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・・・・・・これは、お見事で。
[着替えて洋間に鞄を取りに言った頃には、既に食卓に立派な朝食が並べられていた。
静かに食卓に座り、箸を取る]
いただき、ます。
[軽く目を閉じ食卓に祈る。
日本の文化では、このいただきますという一言を言う習慣があるようだ。何故そう言うのか学生に聞いたのだが、特に明確な返答も無かった。ある時教授に尋ねてみたところ、”この食事を得るために失われた命をありがたく頂戴する、という意味なのだよ”と教えられた。それが真実かどうかは判らないが慣習化している。
だが、今朝のいただきますにはそれ以外にもいろいろ意味がこめられていた。まず彼女が自分の上から降りたときに”穏便に抉じ開けて”という言葉を放っていた事、そして彼女が間違いなく金銭というものを持ち合わせていないであろうという推測。これらから、このいただきますという言葉はいたいけなスーパーの店長へと向けられてもいた]
私はからかってなどいません。私はHMというものを知りません。ロボットというものも知りません。人間に似た、人間よりも強い種族ですか? たとえば、狼男のような?
[狼男なら、彼女の知識にもある]
……そういう事ですか。「終焉」に関する知識が喪われているのですね。私たちに滅亡という最大の理不尽を押し付けようとする、あの存在の事を、
長い時間が押し流してしまったのですね。
[青年の反応で確信を得た。この時代の人間達は、あの最悪の凶事をすっかり忘れてしまっているのだ。だから、自分が一人で目覚める事になったのだ。
キャスリーンは目の前が真っ暗になったような気がして、そして]
[恐る恐る、卵に箸をつけ口に運ぶ]
うまい。
[ぽろっと口から出た言葉だった。確かによく出来ている。
いい嫁さんになれるよ、と声をかけようとしたのだが、そもそもそれ以外にいいお嫁さんになれそうもない要素が多い彼女にこの言葉をかけるのを躊躇い、飲み込んだ。
そのまま、時間も少ないことから少し急ぎ箸で朝食をたいらげる。そしてまた目を瞑り祈るのだ]
ご馳走様でした。
[スーパーの店長に、この祈りは届くのだろうか。しかし今のフィリップにはこれくらいしか出来ることは無かった]
狼男??? まーた、俺をからかってるな!!
HMは人間の形をした機械だよ。
人が乗り込んで動かすアレだよアレ。
くくく、なんで俺真面目に解説してんだろ?
[からかわれているのに何故か真剣に解説している自分。
それがおかしくて笑ってしまった]
なにをいってるかわからん!!
俺にとっては、あんたこそ、最大の理不尽押し付け女だよ!!
略して、理不尽な女!!
―蒼真宅―
――…。
[小さな呟きを聞きとめたらしく、イステの唇が動く。]
さみ しい。
[蒼真を見ていた眸が、ふと僅かに俯いた。]
人ではないのに、人であるとは
お前は、奇妙なことを、謂う。
[食事を摂る音が続いた。]
…先走るのをやめたのは、なぜ?
ひとは、感情を持つものだろう。
うむ。
[いただきます、と言ったフィリップにニッコリと笑いかける。
どうやってインターフェイスがスーパーを穏便に抉じ開けたのか、その真実は闇の中だ。ヒントを一つ言うならば、ラボのシステムにも不正に侵入していた事と似ていると言えるだろうか。しかし侵入しただけでは、買物は出来ないのだった。]
美味いなら良かった。
まるで日本人のように、礼儀正しいのだな。
[朝食を終えた後のフィリップには、一般的にはコスチュームプレイとしか言いようのない、ピタリとした特殊素材の衣装を来た女性との外出と言う試練が待っている。ちなみに、リルが洗い物をする時、小さなボタンのようなものを押して、気密性の高い手袋を外した。]
差し当たり、髪は二つにでも括っておけば良いか?
[現状:コスプレ、ツインテ。]
機械……乗り……込む?
