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――カチリ、カチリ、………、カチリ。
――煤けたネオンサインに照らされ、古びた時計台が時を刻む。
――カチリ、カチリ、………、カチリ。
――時折、針を足踏みさせながら。
――カチリ、カチリ、………、カチリ。
――近付く、“祝祭”の時。
――そして、同じ刻。
――アーヴァインが突然行方不明になったとの一報が、"Vermillion-Jack"の情報データベースに記載された…――
――1F・"Platform"――
「あっれぇ……?何コレ。」
[丁子混じりの煙を吐き出しながら、"Red"フロアのプリンセスは、メダルゲームのタッチパネル画面を弄っている。
"Vermillion-Jack"メンバー専用のパスワードを入力することで、メダルゲームのマシンのタッチパネルには、新着情報が記載される仕組になっているようだ。]
『アーヴァイン、行方不明……?
何いったい。おかしくない……?
組織に裏切り者がいるって、ホントだったんだねー……』
[煙草を咥えたまま、モゴモゴと呟いた。
傍目から見れば、ただゲームに負けて愚痴を言うだけにしか見えないようだが。]
《業務連絡》
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは、本日23:00にコミットして2日目を迎えたいと思います。
コミットアンカーは村建て主が務めますので、皆様コミットをお願い致します。
《業務連絡》
また、アーヴァインを始め「襲撃」で墓下送りになったメンバーの「死亡通知」は、全てデータベース上で行います。
【直接自分の目で「アーヴァインの死体」を見るような「襲撃発見RP」は行わないようにお願い致します。】
4Fの"Vermillion-Jack"専用ルーム、B2Fのスタッフ専用ルームで情報を得ていただくか、>>#4にあるように、1Fにあるメダルゲームのタッチパネル画面からデータベースにアクセスして下さって構いません。その他にそれっぽい方法で発見方法を考えて下さっても大丈夫です。
この方法を使用する理由ですが、「破壊者」側の襲撃RPの場所と死体発見場所が違っていたり、死体の状況が違うといったような齟齬を出さないようにするためです。
というわけで、【襲撃発見RPは「死体発見RP」をせずに、データベース上か、スタッフや幹部から聞く等の方法で行って下さい。】
また「破壊者」側の皆様は、「襲撃RP」を回想として行って下さっても大丈夫です。リアル大切に。
以上、よろしくお願い致します。
――2F Blue floor――
ふふっ…わたしが昨夜、どのような想いを抱いて貴女の腕の中で蕩けたか…。それはご想像にお任せするわ?オードリー…。
尤も。貴女ほどの人ですから、わたしの心なんて全てお見通しなんでしょうけども…ね?
[すっと差し伸べられた指先が、蛇の舌を隠し持っていたものならば、女は抵抗する事無くその艶かしい動きを受け入れ、淡い嬌声を漏らしたかも知れず――]
[しかし二宵続けての夜伽の誘いが耳許を白くなぞったなら。或いはやんわりと断ったかも知れず――]
…ねぇ、このカクテルの名前、なんて言うのかしら…?
[エスコートを受けたnoirからの贈り物に、興味を一つ落として、訊ねる。目の前のバーテンダーへと。]
…そう。なかなか洒落たカクテルを、置き土産にしてくれたじゃなぁい?…ねぇ?ShadowWalkerさん?
[返される答え。歪む口許から零れ落ちるは、空気を震わす程度の微笑み。赤く染められたそのグラスの中身を、さて女は飲み干したか否か。]
ご馳走様…。今宵のお酒も美味しかったわ…。
じゃぁね、オードリー。貴女にとっても良い闇であれ…。
[全身に酔いが回った頃。女は舞い降りる天使の如く優雅に立ち上がり。深酒をするオードリーの髪筋に軽い口付けを。そしてその場に残る仲間には会釈を。振り撒きその場を立ち去った。
今宵羽を休める止まり木の元へと――]
――回想・B2F"Red"floor――
〔影纏う痩せぎすの男が膝へ、半ば懐くように寛いでいた此方は、思案置く彼が紡ぐその間をも愉しんでいた。――併し、その薄い唇から決然たる言葉が零れ出すのを理解仕出すや否や…僅かに目を瞠る。彼が持たない鼓動は、やがて此方の胸で煩いほどに警鐘を鳴らし出す。フロアを満たす赤。警戒色。〕
……、…っ…
〔急に思い当たることがあり…女はがばと天井を振り仰ぐ。〕
――…ぁ…!
