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―― 格納庫・入り口近辺 ――
――ッ
貴様… …。
[言葉が続かない。]
…………!
[こちらを見ているシュウの姿に気がついた。]
チキュウ人の中にも情報に詳しい者が居たようだな。
その通りだ。
ワレワレ、ラントの母星、その星系はもはや使い物にはならん……。
……… だが、 それが、 どうした。
[呻くような声。何でも良いから言葉を搾り出す声だ。]
−格納庫・入り口付近−
なんだ、あっちにも黒いのがいる。
まぁこっちの黒いのはさっきのに比べればまだ可愛げもありそうな奴には見えるが。
[目の先に黒いウサギのような生き物の姿がある。
そのウサギのような生き物は宣戦布告、だとか口にしているようだ。
可愛げがありそうな割にはなかなか血の気の多そうなウサギである]
――大会会場・上空――
[屋台通りの上を滑るように飛ぶ戦闘機型のBigFireの姿があった。
普段憂さ晴らしで飛ぶときよりもだいぶ速度を抑えているので、側面に描かれた青い鳥のペイントの形状がはっきりと分かるはずだ。
空も、地上も、平和だ。
もしも少女が何かよからぬことを企んでいたらどうするつもりだったのか。
上空に浮かんでいる謎の戦艦(無論少女は兎人のことを知らない)ほどではないが、BigFireには戦う力があるのだ――無論この機体も例外ではない、と言いたいところだが。]
イメージは固まってきたんだけど、「私はできる!」って感じがまったくしねー! これじゃあ無理だー!
[果たしてこの機体が弾幕を放つのはいつになるのやら。
そしてこの少女、操縦桿を握ると口調が変わるようだ]
――格納庫・入り口付近――
[クロノとグレンらの会話の中から、ラントという単語が漏れ聴こえてくる。少女には耳慣れない単語だった]
……何か、難しそーな話、してるっぽい?
[ぱちくりと瞬いて、こちらに気づいたらしき人型の黒兎に小さく手を振った。だがそれ以上はせず、庫内へと足を向ける]
あの子も、出るのかな? どんな機体なんだろ。
―― 格納庫・入り口近辺 ――
それが、どうした。
[ラントの科学力があれば、星の復興は可能だ。
母星に、降り立てさえするのならば――――。]
宇宙連邦の異種族同胞達の協力は感謝する。
中には、様々な援助を申し出てくれている連邦のラントもいる。
だが、ワレワレは、調査の間中……
[何故こんな初めて会った、同種族でもない兎顔に言わなくてはならないのか。クロノは、動揺が収まるにつれて気づく。]
そこの黒いの。
もう一回その宣戦布告とやらを聞かせていただこうか。
ちょっと席を外れて聞きそびれてしまったのだよ。
[そのウサギのような生き物が何と言っていたのか、それに興味があって聞いてみる]
―格納庫―
[そうだ、と父親がこちらへと何かを手渡して来る。よくよく見ればそれはお金]
「シャーリー、そんなに時間は無いだろうが1つお使いを頼まれてくれないか?屋台で焼きそばと水分を人数分、だ」
え、えぇ…?
お父さん、でも、人が多い所は…
[明らかにうろたえて屋台へ行くのを拒む]
「急いで行けば気にする事もないだろう、頼んだぞ。
その間にこちらの整備は終わる」
えっ、あの、誰か…
[スタッフ達も「手が離せないから、ごめんね!」と声を掛けて来る。...はいよいよ覚悟を決めて自BFのスペースから駆け出した。走ればすぐに終わる、と決め込んで]
[すると、丁度良いタイミングでグレンの話が聞こえてきた]
…………。
[心の中ではその内容に驚きつつも、それを表には出さない。
ラントの存在は知っていて、彼らの住む星があるのも知っている。しかし、その星が滅んでしまったと。
その彼の境遇には同情するものの、勝負は全く別であるし何よりもこのラントはどこからどう見ても小憎らしい血の気の多いラントにしか見えない]
―― 格納庫・入り口近辺 ――
私達は協力し合える筈だよ。
だけど、きみ達――いや、きみが侵略を本当に考えているなら、私達も皆も、きみを止める。
[黒隗は、濡れた瞳でじっとクロノを見つめ続けている。]
ああ、ナサニエル。
[グレンはナサニエルに振り返った。位置的に気づかなかったらしい。]
―格納庫―
[男は屋台通りでいざこざがあったが気にせずに戻ってきた。
そこに1人の少女が自分の機体の前で立ち止まっているのに気付く]
おい、見るだけにしておけよ。
[後ろからは参加者には見えないので、その少女、シュウに対して忠告だけする]
ラントって言うのは大人しい生き物だと聞いていたが、人間にも色々あるようにラントも変わったのがいるんだな……。
[ラントには聞こえないように呟いた]
グレン、いよいよ大会が始まるな。
[近くにいたグレンに挨拶をする。
この男も大会のために力を尽くしてきた。
大会開幕を楽しみにしているだろう]
今回も随分と面白そうなライバル達がいて、素晴らしい大会になりそうだよ。
今度こそは、不名誉な名称を脱却するつもりで戦う。
[他の者が集まってくるにつれて、クロノは普段のペースを取り戻し始めていた。]
ハハッ、
聞きたければ自分で調べろ。
[事実、大会本部データベースに動画としてあるだろう。大会への宣戦布告と見えるが。
クロノは続けた。]
ワレワレが勝てば、このチキュウをもらう!!!
