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この村にも恐るべき“人狼”の噂が流れてきた。ひそかに人間と入れ替わり、夜になると人間を襲うという魔物。不安に駆られた村人たちは、集会所へと集まるのだった……。
1人目、自警団長 ヘクター がやってきました。
『――ボク達は恋をするために生まれてきた――』
『この世界は大人が少ない。
特に"夫婦"と呼ばれる存在はいない。
何故かと言うと、夫婦や恋人、そんな愛し合う人達は、
この世界には居ちゃいけないんだ。
そう、この世界で愛し合った者達は、この世界に居られなくなる。
それが此処の掟。
この世界を出て何処に行くのかはわからない。
忽然と姿を消してしまう人も居れば、
或いは死んでしまう人もいる。
ただ、ボクから一つ言えるのは、
この世界を出てもきっと幸せになれるってことなんだ。
ボクは恋に落ちやがて愛し合う人々を「見届ける者《監視人/watcher》」としての責務を担っている。実はこの見届ける者の役目自体が、謎に満ちたものなんだ。ボクはある日、馴染みのお兄ちゃんから見届ける者になるように命じられた。そのお兄ちゃんも恋をしてボクが見届けたよ。それから見届ける者はボク一人じゃない。仲間がいるんだ。そしてその仲間が恋をしたら、残った仲間で見届ける。そうやってずっと、この見届ける者という制度は続いているんだろうね。』
『そうだ、ボクら見届ける者が、恋をして"見届けるべき者"と判断する材料がある。寧ろそれがなきゃ、ボクらの仕事は大変になっちゃうしね。恋をした人、誰かを愛した人には、その身体に不思議な特徴が生まれる。今まで見たのは、背中に羽が生えたり、瞳の色が変わったり、人によって様々だよ。ボクらはそれを見て、その人物を見届けるべきだと判断するんだ。うん、此処は不思議な世界だ。
ボク達は恋をする。
それが罪だとは思いたくない。
愛した人を失っても、きっとすぐに後を追えるさ。
それがこの世界の、掟だ。
"watcher" Alois=Geistの手記より 』
『この世界にも自堕落な若者が増えた。
昔のように恋に恋をする若者がめっきり減るばかりだ。
私は人々が生み出す恋や愛を望む。
故に、私の死後、私が愛したこの洋館を人々に与えたい。
此処は広く美しい建物、雰囲気にも気を遣ったつもりだ。
どうか此処で、愛が生まれるよう。
それが、生涯愛することを知らずに過ごしてしまった
私の最期の願いである。
"a multimillionaire" Gustave=Campagnolaの書記より 』
そして主人を亡くした洋館の門は開かれた。
一人の年配の執事が、玄関を入ってすぐに、互いを知り交流を深める切欠として、自己紹介に使われるであろう用紙を備えた。
亡き主人、Gustave=Campagnolaが手配するよう指示していたのだろう。
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1.Name
2.Age
3.Profile
-------------
年配の執事は口数は少ないが、謙虚で忠実な人物だ。
彼は客人を待つ間、少しでも洋館を良き空間にしようと、
丁寧に洋館の天使の彫像を磨いている―――。
村の設定が変更されました。
2人目、Swallowtail Butterfly がやってきました。
[広い洋館は隅々まで掃除が行き届き、美しさに翳一つない。
包帯を巻いた手に羽ペンを持つが震える手が綴るのを躊躇する。
洋館の広さと美しさが心細くなる。
目の前にある紙を見れば自身に広がる
何もない空虚さが余計に空しさを誘った。]
1.Name
不明
2.Age
不明
3.Profile
誰かに名を尋ねられれば一言、
「蝶」と告げるだろう。
自ら名前を決めたわけではなく、ヒラヒラと空を舞う蝶のように
いつもフラリと頼りなくどこか彷徨う行動から
そう呼ばれるようになった。
感情の起伏は穏やかで、
時折包帯を巻いた部位を抑える仕草を見せる。
[羽ペンを置けば窓の外を見遣る。
雲は流れ、時は流れているのだと感じれば、
何かに置き去りにされる漠然とした寂しさが漂う。
