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ただ……。
町に妙な薬が流行しているときに。
たまたま売人と知り合って。
たまたま突入現場に居合わせて。
たまたま聞き分けが良い……。
あまりにもタイミングが良すぎる感はあるよね。
皆の情報収集と並行して、僕の方でもオーヴァードかどうかの判定をして来ようと思うよ。
大丈夫!
充分休んだから、体調もいいし。
万が一の時だって、戦えなくても逃げるくらいはできるからね。
情報収集:
●売人について
<情報:噂話>8
エフェクト「生き字引」を使用して<意志>で判定
3(10),2(10),3(10),8(10)
5(10),10(10),8(10),10(10) +2
なるほど、それであの時……
……いやはや、流石ですね、橘さん。
演技に気付かないようでは、私も探偵失格です。
[>>72 橘の話を聞いて、あの時一瞬感じた違和感が蘇る。
一応、棘の縛めについては三谷からは死角になるように加減したつもりだが、彼の動作を思い返して、ふと思う。
……隅から隅まで「お手本通りの怯え方」だった。まるで、自分がどんな顔をすれば他人がどんな印象を抱くか、全てお見通しかのように。]
ふむ……
紫來くんが抱いた印象と、コラーダくんの分析も加味すると。
今回の事件に関して、あの三谷くんは何らかの事情を知っている可能性が高いと言えるでしょう。
[この場にいる全員から出た情報を繋ぎ合わせて、男はそう結論付けた。]
[……と、その時。
斑のPCに新着メールが届いた旨の通知が入る。]
……おや。
斑さん、どうやら例の売人のシンドローム解析の件で、UGN本部の要注意人物データベースに1件合致があったようです。
私の方で集められた情報は断片的でしたが……
それらとも、綺麗に整合性が取れています。
[ちら、と文面を斜め読みして、にこりと笑う。]
有難うございます、斑さん。
徹夜で解析した甲斐がありましたね。
【結果】
名前は入間亘。コードネームは<ヘルマウス>だと判明した。
シンドロームはキュマイラ/ハヌマーン。各地を転々としては怪しい物を取り扱っていたが、この地区にきて急に派手に稼ぎ始めたらしい。
[ 森田の報告に、さっと表情を曇らせる。 ]
売人はソラリスシンドロームを持っていない……。
ではこの事件はまだ……終わりさえ見えていないということですね。
ただ、とっかかりは残っている。
あの三谷という少年……。
早急に彼を調べなければ。
僕は三谷くんのオーヴァード判定に行ってきます。
<ペトリコール>の「従業員」を1人、連絡要員に借りていくから、僕は大丈夫。
彼がソラリスなら詳しい話を聞かないといけない。
逆に、ノイマンピュアあたりだったら、協力してもらえるかもしれない。
かえって問題なのは、彼が一般人だった時だね。
そうしたら、話は振り出しに戻ってしまう。
今からこの町に潜む真犯人を捜すとしたら、それこそ手遅れになってしまうかもしれない。
皆は、この最悪の場合に備えて、更に情報収集を行ってくれる?
いや、せめて一人くらいは護衛役連れてった方が良いと
思うんスけど。
大体そのどれもに何一つ確証が無いんじゃあ……。
[心配です、と最後までは言い切りませんでした。
途中で気付いたんですね、それは班さんを信用しない
言葉になってしまう事だと。]
〜〜〜……一番無難な線である事を祈ってますよ、俺。
[だから、もしもの時は逃げてだとか関節キメろだとか
言いたくはありましたが、最終的には大人しく
見送る事にしました。]
わかりました……。
[いつものように人好きのする笑顔を
浮かべる彼の姿が雲のようにふわりとしてて。
その背を見送ったら、もう二度と逢えないような、
そんな気がしてしまう。]
斑さん――気をつけて、
帰って来て下さい。
[<ペトリコール>の「従業員」だってついてるんだ、
大丈夫、大丈夫だと己の心に言い聞かせて。
気付けばそんな言葉を口にして。
可能ならば立去る彼の背を、見えなくなるまで
見送っただろう。*]
[皆の話をひたすら黙って聞いていた。
色々思うことはあるが、今は口に出さない。]
斑さん、気をつけてくださいね。
[いろんな感情は、笑顔で隠して、斑さんを見送った。]
― 放課後の帰り道 ―
こんばんは。
三谷くんですね。
僕は、紫來くんの所属する「探偵事務所」のスタッフです。
今日は、事後サポートで来ました。
今、ちょっとお時間あります?