〔知らず喉奥に引き攣る悲鳴。其処には――
1Fの"Platform"へ映し出されるモニターの…カメラ。〕
〔折しも今は、イベント機材の入替え中にてBGMの類は皆無。
しかしフリースペースとして利用されている以上、映像は切られていなかっただろう。そして此方が凭れていたのはアンプ。何処か近くに――音源があった筈。多少の技術がある者がいれば、此方の会話は拾われていたかもしれない。〕
……く、迂闊…! …っ
〔表情の強張りは控えめながら、きめ細かに整えられた化粧の下では、男の顔色の如く血の気が引いていた。短い歯噛み。〕
…ジーン…っ…待て…!
〔不吉な陰を再びその身に纏いつかせ…否、自らが闇そのものに浸かり行こうとするその後姿へと、押し殺した呼び声を向けた。〕
〔振り返らず姿を消すHurtedheart。*女は立ち尽くす。*〕
――2F Blue floor――
[グラスへ注がれるペリエの水の音と同じくして、気泡の如く青年の意識も浮き上がる。此方の世界と繋がると同時に耳を劈く爆音にはまだ慣れない。一瞬煩わしげに眉を寄せるが焦点の合わぬ目で遠い天井を仰ぐとクツ、と喉の奥を震わせて込み上げてくる衝動を噛み殺し]
――B1F・"Black" floor――
……ふむ。そうか。
[幹部からの入電は知っていたものの、彼の太い指はメダルゲームの小さなタッチパネルには適応しないのが常である。仕方なく、男は一番大きな音が響く密室―爆音のパーティが開かれている場所―で情報を聞くことにしたのだ。]
アーヴァインが…な。そうか。
まあ、あやつも一人前になるのだから、まあ自力で何とかできるだろうて…。
あやつがもし、命を落としたら……
その時は、儂らも本気を出さねばならんだろうな……。
[重低音が響く中、老戦士はグイと水を飲み干した。]
[ぎょっと身を竦ませるバーテンに指先を空に泳がせてなんでもないとサインを送ると足を組み直し、目を細めるのはネオンの閃光の為か、それとも湧き上がる愉楽のものか…]
Ah...そういうこと、なのかな…?
…やっぱり飾られた言葉の羅列は頭が痛くなる程嫌いだよ…
…容れぬ者である貴方と言葉を交わすのは
意外なことに愉しいとすら感じることも多いけれど…
同時に意を汲むのにとても労力を遣う。
一晩もかかるようなパズルは遣り甲斐があるけれど、
頭を使う作業は苦手なんだ…。
始まりの部分が違うのだと思っていたのだけれど…
ひょっとすると幾つもの分岐の末の結果であって
奥底に在るものは似ている存在なのかな?
僕の勘違いと貴方の真意はとても紙一重じゃないかって…感じるから。
[その場にはいない相手へと僅かながら胸の内を吐露する表情は通例のそれとは違い、何処となく温柔な様子もも垣間見えるもので。]
――翼休めし場所――
[Blue floorを後にした女が辿り着いた場所は、フロアを移動する為に利用される階段の影か、はたまたフロアの一角か。]
[喧騒漂いしかの場所であっても、しかし彼女にとってそこは安住の地。死の香りを常に漂わせし日々から僅かに開放されるその場所で、悩める薔薇はひととき瞳を伏せる。]
[一夜限りの契約、包み込む腕(かいな)の温もりに包まれ、愛憎哀で満ちた杯を抱えながら]
[音の渦の中、DJが流す曲に合わせて頭を振る者達を見ながら、バーテンダーにつぶやく。]
……随分とイキの良いヤツらが居るな。
純粋な生命力と暴虐的な力、両方を持ち合わせる者どもが。
もし儂が全力で「出動」せねばならないのなら、
きゃつらの力でも借りるとするか。
はあっはっはっはっはっ!!
