【テーマ部門：Ｔシャツ】

　少年が行方不明になった二日後、彼の身につけていたＴシャツだけが自宅の門に引っかかっているのが見つかった。
　奇妙なことに、シャツは長い年月を経たような色褪せてぼろぼろの状態だった。

【フリー部門】

　電車に揺られながら、床を転がる空き缶を見るともなしに眺めている。
　皆、それを多少なりと目障りに思っているだろうが、一人として拾って片づけようとする者はなく、ただ鬱陶しそうにしている。俺と同じように。

【お題：Tシャツ】
術式は完璧だったのにドレスコードに引っかかってしまった。
Tシャツに短パンといった格好では異界の門を通してはくれないらしい。

黒い毛並みの小さな友に長靴を借りてもう一度挑戦してみようか。

【フリー】
新春に、梅や鶯はまだ早い。
そう言って叔母がケキョと鳴く水笛をくれた。

新しい玩具を手に入れたけど、期待したのはコレじゃない。

【お題：Tシャツ】
「この何の変哲もないＴシャツを1人1000枚売って下さい」
新人研修の課題が告げられる。私はその言葉のメモをとる。

「それ、10000枚売ってもいいんですよね？」
金髪にアクセサリーをじゃらじゃらさせたいかにもな男が発言する。私の１年間に渡る受難続きの日々はこの一言から始まった。

【フリー】
友人から彼氏を奪った。そいつに”一生まばたきするときに「あれ？なんかまばたきしすぎだな」と気になり続ける呪い”をかけられた。結局その彼とは別れてしまった。

奴に復讐するのに、まずは呪術書を買った。

【テーマ部門：Tシャツ】
ボイジャー12号から送られてきた映像には、海王星の衛星軌道を周回するTシャツが映っていた。

【フリー部門】
雪は暴力的な程の質量と白さをもって、街を覆い尽くしていた。
一歩足を踏み出すごとに、ブーツが膝近くまで埋もれてしまう。

【シャツ】
「Y.T（ヤマダタイキ）はいずれもシャツがあってずるい。」
まーた高射砲バカが何か言ってるぞ。

「I.D（イイダダイ）にも何かくれたっていいじゃないか。パンツとかさ。」
カップで我慢しろ。なんならパッドも付けるぞ。

【フリー】

【テーマ部門：Ｔシャツ】
夏の草原。
見知らぬ赤いTシャツの男の子とボールを蹴って遊んだ。
数日後、その子と似た子が一年も前に殺されていた事を知る。
死因は刺殺だったらしい。

【フリー部門】
道を歩いていたら突如、
スポットライトに照らされた。
体が浮いている。

【シャツ】
「Y.T（ヤマダタイキ）はいずれもシャツがあってずるい。」
まーた高射砲バカが何か言ってるぞ。

「I.D（イイダダイ）にも何かくれたっていいじゃないか。パンツとかさ。」
カップで我慢しろ。なんならパッドも付けるぞ。

【フリー】
外国の楽曲が好きだ。
何を言っているのかわからないから。

外国語のTシャツが好きだった。
何を言っているのかわからないから。

昔の自分に言ってやりたい。…のちにひどい恥ずかしい目に会うと。