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―大会本部→格納庫―
……嫌われちゃったかな。
し、しょうがないわよね、そうよ…!
だって、怪我してるんだもの…邪魔しちゃダメじゃない。
[しばらく泣いた後、唐突に空を見上げて涙を拭った。
ぐ、と涙を堪えてゆっくりと立ち上がる]
スネイルネンも、お母さんの所に…行ってしまうのかしら…。
[恐らくはBFが入れられているだろう格納庫を目指し、再びゆっくりと歩き出す。
赤くなった目はヘッドセットとバイザーで誤魔化して。]
―― 大会本部・治療室 ――
「コアの」
フン… コアの暴走後の事か。
暴走後、保護機能がろくに動…
「違います。」
何?
「弾幕開放機構を発動に、事実コア《BigFire》は耐え切れませんでした。」
間違ってなどいないではないか。
「ですが、搭乗者保護機能も発動しなかった筈なのです。」
……。
[むくり、とクロノは起き上がる。]
[男はひしゃげたサンダーエースの鼻っつらを見て、失笑した。
シャノンに聞こえるように、音声はシャノンに対して開いた回線のみ音量最大にして。
相手が機位を高くとろうとするのを見て、男は機体を低く飛ばせる。
だが、相手の挑発に対して]
そんな事を言っていると、どこかのブラックホールに巻き込まれるぞ。
[わりと真面目に心配した。
「それって誰がすると思っているのよー!」
機体にGRAVE専用回線からの声が響く]
課長代理 マシマは、シルバーコレクター ナサニエル・ウエクサ を投票先に選びました。
―― 南東空域 ――
[私は気流を捕まえ、南東空域へと――
白い雲の形をした機体へとまっすぐに飛ぶ]
(コアを停止した機体の名が聞けるまで、
何か少しでも出来ることをやっておかねばね)
『ちび君、覚悟。
倶利伽羅不動 ―― man ――』
[マリアは動かない右手をだらりと下げたまま、がしゃりと左肩の魔導銃を起動した。ルーンが前方、相手の機体を覆うようにくるくると舞い、ホップしながら襲い掛かる]
[オープンチャンネルで、黒翼の鳥から労いの皮を被った皮肉気な言葉が届く。私は意識にも上らぬほど幽かに口元を緩めた]
(―― おう。
キミとは、こんな片手間でなく戦いたかったねえ)
『コアを止める機能を持った敵がいる。
引くなら今のうち』
/*
んん…
ここで合流してしまうと2対3、もしく1対3対1になってしまう可能性が否定できんであります。
かといってニーナの視点からはマリアから目を離すと言う行動も取りにくく…
…と、いうか。このペースで吊りの時間に間に合うのでありましょうか…?
―― 大会本部・治療室 ――
「暴走の為、動かない筈であった搭乗者保護機能が、
”何故か”発動したのです、クロノ隊長。」
[通常のBigFireであるなら、搭乗者に危険が迫ったら直ぐに保護機能が発動する筈だった。その為、衝撃からは無傷で居られ、怪我を負う事も稀だ。
クロノが、コアが停止した訳ではないのに怪我を負ったのは、暴走後に保護機能が発動するのが遅れた。
その所為だと、先程まで思われていたのだ。]
……。
分かった。下がれ。
「こちらにメテログラフトのコアをお持ちしました。
ご検分下さい。」
[クロノは軽く頷く。
技師は、クロノに簡易的に一礼すると出て行った。]
夢幻の竜騎士 マリアは、少年 ロジャー を投票先に選びました。
[戦おう、そんな相手の言葉と同時。
黒い闇のような攻撃が来た。制動で交わそうとする。
マリアのチョーカーを通じて、シャノンの楽しい声が私に伝わってくる]
[避けきれず、動かないほうの翼にその攻撃が当たった。
――シュート。敵さんの言葉と同時に、翼が重力に巻き込まれた]
(――っ)
―― 大会本部・治療室 ――
[メテログラフトのコアは、床から80cm程の高さに浮かんでいる。クロノは、近づくと、深い息をついて体…というよりは頭を預けた。両手を顔の傍に添えてコアに触れる。]
……。
チッ…
[溜息。もやもやとした感情だ。自分でもよく分からない。
クロノは簡易的な装いを止め、ラント軍上官服に着替える。菫色のコートは、肩にかけて袖は通さない。]
フン
[軽い挙動で、コアの上に跳躍し乗る。
床よりも少しだけ浮くだけの高さになったBigFireのコアは、クロノを乗せて移動をし始める。]
――北エリア/高層――
[戦闘機タイプ二機の格闘戦(ドッグファイト)。
そこでは追いつ追われつ、高速機動を駆使した弾幕戦が展開されていた。ナサニエルの機体が銀の矢を放てば、マシマ機は攪乱兵装で無効化する]
……難しいね。これに割って入るの。
……どこがいいかな?