[ゆれる身体を意志の力で抑えつけようとする。だが悲しいかな、その抵抗は全く無駄な努力なのだ。意志の力でどうにかなるものならば、最初から弱点になどなりはしない。みるみるうちに、キャスリーンは血の気を失っていった]
うか……つ……吸っ……まっ……。
[青年の接近が追撃を呼ぶ。においが満ちる。視界が光に染まり、心音ががなり立てる。立っているという感覚すら消え失せて、キャスリーンは意識を手放した]
ほんとに、そんな格好で外出するのか。
[ああ判っている、言っても変わらない。
もしそうだと言っても我が家には当然のごとく女性の着替えなど存在しない。
だが、これで外に出れば間違いなく目立つだろう。
これは止めたい。
が、たぶん止まらないだろう。着いてくるなと言っても無駄だろうし、着替えを購入するために外に行って戻ってくる時間はもはや無い]
判った、とりあえずその格好で行こう。幸い徒歩で行けるわけだから、その格好で電車の改札を通過するという最悪の事態も無い。
だが、帰り道に服を買おう。それだけは頼む。
[ところで何で彼女はツインテールに髪を括ったのだろうか。
なんにせよ、彼女の知識には偏りがある事を理解した]
じゃあ行こう。
[意を決し、靴を履いてリムを連れて外へ出る]
[サイレンを鳴り響かせて十字を背負った車が現れる。
降りてきた人を手招きして呼び寄せた]
こっちこっち。
なんか、急に倒れちゃったんで、お願いします。
名前はキャスリーンって言うらしいですよ。
「知り合いですか?
少しお話を聞きたいんですけど」
[降りてきた退院のいぶかしげな表情が若干不愉快だった]
いいえ、ついさっきいきなり話しかけられただけですよ。
あらぬ事で疑いを持ってるようですけど、
もしその気なら、貴方達を呼ばずに放置すると思います。
それじゃ、あとはよろしくお願いします。
[救急隊を睨み付けてその場を後にした**]
うむ。
お前の服を着て、
講義室に入る方が良かったか?
[真面目に問う。髪型の事を問われれば、髪型も変えた方が良いと言ったと答える事になるのだが。部屋を出て朝日の下をフィリップと並んで歩く、リルの足音は軽かった。]
で、間柄の設定はどうするのだ。
女性同伴の理由を付けて置く
必要が有りそうな事を、
お前は言っていたぞ。
──私は、
パイロットとインターフェイス
だと説明しても良いのだが、
社の命令でストップが掛かっている。
/*
@寝床
ねむねむ……って、ちょwww
なるほど、うまく説得しろということか(笑
なかなかてごわいな。まあ、明日かんがえよう。
*/
−フィリップ邸→大学への道−
[予想通りだが視線を大量に集めている。こういう場合は何食わぬ顔で歩くのが一番いい、とグランマの教えどおり胸をはって歩いていたのだが、結果通学中の学生に見つかり声をかけられてしまう]
『あれ、どうしたんすかフィリップさん?とうとう気象学バカのフィリップさんにも彼女が出来たって事ッスか?』
『お、おはようございます・・・・・・あ、言いませんから絶対』
『不潔。職場に彼女連れてくるとかありえないと思いますけど』
[なんたる屈辱。しかし今は胸を張って歩くしか方法が無い。
そしてそんな事を全く気にせず随伴しているリルは、さらに余計な一言を、しかもそれなりに周囲に聞こえる声で話しかけた]
お、おい!!もうちょっとそういう事は小声で言ってくれよ!!
え、あ、えーと設定?う、うーん。
[焦り。これほど焦る事も自分の人生では無かった筈だ]
か、彼女・・・・・・はもうやめたほうがいいな。
妹!リルは妹でどうだろう!!ああそうだ、妹だよ君は僕の!
[周囲に聞こえる声で言った。出来れば先ほど声をかけてきた学生に届いて貰いたいものだ]
[ほどなく大学へと到着する]
あ、いや妹のリムよ。今日は大学の見学という事だがおとなしくしていてくれよ。
[大声続行中。もはや情けなくて涙が出てきた。
研究室に荷物を取りに行くと、やはりまた軽く引いた目で学生たちに対応された]
あ、ああ妹なんだよ妹!!
[今日一日で妹という単語をどれだけ口にすればいいのか判らなくなってきた]
とりあえず、これから講義なのだが。
講義まで聴くのか、リム?
こっそりと教室の一番後ろあたりに座っていてもらえるならば、まあ助かるのだが。
もしくはここで待っていてくれてもいいんだぞ?
