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[さわさわと夜風が頬を撫でる。
見上げればそこに満開を少し過ぎた頃の桜が、それでも精一杯、残りの力を振り絞るかのように咲き誇っていた。
ひらひら。
はらはら。
花びらは途絶える事無く降って来る。]
───アデライド。
[...は庭園の中でも殊更古い一本の木の根元に腰を降ろし、ここ数日の間の出来事を思い出しながらじっと桜を見上げていた。
気付けにと持って来た酒は既に空になっており、気分のままに呟いたその名前に、くらりと軽い酩酊感を覚えた。]
[ここ数日考える事はアデライドの事ばかりだった。
初めて見た時はただのいけ好かない、からかい甲斐のありそうな相手としか思っていなかったのに、一体何時の間にここまで頭を占めるようになっていたのか。]
らしくねぇな。
いやむしろ…俺らしいか。
[自嘲気味に。
手に入らない相手に程、手を伸ばしたくなるのはいつもの事。]
[気がつけば既に誕生日のパーティーもお開き状態になっており、その場に一人取り残されているような状態になっていた]
嫌ですわ……目覚めなかったら、このまま放置されていたのかしら…。
[呟き、上体を起こす。思考はまだ半分ぼんやりとしていて纏まらず、今は何時なのかと頭を巡らすが]
…さすがにパーティー会場に時計はありませんのね…。
[しかし窓の外を見ればまだ桜を照らす光が見え、そこまで遅い時間ではないことが分かる。
ゆるりと立ち上がると、半分無自覚のままその光に惹かれるように屋敷の外へと歩みだした]
[3日前にバルコニーで会った時の事を思い出す。
自分の酷い行為に人形のような瞳で応えて来た女の、月明かりに照らし出された、壮絶に綺麗で、しかし今にも壊れそうに張り詰めた表情が忘れられない。
───一人で何を抱え込んでる?]
[半分夢遊病者のような足取りで桜の園をゆっくりと進み…しかしその視界に異なるもの…ミックが入り込むと、一気に覚醒し現実に引き戻る]
―――ぁぁ……―――
[状況を把握するも、溢れ来る情報量に酔ったかのように、小さく声を上げるとその場にくらりと崩れ落ち蹲る]
[物音に目をやると、蹲ったアデライドの姿が目に映った。
慌てて立ち上がり、近づきすぎない位置まで駆け寄る。
手を伸ばして助け起こしたい、そんな気持ちを抑えて。]
どうした、アデライド……平気か?
[他にかける言葉も見つからず、触れるたびに自分を傷つける彼女に手を差し伸べる事も出来ずに、ただ立ち尽くす。]
[こめかみを押さえ、緩く頭を振って目を上げる。そこに確かに男の姿を認め、いったんしっかりと目を瞑り、また開く。
そこにはいつもの、毅然とした光を湛えた瞳が戻っていた]
心配されることなど、何もありませんわ。
…ええ、全部桜のせい。
どうしてこんな所に来てしまったのかしら。
[少しふらつきながらもゆっくりと立ち上がり、抑揚のない声で返す]
[来てくれた事への淡い期待さえ浮かべる余裕もなく、案山子のように立ち尽くしたまま、目の前の女がいつも通りの勝ち気な表情を見せてくれるのを待った。
そして顔を上げた彼女の期待通りの表情に。
何故か酷く胸が痛んだ。]
そうか……。
何でもねぇなら、いい。
その、話ってのは……こないだの晩の事なんだが。
[この間の晩のこと、と話を切り出され]
何も覚えてませんわ。
[軽く唇を噛み、一言で言い切る。知らないうちに、爪が手のひらに食い込みそうなほどに強く手を握り締め]
でも、俺は覚えてる。
[即座に言い返して]
悪かったな。
ひでぇ事して。
[まただ。
またそんな顔をする。
虚勢を張っているとすぐにわかる、辛そうな表情。
放っておけない。
抱きしめてやりたい。
そんな想いを気力で封じ込めて。
しかし無意識に一歩、前に踏み出した。]
謝ってどうなりますの…?