[腰に手をあて、ナサニエルに告げる。
因みに、大会本部受付のものも聞いているのだが、軽く「はいはい」とスルーされてしまっている。]
――格納庫内――
[そのブースは大型機用らしく、通常の二倍近い幅があった。
参加機の中でもおそらくは最大級のサイズだろう、黒い機体。
翼の端から端までじっと見つめ、口を開く]
……あれ? これ。
何か見覚え、あるような、――『黒の心臓(BlackHeart)』?
[若き日のウェイン兄弟が設計に関わったという機体の一つ。強大な戦闘力を持つ、当時としては最強の拠点防衛戦闘機だったというが――]
……うーん。どうなんだろ。“Gシリーズ”っぽくも見えるけど。
聞いてみないと、わかんないかな?
[一歩近づいて腕を伸ばし、手を開いて翼の角度を目測する]
とりあえず落ち着こうか……
[前方を見据えて一息。
帽子の男改めグレンによると、戦闘空域に入らないことと人に危害を加えないことさえ守ればあとは比較的自由に飛んでいいそうだ。]
自由にっていっても高速飛行と曲芸くらいしかできることないんだけどねー……
たとえばあの戦艦を調べてみるとか? 参加者の乗ってきたやつだよね?
[不敵、という言葉が似合うかもしれない顔で笑って。
少女は操縦桿の横のボタンを押した。
すると《Indigo Bird》側面の一部がスライドし、中から一辺20cmほどの立方体が姿を現した。
立方体は登場後人工衛星のような見た目に姿を変えていく。
町の技術屋が作ってくれた、機体とリンク可能な探査機械〈Satellite070207〉
タッチパネルを操作してあの戦艦に向かうよう命令を与えるとすぐに飛んで行った。
おそらくすぐに、衛星に積んであるカメラが映す光景が機体のモニターにも届くだろう――]
もしかしなくても、そうだ。
GRAVEの社員証でも見せたほうがいいか?
[烏羽色と藍鉄の色と、男の黒い服。連想するには十分だろう。
少女の左手首のリストバンドの下に何らかの反応があることを、目のナノマシンが告げている]
お前も、参加者か。
今回はキッズプロジェクトかなんかだったりするのかね。
[左手からは警戒の視線を緩めずに、少女を観察する。
あれとブラックボックスを引き合わせては何か危ない、そう男の感は告げていた]
―― 格納庫・入り口近辺 ――
[グレンは、ナサニエルに深く頷いた。
大会手伝いとして頼まれ、途中からの参加ではあったが、相棒の白兎と共に大会が滞りなく行われるように動いてきた。
自分が参加出来ないのは僅かに残念ではあるが、関われた事は、とても楽しい事だ。]
楽しみにしてるよ、ナサニエル。
グッドラック!
[にっこりと、グローブに覆われた手を差し出す。]
[長いスカートをもつれさせながら、格納庫内を駆ける。
途中で何らかの部品を拾っている人、BFを見ている人、入り口付近で会話をしている人、様々な人々を見かけた。
少し前に見た黒い兎…クロノの姿もあったが、こちらから声を掛ける間柄でもないと判断してそのまま脇を通って屋台のある方へと走って行った]
……そういえば、ロジャーくん…屋台って言っていたわね。まだ居るかな…。
[自分のBFを綺麗だと言った、小さな空色を思い出す。
同時に、マリアから言われた「敵」という言葉も]
…敵、か…。
気を、つけなきゃ。全力で行かなきゃ失礼よ。
[大きく息を吸い込んで、空を見上げ屋台を目指す]
そうなんだ。勝手にじろじろ見て、ごめんなさい。
知ってた機体に、似た感じだったから。
[黒詰め襟の男に肯定されて素直に謝ったものの、揶揄するような言葉に頬を膨らませた]
キッズなんて失礼ね。
これでもあたし、もう――ちゃんとした参加者よ。
[一瞬口をついて出そうになった台詞。何歳だ、と言おうとしたのだろう? 内心に尋ねてみても少女の中に答えは無かった]
……ええっと、ともかく。
あたしは、シュウ。
あそこの機体――『アンギャルド』のパイロット、よ。
[指差した先はやや離れた上方、5〜6mほどの高さ。膝立ちの姿勢で低くなってはいるが、黒色の頭部はここからも見える]
どれくらいの時間になるか分からないけど、同じ空域で戦うんだし、いちおう、挨拶だけでもしておくわ。
見るのまでは、構わない。
見るのまでは、な。
[相手がキッズなんかではないと少し機嫌を損ねた様子を見る。
その辺は子供だろうと、不敵に笑った]
おや、童顔の熟女だったか?