[爆音をも押し返すダニエルの笑い声に対し、バーテンダーは、口元を歪める笑みで返す。
群衆は、DJに向かって狂気に満ちた「おしくらまんじゅう」を開始していた。中には、群衆の上を転がり進む者まで現れる始末。殴り合い、絶叫、振りかざされる腕、ヘッドバンギング。フロアには、巨大な力が渦巻いていた。]
……まあ、災厄は訪れん方が良いのではあるが……な?
[それだけ、念を押す。
ミネラルウォーターの礼を告げると、男は"DIRTY LOUD PARTY"と銘打たれたイベントの会場を後にした。]
――B1F・"Black" floor → 2F・"Blue" floor――
[緩く吐息を零すと鳴り止まないBGMに表情は忌々しいものを見た時と同じ物へと変わり、小さく舌打ちした]
…だからどうという訳でもないけれど。
ああ、忌々しいよ…心の底から、この音楽が。
この音から逃れたくて本来容れる筈のない言葉まで
耳に受け容れてしまう。
――2F・"Blue" floor――
[入り口で、フロアをぐるりと眺める。
のったりとしたスピードで、緩慢な動きをする男女の群れ。
先ほどの狂気に満ちた群衆とは異なるエネルギーの渦。]
ふうむ……。
[豊かな顎髭を撫でながら、男は考え込む。]
奴らには、「力」があるのか……?
生命力、暴虐な力。
……先ほどよりは、ありそうにはとても見えぬのだがな。
まあ、いい。
「質」はやや落ちるが、「量」は負けんな。
[ぽつりと自答した。]
――2F "Blue" floor・バーカウンター――
〔脚運ぶ"Blue"は、昂ぶった神経を鎮めるには良いフロアだった。半ば音の割れたようなヴォリュームで流される音楽も、今は鼓動に準えられるものと漠然とではなく知っているものであり〕
……ラッセル。
〔かつとフロアの床へ革靴の音を鳴らして、男装の女が執事たる青年へと声をかける。彼が振り向くのを待ってから、微かに眉を顰める、併し常親しい者へと向ける笑みに唇の端引いて…〕
昨夜は、…済まない。
〔言葉はそれだけ。含まれるのは、彼の身を案じる余り誤解をそのままにしたことと、その考えが間違っていたこと、彼の好意を無にするような真似をしてしまったこと――そんなところかもしれず〕
おお。ラッセルにオードリー。
お主らはこのような類の音が好みなのか。
随分とここのフロアを気に入っているように見受けられるがの。
[ペットボトルの水を一口飲む。]
[フロアの中で幾つかの群れを成す男女の姿…そのどれにも青年の興味をそそる物は無く、現れた二つの影にだけ僅かに反応を示し。名を呼ばれると柔らかにも感じるその声へと顔を向け、続く言葉には瞳から興味の色を失くした様子で緩く小首を傾げた]
…謝るのは趣味かい、WidowedGentleman?
その言葉にはデジャ‐ビュを感じるよ。
貴方は謝る必要はないし、僕にも言われる記憶がない。
…それだけのことだと思うけれど。
昨夜は僕は珍しくも楽めたよ?