[きつい目でミックを睨みつける。
しかし不意に吹いた風に煽られた桜の花びらが視界を過ぎると、とたんに瞳が揺れ、表情が翳った]
何が目的ですの…?
わたくしを好きにしたいのでしたら、そうなさればよろしいわ。
好きに……?
あぁ……そりゃ、出来るものならそうしたかったさ。
気の強ぇお姫様を、泣かしてやりてぇと思ってた。
[投げ遣りにも聞こえる言葉。
感情が昂ぶって目が眩む。
必死で感情を抑え。]
でも出来ねぇんだ。
お前がそんな、辛そうな顔をするから。
[ミックの言葉に訝しげな顔をして、そしてうっすらと微笑む]
ふふふ…矛盾してますわね。
泣かしてやりたいのに、辛い顔をするのは嫌だなんて。
馬鹿げてますわ。
うん、そうだな。
馬鹿げてる。
でも仕方ねぇんだ。
惚れちまったから。
[アデライドの口元に浮かんだ微笑。
自虐的にも見えるその笑顔をやめさせたくて。
馬鹿みたいに正直に、想いを唇に乗せた。]
………は……?
[耳に入った言葉に一瞬虚を突かれ、素の表情になる。
何かを言おうとして何度か口をぱくぱくさせ]
…か、からかうのもいい加減に…。
[戸惑いの表情のまま、何とか絞り出したのはそんな言葉だった]
俺は真面目だぜ。
からかう余裕なんてねぇさ。
[張り付いたような微笑が消えた事に安堵し、
ほんの僅かに表情を緩ませた。]
アデライド、お前が好きだ。
俺はお前に惚れてる。
どうしようもないくらいに。
意味、わかるか?
そんなの分かるわけありませんわ!
[むしろ、分かりたくもない。
そんな思いが言葉の端に乗る]
そんなこと……どうせ何かの気の迷いですの。
桜が見せた幻影ですわ…。
[半分泣きそうな表情になって、数歩、後ずさる]
違う。
気の迷いなんかじゃねぇ。
[きっぱりと言い切って。]
ここに来てからずっとお前を見てた。
お前だけを見てた。
だからお前も、俺を見ろよ。
[後ずさるアデライドを追って、数歩前に踏み出す。]
いやぁ…来ないで…。
[近づいてくるミックの姿に、視線が宙を彷徨う]
お母様…どこに…?お父様が…ぁぁ…。
[両手で頭を抱えて、うわごとのように呟く]
───…おい、どうした?
[様子の変わったアデライドを訝るように、更に距離を詰める。]
アデライド、何を言ってる。
お前の親父なんて、ここにはいねぇぞ?
[目の前に迫るミックの姿に、何を重ねるのか]
やめ…ぃや……お父様…。
お母様はもう…お願い……いやぁ…。
[ぽろぽろと涙を零しながらきびすを返し、よろよろとした足取りで逃げるように走り出す]
アデライド……逃げんな!!
[逡巡を振り切って最後の距離を詰めると、走り出したアデライドの腕を掴んで細い身体を抱き締めた。
彼女の頭を胸に押し付ける様にして、きつく。]
こっちを見ろよ!!
今お前の前にいるのは誰だ!?
[腕を引かれ、がくりと崩れながらミックの腕の中に収まる。いやいやをして逃れようとするが、ミックの強い言葉にふと気づく]
[違う体温]
[違う体臭]
[違う腕の力]
ふ…ふふ…ふ……。
[抵抗がぴたりとやみ全身の力が抜け、変わりに気がふれたかのように小さく小さく、笑いを漏らす]
[腕の中で笑い出したアデライドに、
驚きより先に遣り切れなさが募った。]
……アデライド……頼むから俺を見てくれ。
[きつく抱き締めたまま、搾り出すように声を紡ぐ。]
[自らを抱く腕の温みにほんの僅か目を細め、何かが抜け落ちてしまったかのようにミックの顔を見上げる]
…もう、気がついてしまったのではなくて…?