[研究室から資料を持ってフィリップが戻る。
場合によっては、この研究室でリムが待機していてくれればと祈っている]
─ 朝/大学へ向かう道 ─
[学校へ向かうのだから、当然、通学中の学生達に見付かる。視線を集めている事にインターフェイスが頓着する様子は無い。]
リムじゃない。
──リル。
[名前を間違えた事にだけ、頬を膨らませ、無表情でフィリップを睨んだ後、衆人環視の中腕を掴んだ。
行く先々で、妹、妹と言う単語を繰り返すフィリップには、]
その件は了解しよう。
妹プレイだな。
[腕を組んで顔を見上げる。]
[二人の背後で、学生の声が聴こえる。]
「聞いた? 妹プレイだって。」
「確かにどう見ても先生と似てないよねー。」
「て言うか、あれ──…Endeavour社のモデルか何か?」
「フィリップさんって、あそこの。」
「……それで、妹プレイなんだ。へええええ。」
[研究室の入り口付近に出来始める人だかり。フィリップの祈るような願いを断ち切るように、]
差し当たり、今日の講義は全部聞くぞ。
一番後ろで聴くのでも、聴力視力共に問題は無いが。
・・・・・・そうか。
[この世界に神は存在しなかったようだ。諦めた表情で頷く。
周囲の視線が痛い]
じゃあ、このまま教室に行くからついてきてくれ。
[もはやどうにでもなれ、と思いつつ廊下を教室へと歩いていく。
教室付近ではもはや一歩後ろへ引いた状態の学生が待ち受けており、リルには後ろの扉から教室に入るように指示した]
―翌日・大学―
しまった、別に講義ないのについ来てしまった……。
[うっかりすぎた、昨日誰かに蹴られたせいに違いない]
お、堅物教授にも彼女だって??
これは、からかいにいくしかないよな!!
[聞こえてくる声。
そして集まる視線。
これを放置する理由などなかった]
−教室−
[フィリップは前の扉に周る。扉には『理学部生物学科 自己制御システム論 講師:フィリップ・ミラー助教授』と書かれている。
いわば専門分野であり、フィリップにこの授業は任されている。
だがメジャーな科目でもない為、受講者自体は他の授業に比べて少ない。その分、この授業は自身の所属する研究室の学生や気象学に熱心な学生が多く、やけに緊張感があるのだが。
今日は、別の意味で緊張感が教室を支配していた]
やぁ、フィリップ。
何時もの真面目な講義とは全然違うな。
鼻の下が伸びっきりのようだけど、いったいどうしたんだ?
[教室に入り、声を掛けた。
言葉にはからかいの意図が透けて見えただろう。
当然だ、隠す気などなかったのだから]
妹だ!妹だぞ!!
[少し大声で言う。昨日講義後に話しかけてきた女性の学生もいたようだが、リルの姿と今日一日のフィリップの騒動を聞いて突然教室を飛び出していった。理由はよく判らないが彼女には非常に申し訳ないことをした]
君は、確か僕の講義は受けていない筈だが気が変わったのかな?
聴講は歓迎するが、その、あまり騒ぎを大きくしないように。
何時もの冷静さは、どうした??
俺、一応昨日のフィリップの講義は毎回出てあげてるんだぜ?
この講義は、確かに取ってないけどさ。
今日は暇だから後ろでゆるりとするかねぇ。
妹さん?もいるみたいだし。
[面白い物が見れたとにやにやしながら離れる。
向うのは一番後ろの席だった]
[講義に向けて、言われた通り一番後ろの席に座る。
講義室内の奇妙な緊張感はまるで存在しないかのよう、無機質な真紅、リルの注視は段上のフィリップに注がれるのだが。]
──…?
[リルがツインテの髪を揺らしたのは、女生徒が部屋を出て行った時ではなく、1人の学生がニヤニヤと笑いながら、親しげにフィリップに話し掛けた時。
クルと身体を横に傾ける。ビクッと肩を揺らした隣席の男子学生に問う。]
今、フィリップに話し掛けた。
あれは誰だ?
円城寺 海人、ふむ。
[軽く頬に手の甲を当てて首を傾けた時、その当人がこちらにやってく来ようとしている事に気付いた。]
お、なになに?