Ceremonyまでの暇潰しには充分過ぎるくらいに。
一つ注文するならば、もう少し解り易い言葉だと良い。
僕は形はこんなだけど学はないから意を汲むのに一晩かかるんだ。
[冗談を紡ぐ時の口調で緩く口角を上げてオードリーを見つめたが、瞳からその姿を外してダニエルへと向け]
[ダニエルに言われた言葉には面白くなさそうに目を眇め]
…冗談。
動くことすら億劫だから此処にいるだけだよ。
音なんてうるささはどこも変わらないんだ。
どこにいても一緒だ…。
[言う間にも声を上回る音にうんざりとした様子で陰鬱な吐息を零した。]
─4F "Vermillion-Jack"専用ルーム─
[照明を落とした一室で、黒の男はVermillion-Jack幹部たちの査問を受けていた。
あえかな笑みを唇に浮かる男は、恭順ではあっても畏敬はなく。その眸にはいかなるいろも見せはしない。]
忠誠をお疑いならば……
自分は銃であり、剣でしかない。
それ以外のことは考えません。
やれと仰るのであれば、そう、従うだけです……貴方がたにご満足いただけるように。
御用はそれだけですか?
〔豪放磊落を地で行く古株たる男の声に、女は幾分安堵を誘われるような笑みを浮かべて振り返る。目配せでの挨拶は、此方が彼によくするところの其れ。〕
…おやん、こんばんはだ…ダニエル兄。
アッハ、私は大概のものは好くよ?
気が向けば何処へでも行くし誰にでも逢うし。
ダニエル兄はそうでもないのかい。
いま行方の知れないアーヴァインから、今朝方に
『キャロルがニーナに突っかけた』話を聞いてたのでね。
2人…どちらかだけにでもいいから、
逢いたいのだけれど…見なかったかい。
〔ダニエルの持つ水を見遣ると、少しばかり
面持ちを曇らせたが…気を取り直して尋ね〕
ほうほう。そうか。ラッセルは嫌か。
ここの人間を見ていることにも、さほど満足している様子でもなさそうだがのう……。
[壁際に立ち、ラッセルに視線を向ける。]
……音にも人にも飽きたなら、お主は何を所望する?
[ひとつ、笑う。]
……いいや。
[オードリーの言葉に対し、男は首を振った。]
ニーナにもキャロルにも会っとらん。
何があったのだ、あの2人に。……諍いか?
……あの正反対な2人の娘が、顔を合わせて談笑する姿なぞ思いつきはせんがな。
[オードリーの視線がペットボトルに向いたのを感じ、男は自嘲気味に笑う。]
いや、儂が水を飲むのはまずいか?
すまんな、儂は下戸なもんで、酒が飲めん。
水がまずいのなら……コーラにでもするか。
[ペットボトルの水を一気に飲むと、バーテンダーに命じてコーラとカラッポのペットボトルを交換させた。]
…Sledge-Hammerは見ていて満足できる…?
だとしたらきっと僕とは趣味が合わないね。
一つ訂正だよ、Granpa。
僕は音にも人にも飽きていない。
…初めから興味がない、それだけだよ。
[問いには形の良い唇で三日月の型を描き]
……そうだな。
今はコーラが欲しいよ…。
[真意は語らぬまま催促をするようにダニエルの持つボトルへ目配せをして指先を何度か曲げて見せ]
――少し違うな。ラッセル…
〔他者への興味が薄い青年と、他者への尽きない興味に焦がれる此方。それもまた表層…と女は豊かな髪を手の甲へ乗せて流す。〕
…ひとへは詫びるなと言っておいて、自分はさっさと詫びてしまうことが多い。
意図的ではないのだけれど、後から自分の性根に凹んでしまうところなのだよ。
…アッハ…わかった、ではそういうことに。
愉しんで戴けたなら光栄さ? 無論私にも学はないとも。
なるべく気をつけはするけれど…何分素だ。
例え一晩かかっても、結果としてわかってくれるのは
君しかいない…そういうこともあるのだよ。
〔変らぬ本音を彼に…今は真っ直ぐ伝えられているといい、と願った。そして最後の言葉については、昨夜心底に呟いた言葉へ酷似する内容かも知れず〕
そろそろニーナたちを探しに行きたいけれど…私の早すぎる結論を伝えておいたほうがいいかい? "StiweardShip"。
〔――これを今この場で言うその意味が、彼には判る。…そういう類の信頼。〕
………いいや。
儂にとって、「コレ」が興味深いのかどうかは分からん。
何だ……?
