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平社員 羽生 栄太郎 は 主任 伊香保 仁 の 辞令を出す?
アルバイト 羅瀬 瑠兎 は 部長 那須 雷太 の勤務態度を褒めた。
平社員 羽生 栄太郎 は 部長 那須 雷太 の勤務態度を褒めた。
主任 伊香保 仁 は 部長 那須 雷太 の勤務態度を褒めた。
アルバイト 瀬戸 里久 は 部長 那須 雷太 の勤務態度を褒めた。
係長 紅練 遊馬 は 部長 那須 雷太 の勤務態度を褒めた。
副主任 神部 慶志朗 は 部長 那須 雷太 の勤務態度を褒めた。
部長 那須 雷太 は アルバイト 羅瀬 瑠兎 の勤務態度を褒めた。
アルバイト 羅瀬 瑠兎 は 1名から褒められた。
部長 那須 雷太 は 6名から褒められた。
部長 那須 雷太 は 皆から花束とお祝いの言葉を受け取って、本社へ栄転していった。
係長 紅練 遊馬 は 主任 伊香保 仁 の辞令を待っている。
今回の栄転該当者はいなかったようだ。
残ってるのは、アルバイト 羅瀬 瑠兎、平社員 羽生 栄太郎、主任 伊香保 仁、アルバイト 瀬戸 里久、係長 紅練 遊馬、副主任 神部 慶志朗の6名。
またやって来ましたねぇ。
[「栄転」してきた那須を見て、溜め息を吐いた]
ようこそ、本社特別事業部へ。
このテキトーかつどうしようもない名称から分かるように、仕事らしきものは、かなり少ない。
支社に残る人間には悪いが、戻れる日があることを信じてのんびりと日々を過ごすしかないらしい。
[だだっ広い部屋に、真新しい机がいくつか並ぶだけの場所だ]
このフロアは支社の三階とほぼ同じつくりだ。
自由に過ごしてくれ。
泊まる場所は、三軒隣にビジネスホテルを用意してあるので、利用してくれ。
[それだけ言うと、どこからともなく競馬新聞を取り出して広げた]
…一人で済んだのは、不幸中の幸いかねぇ?
[亜久のだらけっぷりに、さすがに脱力しそうになりながら]
不幸中の幸い――かもしれませんね。
[溜め息混じりに返答する。弛緩し切った室内の空気を見れば、どういう状況なのかは聞かずとも明白なわけで]
――本社に掛け合うつもりでやってまいりました。
今回の「栄転」騒ぎで、メロ水社が被る損失に関してのレポートも纏まっています。
[今日も一日簡単な打ち込み作業で一日が暮れた。
支社に居る時とは比べ物にならないほど、ゆったりとした時間が過ぎていく。
束の間の休息と言えば聞こえは良いが、やはり何処か物足りない事に、近藤は小さく溜息を吐く。]
[何度目かパソコンの画面から視線を上げると、窓から見える空はすっかり黒を纏い。僅かに張りを覚えた肩を揉み解しながら、そろそろ帰ろうかと時計を見遣る。
と、その時聞こえた亜久の声に――]
また、誰か栄転です…か――?
[視線を上げた近藤の視界に映ったのは]
……部……長?
いやいや、那須君も真面目だねぇ。
でも会長は今、接待ゴルフでいないんだそうだ。
何かやるというのならば手伝うけど。
[しかし手には競馬新聞]
[接待ゴルフでいない、という亜久の言葉に愕然としながらも、ならば人事に直接掛け合って――と思いを巡らせる]
――近藤さん――お久しぶりです。
[自分を呼ぶ声に、そちらを向いて礼をする]
今回は、私一人だけだったようです――。
ま、何かやって欲しい事があれば呼んでくれたまえ。
私はこれでも結構忙しいのだ。
[馬予想に。
そんなこんなで、再び*新聞に没頭*]
ええ、そういうことです。
このままでは――どうにもなりません。そう思いまして。
[元より誰かを巻き込んだり頼ったりするつもりは無かったが、亜久の日和見状態には呆れを通り越して笑いすら出てきそうになる]
近藤さんも、お変わりがないようで――他の方はいらっしゃらないようですが。
[だだっ広い室内をぐるりと見渡す]
[忙しい、と言う割には、バサリバサリと競馬新聞を大げさに広げる。耳にはお約束の赤鉛筆。]
……この非常時に…。〆てやろうか…。
[物騒な事をつぶやき、亜久を見遣る。]
あれでも、亜久支社長は、私たちに気を使って下さっているのかもしれません。焦らないようにと。焦っても、状況は何も好転しないと。
――多分。恐らく。きっと。――だといいのですが――。
[どんどんと声が頼りなくなっていく]
――3階 ワーキングルーム――
〔結局、今夜発令された異動はひとつのみと言う話だった。
皆の願いを背負って本社へ赴いた那須の、当面の計らいに
よるものなのか…又、他の誰かが人事の意図を阻んでくれた
為なのか、今はまだ判らなかったが〕
…部長の御首尾が上手く運ぶことを、
今は信じて持ちこたえるのみ、か。
〔オフィスの窓から見える夜空へと、また傍らにある
那須のデスクへと――一礼を向ける〕
そうですか…。でもわざわざ部長自らが出向いてくるなんて…。こちらには支店長が居る訳ですし…。
それに――
[少し複雑そうな表情を浮かべ]
お子さんや、支店に残った他の人たちの負担も…並大抵では無いと思いますが?
[言い難そうに言葉を紡ぐ。変わりないという言葉には、僅かに笑みを浮かべ]
えぇ、ここは支店と比べて随分ゆったりと過ごせるので…。
そう言えば、秋芳さんと牧原さんは席を外して居るのかもしれませんね。オレ、打ち込み作業に没頭していたので、詳しくは解らないんですよ。
…支店長が…気を?
――部長、それ本気で言ってます?
[疲れている所為だろうか?心配するように那須の顔を覗き込む。]
娘は――話をしたら理解してくれました。
支店の皆も、私の考えを納得してくれました。
――私にはここに来るべき理由がありましたが、それを通すために必要なことは、できる限り済ませてきました。
――本気で――いえ、その――
[チラリと亜久の姿を横目で見て、声を潜め]
そう考えたほうが、こちらの気も楽ではないかと。
[近藤に顔を覗き込まれ、僅かに瞳が揺れる]
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