俺に興味津々と言った様子だけど。
まったく、色男は困っちゃうねぇ。
[席に着いた途端、横にいる女性から視線を感じた。
噂を聞いているのみで、隣の女性がフィリップのソレとは知らなかった]
[教壇に立ち、講義を開始する。
資料を広げ、黒板に昨日同様「自己制御システム」についての理論を書き込んでいく。
昨日とは違い、さらに深く、気象の変化と生態系への影響、そしてこれらの相互作用によって生態系が修復される可能性についての論述を書き上げる。
しかしやはり気になる。確か彼の名前は円城寺だったはずだが、彼がリルに余計なちょっかいを出して。
リルが不穏な言葉を口にしないか、と]
……──、
円城寺 海人、と言うのだとな。
今、右席のヤツに聞いたが。
[隣席に座り自ら色男と名乗った相手をじっと見詰めた。
講義開始のベルが鳴る。
相変わらずピタリとした素材に包まれた黒手袋の指先を、円城寺の前にかざしてみながら。リルの指先に現れるのは、蒼白い光の波紋。一般人には見えないが、おそらくフィリップと、円城寺には見える。]
色男。
お前は、何者、だ?
……私とは、一致しないが
何かの──シグナルを発している。
[と、フィリップが時々こちらを見ている事に気付いて、口元に小さな笑みを浮かべる。]
お、流石だね、俺有名人だから皆に知られているみたいだ。
[女性が指差す隣の男に記憶はなかった。
相手が名前を知ってるのならばやっぱり俺は有名らしい。
半分は悪評なんだろうけど]
なんだぁ? マジックかぁ??
俺のことより、今は君の名前が気になるな。
一致って性格??
シグナルとかはよくわからないけど、その辺は追々ってことでどうだろうか?
[フィリップに大丈夫だと言う風にヒラヒラと手を振った。
顔は正面に戻して、片側の視線だけを円城寺に。視聴覚の注視先をフィリップと円城寺の二つに振り分ける事にした。帝都大学の学生と言えども、集中した注視を振り分けるのは、一般的な人間には難しい事。]
…む。
今の光が見えるのか。
[講義は全て聞き取る、フィリップの表情も見詰める。
それでいて円城寺にも真紅の視線を注いでいる。]
──リル。
それが、今の名だ。
私は壇上に居るあの男に夢中だが、
円城寺が如何なる理由で有名なのか
簡潔な説明が聞きたいぞ。
お前にも別種の興味がある。
[壇上からちらちらと様子を気にしているのが判ったのか、何故かこちらに向けて手を振っている。
つい、条件反射で手を振ってしまった。
ざわっとするかと思いきや、逆に室内がシーン、となってしまった。
成る程、人間というのはこういう気まずいシーンに直面すると何も言えなくなるのだな、という教訓を得る結果となった]
君という光は見えたかもしれないなぁ、なんてね。
[よく分からない事を呟かれた。
そんなわけで自分の方向に誤魔化してみた]
リル、ね。
改めて、自己紹介すると円城寺 海人だ。
俺が有名な理由?
頭が良くてカッコいいからかな。
[実際、成績はかなり良かった。
顔も悪くないと思っている。
昨日はっきり好みではないといわれたばかりだけど]
なるほど、噂の彼女だか妹さんか。
こりゃ、俺の努力は無駄だったな。
[言葉と手を振る仕草をみて肩を落とす素振りを見せる。
もっとも本気で口説いたわけではないけど]
[講義室は静まりかえっている。うっかり手を振ってしまって、またリルが笑みを深くしてから暫くして、フィリップからは遠い後ろの方でヒソヒソ話が聴こえた他は。
円城寺の誤摩化しが理解出来ず、不可解そうな瞬きになる。]
円城寺は、成績が優秀なのか。
学科と将来の夢は?
──見た目は、ふむ。
[周囲を見渡してみて比較すると、他の学生達のルックスの平均値をざっと計算したりしなくとも、円城寺の外見は抜きん出ているように見えた。寧ろ、真面目な学生の多い講義室内だけで見れば、その見目が浮いている気も。
肩を落とすそぶりに、おかしな男だなと片目をつぶる。]
何か、外見と成績以外で、
普通では無いと言われた事があるのでは。
そのように見えるぞ?
