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──…ッ
[動揺している。長い髪を揺らして、一度上目にフィリップを仰ぎ見た他は、白い面に浮かぶ表情は無い。ただ、リルの様子には気付かず、サラに対して質問を畳み掛ける様子のらしさに、少しだけ笑みを浮かべようとした。]
・・・・・・
[驚く、というよりも思考が追いつかない]
冗談はやめて欲しい。
なら、その土から掘って出てきたHMは誰が創ったんだ?
インターフェースであるリルも土から発掘されたとでも言うわけじゃないだろう。
それに、その土から掘って出てきたHMが何故僕にあんな記憶を・・・・・・
[はっ、と息を呑む。
見せられた記録の日時は、B.C.
・・・・・・ 紀元前]
そ、そんな馬鹿な!
[興奮の余り、勢い良く立ち上がる。
机に両手を突き、だん、という音が部屋の中に響き渡る]
どこかのSF小説みたいに、古代文明があれを創ったとでも言うのか!
なら、あの記憶は!記憶の主は!!
[なら、僕は一体]
それはそれで、納得できないな。
俺の安全が保障されるとも限らないじゃん?
まぁ、いっか。
本当にアレなら言ってあげてもいいよ。
その代わりなんか、報酬をおくれ。
[安全が保障されるなら受けない手はない。
HMの情報がもらえる可能性があったり、なおかつ爺からも報酬をもらえるだろうし]
さあ、ね。
誰が作ったのかとか…そういうことは調査中だったわ。
ただ、あれが何かと戦うために作られたこと。そして、「リル」とあなたがいればあれは動くこと。
それはほぼ間違いのないことだわ。
そして、あなたの記憶…
ね。ふふ。
記憶は、信じなさいな。
記憶だけが、自分の証明…
報酬だの安全だのめんどくせえな
[視線を右へ左へと振り子のようにしていたが
息をひとつ吐き出して首を傾げる]
なあ、ジジイ
報酬だの何だので頭使ってるよりも
こいつ引っ張ったまま揃って殴りこみに入ったほうが早くね?
[花紺青の眸を一つ二つ瞬かせながら
とても力に訴える手段を進言する。
尤も円城寺の意見を聞く気はなさそうだ]
・・・・・・ それはつまり。
僕とリルが、古代人という事になるぞ。
[汗が頬を伝う。
記憶と今の話、整理が追いつかない]
そして、戦っているHMもまた古代の兵器。
何故敵対している?
奴らは人類にとって敵か?それともラミアが?
もしくは、双方とも違うのか?
報酬か。がめついヤツじゃのう。ああ、シェルナ。そうはやるでない。
青年、これでどうじゃ。
[懐から札で分厚くなった財布を取りだし、まるごとポンと渡した。
そして、とても悪い笑みを向ける]
これだけ渡すんじゃ。声明を朗読くらいはして貰うぞ。
「我らは世界の終焉を止める者なり。義によって立ち、この世の終わりを望む者を討ち滅ぼさんとするものなり。
此度、その脚がけとして貴社を陥落せんと望む者なり。
その代表ポルッカ・ヘヴンベルの名において、貴社Endeavourへ、ここに宣戦布告を行う」
……とま、こんなとこじゃかな。
ああそれとな、これだけは言うておかねばならぬ。
[今思いついたように、今それにやっと思い至ったかのように、口にする]
正義は我らにある。ワシの勘じゃ。
[快活に笑いながら、あっさり言い切った**]
[気が付くと、両腕で自身の身体をキツく抱いていた。
目の前が暗い。だが、現状のおのれが一体何をどう認識しているのかが定義出来ない。]
……──
フィル。
ラミア含む、HMに関しての
サラの言葉は嘘では無い、ぞ。
[少しだけ言葉を挟む。
挟んでから思い出したように、ヘッドセットに指をのばして、おのれが培養槽に居た時、実験データを管理していた研究者のコールナンバーにアクセスした。紅茶と菓子では無く、生体育成に使われた薬剤を求めるコールを。]
おい、ジジイ…正気か
[分厚い財布の登場に流石に目が丸くなる。
それだけ危険なことをさせる気なのかと
