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[ズィルバーンが堕ちた、その時。
全空域に、不可思議な咆哮が響き渡った。
『コォォォォォオオオォォォォ!』
それはクヴォルの咆哮だとわかったものは、少ないだろう。
そして、クヴォルの出力が再びあがっていく]
97、99、100。
…110%
なんだと、この計器、狂ちまったのか。
[しかし計器は狂っていなかった。そのまま120%まで出力は上がっていく。
それに気が取られ、太陽と月が衝突し、その影響で黒い壁が消え去る事や、リトルアースから気が逸れた]
[光の柱が、烏羽の左の翼とレイジングブラストの一つを貫いた。
機体が大きく揺れ、誘爆はしなかったものの、左右バランスは崩れ、烏羽の翼はよろよろと機体を保つ]
チッッ
あまりの事に、気を取られすぎた。
どうやら、赤い光を放つ機体が堕ちたみたいだな。
これはクヴォルが…歓喜して、いるのか?
[相変わらず、オープンチャンネルで男は話す]
あと、マリアが赤い光で堕ちたか。
…シュート。
[男は光を収束させ、稲妻を放つ。
稲妻と、光弾の二つの弾幕は、まるで荒れ狂う海のように、リトルアースに迫っていく]
――中央エリア/高層――
[マリアが放った倶利伽羅不動ガンが、宙をうねる光跡を描いて飛来する。『アンギャルド』のスクリーンに表示されたのは、それが直撃する寸前。強い衝撃がコクピットを揺らした]
――つっっ、ここで――
(落ちるのかな)
[機体制御が間に合わない。内部にまで振動が伝わってくる。球体スクリーンのそこかしこにノイズが走り、視界が不鮮明な部位が増えていく]
……だ、め、かな……
[ブゥン、と遮断音が聞こえ、コクピット内が真っ暗になった]
――コクピット内――
[内部を暗闇を満たしたのはほんの一、二秒だった。
回復した映像にも明らかな異常。
赤く滲む様な色合いでフィルタが掛かっているように見えた]
もしかして、これ。外に……?
[四囲を見回せば、自機の周辺に薄くぼんやりとした光球が纏わりついているのが確認できた。そして、それはナサニエルの機体にも、同様に]
……あの機体のせいって、こと……?
[『ズィルバーン』を取り巻く光球は、黒騎士の周りのそれよりも明らかに鮮明かつ強い光を放っていた]
[真紅の輝きがナサニエルの機体周辺から発せられる。
マリアの騎乗する、『ウィルアトゥワ』が同色の光に包まれた。
一瞬の後、それはコアに向かうように収束していく]
――!
じゃあ、ナサニエルが――!?
[視線を『ズィルバーン』へと振り向ける。
答える声は無い。そして、彼の機を取り巻いていた光も、今は全く見当たらなかった]
――だ、だめ、だめだめだめだめ。
こっち、向いて!
[黒騎士が、銀色の機体が、はっきりと朱く染まる。
悪夢の矛先は、自身ではなく『彼』ウィリー。
その紅い光球が『ウィルアトゥワ』を包む様は、コマ送りの様にも見えた。]
止まれ止まれ止まれ止まれえっ!
[機銃弾幕が『ズィルバーン』を引き千切る、それでも核に向かっての収縮は止まらずに。]
――ぁ………―!!!
[こえに、ならなかった**]
ッ…!?
[下方から見上げた黒い機影が、咆哮を上げる。その奇怪な響きに思わず身を強張らせたが…けれど、それ以上何も起こることはない。
自らの撃ち放った光線は、過たず直進して、黒い装甲を捉えた]
これなら…!
[放った光柱が翼を貫き、烏羽の機体がぐらつく。突破するなら、今だ。
そう 思い ウィリーと黒騎士が交戦していた空域を、見上げる その目に 映ったの は]
…ぇ?
[あってはならない光景のはずだった。そうさせないためなら何でもしようと思っていた。現に、いまだって、こうして、その、はず、なのに]
『 あと、マリアが赤い光で堕ちたか。』
[そんなこと ききたくないのに おとこは きこえるように つぶやくのだ]
ああ…
[意味のない声が、口から漏れた]
あああ
[呆けた体を攫っていこうとするように、稲妻と光は無遠慮に殺到する先んじて到達した稲妻が、現行の量産品で組み上げた機体の外殻を容赦なく焦がした]
ああ嗚呼アぁあああァァァァああああああ!!
