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戦士 アルシェス に 3人が投票した。
竜の子 ダリア に 1人が投票した。
戦士 アルシェス は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、竜の子 ダリア が無残な姿で発見された。
闇が村を覆い、村人達は自らの過ちに気付いた。人狼達は最後の食事を済ませると、新たな犠牲者を求めて無人の村を立ち去っていった。
― 魔王城・玉座の間 ―
[そして、玉座の間に現れた少年は。
襤褸切れ同然の服に木製の棒を手にした、無様な有様だっただろう。
腹部の傷には止血が施され、一応は生き永らえているが>>9:148]
ひぃ……っ
[魔王の向ける呪いの眼差し>>9:150に対し、少年は余りに無力だった。
光の剣も魔剣も、防具ではなくとも少年の心を守るのに一役買ってはいただろう。
それらをなくし、戦う術もなく転がされた少年に、死を待つ以外の何が出来るというのか]
魔……王……。お前、は……
[しかし、がくがくと震えながらも、確かめなければならないと思い続けたたった一つの疑問だけは、口にする猶予はあったか]
本当に、勇者……な、の……?
[死をもたらす眼差しで睥睨する彼の者が、少年の憧れ、全ての原点と同一存在なのか。
少年は、問い掛ける*]
クケーッケッケッケ!
[白猫>>9:+59を掴みあげ、空を飛ぶ。
抗議するような鳴き声に鳥は嗤い声をあげる。
怒り、憎しみ、苦しみ。
負の感情の篭もった声のなんと甘美なことか。]
ケーッケッケッケ…!
[もがく白猫を崩落したレンガ造りの建物に落とす。
自らもそこに降り立ち、猫の胴体に足を乗せた。
殺さない程度の力加減はしているが、
内臓を圧迫する力は白猫に耐え難い苦痛を与えるだろう。
猫が苦しめば苦しむほど、鳥はますます嬉しそうに嗤う。]
ナえ、ド?な、なえ、なえど、こ…?
巣、たマ、たネ ウえ、うえウえる
モと、 シュゾ しゅぞく よ、よよヨぶ?
[それみろ。これだから鳥ってやつは。
ベキベキと上から押しつぶされていく中で、白猫はひげを揺らして何とか少しでも大きい隙間に体をねじ込もうとする。]
ミャイィ……マァーオ!
[息を荒げながら目の前の土を引っ掻いた。
一瞬鳥の力が弱まったのをいいことに、前方へ逃れようとものすごいスピードで前脚を動かす。]
[もしかすれば、竜の少女は誰にも知られていなかった自分自身を、魔王を知る事で知ろうとしていたのかもしれないし、境遇を投影していたのかもしれないが。*]
― 魔王城・玉座の間 ―
[ナジ達と共に紫色の空間を抜けてゆく。
胸の内に湧くのは不思議な焦燥感。
それが何か判別する事もできず王座の間へとたどり着く。
勇者の背後に佇む少女。
勇者の問いに何を言うのかと瞬く。
困惑の色が明確に顔に出るが
魔王の放つ圧倒的な空気に冷静さを取り戻すかのように表情は消えてゆく*]
― 魔王城・玉座の間 ―
[右手は木の棒を握り締めようとするが、腱を断たれてはそれも叶わないか。
魔王の視線を受け顔を伏せて耐えるが、直視しなくてもその邪視は呼吸が止まりそうな程に心臓を跳ねさせよう>>8]
[周囲の温度が下がり、空間が凍り付けばその白は少年の両手足をも侵食し始める。
問いに対し答えは返らず、逆に問いを投げられる>>9。
その声に温度は感じられず、含まれる呪は氷の棘の如く心臓へ突き刺さる。
それでも答えるべく、少年は口を開いた]
勇者だった、あなたは……そこで今、何を、考えて……。
――ううん、そうじゃ、ない。
ここに辿り着いた時は、何を、考えて、いた……?
人を、滅ぼそうとするのは、「魔王になったから」、なの……?