見た目だけで年が損なわないものも、見た目とは違ってお年の方もいるからな。
失礼。今まで見た参加者は反応も子供だったからな。
[男は、謝ったように見えないが、一部だけ謝っていた。
だが、男は目的のため、パイロットには精神的負担や負の感情を与えようとしていた。
これがいったい何を意味するのかまでは、男はわかっていなかった。
だが、おそらく関係するのは、あのブラックボックスだろう]
/*
とても…他の人との接触を避けているかのようです。
決してそうではないのですが、人見知りーがこう。
うむむ、失敗しちゃったな。
[男は、少女、いやこのシュウの切り替えしに少し感心した。
この少女は今までのキッズとは違って、本当に妖女かもしれない。
そう思った]
G-4771、ユージーン・ゴア・シラカイ、白海だ。
これはクヴォルフィリア。
お前は少し特異だな。
建前だけ一応言っておくか。
赤い爪に競り負けるなよ。
[男はシュウの機体、アンギャルドの見た目や武装から、近接攻撃もする事を見抜いた。
だから、ゴードンとも近接で戦うこともあるだろうと思った。
そこから出てきた素直な一言だった]
《参加者の偵察ではないのだな。
それを先に言え。
戦艦内にはどうせ入れんし透視も出来ん。
放っておけ。ラントをアピールする機会だ。
が、潜り込もうとする仕草が見られた場合は、
他の連中にも伝わるよう、破壊しろ。
無駄だという事を知らせろ。》
[グレンやナサニエルからも、クロノが話している内容は聞こえるだろう。ラント戦艦は巨大であり、その全体像はクロノのラント製BigFire「メテログラフト」のような真鍮色をしている箇所が多く見られる。
戦艦の横には、チキュウ名「ClockWorks.rant」のロゴ…とも言えるものも見えるだろう。]
部品転がしたままって危ないじゃないですか!
人が多い所じゃなくても部品や工具はすぐ拾うのが鉄則でs――あ、いきなりごめんなさー……
[その人が、パーツの持ち主らしい。
何処かは判らないが制服を身に着けている為、何処かの会社で参加しているのかとも思うがそれはさて置き。
自分が良く言われているからか、反射的に注意が入ってしまう、それと一緒に我に返りつつ謝罪。最終的にしどろもどろになってしまった。]
……えふん、あ、参加者の方ですか?
メカニックで?それともパイロットで……?
[仕切り直しとばかりにそんな事を聞く、まだ少々恥ずかしいのか、ピンバッチは目に入っていない様だ。]
そんなの知らないわよ!
歳のことをレディに言わせようとするなんて、失礼でしょ!?
卑怯だわ!
[半分以上は言いがかりになっていると自覚しながら、勢いのまま言い放つ。知ってはいるのだ。停滞フィールドの影響下に置かれていれば、内部の時間進行は外部の約十万分の一。少女が生まれてから実際には何年経ったのか、判らないままなのだ。目の前の男からぷいと顔をそむけ、小さな声で呟く]
……あたしだって、知らないんだもん。
《参加者の偵察ではないのだな。
それを先に言え。
戦艦内にはどうせ入れんし透視も出来ん。
放っておけ。ラントをアピールする機会だ。
が、潜り込もうとする仕草が見られた場合は、
他の連中にも伝わるよう、破壊しろ。
無駄だという事を知らせろ。》
[グレンやナサニエルからも、クロノが話している内容は聞こえるだろう。ラント戦艦は巨大であり、その全体像はクロノのラント製BigFire「メテログラフト」に何処か似ている。同じ、チキュウ名「ClockWorks.rant」が造ったものだからだろうか。
戦艦の面持ちはしているが、実際の戦闘力がどれ程のものであるのかは、外側から伺う事は難しいだろう。]
……ユージーン。白海さん、ね。
[ユージーンの言葉は激励のようにも聞こえ、少しの間をおいて少女は可笑しそうな顔になった]
うん。負けないよ。
……ふふっ、でもなんか、変。
だって白海さん、なんだかいつも意地悪言ってそうな感じなんだもん。会って初めてなのに言うのも、失礼かもしれないけど。
わ…か
[男は素直に言いそうになって、留まった。
ここで謝るのは任務に反する]
わからないか、そういう事もあるのか。
じゃあキッズで十分だろう。
自分の身の程を知らないようなやつはな。
[さて、言い直したが、これで大丈夫かと男は一応思った。
そういう事にしておこう]
さて、俺はそろそろGRAVEの研究員たちと合流する。
この辺のブロックに他の運搬用機体が到着するだろう。
潰れないうちに、さっさとどっかいけ。
[そして男は、端末からクヴォルフィリアに誘導ビーコンを出して、研究員たちを待った**]
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