“――――機体監視管制システムカット・機体固定具全解放・機体外殻放棄・全弾幕兵装連結・出力臨界規定値ならびにコア連結制御完全解放・主演算管制システム切替―――”
[上げた叫びは、けれど悲鳴ではなく。内側からあふれ出して自分自身を壊してしまいそうな内圧を少しでも外へと逃すために。
殺到する光弾の光を押しのけようとでもするように、輝く両の手は音声認識を遥かに凌駕する速度でフヅキに指示を与え、機体の制御システムを書き換えていく。そして]
[押し寄せる弾幕にさらされていた機体は、けれど、自らの機体外殻のすべてを放棄する。
すべてが終わる審判の日の名を受けて、青い地球が崩れていく。それでも、その星は終わらない。
赤い、本来のBFコアは衛星軌道を描き、連結して三重環となった弾幕兵装が腰部を中心として静かに回る。
かつてパイロットだった“ソレ”は、パイロットスーツの内部から煌々と輝きを漏らし、殺到する弾幕をかき消してなお、咆哮を上げる。
生物とも機械ともつかない異様なその腕の中にあって、護るように大事に抱えた金属筐体――もはや全時代の遺物として忘れ去られて久しい、大容量の記憶媒体――だけが、奇妙にその機体に現実感を与えていた]
ぁああああぁぁ…
[ただ、ひたすらに。オープン回線などと言うまだるっこしい手段さえ飛び越えて、全域の電子装置すべてに響いていた声が、やがて収束する。収束して、そして]
あぁあっっ!!!
[ごんっっっ!!!]
[最後にひときわ大きな声を上げて。手に抱えた金属筐体で、思い切り自らの頭部を強打する。パイロットスーツのバイザーが割れ、隙間から片目が覗き、たらりと体液がその横を伝った。
頭部を駆け抜けていった痛みが、沸騰したような熱を力づくで吹き飛ばす。
今ぶつけたものはなんだったか、思い出せ。
そう、自分には、フヅキがいるのだ。
ここで、自暴自棄になど、なってなんかいられない。
頭を冷やせ。目的を果たすことに集中しろ。余った熱は体を動かすことに費やせばいい。嘆いている暇なんかない。きっと、ウィリアムは助け出せると、そう信じろ!!]
そのために―――
[ふわりと、“機体”が揺らぐ。 追撃の弾幕があろうとも、重荷を捨てた自分に対応し、捉えるのには時間がかかるだろう。―――その時間は与えない]
あなたに邪魔されている時間はないのです。
“兵装丙点火・機体制動に兵装乙の使用承認・目標・敵機”
[既に“完全に”機体と一体となった体が動き、まだるっこしいコード入力を省いて一気に加速する。先刻の突撃と比べてさえ比べるべくもない速度で、翼の折れたクヴォルフィリアに迫る]
コード―――
[その回転する三重環が、七つの光球を生み出した]
セブンスムーン!!!
[黒い機体の直近から、七つの光球、そのすべてから光がほとばしる。光はやがて収束して、一つの光の柱となって辺りを照らし出した――]
[稲妻がリトルアースを焦がす。
しかしその後、凄まじい速度で組み変わっていくソレを見た]
…ほぅ。
イイ声じゃないか。
堕ちる星の煌きにならないといいがね。
[地に堕ちていくドラゴンを傍目に、男は呟く]
[相手が今までとは比べ物にならないスピードで弾幕を回避していく。
荒れ狂う海面を読み、波に乗るサーファーのように]
だがな。
そう簡単にはいかないって事を痛感するんだな。
…パージ。シュート。
[男は装甲を除去し、その八つの欠片は辺りに発射された。
その装甲の影になるように、八つの黒い矢が同空域に行き渡る
八つの装甲のうち七つは七つの光球に。
もう一つは姿の変わったソレに向かって発射される。
光の柱は装甲を巻き込み、大きな爆風を生む。
その爆風に乗り、烏羽は駆け上がる]
[発射された一つの装甲は黒い弾丸となってリトルアースに向かう。
今のリトルアースより一回り小さいくらいの装甲が、黒い矢と共に襲う]
そしても一つッ。
[烏羽の翼も、その傷ついている翼のほうで叩きつけるように体当たりをしかける]
…っ
簡単にいくなどと…っ!!
[…少しだけ思っていたことは否めない。すでに翼に穴を開け、そこに持ってきて全開の砲撃。しのがれるとは、思っていなかった。
―――集中、しなくては。目の前の相手を倒さなければ、その先にあるすべてに繋がらない。今は、目前に全力を傾けろ―――]
フルムーン!
