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小さく舌打ちをするだけの大の大人と、何も言えずにいる泣くだけの少女を交互に見て、くつくつと満足そうに−−そして段々、憂いを帯びて、シルヴィは二名に告げた。
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「誰も知らぬだろうな。私でさえ知らぬ。
何千、何万と生きてきたかも最早定かではない私も、死にゆく者どもの行き先など、見たことがないのさ。
それ故に私はこう思う。
幾星霜も伏せられた正解−−答えなど、ないのだとな。
仮にお嬢さんは、大切な人が亡くなり、その行き先がわかったら、さあどうする?
私であれば−−追いかける、と思うがね」
>>オズワルド国王
………………。
(王の眠る寝室に足を運ぶ。人の死を目の当たりにしたことは、そう言えばなかったかもしれない。こんなにも安らかで、静かに眠っている死に顔というのもあるのか…。
胸元に光るコサージュ。やっぱり見間違いではなかったようだ。花びらの繊細な曲線も、花そのものの豊かな膨らみも、細部にわたりこだわった一点物だ。誇らしかった。純粋な技術を評価してくれた事に。そっと、彼の胸元に触れぬよう金の装飾を指でなぞった。)
……………。………礼の言葉は、この戦いが終わった時まで取っとくか。
>>237 テルミット
理解者「私はチクタク、よろしくね。
わかってるよ、何が悪いなんて言ってない、悪いのは。」
どこかからか見てるだろう魔女に向かって心の中で中指を立てる。
ゼウス「興味のあるものを作って、それが結局人を助けてるなんて素敵じゃな。
ルーツが時間について、考える回数はここ最近で増えた。こうやって紡ぐ言葉がいつ最後の言葉になるか分からなくなってしまったのだから。その折角の人生が少しでも長く続くことを祈ってる。
しかしそう思うと、あの蓄音機もとても有難く思えてくるな。あの中でなら故人ともいつでも再会はできる、笑いかけてはくれぬかもしれんが。
お互いに随分せっかちな友達を持ったものだな、常にケツを叩きにくる、まるでヘラみたいだ。」
ふぉっふぉっと笑うと同時に少し咲き込む。うー、またジュラムさんのお薬貰わないと。
>>245セレナ
「勿論。私に何事もなければ、返して貰うけれど。
そうでなくて。私の時が止まっていたのであれば。セレナは。どうか私の命の宝石を持ち続けて。
私は。誰かの記憶の中ですら、私の時間を止めたくなんて無い。そこで、止まったままの存在にはならない。
私との記憶を思い起こすそれが、貴女の時と一緒にいてくれるなら。
貴女が生きて。私の命の宝石と、時間を積み上げていってくれるのなら。
そうすれば。私の時間は。セレナの中で、セレナと私の時間として、進んでいくことが出来るから。
サラ=クロノスティスの時は。
"サラと言う名の少女の宝石は。
その後も友と時間を歩み続けた"と言う形となって。
時を刻み続けてくれるから。
そうして、私の時は生き続けるから。
だから。受け取って?」
テルミットは蓄音機…《アイ》の前に立っていた。
その隣に手紙の添えられた小箱を置く。
アイリーンに向けたものだった。
『アイリーン・クロッカー殿
リーン、誕生日おめでとう。
こんな時だからこそ普段通りにお祝いをしてやりたかったのだが、今年は料理を作るサーメートもいなければ、飾り付けをする会場もない。実に無念。
この件が片付けば例年より盛大な会、いや、式典を催してやろう。
私の《お誕生日を祝うくんVer.16》が文字通り火を噴くぞ。
さしあたって、これは新聞屋になるリーンの為のプレゼント。インクが自動で補充される万年筆だ。
これで書いた記事を読むのを楽しみにしている。
テルミット=ヴィブラートより愛を込めて』
〜刻が今日を告げる前の話〜
>>147>>148 サラ
「……そっか、サラお姉さん、お家にはまだ……。
私は大丈夫。…ここに来れば、こうやって誰かしらいるから。」