物悲しい寂しさを振り払うよう静かに館の中へと視線を移せば、
天使の彫像の隣にいた執事が一礼した。
黙してこちらも首だけで礼を済ましすぐに視線を外す。
露出した肌にひんやりと心地よい冷気を感じる。
執事が一言、奥の部屋へと招けば促されるままに
フラリと扉の向こう側へ消えていった]
[部屋に入るとそこもまた美しい内装が広がっている。
美しさに目の色が変わる事はなく、何かに目を留める事もなく、
包帯が巻かれた箇所が暑苦しくむず痒い分、
ただ露出した肌に触れる心地よい空気だけを感じている。
一歩、部屋へ踏み出そうとした時、
扉に挟まった足の包帯が所作を妨げ転んでしまう。
よく見れば足の包帯はかなり擦り切れて、
体中のいたる所に巻かれた包帯も同様にボロボロだった。
扉に挟まった千切れた包帯を見遣るも、
そのまま起き上がり膝を払うとまた部屋から出て行く。
執事は彫像を磨いている。
その様子に声を掛ける事なく、屋敷のどこかへ消えていった。
*部屋に一片の包帯を残して*]
3人目、Cateye Chesire がやってきました。
[ギィ…
扉の軋む音に執事が振り返ったのだろうか。
金色の瞳が映し出したのは天使の像。
そして、老紳士の表情]
…
[微かに瞼が見開けば、所狭しと映し出される広間。
ふ、と瞼が落ちかければ鈍い光を返す]
コンバンハ?
[ニィ。
そう、言い表すのが的確のような。
頬を緩め、口元を吊り上げた]
[ふ、と。
表情が消えれば、その目は白を映し出す。
隣にあるのはこれまた白い羽。
細い腕を伸ばし羽に手をかければ、白は白の上で黒のダンス]
1.Name
Chesire=Eryze
2.Age
21
3.Profile
布をそのまま身体に巻き付けたような服でふらりと現れる。
そして観察するように金色の瞳は見つめ…
にやり、と。不敵な笑みを浮かべる。
…いつもならば、いつの間にやらその姿を消しているのだが。
どうやら、この屋敷には興味があるのか。
か細い、高い声で喋り出す事もあるようだ。
[指先から白が離れれば、ダンスの幕は下りる。
興味を無くしたように白から目を離すと、辺りを見回した]
天使。
[ゆっくりと足を動かし、天を仰ぐように。
佇む天使像を見やる]
アナタは。
[唇が動くが、その奥からは掠れたような。
蚊の羽ばたきのような。
そんな音しか漏れてこなかった]
4人目、Moulin Rouge がやってきました。
[洋館の前に佇む女。
黒きコートの裾がひらりと風に舞う。
冷たさの滲む眼差しが、豪奢な館を見ていた。]
……ふ。
これだけ立派な館、死後に一般解放するなんて
余程心の広いお方だったのかね。
[特に感動もない、淡白な言葉を紡ぐ。]
宿無しの私には都合が好い―――
[くつ、と喉の奥で笑みを漏らした。
吹いた一陣の風に攫われぬよう、揺れる髪を指先に絡め、
洋館へと足を踏み出した。]
[光の射す美しい玄関は広々として。
入り口には無造作に置かれた数枚の紙と羽ペン。
物臭そうにペンを取ると、滲む黒インクで文字を綴る]
1.Name
Moulin-Rouge(ムーラン・ルージュ)
2.Age
27
3.Profile
詳しい正体を明かすことはない。おそらくはその名も偽名。
特定の住居も無く、この世界を転々としている。
その実、闇の世界に精通し、
残酷な事も表情一つ変えずにやってのける狙撃者(スナイパー)。
表面上で人と接することは容易だが、
人の心の奥底へ介入することはなく、
また自らの心への介入も許さずに生きてきた。
[銀髪の女、微かに見えた横顔のその瞳は金色。
無表情に暫し眺めていたが、
やがて興味を無くしたように視線を逸らす。
天使の彫像、傍には初老の執事。
女の姿を見止めれば、丁寧に一礼を向けられたか。
目礼を返し、彼からも目を逸らす。
緩く腕を組み、光射す天窓を見上げては、
眩しそうにその目を細めた――]
[…来訪者に気付いていなかったのか。
それとも、気付いていたがただ見つめていただけなのか。
ゆっくりと視線を降ろす]
…コンバンハ。
[ぽつりと。
じっ、とその黒い姿を瞳に映す]
…
[何か、口にしようとして。
止めた]
……
[銀髪の女を一瞥して
少しの間の後、口を開く。]
貴女もこの屋敷の恩恵にあやかる口?