[ある程度の距離を保ったまま、少女は呟く。と、その時――]
――マシマさん!
[突然前方に現れた炎塊の中へ、白鋼の機体が突っ込んだ。そう見えた瞬間――水鳥の両翼が流れる白刃となって翻る。
縁に帯びた攻勢エネルギーフィールドが、ナサニエルの機体へと襲いかかる]
さて、まずはこうするか……。
銀色の矢の威力範囲を狭め、その分エネルギー密度を上げる。
[指示通りに操作をすると、BFからは一本のレーザーのような閃光が。
マシマの機体を狙ってそれを打つ]
そしてもう一本。
[マシマ機を挟み込むかのようにもう一本レーザーのような矢を放つ]
さてと。
マシマ、君はどうでるか?
[相手はベテランの上位入賞者。
紙吹雪の小細工が通用する相手ではない。
ならば、正攻法で行くしかない。
翼に帯びた光子刃での体当たり、それを実現させるだけの機動力がこの機体の最大の武器。
それ故、装甲やバリアなど犠牲にしたものも多い。
強くペダルを踏み、左後方からタックルをかける。]
…ハァ、……ハァ………
[息が苦しいのは、風防に入った亀裂のせいか。
だが、こんなところで諦めはしない。
機体が完全に動かなくなるまでは、退くことなど考えていなかった。]
引く理由などないしな。
赤い光で止められようが
クヴォルが高みに昇るのは、…止められない。
[男は呟く。
BFの核とは別のブラックボックス。
まだわからない事もあるが
ただ一つ確かなのは
このソウルコネクトで伝わってくる昂揚感。
赤い光には負けやしない。
そう、感じた。
烏羽の全翼には、少し悪いと思いながら男は機体を駆る]
[ごきり、と体内で嫌な音がした。
私の体が傾き、白い液体が滴っていく]
『シャノン、平気? 無理なら下がって』
[機首にダメージを負った彼女に、そう声をかけた。
同時に、ニーナからのオープン回線が届いた]
『シャノンと一緒に、クヴォルフィリアとアルトキュムラスとの交戦中。コアを止めた敵機は分かった?
名前を教えてくれて、キミが行くならなんとかして行くわ』
(彼らが無実なら、全て終わった後に堂々と仕切りなおせばいい)
[マリアは改めて2機に向かって砲門を構えながら通信を送る]
― 格納庫 ―
「まずはゴードンさん辺りからお話を伺いましょうかねえ。」
奴のBFは?
「見せてもらうのは無理でしょう。
わざわざ調査せよって言われるくらいですから、ライバルに見せられるような状況じゃないかと。」
ならゴードンの方も無駄じゃないのか?
「ですよねー。多少はガードゆるいと思うんですが……っと。」
?
[止まった視線の先には、敗者と思しき女性パイロット。
研究員は、眼鏡に搭載された透過ディスプレイで何かを確認しているようだ。]
「彼女は……丁度いいですね。」
課長代理 マシマは、夢幻の竜騎士 マリア を投票先に選びました。
あとは……。
銀色の炎!
