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冒険家兼フリーライター トマ は 旅人 ガイ に投票した。
旅人 ガイ は 冒険家兼フリーライター トマ に投票した。
学生 ポーリーヌ は 冒険家兼フリーライター トマ に投票した。
大学生 ニコ は 冒険家兼フリーライター トマ に投票した。
冒険家兼フリーライター トマ は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
現在の生存者は、旅人 ガイ、学生 ポーリーヌ、大学生 ニコ の 3 名。
[或る男の手記には、「廃墟の街」についていくつかの記載があった。それは街の建物やその周囲にある木々や土といったような、街の表面をなぞって記載されていたものであり、またきわめて丁寧な文字と言葉で書かれていた。文章の間に、彼が写真で記録したであろう場所についてのメモ書きも存在していた。
彼の手帳を数ページ捲ると、その文字が徐々に不安定なものになっているのが分かる。そして――…]
『嗚呼、私の血が沸騰しそうだ。
私は見たこともない「何か」――おそらく「十字架に磔になった彼」ではない何者かの手により、きわめて昏く、きわめて甘美な世界に投げ込まれてしまった。
もう、後戻りはできない。』
[きわめて乱れた文字で、そう書かれていた。]
[武器らしきものはポケットの中の折りたたみナイフのみ。
この腕でどこまで力が入るかわからないが
角材なりなんなりあればいいが、とあたりを懐中電灯で照らした後肩越し振り返りガイが追いつくのを待つ]
…… いまさらだけどさ、歩いてだいじょーぶ?
[大変間抜けな質問だった。]
……左腕は殆ど動かないが。
[肩を竦め……ようとしてやめた。
包帯代わりに左肩に巻いたシャツは早くも血が滲んで濡れ始めている。出血はまだ止まっていないのだろう。]
まあ少しくらいなら大丈夫だろう。
―遺体安置所―
[目を開けると、昏く冷たい部屋の天井が見えた。
いや、彼は目を開けたまま事切れたのだから、その光景は間違いなのかもしれないが。
横たわった姿勢のまま一度ゆるりと首を振って、緩慢な仕草で起き上がる。身体が妙に軽い心地を覚え、トマは小さく笑った。]
[身体の中に、何かが足りない。
――…その感覚が、この魂の中にじんわりとした奇妙な感触を与えていた。
そういえば右腕がどこかにいってしまったことを思い出し、小さく口を開けた。]
……そっか。
うん、たのもしーわ。
[気質なのか、小さく笑った。]
ま、アレだ。ソランジュと、それから
散歩だとか言って戻ってきてねーポーリーヌ確保したら一目散にとんずらな。
……屋敷は外より多少マシかねえ、
いや、別ンとこがいいな多分……
[――血のにおいは、きっとまずい。ここに居ると毒やら酒のように思える。
十字架の圧し折られた無残な教会の影が夜を切り取るのが見えるのは、まもなくだった。]
[歩くにつれ、月明かりに教会の尖塔のシルエットが浮かんできた。
その天辺に本来あるべき十字架は折り取られ、無人の廃墟が立ち並ぶ街にあって、一際不吉な印象を与える建物だ。]
墓地の外れに俺の住んでる家がある。
そこなら……
[食料も物資もそれなりにある、とくろぐろと圧し掛かるように聳える教会堂を見上げ答えた。]
あ、マジで?
そら助かるわ……。
[無理くり気味の笑みを乗せ、やはり闇に場違いな青色の眼でガイを流し見た。]
しっかし、ここ
昼見るのとは
威圧感段違いなのな……
[オレンジの光であたりを探る。
歩みも自然、慎重に]
んー……?
[目を凝らすと自然、険しい表情になる]
――――…… おーい、誰かいないかー?
[声をやや低くして投げ掛ける。
覗き込んだ闇の中、
すん、と鼻をならす。]
……この、におい
[背筋がざわつく。近い。]
[大気中に拡散したにおいの粒子を、それと意識する前に肉体が反応したのだろうか――
ざわりと背筋にざわめくものが走り、軽い酩酊感が襲う。
繰り返される発現、進む侵食、]
ぉあ
[口中にトマの血肉の味が再現される――]
[手で口を押さえ、喉奥からこみ上げてくるものを無理矢理飲み込む。
その頃になって、むっと漂うそれが血臭だと気付いた。]
これ……このにおい、もしかして……
[くぐもった声で、前を行く青年に問うた。]
ガイ、ストップ!!
[咄嗟に声をあげ、
こわばる腕を奮い立て、明かりを不自然な影へと向ける]
――――、……っ
[ごくり、と緊張に喉がなる。
冷や汗、悪寒、――予感。]
[橙色の光を浴びた“ソレ”を前に、僅かの間ながら呆けてしまったのは、あまりに青白く、つくりものじみて見えたからで――――]
っ、……――――
[きらきらと、月光含む銀の髪。]
う、そ
[しろくしろく、陶磁器じみた肌が、呆然と横たわっていた。
食い破られた喉笛、
覗く肉、
緋色。
悪趣味な芸術作品のように。]
[ニコの制止にぎくりと飛び上がる。
オレンジ色のまるい光の照らすその先を、見たくもないのに目が離せない。
もう何があるのかうっすらと男は理解していた。]
[瞳を閉じ、深く息を洩らす。
それは悲嘆と恍惚の響きをふたつながら併せ持ち]
ソランジュ……
[息苦しさを覚えるほどの哀惜と、身に食い入る欲望のせめぎ合いに、男は仰のいてステンドガラスの割れた伽藍を見上げた。]
……――ひ でえ、
[現実感のなさに、漸く無様に声を絞り出す。]
…… これ、
シュザンヌ の、と 似てる
[ならば、 殺したのは、同じか。同族か。]
[以前より、少しだけ身が軽くなった気がした。
背中に刻んだ翼が、風を受けたような心地もする。
何のせいだろう?
そう考える必要性を、彼は特にこれといって感じてはいなかった。]
シュザンヌと……?
[ニコの声に視線を走らせ]
だが、 これは
[男はまだシュザンヌの遺体を見ていない。彼女がどのようにして死んだか知らない。
けれども、目の前のソランジュの、ぱくりと無残に開いた喉の傷は]
切られたんじゃなくて、何か
抉り取られたみたいに見えるぞ……?
[正確には野犬かコヨーテに噛み千切られた傷痕に似ていた。]
は ……?
抉り取る……?
[ライトを絞り、何とかそらさずに死体の傷跡を見据える。]
…――、…… 牙で、齧りとったみたいな
[コヨーテ。そうかもしれない。
けれど、それ以上に“結社”の知識がある獣を思い出させた]
狼……?
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