[自らを狙って飛来する装甲を。そして黒い矢弾を月の光で迎え撃つ。生じる爆風は後方への噴射が抑える。
―――そこに飛び込んでくるアラート。たった今撃ち砕いた装甲の後方から、その影を貫くように飛来する巨大質量]
―――ムーンフォールっ!!
[ソレを迎え撃つように、たった今発生させた手の内の光球を撃ち放つ。先刻男が口にした言葉どおり、もう、簡単にいくとは思わない。ムーンフォールを交わすか、砕くか、撃ち貫いての砲撃か。そのすべてに対応しようと、空中に浮かんだ身一つで身構える]
[七つの光球、そして無茶な体当たり。
翼にかかる負荷はとっくに限界を超えていた
それでも繋いでいられたのは、ゴードンや、目の前の相手のように気力が機体を凌駕したのだろう]
静かに燃えるってのも、悪くない。
行くぞ、フィリア。
[相手の生み出した光球が、左の翼を根元から打ち砕く。
だが勢いは止まらず、そのまま折れた翼が
リトルアースの視界を防ぐように飛んでいく]
チッッ。
機体の制御が、うまくいかない…が。
シュート。
[残った片方の翼のヴォルレイから生み出された光弾が三発。
正確に穴を通すように、反対側からは一発の弾に見えるような弾道を描き、折れた翼に空いた穴を通過していった]
無茶苦茶なっ…!
[想定はすべて外れ。放った光球は交わされることも砕かれることもなしに敵機の傷ついた翼をもぎ取った。けれど黒い影は止まらない。
損傷した自らの機体の、その折れた翼さえも武器とする強かさに内心で舌を巻く。でも、だからといって負けてはいられないのだ]
…回避を?
いえ―――
[視界を塞がれる形となり、一瞬の躊躇が生まれる。敵機の回避を前提とした二段構え、自分がやって、相手がやらない道理はない。交わすべきか、それとも…その一瞬の隙を突こうとでもするかのように、ほんのわずかな間隙を通す精密な射撃が、放たれているのが見える。
回避は間に合わない。いや、間に合ったところであの機体は黒い光で吸い寄せることだって考えられる。
それならば、こたえはひとつ。迎え撃つ]
セブンスムーン―――
[ふたたび三重環が七つの光球を生む。それら光球を指揮するように両の手が踊り、紡がれるように光球が収束し、新たな一つの巨大な光源を作り出す]
―――キング・アンゴルモア!!
[収束された光源は荒れ狂ううねりとなって、すべての光弾を呑み込んだ]
[黒い鳥が墜ちていく。最期まであざ笑うかのような笑みを死仮面に貼り付けて。
彼は、誰の味方でもないと言った。
そして、立ちはだかった。
…なぜだろう、と、疑問が過ぎる。黒い鳥が最後に見せた、あの執念とも取れる常軌を逸したような機動と、攻撃。どれも、ただ理由なく立ちはだかったとは思えなかったけれど―――
…それでも。戦い、墜したのは自分だ。この期に及んで、それを問うたところで答えはない。
ただ、落ちていく黒鳥に、敬礼を送り、見送る。ほんの一瞬の間。
次の瞬間には、機体となり、星となった体は彗星の尾を引いて空を切り裂いて行った。目指すは、黒騎士。決着をつけるために、なんとしても、たどり着かなくてはならない相手だった。
そしてそれは、あるいは友だちのために]
…あと三機だったのにな。
[落ちていく。
片翼はもげ、気流を掴む事も出来ずに落ちていく。
男は冷静に、それを眺めながら呟く]
まあ、俺には王者なんて肩書きは似合わない。
そういう事で、許してくれないか。
[しかし、死仮面は黒い光を放ち、烏羽を覆った**]
――中央エリア/高層――
[機体の周囲を取り巻く赤い光の膜はやがて消失した。ナサニエルの機体は空には既に無い。シャノン機によって撃墜され、墜落していく姿を少女の瞳ははっきりと捉えていた]
あと……3機、ね。
[離れた空域で戦闘を繰り広げるユージーンとニーナの両機。
そして、つい今しがた現れたシャノンの『サンダーエース』。
と、なれば――]
じゃあ、次は私がお相手するわ。“Old Replica”さん。
[迷いを押し殺し、オレンジと黒に彩色された機へと翔ける。
『禍珠』が何であれ、『ウィルアトゥワ』を墜落させた発動要因が何であれ、今は考えるべきではない、と自分に言い聞かせた]
勝って……あれを手に入れて……そうすれば、っ!