尋ねるような視線は老人へと向かうが、
その次には報酬を求めた青年のほうへと向かう。
依頼した声明を一通り聞いて、思わずといった風に
派手な溜息がひとつ零れた]
…随分ぶっ飛んだジジイだな、まったく
[その思考に対する理解が及ばず、肩を竦めるしかない**]
私たちと、「古代のHM」が対立しているのは、善とか悪とか、そんな大層な理由があってのことじゃないわ。
私たちがあれを確保して調べようとしたら、あちらさまから攻撃を受けたのよ。
…でも、あれは危険だわ。
「ラミア」は発掘された時、無力だった。
でも、他がそうだとは限らないし、事実そうだった。
そして、「ラミア」は現代では考えられないほどの威力を持った兵器にもなりうるものだった。
意味は分かるかしら。
…私たちは、なんとしてもあれを手に入れるか、無力化しなくてはならないのよ。
そしてそれは、あなたの記憶にも関わることかもね?
[ちら、と上目遣いにフィリップを見やる。]
そこの色気がないねーちゃん、乱暴すぎるぜ。
もうちょっと、慎みがないと駄目だぜ?
[財布を渡してくる老人ににやりとして]
OK、いいだろう、演説だな。
だけど、これはいらね。
貸しにしておいた方がよさそうだ。
[大金は魅力だった。
だけど、此処で貰うより貸しを作る方が得だと判断した]
くっ、そんなごまかしを。
[だが、リルの言葉にそれ以上の言葉を飲み込んだ。
少なくとも、リルは自分に対して不利益な嘘をつかない、そう認識が固まっていた。それはお互いの信頼とも感じられるが、リルの言動や思考を考察した上で嘘をつくという事に対しての有意義さを認めていないのではないだろうかと判断している部分もあるのだろう]
[財布を女へと投げる]
だけど、それは違うと思う。
正義はそれぞれにある、それぞれに正義がなければ戦争なんておきねーよ。
それと、俺は俺の勘しか信じない。
[ちょっとだけ本音が漏れる。
いつもなら笑って過ごすところなのに]
無力化、か。
何も説明せず懐柔しようとするとは、貴方にとって僕とリルは随分都合の良い存在のようだな。
[だが、彼女の”記憶”という言葉に惹かれざるを得なかった]
[コールには──即摂取出来る形状の物を、点滴でも良いと言う内容も。やって来た見覚えのある研究者に腕を差し出し、チューブで薬剤を摂取しながら、また沈黙して話の続きを聞く。
サラがフィリップを大切な家族だと言う、その言葉の真理はリルにも計り知れないのだが。]
──……
活動可能な古代HMには、
パイロットとインターフェイスが騎乗する。
先刻、戦闘を行った二機も。
パイロット、インターフェイス。
どちらも意思を持っている。
……私とフィルのように。
[Endeavour社のあの社員達が作成した最新データにアクセス。]
Endeavour社の調査によれば、
パイロットは身元の判明する──人間。
・・・・・・ リ、ル?
[リルの言葉に振り返る、というよりも。
この研究所にて、日常の出来事のように薬物の投与を受け始めるリルに驚きを隠せなかった。
ふっ、と思考が明後日の方向に飛んでいた所を、リルの言葉が現実に引き戻す。
”他のHMのパイロットは、”身元が判る”人間”
自分をその例に当てはめるのであれば、少なくとも安心はする]
それよりも、何故リルはこうやってこの施設で何事も無く治療を受けているんだ。
サラ、貴方はやはりまだ何か隠している。
…。
[「リル」の方を見やる。
その腕からは、チューブが伸びている。
朗々とした「リル」の声が聞こえる。]
「リル」…
君は「リル」
…フィルのパートナー…
そうだよね。
…施設は、保存してある。
もし、自分の身体に問題を感じたら、いつでも来るといい。
まあ、僕…あ、いや。
私が言わなくても、「リル」と「ラミア」ならいつでもここへ来ることができるのかもしれないけど。
―Endeavour社―
[受付上の型にはまった挨拶に軽く返事をする]
あー、社長に用事があるんだけど。
今暇かなー?