当然だ。彼女の身体で、一人ぼっちになるであろう家へと帰す者はいない。
「あっ………。」
確かに止めた手を、彼女の痛々しい手が包み込む。
いたい。いたい。いたい。
柔らかい肌を覆う包帯の感触がする。
導かれれるように彼女の額へと手を持っていかれる。それは、神聖な、祈りだった。
「うん、覚えている。覚えている、から…忘れないように、これからも、……」
そこにいてね、と、小さな小さな声で呟いた。
「………そうだな。どう考えていたかと言われれば、砕かれることを避けたい眷属に見えてたよ。まさか、2人も出るとは思わなかったが………まぁ、事実、出てきちまったモンはしょうがねぇ。
……それに、覚悟は出来てたからな。」
最後の言葉は、どこか寂しげに。アイリーンを見つめながら呟いた。
「ルーちゃんってのは……あぁ、あの人形使いのことか。……そうか、嬢ちゃんの知り合いだったのか。………すまんかったな、嬢ちゃんの友人を疑ったりして。」
そう言うと、軽く頭を下げる。
この状況で、疑った事を謝罪するのもおかしな話かもしれないが。それでも彼女の友人を疑った事に変わりはないのだから。
>>255 サラ
「……貴女は、そう言うと思っていたわ。
頑固で強情で自分を曲げない貴女なら、決して立ち止まることを望まない、とね。
……仕方ないから、受け取るわ。
貴女のその想いも一緒に。
私も立ち止まるつもりはさらさらないから。もし貴女に、そのときが来てしまったら……そのときは、このタンザナイトと共に時を生きる。」
そう言って、セレナは宝石を受け取る。
サラの決意はわかっていたし、その役目は私しかいないとも思っていた。
彼女の言葉は嬉しかった。ただ一点の、引っ掛かりを除いては。
「……私の時計も、いつ砕かれてもおかしくないのだけれど。そのときは、ちゃんと自分の宝石は取り戻して。」
>>250 ジュラム先生
「辻占……ええ。そう思っています。今のところは。
だからでしょうか、小悪魔というものを私に占わせないといけないと狼も都合が悪いでしょうから……しばらくはここにいられるのでは、と思っています。
……おじさまは、不運なかたね。」
壊れた群青色の時計。
ずっと持ち歩いてしまった。壊れた時計がより辱められることはないのだろう。でも守っていたかった。
「先生。私、このおじさまの時計をホールに置いてきます。」
小さな咳払い。蓄音機の前に人形を持たないルーツが立つ。
対面じゃなければ私だって喋れる。
「こんばんは、リンちゃん。
まずは誕生日おめでとう。遅れちゃってごめんね?
こんな事になっちゃったから親友の誕生日すらドタバタしちゃって。
出会って数日なのに、あなたとは数十年来の仲のようだわ。重ねた思い出一つ一つが愛しいからかな?
いつか、全てが終わったら、私に自分の口であなたに感謝を伝えさせて。」
「だからとりあえず今は。」
私は手を合わせて、彼女のことを思う。
好きなんだな、彼女のこと。
ゼウス「ハッピバースデートゥーユー」
エビス「ハッピバースデートゥーユー」
ロキ「ハッピバースデー、ディア」
シヴァ「アイリーン!!!!」
理解者「ハッピバースデートゥーユー」
「リーン、誕生日おめでとう。
大好きだよ。」
>>249 ルーツ
「チクタク殿。私はテルミット、よろしく頼む。
ふむ、ルーツ嬢は友達が沢山いて羨ましいよ。
役に立つ…?くく、それはどうかな。概ね益体もないものばかり作っては弟子に説教される毎日だよ。
そうだな、我々に与えられた時間は増えはしない。その中で好きな誰かと好きな事をして楽しく愉快に過ごすことが出来れば最終的にはいい人生だったと言えるのだろうな。尤も、そうすることが一番難しいのだが。
蓄音機か。ここだけの話だがな、今私はこの蓄音機の音を溜め込んで吐き出す機能と、寫眞を合わせることが出来ないかと考えている。少しずつずらした寫眞をだな、何枚も何枚も用意してそれを次々に捲っていけば動いているように見えるだろう?それに、別でとった音を足すと、どうなると思う……?