そして、私はフィリップの彼女では無いらしい。
その案は、今朝がた却下された故に。
[しーん]
・・・・・・
[授業にならない。つまり、これでこの教室の学生からは『フィリップは現在妹と言っている女性が今朝がたフィリップに告白した結果、それを断り妹として同伴させている』という事になる。多分状況を把握できている学生はいないと思うが、少なくともフィリップとリルの間ではまさに泥沼な世界が広がっていると思われているのだろう]
oh, My god.
[祈った。
講義終了の電子音が部屋に鳴り響いた。
神はいたようだ]
フィリップに夢中なのに、告白して玉砕!?
だけど、妹ってどういうことだ!?
[状況がつかめなくて思わず叫んでしまった。
きっと教室の外まで聞こえていたに違いない]
あ、講義終了か……。
[電子音で冷静さを取り戻す]
しかし、フィリップも甲斐性なしだねぇ。
気象バカの本領発揮ってところか?
そういえば、あの円城寺とか海人とかいわれる事も多いな。
いたって普通なんだけどね、有名税って奴かな?
[誰にもともなくうんうんと頷く。
リル以外からも視線を感じたが知らない振りをした]
あ、学科は経営かな。
将来の夢は、今のところない。
とりあえず、そんなところかな。
[フィリップの彼女の下りで抜け落ちていた自己紹介を続けた]
[円城寺の残念な叫びが講義室に響いた。
これまでは居ないか、居てもごく少数だったはず状況を把握している学生の数が一気に増産されてしまった事になる。
そして、その途端に、講義終了である。]
現状は、まだ玉砕では無いぞ。
そのような断絶があるならば、死も同然。
そして、確かに私はフィリップの妹だ。
[リルは至って真面目な表情で、円城寺に首を傾けた。]
──しかし、
あれは、学生に気安く己の名を
呼び捨てにさせているのか。
何か、気に入らん。
円城寺、お前も気になるのだが、
少しフィリップと話をして来ようと思う。
[ドン引きしている学生達が、壇上へ向かうリルを注視しながらも、さざ波のように教室から出て行く。扉のあたりで群れが出来た。]
……何故かは分からないが、
お前とも、また会う気がするな。
[ふと思い出したように、リルは円城寺を振り返る。
フィリップの傍まで来ると、人目を気にせず彼の腕を引いた*。]
ほう、玉砕ではないと?
中々興味があるぜ、そういうの。
死も同然とまで言ってくれる女性であり妹を振るなんてなぁ。
やっぱり、フィリップだな。
[不機嫌そうなリルを見て首を傾げる]
皆にフィリップと呼んでくれっていってるぜ?
もっとも、皆びびって中々呼ばないけどな。
特に女の子は様をつけたがってめったに呼ばないなぁ。
うらやましい限りだけど。
そうだなー、よく話した方がいいかもな。
[また会う気がするの言葉に]
お、いいね、その言葉。
それじゃまたな、リル。
[フィリップの大声に笑いながら教室を後にした**]
[廊下でひそひそ話をしている学生を横目に、リルに腕を引っ張られてその場を立ち去る。
今日の講義はあと1つ、気が重い]
もうちょっと会話内容に気を使ってくれないか、あれだとあらぬ誤解を生むじゃ・・・・・・
[そう言い掛けて言葉を止めた。リルはどうもご機嫌斜めなようだ。円城寺君と会話していた際に何らかのトラブルがあったのだろうか。
拘束されていないほうの腕で頭を掻く。彼女の機嫌が直るまで言いなりになっておくしかなさそうだ]
[しかし、なんだろう。
昔、こういう事があった気がする。
他の誰かではなくて、リルかそれともリルに良く似た誰かと。
朴訥な僕がこうやって引っ張られて、そして彼女によくいやな思いをさせていた気がする。
この記憶は、何だろう。
いろいろトラブルもあり、また彼女もフィリップに言いたいことがあったようだが、とりあえず講義が終わるまでは待ってくれと諭した。
今日の大学での用件が終わり、あとはまた校門付近の冷やかしを耐えながら帰路に着くだけとなった。
その前に、この目立つ姿を隠すための洋服を購入する約束を果たさねば**]
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