これだけ豪華な屋敷を無料で使っていいって言うんだから、利用しない手はないさ、ね。
[薄い笑みを伴って告げる。
金色の瞳が己を見ていた。
何かを訴えたそうで、けれど口を閉ざす彼女に]
――何か?
[…一つ瞬きをすると、少しだけ考える素振りを見せ]
…そこまで、困っては居ないけれど。
ただ。
[ぴたり、と言葉を止める。
軽く首を傾げれば、髪が揺れ]
…興味。
それが、有ると思ったから。
…えっと…
[か細い声が唇の隙間から漏れ…考える]
コート。気に入ってるの?
この屋敷に興味?ふぅん……そう。
まぁ富豪の遺した館だし、隠された遺産くらいあるかもね。
[きっと彼女の興味とは意味が違うだろう。
訥々と零す彼女の雰囲気から遺産目当てとは到底思えはしなかったけれど。それ以外に興味と言っても思いつかなかったのが実の所。]
コート、あぁ、これ?
別に気に入っている程じゃない。
動くのに便利なだけよ。
貴女こそ不思議な格好ね。
……寒くない?
ん。
[少しだけ瞼を降ろし、ゆっくりと首を振る]
…違う、よ?
[ぽつり。
瞼を上げれば、また金色の瞳は映し出す]
動くのに…?
[黒色をじっと見つめていたが、顔を上げると]
…別に、寒くはない、よ。
軽いし、着崩れしても。変じゃないし。
[布を少しだけ引っぱってみせ…離すとだらり、と皺を作った]
そ。
まぁこの館に集う人の目的なんて
どうでもいいけどね。
[軽い所作で肩を竦めて見せては、
軽く女へ目を向けて]
闇に紛れた方が何かと仕事がやりやすい。
それだけの理由。
[じっと見つめる彼女へ簡潔に説明をする。
続く言葉には、くつ、と口の端に笑みを浮かべ]
軽くて薄いのは良いけど、
その服じゃ脱がすのも楽そうさ、ね。
誘ってるのかい?
[言葉は悪戯めいて、表情には薄い笑み]
…そう?
[軽く首を傾げ。一つ瞬きをして…見つめる。
何処か、不思議そうな響きを出したかも知れない]
お仕事…お仕事。そっか…
[何処か視線を落とし、口の中で繰り返す。
微かに口元を吊り上げたが、その後の言葉には顔を上げ]
楽だね。
…誘う…?
[表情が戻れば、ゆっくりと視線を降ろし]
…そう、見える?
[布をつまもうとして…止めた]
[気配を感じて二人の前に姿を現すも、
一瞥しただけで特に気にする事もなかった。
ある程度屋敷の中を歩いたのか、
今度は壁に掛けられた絵画をただじっと見つめている]
[不思議そうな彼女とは感覚が違うと悟ったか、
それ以上の返答はせずに。]
そ、謂わば仕事着。
貴女の服もその類?
[ふっと軽く笑むと、銀髪の女へつかつかと歩み寄り]
そう見える私の目が淫らなのかねぇ?ふふ。
[間近に、女の身体を上から下へと舐めるように見定め、
薄く目を細める。]
近くで見れば良い身体をしてるじゃない?
[視界の隅に新たな人影が見え、少し興味が行くが…
すぐに視線を戻す]
仕事着。
…私は…別に。この服でなくても。
仕事は、出来る、…?
[距離を詰められると、瞳は丸くなり。
身体を見つめられると、視線を自身の身体とすぐ傍の目とで行き来する]
…分からない。
そう言う風に、見える?
[先ほど見かけた人影に尋ねようとしたが、既に興味は絵に移っているようで]
…ありがと…?