どうだ、わくわくするだろう?これが生きるということだ。」
テルミットはニヤリと笑った。
人まばらになったホールへ向かう。
こつん、こつんという足音が寒々しく響く。
マザー・クロックの台座は主人の不在を嘆いているのだろうか。
壊れてしまったブレイクの時計を何度か撫でる。
痛々しくベゼルにはヒビが入り、針も曲がってしまっている。
「……いたいのいたいの、とんでいけ」
撫でたその指をベゼルが傷つけた。
じわ……と血が滲む。
「……っ!」
声にならない小さな悲鳴を上げると、時計はそのまま台座の上に置く。
「ここでいいのかはわからないけど。
たくさんのかたとお話ししてね。おじさま」
>>グレゴリオ
[色々な話が終わった頃合を見て、グレゴリオの近くに行く。]
あの、……
何から、話したらいいか、わからなくて、時間がかかってしまいました。
[何を言っているんだろう、と思う。それでも、正直な気持ちを、すべて言いたかった。]
……以前、『男は女になれないし、老人は子供になれない。そんなどうしようもないことも世の中にはある』と、グレゴリオさんは……そう言っていましたね。
[あの時、何も言えなかったことを思い出して、きゅっと唇を噛む。]
あの時は、何も言えなかったのですけれど、
あれから、優しくしてくださった方が、次々いなくなって……私、あの時のグレゴリオさんの言葉を、思い出しました。
これも、どうしようも……ない……こと、なのか、と。
[ぽつりぽつりと、言葉を続ける。あの時は憤りさえ感じたけれど。今ならほんの少しだけではあるが――解る気がする。どうしようもないことが、壁となって立ちはだかった時の、絶望も。諦念も。]
でも、やっぱり。私は、今ある私を……信じたい。
どうしようもないことも、きっと、自分を信じて、乗り越えられるって。
だから……っ……
[本当は、諦めないで欲しい、と言いたかった。けれど、それを、これから時計を壊されるこの人に言うのは、独りよがりだ。]
>>263 ヘンリエッタ
「なるほど、それは納得できまスね。
アナタの考えなら悪魔の陣営は2人とも起きてイる可能性が高い。
それは同意ですネ。呪われたとしても、砂になったとしても不運には変わりありませン」
時計を置いてくる、と言った彼女について行く気は起きなかった。
彼女のいなくなった広場で、懐中時計を取り出す。やはり正確な時は知れない。だが、日付が変わりそうな位置に針が見えるだろう。
開かない蓋と時計の境目を無意識に引っ掻くと、冷たい金属は人差し指の爪を削り嫌な音を立てる。その神経質な音に顔を歪めて懐へしまい込み、上着を羽織る。
月の中、日付が変わる前に家路についた。
……応援して、くれませんか。
[それは、ルクレースの精一杯だった。涙は昨日、枯れ果てるまで流したから。
今日は、泣きたくなかった。明日も頑張れるように。]
……あなたが、何者でも。
私は、グレゴリオさんと話せて、本当に楽しかったです。本当は、せっかく会えたのですもの。もっとお話したかった。
私に、サーカスのチケットを、林檎飴を、ありがとうございました。
[深く深く、お辞儀をした。涙は枯れ果てたと思っていたのに、ぽろりと一粒だけ、あたたかいものが目から流れ落ちたのがわかった。]
「……グレゴリオは、姿を見せないの。そう。
彼にも、することがあるのでしょう。
なんであれ。総意がしっかりと為すべくなっていれば、処刑は執り行われましょう」
>>268、>>270、>>273 ルクレース
そういえば、そんなことを言った。私もだが、ルクレースも忙しそうで謝罪する機会を失って、すっかり忘れてしまっていた。
「その事なんだが…」
謝ろうとすれば、お嬢さんの方が先に続ける。以前は手紙だったから、今は相当頑張っているのだろう。私は彼女の零す言葉を聞きとげる。
「私は世の中にはどうしようも無いことはあるし、どちらかといえばそういう出来後の方が多いと思っている。…あの時は嘘をついていた」
今だって、そうだ。
どうにか出来たのかもしれないが、それは私ではない人間だったらの話。私が私である限り、変えることが出来なかったのだろう。
これでも、ルクレースの言葉を信じてみたくて、変えられると思いたくて、足掻いてはみた。
