情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
ここには昼夜の別がない。
窓は昼間でも閉め切られ、分厚いカーテンに閉ざされて、室内に日の光が届くということがない。
常にぼんやりと薄暗く、そこここに灯された淡いランプの明かりが、書架にずらりと並んだ背表紙を、箔の押された表紙を、黄ばんだ紙面を照らし出す。
ランプの上の金属の皿から漂う、熱せられた樹脂の甘い香り。
影に沈んだ、飾り机の上の獣の頭骨。大きな巻貝。「毒薬」と記されたラベルの貼られた小壜。
ここでは時は、外とはほんの少し異なる流れを流れる。
古書蒐集家 アルマンは、村人 を希望しました。
この部屋の主――アルマンはそう言って、手に持った本の表紙を撫でる。
幾人もの人間がこの本を手に取って読んだのだろう、古びた革表紙の端は擦り切れ、小口は黒ずんでいる。
物語とは本来語られるものだ。
太陽の下で、木陰で、炉辺で、瞑(くら)い闇の中で。
代々人から人へと口伝えで受け継がれてゆく。
語り手から聞き手へ、そしてまた聞き手は語り手となり、新たな聞き手へと。
しかして、物語は生き物だ。
口伝で語られる物語は、語り手が変わるごとに、そして時代とともに、新たな挿話が付け加えられ、或いは削られ、筋を変え、結末を変えられてゆく。
物語とは成長し、衰え、繁殖して血を伝え、死に絶える生き物なのだ。
物語はだから、時間の流れの中で生き延びるために、語り継がれねばならない。
だが、文字で記された物語は違う。
一度記された物語は、形を変えることがない。
語られたその形のまま、記録された物体が消え去るまで残る。
本に記録された物語とは、時間から切り取られた物語なのだ。
――標本のように。
謎の少年 ミシェル が出現した。
謎の少年 ミシェルは、見物人 を希望しました。
―或る酒場にて―
[軽やかな足取りで、少年は初老の男に近づいた。噎せ返るようなアルコール臭が少年の鼻孔を鋭く突き、彼はキュッと眉を顰める。]
――なぁに?オジサン。
何でボクみたいなコドモがここにいるんだ?ってカオしてる。
なんでだろうね……?
[くすくす、くすくす。口元から、笑い混じりの吐息が漏れる。]
ねえ。
オジサンも、何でこんなところにいるの?
オトナだからって、酒場にいてもいいかどうかなんて、分からない。
――だよ、ね?
[初老の男は、奇妙なものを観察するような目で少年を見つめている。「なんだこのガキは」――それ以外に形容する言葉が、見つからないような目で。]
「人間」が立っているこの大地はね、
[酒場の床の上で、黒い革靴が跳ね踊る。
少年はくるりとひとつターンをして、天使が羽根を広げるように両腕を伸ばした。]
――ホントは不安定なものでしかないんだって、ボクの「ご主人様」が言ってたんだ。
[顎をくいと上げ、少年は誇らしげに微笑んでみせる。]
ボク達が足をくっつけているこの床も。
オジサンが「オトナだから」酒場にいてもいいっていう理由も。
――ボクが「コドモ」だっていう、「推測」も。
自分が「正しい」っていう目で見ていることは、実は自分が「あってほしい」位置に、「正しい」大地があると信じ切った上で見ているだけのことなんだって――…ね。
ねえ、オジサン。
[広げていた片方の「羽根」――否、片腕を、初老の男に伸ばした。]
――…オジサンの「望み」って、なあに?
ふふっ。
「あるにはあるけど、どうせ叶わない」ってカオしてる。
それはホントに「叶わない」の?
それはホントに「正しい」大地の上に立っている理屈なの?
アルコールの向こうに其れを追いやってしまったフリをしているだけじゃぁなくて?
――だってオトナは、アルコールを飲んで「望み」を忘れようとしているって、ボクの「ご主人様」から聞いたんだもの。
ねえ、オジサン。
「叶わないコト」なんて、ないんだよ。
オジサンが「望みさえすれば」、ね。
そう――…オジサンが「其れ」に、取り憑かれている限りは――…
黒い外套の ザファル があらわれた。
黒い外套の ザファルは、おまかせ を希望しました。
―砂丘―
[砂埃の舞い上がる、石英の砂は黄金に
砂丘に風紋を描き出す。
蒼の空は尚高く、陽射しは影を生み出して
遠い廃墟の輪郭を鮮やかに浮かび上がらせる]
――……あれか
[駱駝の上で呟く人影、
黒い外套で全身覆い、覗いた瞳も黒い色。]
『旦那――あンな与太話信じてるんですかい?』
[案内役の中年男が黒い青年に声をかけた。
黒い外套の隙間から青年は男をひと睨み]
――金は払ってるだろう。
[余計なことは聞く耳持たぬとその口調。
案内役は肩を竦めてそれから先は黙ったままだった。]
不滅隊隊長 スィフリア があらわれた。
不滅隊隊長 スィフリアは、おまかせ を希望しました。
― 白く熱い砂の上 ―
[ざし、と、駱駝の蹄がめり込む。
首を前へと突き出して、倒れそうに体を傾いでも倒れずに
砂の上をゆっくりと力強く 歩いて行く。
影は 殆ど 無い。]
村の設定が変更されました。
[照りつける光は天上から、熱は地面からの照り返し
細かい砂は、靴服の中に忍び込み肌を撫ぜる。
揺れる駱駝の高い背の上で、
大きな羊皮紙を広げている人物がひとり。]
[背に大きな白い革のマントが揺れ、下の紅赤の軽革鎧を日に晒す。
頭皮毛を護る分厚く柔らかい布もその上へと長く垂らされ揺れ
唯一布で覆われぬ目元すら、鳩羽色の前髪で隠されている。
布にまみれ、厚さの判らない腰には曲がった刃の剣を携え
広いか判らない背には、折りたたまれた大きなクロスボウ。
施された金色の装飾は小さな皇国の国旗を象っていたが、
それは砂風により黒ずみ始めていた。]
[ばさばさ と 揺れる布や革が乾いた音を重ねる。
一時、布を跳ね上げようとする強い上向きの風に
頭を手で抑える横、長い鳩羽色が暴れ踊った。]
この辺り、だろうか…――
[小さな低い呟きは砂に消え
駱駝の小さな鼻息と嘶きが 後を追った*]
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新