにかく先に進まねばならない・・・。
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身長が低い私でも、力比べなら負けない。椅子を片手に持って軽々優雅に運んでいく私・・・そんなイメージを持って椅子に手をかけた。
「ふんっ・・・むっ・・・」
仕方ないので押して歩くことにした。
私はレバーのある部屋に戻ってきた。出たときと同じ声が部屋の奥から聞こえてくる。
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「ふぅ、これで…届くかな。」
私は椅子の上に登って少し背伸びをした。
…
………あと少し、ほんの数センチ足りない。
今ほど自分の背丈の低さを恨めしいと思ったことはない。
例の声に笑われてる気さえしてしまう。
あぁ…足場は不安定だがジャンプをすれば届きそうだ。
――――さぁ、どうしよう?飛ぶか?
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