「はい? アポイントメントはおありでしょうか?」
いやー、それがないんだよねぇ。
とりあえず何とか呼べねぇかなぁ?
そうそう、弟のフィリップ・ミラーの件とでも伝えてみて。
「少々お待ちいただけますでしょうか、確認いたします」
(ん? 弟だっけ……。
[疑問は口に出さず、そのまま少し待った。
受付上はとりあえず内線で確認をしているようだった]
…「リル」は、ここにいたのよ。そして、「リル」はここを出て、真っ先にあなたに会いに行ったんだわ。
「リル」の身体のことは…本人に聞きなさい。
私、研究者やら経営者やら、なんだか因果な商売ばっかりやってはいるけど、好んで女の子の身体のこと男にペラペラしゃべるような趣味はないから。
普通に考えたら会えないよな……。
でもさ、有名な親族の件といえば運がよければ会えねぇかなぁ?
[ぶつぶつと呟く。
フィリップの件というのはまったくの嘘。
ようは、お使いで宣戦布告をしたいだけなのだ。
社長にしなければ、ただのいたずらになってしまうから]
[フィリップの表情に困ったように眉を寄せた。]
──…フィル。
今、サラが言った通り、
私はこの研究施設から直接、
お前の部屋へと向かったのだ。
発掘されたラミアは、このラボの最深部にある格納庫で
解析を受けながら眠っていたはずだ。
私とフィルが契約を結ぶまでの間──と言うのが正しいか。
[聞けるわけが無い、そう心の中ではき捨てた。
結局、謎が増えただけだった。
しかし、進むべき道は見えた]
まだ聞きたいことは山ほど残ってはいるが、しかし貴方はこれ以上僕に何も教えてくれなそうだな。
ならいい。ここから先は僕とリルの二人で答えを探そう。
あと、貴方への協力もしよう。他のHMを破壊、もしくは捕獲すればいいのだな。
その代わり、施設は有効活用させてもらう。
判った、リル。
君の言葉は全て信用している。大丈夫だ。
[ここから、直接。それは間違いないのだろう。
問題は、生まれてからどれ位この施設で過ごしたのか。
そして何故リルは僕を知っていたのか。
今は聞かずにいよう、そう考えた。
思考をまとめる時間が必要だ。情報量が多すぎる]
いや・・・・・・
[判らない、それが正しい。
懐柔という定義は、あくまで目的があっての行動だ。
しかし、彼女にはそれが無い。サラの言いなりになっているならともかく、そうとも言い切れない。単純に、彼女がそこにこだわっていないのではないだろうか]
そんなことは無い。リルは純粋な子だ。
[そう言うのが、精一杯だった。
偽りの言葉ではない。ただ、判らないのだ]
…。
[なんか二人の空気になった気がする。]
えっと…こほん。
問答無用で破壊するんじゃなくて、交渉を持ってみてね。
味方になってくれそうなら、味方になってもらえばいいわ。
[少なくとも、今はまだ]
そう、その「古代のHM」に乗っているのは話が通じる、「人間」なんだから…ね。
[返事はNOだった、強大にそんな人間はいないと]
あー、ごめん従兄弟だった。
あと、意外と急ぎの内容とでも伝えてくれるかな。
ってことで、もっかい確認してくれる?