[マシマ機の逃げ道を制限するように、もう一つの弾幕、銀色の炎を打ち込む。
炎がマシマの機に向かい、それを抜けた場所を狙って炎が現れる]
――大会会場上空/観客席(南西エリア西より・中層)――
[その時、少女の携帯が着信を告げにオルゴール音を鳴らした。相手は先程様子を見に地上へ降りたリーダー]
もしもーし。何か分かりましたか?
『さっぱり分からん。大会本部の建物のまわりに人がたくさんいるんであちこち訊いて回ったんだが』
本部のまわりに人がたくさん?
『おおかた前回チャンプの容体が気になってしょうがねえ面々だろうよ。それで、感触としては……突然動きを停めた機体がいることはまだ知られていないみたいだ』
じゃあ、本部の様子はいつも通りですか?
『ああ、何か非常事態があるからではなく、いつも通りに関係者以外立ち入り禁止だ』
―南東空域交戦空域上方―
…ふむっ…
[少々長すぎなほどの時間をかけて到着したそこ。眼下では既に戦闘が始まっており、ウィリーもシャノンもその機体に少なからぬ損傷を負っている。
そして、空域には、縦横に走る黒い柱と、ぽっかり浮かんだもう一つの太陽。
そのどこかしら異様さを感じさせる空域を眺めて]
…フヅキ、スターダスト起動。
出力10、消滅さえしなければ威力はなくてかまいません。
―――弾幕散布。
[何かを確かめるように、空に星屑を撒き散らした。まるで威力を持たないそれは、観客席から上がる花吹雪を模したものとそう変わらない。これで、柱と太陽のタネが、暴ければいいのだけど…]
――北エリア/高層――
[舞い散るチャフグレネード。尤も、少女の狙いにとってはさしたる阻害にはならない。すなわち弾幕ではなく――近接攻撃による、致命の一撃]
[ランスを構え、二機が行き交う軌道の予測点へと駆け翔んだ]
[女はモニタを見ている]
クヴォルとのシンクロ、92%かー。
今の言葉、案外クヴォルのほうの言葉だったりー?
[女は、GRAVEの研究員だった。
専門は縮退。
その容姿からは女がGRAVEの頭脳の一つとは思われないだろう。
女は見つめる。
烏羽の自爆コードを瞬時に引き出せる頭に、ひんやりとしてなめらかな触感を刺激として与えながら]
あー!
シューアイスはもはや神だわ!
[目の前の売り子は、ものすごい勢いで手持ちの商品を空にした子を*ぽかんと見つめていた*]
―どこかの空の見える場所―
倒すべき相手……か。
確かにそうだ。彼らを倒さなければ勝ち上がる事など出来ない。しかし、彼らは相手ではあるが「敵」ではない。
この空の上ではライバルであるが、地上に降りたらBFを愛する仲間同士だ。
ふふっ。
ナサニエル、あなたが本当に“シルバーコレクター”の称号に相応しいかどうか。試させてもらうわ。
『自在剣』、Fendez-vous.
[視界を高速で行き過ぎようとするナサニエルの機体。
攻撃のタイミングは計算ですら無く、体感で把握したもの。
円錐形をした大槍の頂点が、その中央を狙い突き込まれた]
誰だ? 知り合いか?
「いえ、彼女は初参加の……ええと、『紫陽花の花 シャーロット』。
先程彼女のBF『マリンブルー・スネイル』が、Red Wolf同様の不審なコア停止を起こした模様です。」
スネイルって……あの危なっかしい飛び方をしてたひよっこか。
整備不良か何かじゃないのか?
「それも併せて話を聞いてみれば――
あ、急がないと戻っちゃいますよ!」
[私服とはいえ、競合他社に話を聞かれるのはいろいろとまずかろう。]
「すいませーん!