>>ルクレース
「応援、か。
なら、お嬢さん。私は君の言う、壁を乗り越えられる可能性にかけてもいいだろうか」
首からぶら下げている、自分の懐中時計を取り外す。
本来、時計を送るのは一生の愛を誓う行為。その際にも、自分の命の時計など渡さない。だとしたら、今私がしようとしていることにはどんな名前がつけられるのだろう。
「共鳴者の彼女は誰に預けても良いと言っていた。ならば、砕かれるその時までお嬢さんに預かっていて欲しい。
お嬢さんが信じる可能性に私も賭けてみたいな」
この場にいる誰よりもシンプルで、傷だらけで、特徴の無い黒い時計をあの日チケットを渡した時のように、多少強引に押し付けた。
「迷惑なら、共鳴者の彼女へすぐに渡してくれて構わない。けど…砕けた欠片の1つでも拾ってくれれば嬉しい」
>>265 テルミット
これが生きる、か。
死に一番近い場所で生を教えられた。
活力に満ちた彼の目には立ち止まった私に見えない未来を捉えてるのだろう。
理解者「それは素敵なアイデアね、って私はあなたみたいな技術がないから口にすることしか出来ないけど…。
動く写真、喋る声。絵画が動くような、夢のようなことが起きる。
そうしたら私たちは永遠になれるのかもね。」
残す者を悲しませたくない、というのは去る者の最も大きな願いだろう。
その悲哀を少しでも和らげられるなら、依存の先を、逃避の先を作れるなら。
理解者「ねね、それっていつ完成予定??」
もし、死ぬ前にそんな体験ができたなら。
>>223テルミット
「クロノスで私を、空へ連れていってくれるのだものね。
その至福の時を過ごせないまま止まるなんて悔やみきれないわ。嘘つきにさせる訳にはいかないし。頑張って動き続けましょう」
「初めての時間通しなのね?
人と、初めてを共有出来る時間って素敵な事だと思うわ」
恥ずかしがる様子は見せないが
テルミットへと、痛みの吐息を浴びせてしまう事は止められ無かっただろう
「その分の富を得ているのだから当然とは言いたいけれど
お祖父様程の方が、私より年下の令嬢を娶っているのを見るのは、中々複雑なものよ。
…………………あぁ、またテルミットと来たら。こうしているのに。私の心音が聞こえてしまうでしょう?
欲しくてたまらないと思っていたものを、的確に用意してくれるのだもの」
思わず抱き締めそうになって、流石にはしたないと思い止まる。それでも、その恍惚とした表情はテルミットにしっかりとみられただろう。
>>256 テルミット
時計の針が12時を指し示すほんの数分前。
アイの調子を見にやってきたリーンは、その隣に小箱と手紙が置かれていたことに気づく。
「………?誰のだろう。」
首を傾げながら持ち主を確かめるために手に取って見れば、右端に書かれているのは紛れもない自分の名前。
「アイリーン……は、私……。」
きょろきょろと辺りを見渡した後、そっとその手紙を開けば、それはテルミットからの、自分の誕生日を祝うものだった。
「わ、え、うそ…。テルにー、覚えていてくれてたんだ…。」
こんなふうに、祝ってもらえるだなんて思ってもみなかったリーンは、予想外の出来事に
驚きと嬉しさがないまぜになる。
「ふふ、誕生日を祝うくんVer.16かぁ…」
そういえば昨年も、そのまた前の年も、テルミットはそうやってリーンの誕生日を祝ってくれていた。今年はこんな状況だから、仕方ないかな、って、諦めていたのに…
「インクが自動で補充される万年筆……わわ、すごい!どういう仕組みなんだろう……!」
箱を開ければ中に入っていたのは、手紙にあった通りの、少し不思議な構造の万年筆。
「どうしよう。わたし、幸せだ、こんな……」
こんな時なのに。そう零れ落ちそうになった言葉を今だけは飲み込んで。
先日アイをもらったばかりなのに、またもらってしまったな、なんて思いながら、箱から出した万年筆を胸元に持つ。
まるで物語の主人公が、初めてもらった箒のプレゼントにはしゃぎ喜ぶときのように、リーンもまた同じように嬉しそうに笑った。
王子が暮らす国の隣には、妖精の国がありました。
しかし、二つの国は仲が悪く、両者の溝はとても深いものでした。