[もう一度内線を掛ける受付上を尻目にロビーに備え付けのソファでだらける]
お前に、嘘を付いている
と判断されない事には安堵する。
が、
純粋。
何だ、その表現は。
[むと言う音が聴こえそうな表情でフィリップを軽く睨む。]
あ、そうそうねーちゃん。
もう一つ追加しておいて。
キーワード、ポルッカ・ヘヴンベル、と。
[此処まで言えば在ってくれるだろうか?
まぁ、最悪伝言だけでもいいのだけど、
折角だから爺に貸しを作っておきたい]
純粋。
ピュア。
穢れひとつ無いという意味だ。
穢れという単語自体の意味が曖昧ではあるが、つまり君は僕から見て後ろめたい事をしていない、という事だ。少なくともそう信じている。
・・・・・・すまないが、少しだけ外の空気を吸ってくる。
酸素が不足しているみたいだ、頭の回転が鈍っている。
[扉の外で、少し空が見えるような場所がいい。
そんな所はすぐには見つからないかもしれないが、リルもまだ時間がかかるのではないかと考えた]
ちょっと用事ができちゃったみたい。
好きにしててね。ごゆっくりー
[小走りに部屋を出て、すぐに別の部屋へ入る。
そのまま左手を動かして、部下へ連絡を取る。]
私だ。
何?…へまをやった、のはいい。
さっさと内容を言え。
…なんだと!
迂闊な…
[Endeavour社の調査によれば、
パイロットは身元の判明する──人間。
そして、インターフェイスは、少ないとも簡単に戸籍等が判明するような存在では無く、だが女性である事は確認されている。
──ではリルは?と繋げれば、現状のフィリップの疑問に接続するだろうか。だが、その内容をフィリップに機会は。]
後ろめたい事等何も無い。
だが、意味が分からないぞ?
[む、と言う表情が二乗になる。]
外にでも、何処にも行くが良……、
相手のプロフィールはわかっていなかったのか。
最大限の警戒を持つべきだった…
く、仕方ない。
捕まった社員の安全を第一に、交渉を持て。
こちらの立場をうまく伝えろ。
…何?
面会の希望?
今そんな暇があるわけが…
なんだと!!!
[キーワードは効果抜群だったようで、
応接間らしき部屋に通された]
フィリップの名前は案外使えなかったな。
当然か、企業のトップとしては好ましいかもしれないね。
[通された部屋の椅子でも相変わらずだらりとくつろぐ]
…末端の社員たちに情報統制を敷け。
何も聞かなかった。いいな。
…以後、情報部から人をやってことに当たらせろ。
相手の要求を聞き出せ。
こちらから「何ができます」とは、間違えてもやるなよ。
その面会希望者の名前は…いや、後でいい。
とりあえず奥へ通せ。
人目に触れさせるな。
ふっ。
[息が漏れた。真剣に反論するリルの表情が、急におかしく感じられた。
リルがどんな存在なのか。それをいつか聴くときがくるかもしれない。必然ではないかもしれないが、自分を構成する要素の真実のひとつがリルである事も間違いない。
だが、今だけはこのままでいい、そう感じた]
ああ、少し・・・・・・
[だが、先に部屋の外に出て行ったのはサラだった。用事、らしい]
サ、ラ?
「彼女」に、
質問したい事があったのだ、が。
[フィリップより先にサラが緊急の用と言った態で部屋を開ける。]
──…ッ
何が可笑しい。
[点滴のチューブは既に抜かれて居り、息を漏らしたフィリップを咎める。]
忙しい人だ。相変わらず。
じゃあ、ちょっとだけ留守番をしていてくれ。すぐ戻る。
[そう言うと、フィリップもまた部屋の外へと向かった**]
あー、早くこねぇかな。
別にたいした用事じゃないというか、伝言に着ただけなんだけどな。
ちょろい相手なら、伝言を餌に交渉もしくはなんか貰っていくんだけどなぁ。
[ぼそりと呟く。
盗聴されていても聞こえない程度には警戒はしている**]
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