『紫陽花の花』さんですよね?」
――北エリア/高層――
[刺突の手ごたえは僅か。端に引っ掛けた程度か、あるいは防護フィールドに阻まれたか。唇を薄く、微笑の形に曲げる]
――マシマさん、大丈夫? 息、上がってるみたい、だけど。
[旋回しつつ視線を脇に流す。
ブン、とランスを振り、『自在剣』を再び変化。
より取り回しの効く、海賊刀(カトラス)とでもいうべき形状]
/*
GRAVEチーフは女の人なのかー。
私の脳内にはまずオネエ言葉の男の人が浮かび、ロジャーの記述でどう見ても女に見えるニューハーフに変換され現在に至る、だったのだが。
でも女の研究員てミステリアスさとセクシーさを併せ持っているからねーいいよねー
*/
何度も悩んだ。
これを使えば優勝出来るかも知れない、と。そうすれば良かったのかも知れない。
若ければ恐らくそっちを選んでいただろうな。
しかし、他の参加者やあるいはBFを楽しむ人々を見てわかったよ。
結果も大事だが、BFやそれにまつわる人々も大切だと。
それを考えれば、ルール違反のコア破壊をするのは躊躇ったんだ。
BFを愛するって?
戯言を言うのも、ほどほどにして欲しいものね。
それが本当なら、あんなものを組み込む訳が無い。
これが何なのか、知らなかったって? 知らなかったから罪はないですって?
怖気が走るような詭弁だわ。
――墜ちなさい、ナサニエル。
あなたは空を翔けるには、あまりにも相応しくない。
[少女の瞳に宿った怒りの色。それは瞬時に――]
[そこに入った、マリアからの通信。彼女の声は、先に向かえと、そう告げた。従うべきか、迷う]
……了解しました。
はっきりとした確証は未だ取れておりませんが、おそらく黒い騎士…ええと…登録名は…
[そこに至って、ようやくその機体の名前さえ知らないことに気づく。すぐにフヅキからのフォローが入った]
…アンギャルドと名づけられた機体であります。
小官は先に向かいますので、くれぐれも無理をなさらないように…お互い状態は万全ではありません。小官もインターバルまでは生存を最優先いたしますので、マリアさんもウィリーさんもどうかここは生き残ることを考えてください。
もちろん、シャノンさんもですよ!
…共闘を続ける限り、互いの生存が互いの利益となります。
小官はお二人のために生き残りますので、お二人は小官のために生き残ってください。
それでは!
[オープン回線で告げると、戦闘空域からの離脱を最優先とした、コメットの噴射によって、南東空域から離れていった]
[マシマとの戦いの中で、見たことのある漆黒のBFが見える]
……シュウか。
面白くなって来たな。
さぁ、かかって来い。
[小さくひとつ咳き込んだ。
避けきれず掻い潜った焔の熱気が更にコックピット内の環境を悪化させる。]
…平気、この程度…どうってこと無い……っ!?
[聞こえた少女の声に意識が向いた瞬間に被弾。
薄い装甲が軋むような悲鳴をあげる。
一旦機首が下がり落下しかけた機体を、力づくで立て直し上へ。]
“墜滅せよ、空の灯火。”――『レゾナンス・ロスト』。
[ナサニエルの機体――『ズィルバーン』へと黒騎士の左腕が伸ばされ、放たれる。禍々しい虹色。だが、その後に訪れる筈の変化は起こらない]
――っ、これ――ナサニエル、まさか本当に!
なるほど……で、これからどうするんですか? まだ調べものもどきでもする気ですか? そんなことやるくらいならササキさんのように暢気に観戦していた方が楽しいと私は思いますがね。
[ササキさん=最年長の男。
相変わらず双眼鏡で北エリアを追っている。マシマ機とナサニエル機のドッグファイトにさっきから興奮しっぱなしである]
……まあ、私もあなた達には世話になっている身、調べものもどきに協力するのも悪くはないと思っていますが。
もうすぐ長いピットインの時間。うまくいけば選手との直接接触も可能ですよ。
『選手との直接接触……そんな方法があるのか!?』
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