人間の国の王は強欲で愚かで、人々は不満に満ちていました。一方、妖精たちが棲むその国は豊かで美しく、ここには王や妃は存在していなかったものの、皆が信頼しあって幸せに暮らしていました。
ある日、王子はそんな妖精の森に迷い込んでしまいます。
国境近くの林で狩猟に向かった父王と兄、そしてその取り巻きの貴族たちについて行った帰り、彼らとはぐれてしまったのです。
日々の生活に疲れてぼんやりしていたのか、それとも森が彼を呼んでいたのか。
気付けば王子は生い茂る緑が遥か地平線まで続く、広大な森の中にいました。
隙間なく覆った落ち葉からは、金粉のように細かく日の光だけがこぼれています。
あてもなく一人で彷徨う王子は、その中で不思議な生き物たちにでくわします。
尖った耳に尻尾を持つ小人。上半身は馬で下半身は魚の生き物。群れで頭上を飛び去っていくフェアリー。
そして。
透き通った白い肌に、肩ほどまで伸びた色素の薄い髪。総てを見通すような瞳を持つ、美しい少女に出会ったのでした。
──それは、夜も更けた頃。
広場近くの屋根へ上り、変わらぬ空を見つめていた。
柔らかい風がレーヴの頬を撫でる。耳につけたピアスが揺れる。
腰に提げたポーチから、木製の懐中時計を取り出した。カチャッと中を開ければ、真ん中のくり抜かれた文字盤の奥に、動く歯車を見る。その歯車によって動く金色の針を見る。
カチ、コチ、と、レーヴの命が刻まれている。
不意に、それを裏返せば、裏蓋を開けた。
「attrape-rêve………」
ぽつり、とそこに刻まれた文字を口に出す。
今となっては意味の成さなくなった母の願い。
──パタン、と蓋を閉じればポーチの中へと時計を戻した。
ゆっくりと立ち上がり、街を見下ろす。
静まり返った街の中、暗い暗い闇の中へ、レーヴは姿を消した。
>>264 ルーツ
「わわ、わ…え、もう、だめだよこんなの……」
寝る前に最後のチェックをしようと蓄音機ーアイを再生すれば、聞こえてきた声に、呟いたのは涙声。
テルにーの時は我慢、しようとしたのに……もう、…。
嬉しさに涙を滲ませながら、ルーツとみんなのハッピーバースデーを聞く。
「私も、ルーちゃんのこと……大好きだよ……。」
じんわりと胸があたたかくなるのを感じる。
いいのだろうか。こんなに、こんなに幸せで。
だって、幸せを得ればその分だけ、失うのはこわく、臆病になる。
それでも……
「私も…ううん、これは、直接伝えるね。きっと明日、会いに行くから。その時に……。」
そうして蓄音機から離れる。
どうしても直接会って言いたかった。不確かな明日を願いながら、リーンはその場を後にした。
>>274 ダズリー
無愛想な彼の言葉を、肯定の言葉として受け取る。
頸をぽりぽりとかいている彼を可愛いと言ったら、流石に怒るだろうか?
「じゃあ、そうする!改めて、髪飾りをありがとう、ダズリーお兄さん。」
えへへ、嬉しい。
>>258 グレゴリオ
[興味があったから話しかけたのだと伝えると、男は腑に落ちたような顔をした。
この場にいる者たちの中で、彼は一番見すぼらしい様相をしていた。
もとよりそうだったのか。そうならざるを得ない事情があったのかは分からないが。
これまで男が肩身の狭い思いをしてきただろうことはアベルにも分かった]
荷が重い、か。キミは随分と自分を過小評価するんだね。
……まあ、普通はそうだ。一人の人間に出来ることなんて限られている。
ねえ、キミ。キミはここにいる人間の中で、一番人生経験がありそうだ。
だからこそ聞きたい。キミはこの世界に“真実の愛”はあると思うかい?
>>278 ルーツ
「生きることはそれだけで尊い。
人であれ、時計であれ、機巧であれ、そして恐らくあの魔女でさえな。誰しもが生を掴むためにもがき苦しむんだ。
本来であれば祭りに合わせて完成させるつもりだったのだが、どうもここ最近私の時間の流れが早いというか技術が一足飛びに進みすぎている気がしてな。
少し棚上げにしていたのだ。
ふむ…確かにな。
ならば新しい友人たちのために本腰を入れてやってみるとするか!」
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