[哀しいのか辛いのか、そんなものももはや分からなくなってしまった。そんな目で]
[顔を上げたアデライドを逃がさない程度に僅かに力を緩めて、視線を合わせる。]
………。
[しかし何も言わずにただ続きを待った。
掛ける言葉が見つからなくて。]
[ぼんやりと、風に散る桜の花びらを追う。遠い昔を少しだけ懐かしむように]
わたくしの両親は、良くある政略結婚でしたわ。
それでもお母様はお父様を愛してらっしゃった。どんなにお父様が女遊びをしてよそにいくら庶子を設けようと、ただただ泣き暮らすだけで一切責めることなく…。お父様はそんなお母様のことを顧みることはありませんでしたの。
なのにある年の春、流行り病であっさりとお母様が亡くなってしまって………お父様はおかしくなってしまったの。
桜並木の中を彷徨い、桜の花が大好きだったお母様の姿を探して探して。……挙句の果てに、わたくしにお母様の面影を求めてしまったのですわ……。
[淡々と語られる言葉は、ある程度予想のついていたもの。
しかし相手が父親だった事に辛そうに表情を歪ませて。
一度緩めた腕に、再度力を込めた。
先程より一層強く。]
[強く抱きしめられる身体を、じわりとはがそうとする。穏やかな微笑みを見せて]
でも大丈夫ですわ、もう随分と落ち着いていますの。
状態が酷かったのは、お母様が亡くなってから半年くらいのこと。
今ではすっかり元通りの女たらしですわ…。
[ふふ、と笑う]
しかし今回わたくしが突然家に帰ったのは…お父様の「発作」のせい。
毎年桜の季節になると、突然引き起こしますの。
あれでも地位のある貴族…失脚すれば路頭に迷う人間がたくさん居ますわ…。
わたくしにはそのようなものの生活を守る義務がありますの。
ですから…わたくしがお父様をなだめて差し上げますのよ…。
[淡々と、事実のみを他人事のように呟く。しかし自分でも気づかぬうちに、微笑みを壊すように涙が頬を伝った]
──一人で辛かったな。
……無理に笑わなくていいんだぜ。
[アデライドの弱い抵抗を無視して、抱き締めたまま髪を撫でる。]
もう、嫌な事はするな。
俺はお前を傷つけねぇ。
触れるなと言うなら、もう触れない。
だから傍にいさせてくれ。
お前の望みを、叶えさせてくれ。
お前はどうしたい?
嫌なことはするな…ですって?
これは!わたくしが自分で選んだ道ですの!
多くの人間の暮らしを守り、ひいては自分の生活を守るために!
わたくしが自分で選びましたの!
…今まで守ってきたものを、あっさり壊せと言いますの…?
貴族の内情なんてこのようなものですわ。
スキャンダルばかり…あのトムとか言う人間に売れば、しばらくは遊んで暮らせますわよ?
それでも、守ってきましたの…。
馬鹿みたいにしがみついてきましたのよ…。
壊せねぇもんがあるなら、他の道を探せよ。
一緒に考えてやる。
一人で全て背負い込むなよ。
お前に守りたい物があるように、俺もお前を守りてぇ。
[低い声で穏やかに言いながら、何度も髪を撫でて。]
貴族の内情になんて興味はねぇよ。
ただお前が辛そうなのだけは、もう我慢できねぇんだ。
だから、お前の傍にいさせてくれ。
わたくしは…生活のために身を売っている女と同じですわ。
日々の糧のために、意に沿わぬ男に足を開くような女ですの!
そんな…そんな人間に……そんな…ありえませんわ!
[ぼろぼろと涙を零しながら、渾身の力でもってミックの腕を振り切る]
やめて…そんな風に髪を撫でたりしないで…!
[全力で走り出し、屋敷の中に駆け込む。驚く召使いを置き去りにして自分の部屋へ入り、床に崩れ落ちた]
こんなのって…こんなのって……。
[髪を撫でる感触が、どうしても離れない。何度も振り切るように頭を振る]
……あ、おいっ!!
[暫く落ち着いた様子だったアデライドの急な行動に虚を突かれ、彼女を離してしまった。
慌てて後を追い、部屋の前までやって来ると軽く扉をノックした。]
いるんだろ、アデライド。
何で逃げるんだ。
……一人で泣いてくれるなよ。
なぜ…どうしてあの頃のままのわたくしではないの…?