[良い身体、と言う言葉にも。
少し戸惑ったように視線を移す]
[青年――少年にも見える――男の姿が視界に入る。
ふん、と小さく零し]
先客か……。
此処は妙なのが多いね。
まぁ人のことが言えないか。
[一人ごちた]
[話し声の方に顔を向ければ目を細める。
視線の先に二人を捉えれば、また絵画を見る。
才があるわけでもなく、ただ眺めている。
しばらくすると隣の彫刻を無表情で見つめ。]
[仕事着でもない、そんな返答に軽く笑って]
淫売屋って訳じゃないってことね。
まぁ雰囲気が先ず違う。
[す、と手を伸ばし、女の顎に指を掛けようと]
あんたの言動を聞いてる限り、身体はお留守のようだね。
その内相手をしてやってもいいさ。
今は早急に堕とす必要もないでしょうし、ね。
[つ、と指を滑らせては離す。]
名前だけ聞いておこうか。
私はMoulin-Rouge――ムーランと呼んでくれればいい。
…うん。
その、お仕事は。していない。
[小さく頷こうとするが、顎に触れた指に首を振ることはなく]
…お留守…?
そう…よく、分からないけれど。
ありがと…?
[少し考えていたのか。
口を閉ざし、じっと見つめていたが、続いた言葉で考えが追いつかなかったことが示されていた]
…Chesire(チェシャ)…Chesire=Eryze(チェシャ=エリューゼ)…
[指が離れれば、自身の名を告げる。
口の中で相手の名前を何度か呟くと、口元を軽く吊り上げた]
[…視界の隅に入る人影。
絵画から彫刻へ。
彫刻から、また美術品へ…
金色の瞳にちらり、と映っただろうか。
瞼が閉じる。
もう一度瞼が開いた時には、片隅にあった人影は居なくなっていた。
…新しい美術品の所に移動したのだと気付くのに、少しの思考の時間を要したのだが]
…
[興味を持ったのかは定かではないが、瞳は少しだけ細くなる]
ふふ、意味も解らずに礼を告げるなんて
お人好しなのかねぇ。
[口を閉ざしては考え込む。そんな彼女の所作にくつくつと笑う]
チェシャ。悪くない名だ。
[薄く笑みを浮かべると、踵を返し、
まだ見ぬ洋館の奥へと歩み始める]
覚えておいてあげるさ。
チェシャ――面白い奴だと、ね。
[そう言い残し、仄昏い廊下へと*姿を消した*]
[芸術品を見歩く足が止まる。
ふと足に違和感を覚えるとそれは靴の感触とは違っている。
見てみると足の指が靴から飛び出している。
片足を上げ両手で掴み、靴底を確認すれば、
靴底ではなく足の裏が見えた。
視線を床に移せばペッタリと
磨り減った靴底が綺麗に足の形をして鎮座している。
一時考えた後、その場に座り込み靴を脱いだ。
今にも千切れそうな靴紐を指に引っ掛けると
裸足で屋敷内を再び歩き始める]
[笑う様子。そして踵を返す様子に。
瞬きをしながらも、金色の瞳はその姿を映し出している]
…
[仄暗い廊下。
黒いコートが闇に紛れると、瞼を閉じる]
面白い?
…私も、面白い。
[ニィ。
口元を吊り上げ、一人佇んでいたが…]
…アナタも。面白い?
[か細い声が向けた先に届くとは思えないのだが。
視界の隅に入っていた人影に問いかける…
答えは求めていないのか。
ゆっくりと歩き出す先は執事の元。*自身の部屋を聞く為に*]
[絵画の前で立ち止まる。
微かに聞こえた声の先を一瞥した後、また静かに絵画を見上げる。
黙したまま、何を思っているのか、
一言も口に出さずにまたヒタリヒタリと
*廊下の先へ消えた*]
[…広間へと続く廊下。
部屋から出て扉を閉めれば、金色の瞳はその先を映し出す]
…
[人の気配の少ない屋敷に、微かに瞼が落ちる。
暫くの間そうやって佇んでいたが、ゆっくりと歩き出した]
Moulin Rouge が村を出て行きました。
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