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[先程は丘のある方をちらっと見ただけで、
相手の口ぶりから、ぺるの墓にすでに誰かが来ていると判断したにすぎなかった。
つまりは相手に言われてようやく丘の上をまじまじと眺めた。
何人かが集まっているのは見えたが、人に比べて小さいせいか、猫の姿がどこにあるかまでは見切れなかった]
違わないけど? よくわかったじゃないか。
[あるいはこっちのなんとなくの推測に反して、男もぺると関わっていたのかもしれない。
思うだけで問いを加えはしなかったが]
…………、ふうん。じゃあいるかもってことだ。
わかった。ありがとう。
[どうでもいい、とはっきり言われて一瞬眉をひそめたが多くは突っ込まない。
やがて「リリー」と、傍らの猫を呼ぶ声がひとつ静かに響いた。他ならぬシオンの口から。**]
/*
いちおうこのままフードのおにーさんにお話をするルートもわりとありかなって思ってるんだけど確定させるには自分の気力が滅している(自分がやらかしたせい)
[シオンは喧嘩腰でも不躾な視線でも無くなっていたが、元々、喧嘩腰とは受け止めていなかった。
視線だけはじろじろだと感じていたが。
むしろ、喧嘩腰というなら、こちらの方がだろう。]
大人
そう言うならそうなんでしょうね。
[何か言いたげな雰囲気が漂うが、飲み込み、或いは流し、あっさりと返答。]
…………別に。
[視線が逸れたシオンに、そんな声。
勝手なことを言っていた、たぶん、その双方へか返す言葉の先は曖昧。]
[居心地悪い沈黙が挟まれる。]
どちらでも良かったんですよ。
別に分かった訳じゃあないです。
[そこでフードが揺れる。
足元を向いたのは、猫へ向けたからか。]
猫連れだったから……かもしれませんね。
[墓参りの口などと言ったのは。]
ああけど──
これは合ってるでしょう?
貴女は茶色の猫を探してる。
そして、眉を顰める程には、大事な猫だってことは。
[ベンチに座った侭、両手の指を指の間に互い違いに合わせ、三角の形を作り、膝の上に置く。]
…………どういたしまして。
[何か言いたげに眺め、また極短く息をつく。
苛立ったような不機嫌なようなものを纏っているのは、埋められない、空白を抱えているからだろう。]
行くなら行ったらどうです。
それとも、'僕'とお喋りでもしたいですか?
[そんな言葉を紡ぎたかった訳ではないが、投げやりなように声をかける。
「する、なら」の後の言葉が何であるか、引っ掛かりはあったろうが、意識上や疑問として上がる程ではなく、言語化未満だった。
余談だが、もしもシオンが「通りすがりのヒーロー」など名乗った暁には、間を開けた後に笑って、その冗談に悪い意味で付き合っていたかもしれない。**]
[取皿などを皆に回しながら、]
不死鳥の美夜子だなんて、格好良い通り名♪
きっと、舞台では輝いていたのネ。
種目は何をしていたノ?
[不死鳥の様に何度でも蘇るさと立ち上がる美夜子の姿が目に浮かぶようだった。
「あの外れ」のお墓の意味は分からなかったので、小首を傾げるだけで、会話に耳澄ませたろうか。]
[フードの下から垣間見える、ベンチに座るひとの目。
フードの陰になっているためか、はっきりとした色は分かりませんでした。
仮に鮮やかな色をしていたとしても、猫には暗い色に見えたことでしょう。
猫の瞳が得られる色彩は、褪せたものばかりでしたから]
みゃう
[それはそれとして、友猫のかいぬしとフードのひとが話をする間、猫はその場にちょこんと座っていました。
先に小高い丘へ向かっても良かったのですが、友猫のかいぬしを連れて行くために待っていたのです。
猫は、かいぬしの方が”迷子”であると認識していたのでした]
[しばらくして、友猫のかいぬしが猫の名を呼びました。
それに対し耳をピコ、と動かして、薄青の瞳で相手を見上げます]
みゃー
[ひとの言葉は理解出来ませんが、何かの名前や良く聞く単語に関しては、いくらか記憶と結びつけることが出来ました。
自分の名前もその一つです。
返事をするように鳴き声をあげると、猫はお座りの状態から四肢を踏み締め立ち上がります]
[歩を進めた方向は、ベンチに座るフードの人物の足元。
相手の足に、自分の頭と身体を一度擦り付けてから、丘への道を歩き出します。
友猫のかいぬしとフードのひととの間に、気まずい雰囲気を感じ取ったが故の行動でした*]
/*
ああー!!! リリちゃんが…!
ば、ばかやろう、フード!お前がそんなツンだから、リリちゃんにすら癒やされない侭になってしまったじゃないノ!(癒やされないかっていう誘い受けなんて感じさせない程度のツン…)
更新時間が24時間延長されました。
ふふっ、縁結びの猫♪
そうだったかもしれないわネ。
[ハマチから受け取った手帳を、皆に見えるように開く。]
猫って、すぐするっと逃げちゃうわよネ。
墓地にいる誰かを慰めに行ったのかしら?
[『噂のアイツが』のくだりを、読み始める。
その光景が目に浮かぶようだ。]
私の時は、広げたピクニックマットに座っていたら、やってきたノ。
[レディは微笑ましそうにフィアの話を聞いている。
少しずつ、にゃんと距離をゆっくり詰めるぺるの姿が浮かんだからだろう。]
そう、とても優しかったのネ。
[同じく紅茶のカップを手に持ち、相槌を打つ。
フィアにそうやって寄り添ったぺるは、最終的には傍に来たのだろうか。
折角なので尋ねてみることにする。*]
ぺるチャンとは、それから友達になったノ?
/*
ふと、思ったのだけど……、人外の人は過去の話はソロル(や回想)でしてよいと思っていたけれども、そこも濁さないと、って思われちゃってるのかしら。
きっと、家族みたいなものだったのヨ。
[自然とそんな言葉がするりと出た。
アラ、と自分でも不思議そうにレディは呟いたが、]
ええ、きっとそう。
ぺるにとって、フィアは大事な人になっていたのだワ。
[一口、紅茶を飲む。]
ふふっ、ぺるチャンを知っている人同士が、こうやって、ぺるチャンのお墓の前で語り合う。
私も、ぺるチャンが居なければ、フィアやハマチ、美夜子と話すことなんて、無かったかもしれないもの♪
フィアの言う通り、ぺるチャンのおかげネ〜。
[ふわふわな毛並みはとても気持ち良かったので、レディはもう1回くらい触りたかったかしラ、なんて残念そうに最後に呟いた。*]
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