こんな薄汚れてしまったわたくしなど…。
[這うようにしてベッドルームへと進み、天蓋の中に身を横たえる。電気を付け忘れた室内に、いまだライトアップされた桜の幻想が差し込み...を苛んだ]
どうすれば良かったと言うの?
どうすれば……。
[扉に額を付け、中に居る筈のアデライドに向かって声を掛ける。]
なぁ……何か勘違いしてねぇか?
俺が惚れたのは、世間知らずの貴族の娘なんかじゃぁねぇ。
守るべきものの為に自分を傷つけて、それでも毅然と前を向いて立とうとしてる。そんな奴だからこそ惚れたんだ。
[...は返事のないのに痺れを切らして、扉に手を掛けた。]
……入っていいか?
………入るぜ。
[...は僅かな逡巡の後、静かに扉を押した。
灯りは点けず、桜に掲げられた提灯から差し込む仄赤い灯りだけを頼りに、人気のする方へと歩む。]
……やっぱり、泣いてんじゃねぇか。
[天蓋の下で横たわって泣くアデライドの傍らに立ち、
苦しげに呻いた。]
[シーツに顔を押し当てたまま、小さく頭を振る]
泣いてなど……。
[しかし口をついた声は紛れもなく涙声で、思わず口ごもる]
[...はベッドに腰掛けて、泣き続けるアデライドに手を伸ばした。
そうっと髪を撫でると、アデライドの震えが伝わって来て胸が締め付けられるような切なさを覚えた。]
自分を嫌うなよ、アデライド。
真っ白で綺麗なだけの人間なんてつまんねぇだろ。
[髪を撫でられるその感覚に、僅かに止まりかけた涙が更に溢れ出てくる]
やめなさい……。
[瞼を閉じても、それを押し開けるように次々と涙が零れ、止まらない。弱々しく抵抗の声を上げるも、涙とともに何か詰まっていたものが一緒に流れ出すようで、不思議に心が軽くなる気持ちがした]
…でも、綺麗な人間のほうが守ってあげたくなりますわ…。
そうか?
そんなら綺麗な奴は他の誰かに守らせときゃいいさ。
だからお前は、俺に守らせろよ。
[アデライドの髪を撫で続けながら、身を屈め後頭部に口付けた。]
なっ!?何をしましたの?
[驚いて思わず上体を起こすと、ミックの顔を見る。
…が、はっと気づいて慌てて手の甲で涙の痕を消そうとごしごしとこする]
守らせろだなんて、随分と大きな口を叩きますこと。
ちんぴら風情に何ができますのかしら?
[少し口調に楽しげな色が感じられた]
[振り返ったアデライドの頬を両手で挟んで、ベッドに寝かしつけるようにして撫でた。
親指で頬に残る涙の跡を拭い、見下ろす体勢のまま言う。]
何でも出来るぜ?
何しろ俺は、まだ何も持っちゃいねぇから。
守るための力は磨いてたが、肝心の守りたい物がなかった。
守りたいモンが出来たのは久しぶりだ。
何でも…ですって?
それでは貴族の暮らしもできるのかしら?
いい服を着ていいものを食べて…夜会ではダンスを踊りますのよ?
[見下ろされる体勢に虚勢を張るように、じっと睨みつけた]
なんだってしてやる。
俺は器用だから、そのくらい朝飯前だ。
……お前が、真にそいつを望むんならな。
[何でもない事のように言い切って、自分を睨むアデライドの瞳を見つめ返した]
[ミックの返事に、ちょっと詰まらなそうに軽く唇を噛んで視線をそらす]
……一発、殴って差し上げて欲しいですわ……。
[誰に、とまでは言わない]
…もう、それでいいですわ…。
一発だけか?
我慢できっかな。
[...は瞳に悪戯っぽい笑みを浮かべてアデライドを見下ろしていたが、急に何かを言いかけて視線を泳がせた。]
なぁ、さっき、触れないって言ったばっかりで悪いんだが……。
やっぱり、触れてもいいか?
[...はアデライドの耳元に顔を近づけて、何か耐えるように囁いた。]
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