[接近に気づいたか、サンダーエースが急加速。黒騎士の近接攻撃範囲から逃れ、後方へと弾幕を展開してきた]
[オレンジ色の翼の上でターレットが旋回し、砲塔が少女の機を狙う。連続して打ち出されたのは徹甲弾の雨。三本の射線が二組、交差する弾幕となって自由な機動を制限した]
つ、これじゃ近づけない……!
『禍珠』、は……使えるの……?
[先刻の不調。通常の弾幕さえ形成できなかった異変。
回路が断裂しているなら、起動する筈もない]
――中央エリア/高層→低層――
[悩む間に、弾幕のパターンが変化していく。
右、左と振られるワインダーの動き。
止むを得ず、一気に機体を降下させた]
――中央エリア/低層――
[離脱する『アンギャルド』を見送り、『サンダーエース』は高空で背面飛行に移行。半円を描いて降下へと移った。
一気に速度を増して降下する、“スプリットS”と呼ばれる機動]
……速さそのもの、じゃ、追いつけないか。
じゃあ、駄目でもなんでも、使うしかないじゃない。
[見る間にその姿を拡大するオレンジと黒の機体。その機首に装備された兵装が、エネルギー充填の光を纏わせていた]
[黒い光に包まれて浮く烏羽。
東空域の下層にて留まる黒い光に覆われた死仮面]
まだ…、まだ高みを目指すというのか。
俺もヘタれたな。
[男は機体の状態をチェックする。
戦えるとは言いがたい状態ではあった。
ただの的になる可能性もある。
それでも、男は高みを目指す]
もっと、高く。
[黒い光に覆われた烏羽は、ゆっくりと高度を上げていった]
[左手首へと視線を投げる。
埋め込まれた銀色の、鈍い輝き。
それが何であるか、確たる記憶は無い。
けれど感じられる、どこか深いところでの繋がり]
――応えて。
“あたし”の――“私”の中の、記憶。
あの声は、何なの? この球体は――『禍珠』は。
どうして わたしは ここに いるの?
[鼓動がどくん、と大きく聞こえた。
球体に温かみのある赤が点り、消えた。
流れ込む感覚、自分自身が機体と一体になったような]
[――どうする、考えろ考えろ考えろ、現在の最善手は何だ?
直接の原因であろう機は撃墜した。だがそれで取り返しが付く物でもない、ならば、どうする?
ぐるぐる思考が回る中でも、機体は『アンギャルド』の接近を知らせ、身体は無意識に機体を操る。
昔何処かのパイロットが言っていた直感と思考の融合とは、今の様な状況かもしれない。]
……受けて立とうじゃない。“Lost memory”さん。
[反射的に言葉を返すがいや違うそうじゃない、撃墜す訳じゃない、とりあえず動きを止めよう、『リトルアース』が来るまでの時間を稼ごう。
速度はキツいけれど此方が上だ、向こうも『ウィルアトゥワ』戦の影響か何かは知る由も無いけれど、遠距離に離れれば攻撃はほぼ無い。
行ける、追い詰めれる。]
『アストラル』、レベル3でチャージ。
[逆に言えばあの剣、『自在剣』が当たれば此方のヤワな機体はひとたまりも無いけれど、遠距離でなら『アストラル』の威力を抑えれば『アンギャルド』周辺空間の征圧、小破に持ち込めるかと思うが――
いや、あれ?おかしい。兵装が一つの筈は――無い。]
――さっきの赤い光は、使わないの?
[そんな思ったままの呟きが、オープン回線に流れた。]
[ 今よりも遥かに遠い空。
青紫の色合い。
記憶にはない、けれどとても懐かしい風景。
戦火に染まった故郷、もうひとりの自分、炎、銃声、死者、
フラッシュバックする幾多の光景]
……どこ。どこなの、これ――?
[思い出せない空。
その色はいま頭上に広がる紺碧ではなく、夕暮れの青紫]
――中央エリア/低層――
[シャノンから届く声。ずきり、と頭が痛んだ。低い声で答える]
――使って欲しいの?
[一度瞬いて、意識を銀色の球体に振り向けた。
静かに疼くような感覚。充ちていく凶暴なパワー。
胸の奥で得体の知れない熱が渦巻いた]
――だったら、受けてみればいい!