その後、体調の悪化などありませんか?
[ 学生に挨拶して、アタッシュケースを開く。 ]
こんばんは。
紫來くんの?
へえ、事後サポートなんてあるんですね。
[ 興味深そうに近づく。紫來の名前を出したということは、彼もUGN関係者だろう。
ぎりぎりまで嘘をつかないで、核心だけを伏せるのが彼らのやり方のようだ。
誠実というか、無防備というか……。 ]
大丈夫ですよ。
ええ、その日のうちは掴まれた首が痛かったけど、今は特に問題ないです。
それは良かった。
[ 今のところ、三谷はちゃんと受け答えが出来ている。
これまで見てきたジャームは、もはや言葉すら失ったものばかりだった。
橘やコラーダの考えすぎか、あるいは……単純に在野のオーヴァードという可能性も。 ]
それじゃあ、ちょっと診断させて貰います。
――<ワーディング>
[ 手を差し出しつつ、ワーディングを展開した。 ]
[ 少年の体は……かくりと力を失い、こちらの腕の中に崩れ落ちてくる。 ]
ごめんね。
[ それを抱き留めて、壁に背を向けて座らせる。
今のところ、一般人の反応として違和感はない。
アタッシュケースから引き出した電極を、少年の手首に保護テープで貼り付け、ノートパソコンを立ち上げる。
サングラス型のレネゲイドチェッカーより手間はかかるが、ワーディングを発動したオーヴァードではなくても判定できる。 ]
さて……と。
思い過ごしだといいんだ、け、ど……???
[ バキバキと嫌な音にバッと振り向く。
三谷の手に掴まれた「従業員」が、苦悶の表情を浮かべながら全身を変形させ、ジャーム化するところだった。 ]
[ 三谷が振り返り、光の反射しない真っ黒な目でニコリと笑う。
次の瞬間、至近距離に三谷の笑顔が迫り、のけぞった襟首がすさまじい力で掴まれる。 ]
……ぐっ?!?!
あはっ。
面白い玩具だね。それ。
それでどこまで分かるの?
<止まらずの舌><トランキリティ>
意思対決
4(10)+9(10)+8(10)+8(10)+5(10)+5(10)+6(10)+7(10)+5(10)+4(10)+6(10)
あはっ……強情だなあ。
でもいいよ。死ぬほど苦しくしたらお喋りしたくなるかもしれないし。どこまで頑張れるか、一緒に楽しもう。
……ああ、誤解しないで。俺は人間が好きだよ。
好きだから虐めたいし……好きだから殺したいんだ。
じゃ……とりあえず苦しんで死んで?
マイナー<毒の刃><猛毒の雫>
メジャー<錯覚の香り><絶対の恐怖><破滅の言霊><抗いがたき言葉><言葉の刃><コンセントレイト:ソラリス>
がはっ……!!
[ 全身に走る痛みにのたうち回る。皮膚は恐ろしいほど冷たいのに、内臓は燃えるように熱い。
苦しくて、苦しくて、血を吐いて、こんなことがいつまで続くのかと思った後、意識が暗くなって……。 ]
<リザレクト>
8(10)
[ 落ちた意識が引き戻される。
死……今、死んでいた。これが死ぬということか。
ぼたぼたと鼻血が落ちる。 ]
いや……だ。死にたくない……死に、たくな……。
マイナー<フォームチェンジ> 侵蝕率+2
[ アタッシュケースからボールペンをつかみ出す。
みしみしと変形するそれで盾を作り出そうとするが、三谷が軽く触れただけでボロボロと崩れた。 ]
[一応同い年だし、経験は自分ほど多くない。しかし、素直に斑さんを心配したり、支部に来た経緯などを聞いて、初々しさというか年相応な感情を素直にだせる紫來くんに心をうごかされる。
そんな紫來くんに
○憧憬/不安
で、ロイス取得した。]
あは……あはは!!