飲みたければ、自分で頼めばよかろうに。
[目配せをされ、何がなんだか分からぬという表情でコーラのペットボトルをラッセルに差し出した。]
[肩の幅に足を開いて軽く指を組む、その姿は命令を待つ猟犬のようであり、或いはそれとも……。]
[それを見て、暫しの間専用回線をクローズドにして何事か囁き交わした幹部達は、再びオープンにした後、男に辞去を命じた。
影の男は丁寧に腰を折って一礼し、部屋に落ちた薄闇に解けるようにして消えた。]
――1F Platform――
Ding Dong Ding Dong...
[小さな声で鐘の音を囁きながらカウンターへと向かっていた。
スツールに腰掛ければ、バーテンにカクテルを頼む]
アイスブレーカー、お願い。
…ふふ。キャロルに目ぇつけられちゃったからねー。
気休め気休め。
…ところで、アーヴァインは?
[若いバーテンに微笑みながら、軽く首を傾げる。
言いにくそうにしている様子に、目で辺りを見回し…]
…ちょっと、遊んでくるね。
カクテルはおいといて?
…そう。
少なくとも僕の前でその言葉は不要なものだ。
言われる度に貴方への評価が下がるかもね?
…其れの持つ真意は其れを持つ本人にしか解り得ない。
僕はまた誤解をするかもしれない…今、この瞬間も。
それでもいいのなら、貴方の好きにするといい…。
期待されることはあまり好きではないけれど。
[抑揚のない声で囁き、しかし蒼の瞳は目の前のパズルを解き崩そうと女の姿を離さない。言葉の端からある種の信頼の欠片を拾うと微かな笑みを浮かべてみせる。発する言葉は彼女を落胆させるだろうか、それとも望むものだろうか…それすら関係ない、という所作で]
LatestOpeはともかく…望むタイミングでDowserは現れるかな?
…そうだね、聞かせてもらうよ。
[空いていたメダルゲームの台に陣取ると、メダルをポケットから取り出す。
ちゃりん。
一枚入れると、タッチパネルの上で指を踊らせる]
…そっかぁ。
始まっちゃったかぁ…
[ボソリ。小さく呟く。
メダルを入れて行くも、ゲームは負け続け。
その目はタッチパネルのモニタを凝視していた]
大丈夫かなー?
誕生日来たばかりだしなー。
もし、"仕事"仲間が相手だったら…
[ちゃりん]
分が悪い、ねー。
…Sledge-Hammerは"焦らしプレイ"が好きなの?
[ポツ、と呟いて受け取ったボトルの蓋を開けると一口含み]
…別に?
人が持っているやつが美味しそうに見えるでしょう?
飲むと一緒だけど。
[口の中ではじける感覚を転がして]
─2F "Blue"floor─
[程なくして、黒い男はまた青で彩られたフロアに足を運ぶ。
最早巣のようになったそこに行くことは彼にとって、何がしかの意味を持つことであるようだ。]
[己自身に没頭するように踊る人影、大声でたわいない会話をしてフロアを眺める者達の合間をすり抜け、影は静かに歩く。]
[再び双つ輝く碧の瞳が開かれし時、辺りは再び闇を纏う。
純粋に、これほど深い眠りに就いたのは、一体いつ以来だろうか?
女はふゆりと記憶を辿ってみても、確かな答えは見つからず。限の無い脳内旅行の骨折りに、ふっと心からの溜息を吐き出し。
未だ薔薇を護る様に包み込む、一晩の腕の主へと礼を述べ。賛美されし天使は、再びその翼をは羽搏かせる。
黒影に包まれし場所で――]
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