これが何であるかを!
[叫ぶような声。起動言語は淀みなく紡がれた]
“赤光に染め上げて呼び起こせ、古き血の弾丸”!
――『エレメンタルギアボルト』!
[無色の閃光が、黒騎士に埋め込まれた『禍珠』から迸った。
『自在剣』の形状が組み変わり、白銀の長大な銃へと変換。
砲口から、赤いエネルギーの粒子が漏れ落ちる。
そして、0.5秒。
『アンギャルド』を中心に突風が巻き起こり、天を貫くような赤く巨大なビームが*放たれた*]
[死仮面から出ている黒い光は烏羽を包み、大きな黒い翼のようになっていた。
中央空域へとゆっくりと飛んでいく。
残り3機の行方を追うように、大烏は空を駆ける。
高みを目指して**]
[――使って欲しいの?はっきりと、そう聞こえた。
なら何故今まで使わなかった?使えなかった?
――使いたく、無かった?
本当のところは判らない、けれど自分のその一言が引鉄だった様だ。
見る見る間に形状が、変わってゆく。
オーバーフローしたように零れ出る、暴力的で禍々しい、赤い光。
直感で判る。
だめだあれはまずいよけないと――!]
――あ――がっ―くぅ―……!
『アストラル』、コン……トロール、 オー…プン――
[みしりみしりと悲鳴を上げる機体を、無理矢理にバンクさせて左下に抜けようと、操縦桿を倒しペダルを蹴る
。その放たれたビームのほぼ真横を抜けるが、それでも幾許か遅かったようで右翼が半分に近く、消し飛んだ。
それでも置き土産のようにアストラルを『アンギャルド』付近に炸裂させて。]
――このっ、言う事、聞けっ!飛べっ!
[暴れる機体を、力ずくで抑えて飛ばす。それももう限界に近い。
それでも尚、バンクした機体を上方宙返りで高度を戻す機動、シャンデルでもう一度同高度まで引き起こしす]
全駆動回路リミットオフ、スクランブルドライブ。
核から駆動タービンまで、過駆動励起。
全速全開、オーバーブースト!
『ミストラル』左翼に集中過剰展開!
[核が、全てを搾り出すような駆動で悲鳴を上げる。
機体も同じ、空中分解寸前だろう。
それでも、持てる火力の全てを以って、機体は翔ける。行跡を橙に染めて。
きっと、これで最後だ。けれど自分がダメでも、まだリトルアースが、ニーナが居る。
せめて、何か後に繋がなければ、今まで飛ばしてきた意味が無いし、飛んできた理由も無くなってしまう。]
“早く”
[中央空域に向けて飛ぶ、その機体を声が急かす。中央空域では、たった今シャノンが戦っているのだ。移動なんかに時間をかけている暇はない。急げ]
“早―速くはやく―は――速―はやく―く”
[その思考に、空白が混ざる。気体のダメージこそ抑えることはできたが、エネルギーの損耗が激しすぎる。
それでも別にかまわない。ただ、なすべきこと、自分のなしたいことを果たすまで体と機体が持てばいい]
[視線の先を走る赤い閃光]
[ばつんっ。と。そのとき、何かが繋がった。旧い旧い記憶。そうだ。あのとき。じぶんは。
物言わぬただの力で、何も思わず、ただ壊すことしか知らず、そして。
破壊の果てに、あの赤い光と出遭って、初めて恐怖を知ったんだ。形を成さない自分、壊されることはないと思っていた自分を“破壊”しえる、あの、赤い光に。
怖いはずだ。恐ろしいはずだ。自分は一度、あの光に負けたのだから。
けれど、今は]
お お お お !
[声を張り上げ、雑念を振り払う。そうだ、もう、過去の記憶なんか雑念に過ぎない。もう、怖くなんてなかった。
あのころの自分とは、もう、違うんだから。
自分にはフヅキがいる。ウィリアムっていう友だちもできたし、シャノンだって戦友だ。
この地球に来てからでさえ、多くのことを知った。
それさえあれば、赤い光くらい、怖くない。
今はただ、決着をつけ、そして勝つ。そのために]
フヅキ、力を―――!!
[今、戦場へ]
[黒い光の翼は風に乗り、中央空域の上層まで辿り着く。
烏羽の残った片翼は、サンダーエースに切り裂かれたものを補修していて
強度が落ちている。持って攻撃一回だろう]
あの光は…
[男の目は、下方からくる大いなる赤い一筋を…**]
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