377 劇団人狼ズ、旗揚げ公演村
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ニコラス
ナタリア。
モーリスさんの脈は無かったよ……。
医療関係者じゃないから、
脈が無い＝死ではないかもしれないけど。
鎌の形が、ホントに違うの？
……う、うん。
[眉を寄せて、フラフラと川の方へ]
血の痕跡が途切れてる。
おばあさんは、落ちてしまった、のか？
ニコラス
意外と、深い川だ。
タクシーでキャンプ場に来る時、
見た渓流に繋がってるのだろうか。
[振り返る。]
…………。
私たちはどうすれば良いんだろうな。
ケネヌに会って話すべきなんだろうか。
会ってまともに話せるものなら、だけども。
ブライアン
どっちにしろ、奥さんの手がかりはここで途切れてしまっている。
コテージに戻るか？
じーさんが俺たちと話してる短い間にお茶に細工をしたのなら、何か手がかりが残っているかもしれない。
ナタリア
そうなの・・・。
私は、はっきり見てなかったからもしかしたらと思ったんだけど、おじいちゃんはやっぱり・・・。
川に流されたんじゃないとしたら、なんで血のあとが川に向かってるのかしら・・・。
アリシア
[サンダルと川べりの様子を確かめている]
わからないけど…おばあさんはここから落ちたのじゃないのかも。
あら、みなさん。こっちにこられたんですね。
[モーリスのことを聞くと青くなった]
モーリスさんが、そんな…！
でも、確かに私は生きたモーリスさんに大きくなってからもお会いしてるのは確かです。
過去が、変わってしまった？
ニコラス
モーリスさんは、ケネヌが殺人鬼だと
ずっと言い続けていたけど。
……それが本当にケネヌかはともあれ。
お茶に毒を入れた犯人、
鎌に血が付着する何かを行った犯人は、
居る、存在するんだよね。
この10年前の時間軸に。
ナタリア
ここが本当に１０年前かどうか・・・、コテージに何かわかるものがあるんじゃないかしら？
新聞とか、テレビとかさ。
おばあちゃんの手がかりは無くなっちゃったし、コテージに戻って調べてみる？
アリシア
ええ、テリーさん。
モーリスさんはお向かいさんですから、毎日庭先を掃除してらして…挨拶するのが日課だったんです。
奥様が亡くなられた後はずいぶん寂しそうにしてらっしゃいましたけど。
でも、私以外にもモーリスさんにお会いした人はいたので、生きていたのは間違いないと……。思います。
ニコラス
……さあ、どうだろうテリー。
私の携帯の時計は、
洞窟で電源が切れてしまったから。
継続してるはずの時間を確認する手段が無い。
コテージで何か探すか。
いっそ、キャンプ場を降りて
ふもとに向かうかじゃないかな。
私は降りてしまいたいけど、
その前にもう一度……、
モーリスさんの所に戻りたい気持ちはあるかな。
ブライアン
ここが1999年というのは、じーさんの言葉だけだしな。
しかし、1999年じゃないなら、それはそれでコテージにいたじーさんも嘘をついていたことになる。
わけがわからんな。
クリストファー
捕らえ方の違いはあるようだけど、もう一度コテージへ向かうべきだという点では、僕ら、一致しているようだね……。
……行こうか、もう一度。
アリシア
10年前なら10年前で、どうしてコテージの周りに穴が開いていたのか気になりますね。
ここは、過去とか今ではなくって、まったく違う空間なのか持って、少し思ったりしますけど。
あの洞窟からして変でしたし。
テリー
まあ、このキャンプ場にきてから俺の理解を超えることばかり起こってるしな。何が起きても不思議はないか。
とりあえず、コテージに戻るか。
[そういって、コテージの方へと歩き出した]
ブライアン
そもそも、俺たちはいつからまともな……なんと言えばいいんだ、時間？空間？から離れたのかというのもあるしな。
あの洞窟がおかしいのかと思っていたが、もしかしたら、このキャンプ場付近自体がおかしなところなのかもしれない。
アリシア
……誰があけた穴なんでしょう。何のために。
[穴を避けながらコテージへ]
モーリスさん、本当に亡くなってるんでしょうか。
脈が触れなくても生きてるとか、仮死状態とか。
ナタリア
詳しい人が見ればわかるのかもしれないけど、仮死状態かどうかは私にはわかんないわ。
・・・少なくとも、おじいちゃんは私には死んでるようにしか見えないわね。
アリシア
[モーリスの方へと歩み寄る]
モーリスさん……。奥様も助けられなかったみたいだし、こんな所で亡くなってしまうなんて、なんて…。
[沈痛な面持ちで黙祷を捧げた]
アリシア
[顔を上げる]
荷物……そう、ですね。それで何かわかるかもしれないですし。
[目の端に涙が滲んでいる]
ここから脱出するための情報が必要ですもの。
ニコラス
……荷物か。
洗面所に、モーリスさんのお薬かな。
袋に調剤日が。
×××9年9月7日。
文字が水で滲んでる。
新聞とかがあれば。
…………ッ！
[唐突に大きく目を見開いた。]
ニコラス
彼が来る！
毒を盛った効果を確かめに……。
私を、殺した憎い彼が此処に。
[焦点が合わない目。洞窟で何かに乗り移られた時のような声音。]
ケネスはすぐそこ、扉の前だ！
アリシア
ニコラスさん、そちらどうです？
お薬？
[ニコラスのほうを覗き込んだ]
9年が、西暦なのか年号なのかも気になりますよね。
何か、無いかしら…。
[台所の方へと歩き出す]
アリシア
[ニコラスの声に振り向いた]
二、ニコラスさん！？
大丈夫ですか？
[ニコラスのほうへ駆け寄ると、抱き起こし、そして扉を見た]
ケネヌさん……？ それとも、ケネスさん？
アリシア
ニコラスさん、しっかりしてください。
[ニコラスを揺すったが起きる気配が無い]
この、扉の向こう……。
大丈夫、ケネヌさんはいい人だったもの。
もう一人いるって言うケネスさんだったら…。
[立ち上がると扉に手をかけた]
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