なんだもしかしてお前、戦えないの? オーヴァードのくせに?
弱いなあ……。不甲斐ないなあ。ゴミみたいだなぁ。
こんなにされて抵抗も出来ないなんて可哀想。
でもリザレクトくらいはあるんだね。オーヴァードを甚振るのは初めてだけど、頑丈で楽しいね。
ねえ、あと何回死んでくれる?
まだ行けるだろ? なあ、なあ?
そうだよ僕は……僕は戦えない。
それは、でも、それは。
エフェクトが使えない、って意味じゃない。
[ 涙と鼻血でボロボロの顔を上げる。歪んだ笑みの少年が見える。
これがジャームだと気づかなかったことは、一生の不覚だ。
処理班としても。皆の仲間としても。 ]
ただ、使ったら自滅だから、ただ、それだけで。
だから、
ロイス「支部長」をタイタス化して昇華、効果はクリティカル値-1
ロイス「支部の皆」をタイタス化して昇華、効果はクリティカル値-1
マイナー ジェネシフト
5(10)1(10)7(10)1(10)
……?!
[ ダメージもないようなパンチだった。鼻で笑って終わりみたいな。
でも、その瞬間、怒りで思考が沸騰した。
燃え上がるような憎悪が、憎悪が、憎悪が、すさまじいまでの憎悪がわき上がり、気づいた時には。 ]
メジャー
<錯覚の香り><絶対の恐怖><破滅の言霊><抗いがたき言葉><言葉の刃><コンセントレイト:ソラリス>+<キリングパフューム>
●必中・シナリオ一回限定
はあっ……はあっ……はあっ……。
[ ズタボロになって動かなくなった男の前で、息を整える。
最大のコンボを打ち込み、最強の毒を打ち込んで、やっと焼かれるような憎しみは去っていった。
その側まで近づき、その体をつま先で仰向かせた。
もう、息はしていない。 ]
……俺は人間を愛してる。
愛してるから虐めたい。
甚振って殺したい。
……初めてだよ。憎しみで人間を殺したのは。
面白かった。もっと遊びたかった。
残念だ。
[ 死体へくるりと背を向けて、男のアタッシュケースを探る。
やがて、IDカードを拾い上げた。 ]
……斑。斑良樹。
うん、覚えたよ。
たぶん、すぐ忘れるけど。
[ そして、中の端末を操作し、おそらく緊急救命コールであろうボタンを押す。 ]
じゃあね。さよなら、斑。*
― 路地 ―
[ 深い闇に沈んでいる。
どこかずっと上の方に、水面のようなゆらゆらする光が見える。
あそこに行けばきっと、目を覚ませられる。 ]
[ でも、でも、行きたくない。
だってあっちには怖い奴が居る。
痛いことされる。 ]
[ このままここに居たい。
だから耳を塞いで、胎児のように丸くなる。 ]
[ このままだと本当に死んでしまう。
取り返しのつかないことになる。
分かっているけれど、初めての「死」はそれほどに強烈で激しい苦痛を伴っていた。 ]
[ 怖いよ、いやだよ。
逃げたい。逃げたい……。 ]
― 支部 ―
[ <ヘルマウス>につけた香りをたどって、その建物へたどり着いた。
斑のIDカードを使用して中に入り込む。正規のカードなので、スムーズに侵入することが出来た。 ]
ふうん……。
なかなかちゃんとしてるんだね。
[ 監視カメラを見つける度に、腐食させて壊していく。
やがて到着したのは監禁室。 ]
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