税吏 ガイは、くそ執事 ヤマシナの唇をむなしく掠め、地べたに熱い接吻をお見舞いした。

税吏 ガイは、肺活量の限界まで息を吸い込んだ。

遅れてきた双生児 ハナは、くそ執事 ヤマシナぐったりと倒れているのに気づいた。

誘惑の精 サキュバスは、面倒になってきた。

誘惑の精 サキュバスは、やはり美しくなかった目の前の光景にため息をついた。

税吏 ガイは、くそ執事 ヤマシナの唇をやさしく包み込むように、溶かしたキャラメルソースのような熱いベーゼをプレゼントした。

復讐者 アンペールは、あまりの光景に、泣いた。

くそ執事 ヤマシナは、――そのとき、奇跡が起こった。

くそ執事 ヤマシナは、税吏 ガイの口づけを受けた瞬間、盛大に吐いた。

税吏 ガイは、アルコール臭のひどい逆流をもろに口腔内に受け、このほろ苦さがファーストキスの味だと知った。

復讐者 アンペールは、完全にベソをかいている。

くそ執事 ヤマシナは、焦点の定まらない目で復讐者 アンペールを睨み付けた。

誘惑の精 サキュバスは、檸檬樹 ユーレカの存在を思い出した。

檸檬樹 ユーレカは、星を眺めている。

くそ執事 ヤマシナは、上体だけを起こした格好で壁に身をもたせ、ぐったりしている。

復讐者 アンペールは、緊張の糸が切れた。鼻血と涙でぐしゃぐしゃになっている。

檸檬樹 ユーレカは、誘惑の精 サキュバスに頷いた。

薄幸の少年 カイリは、とりあえず止血をしようとヤマシナに包帯を巻いていく。

誘惑の精 サキュバスは、くそ執事 ヤマシナに適当に切り刻んだ林檎を差し出した。

くそ執事 ヤマシナは、意識が曖昧なまま、勧められるままに林檎を食べた。

遅れてきた双生児 ハナは、ぼそっと呟いた。