[問いは果たして、発することを許されただろうか。
殺意が濃度を増せば、あるいは他者の介入があれば、言葉が途中で断ち切られることもあるだろう*]
― すこし前/魔王城・玉座の間 ―
[沈黙の後。
投げかけられた問いに、少女は緩く首を横に振る。]
きっと、しらない
……しらないと思う。
でも、――とてもよく似た人なら、知ってた、気がする
[それは、いつか聞かされた、砂漠の国を訪れた人々の物語。
或いは、語り聞かせた歌姫自身の、自らの死を受け容れて滅んでいった最期の姿にか。
――どちらにしても。砂漠に置き去りにされた遠い日の姿に、彼自身を重ねていたことは一つの事実ではあり。
誰からも省みられることのなかった彼自身の物語が、このまま滅びの時まで焼却されたままであるのなら。という仮定は、自身の投影でもあり、彼に――滅びを選んでほしくないという心の顕れでもあったのかもしれない。]
でも
この記憶も、感情も、
……すべて、滅んで消え去ってしまうなら
私が生まれてきた意味は、あったのかなって
[勇者を支える剣になると、優しい目で語っていたフリッツ。
魔を倒すために旅をと、明朗な言葉で語っていたレティーシア。
影達を護る為に、悲痛な声を上げながらも立ちはだかったチャペ。
――最後に。自身を護る為に、独り傷つきながらも戦い続けていた少年のことを、思い出して。]
………、
今、私が想っていることも、みんな消えてしまって
意味の無いものになってしまうんだって思ったら、
――すこし、こわくなった、だけ。
[震えそうになる息を。声を。押し留めようとして。
けれど、忘れ去られる恐怖を抑えることなど、できるはずもなく。
――目元を拭おうとすれば、雫を掬うだけの手はもう残っておらず、抑え切れなかったものが一滴、足元に零れ。]
― 魔王城 玉座の間 ―
[――――――…記憶がある]
[其れは酷く曖昧で、断片化されて、
揺蕩う闇の中で修飾すら受けているだろう]
[理不尽に脳内に居座る其れは、苦痛でしかない]
[消え去ることは自然の摂理であり]
[故に少年に、竜の子の恐怖は理解できない]
[ただ、]
ダリア――――…、花の名前か。
[まだ勇者候補の青年が運ばれてくる前だったか。
額の黒い瞳は、今にも零れ落ちそうな砂の娘を見つめ。
感情のない声で呟く。
いずれ滅びゆくとしても。
膨大な記憶の一部にその名を刻むこと位は。
まあ、大した労がかかることでもない*]
お前は此の期に及び下さぬ事を口にする。
[向けられるものは、殺意だけだ。
魔王の目前で、問いを投げ返されると信じているのだろうか?ならば、それはあまりにも長閑な考え、平和を元にした考えだ。]
お前は、
[この場で魔王を倒す前に何かを考えられた者など。
よほど余裕のある者か。
魔王に対峙しながら、その先を考えるとは。]
狂い死ぬのがいいだろう。
[魔王の後ろの闇から、百足に似た表皮が鋼程の硬さの節足動物が這い出して来る。恐らく、全長は人よりも長く大きいだろう。
それは、アルシェスを中心に円を描くように這い来たる。*]
[鳥から解放された白猫は一目散に逃げ出した。
御託を並べようと白猫には通じない。白猫として産まれてしまった時点で、それを宿命付けられているのだから。
いくら逃げようともこの世界の続く限り、世界から解放されることはない。
それでも白猫は、己がために逃げる。]
[いつしか薄暗い空からは小雪がちらつき始めていた。
白い仔猫、白い氷。やがては奪われていく体温と引き換えに、目立つ白猫の体を覆い隠してくれる。]
ミィ……
[初めて見る白いものに、猫は恐る恐る前脚を伸ばす。
すとんと前脚に、そして鼻先に落ちた雪は白猫の温もりに溶けて消えていく。]
ミャウゥ?
[猫は不思議そうに空から舞い落ちるものを見ているだけ。
何もかも消えてしまう。形あるものはすぐに消えてしまう。想像よりもずっとずっと早くに。
どれだけ大切なものでも、どれだけ手厚く守っていても、全ては意味をなさない。]
[闇の中から。]
──────よぉ、勇者。
[魔神は嘲笑う。嘲笑いながら囁く。
断たれたであろう腱をなぞる。薬草の効果も喪われていれば意味無い事ではあるが。]
女神の祝福を受けたんだろ?
一発くらいかませよ。
その“木の棒”で。
[ひのきの棒か否かは勇者アルシェスがその武具をよく知っていれば分かるか。]
貰った祝福を籠めてよ。
あの魔王様を打ち据えてみろよ。
[魔神の囁きは、或いは甘く…心惑わせるようにか…耳朶を打ったか。*]
[生きる理由などないから明日を生きていくことができる。
生きることしか道の無かった"チャペ"が白猫になったことは、決して偶然ではない。]
ミュアー!
[遠くから影猫達の足音が聞こえてくる。
ここから立ち去ろう、自分はか弱い仔猫なのだから。]
[この勇者がこれまでに見てきた物、経験の中に気付き掴み得る答えが無ければ、魔王と勇者は到底理解し得る事無きものだが。]
[だが、理解などをこの勇者は求めているとでも言うのだろうか?]
[節足動物は、甚振るでもなく、まだ身を這わせるだけ。
無数の足が、かさかさと、或いはカチリカチリと音鳴らし、刺の様な何かを注入する様な刺がゆらりと振られる。
口元は、キチキチと小さな音を鳴らし、極々弱い腐食性のある液体を垂らす。服程度なら襤褸襤褸となるだろうか。]
────なぁ、イけるだろ?
[女神の祝福を断たれた腱へと滑らせる事能わずとも。
魔剣士の癒しの呪いが、竜の少女の齧った腐った赤い実程で無くとも、あるのならば。]
祝福を貰った額に力を入れて、
[…魔神は愉しむだけに囁く。
それは焚き付けるように。]
“木の棒”で、一撃をさ。
[それを拒み自らの意志で行動するのも可能であり道ではあるのだが。さて、勇者はどうするのか。*]
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