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―シオンside―
……ん、
[何やら相槌を打つようにみゃあと鳴いたリリーに、無意識のうちに頷いていた。人相手にそうするように。
とはいえやっぱり猫だからかリリーは気ままだ。
すぐさま自分が指差した方に歩き出そうとするのだから。
その辺はうめちゃんも似たようなものだ。
「どこいく? あっちにする?」って形だけ訊ねる前にふらっと歩き出していく、そういうところと]
ん、そうか、いっしょに行ってくれるのか!
[その後のリリーの一挙手一投足をひとしきり見届け終えれば晴れやかな表情で頷く]
よし、それじゃあ今から私達はうめちゃん捜索隊だ!
[隊長がどっちか、ということはわりとどうでもよかった。
先を歩くリリーが隊長でもいいくらいだ。
そうして丘を目指しつつも、周りをきょろきょろと見ていたせいか。
とあるベンチにもたれるフード姿の人物を目に留め、ふと、けげんな表情になった]
あいつ、まさか……、
[リリーに「ちょっと待ってて」と言い置くのも忘れ、彼か彼女かも定かでない人物の前に立つ。
ただ、自分の知ってる相手(フード付きパーカーがトレードマークみたいなものだった)か確認できればよかった]
………… なんだ、人違いか、
悪かったね。
[じろじろ眺めまわしたうえでの検分にはそんなに時間はかからなかったはずだ。
肩をすくめその場を立ち去るかのように一歩動いたが、そのまま立ち止まって]
ため息はつきすぎると幸せが逃げるぞ?
[見留めた、深く息を吐く仕草を、ため息をついたものと思ったために、そんな口出しをするのだった。
余計なことを言ってると思われるのは承知の上で。*]
…………?
[呆としていると、年若い女性が目の前で遠慮なくぶしつけな視線を向けて来た。
尤も、それくらいじろじろ眺め回さないと、意識が向かなかったろうが。]
……何ですか、貴女は。
[聞こえるか聞こえないか程の軽い舌打ちの後、不機嫌を隠そうともせず、そう言い]
幸せ、ねえ。
別に構いませんよ。
[等と言えば思い至らせていた相手は悲しむ表情だって浮かべるかもしれないが]
少しばかり、不甲斐ない自分に……飽き飽きしていただけですから。
[ため息についてか、指摘に対してか、言い返すと]
それにここは墓地でしょう?
……どんなことをしてたって、いいじゃないですか。
[嘆き悲しんでも憂いをおぼえても、その他、幸せ以外の何を出したっていいだろうと、そういう旨の意味を伝える。]
…………。
貴女も、あっちに墓参りの口ですか?
[その後、長い沈黙を挟んだ後、くいと軽く顎をぺるの墓の方へと示し、雑とも言えるが言葉上は丁寧ではある口調で問いを投げかける。*]
[フード姿の人にも、声が掛けられる。
その、何となく不思議な人は、
賑やかなのが好きではないみたいだった。
フィアだって、ひとりになりたい
気持ちの時はたくさんあって。
けれど、そんな時でも、誰かが傍に居てくれるほうが、
本当は、嬉しくなったり、
暖かくなったりすると思っていたけれど、
――だからと言って、人がそうとは限らないのだ。
お墓だから、ひっそりとしていたかったのかもしれない。
夢、という言葉はよくわからなかったけれど、
…こうやってお墓の近くでピクニックするのも、
それもまた夢のような気持ちがしていた]
え。えっと、フィア、です。
まだ学生です。
[自己紹介が続くと、おずおずと名乗る。
歌姫、とか不死鳥の通り名があるみたいに、
すごい経歴はなかったから、すこしぺしょっとしていた**]
[猫は先導するように小高い丘目指して歩いていきます。
歩いては振り返り、歩いては振り返り。
その仕草もしばらく続けられました]
みゃー
[そう鳴き声をあげたのは、後に続いていたはずの人物が別の方向へと歩き出した時。
どこいくの?と言う雰囲気を込めた鳴き声は、先を急ぐ相手には聞こえなかったかもしれません。
薄青の瞳で後を追えば、ベンチの前で立ち止まったようでした。
どうやらそこにはもう一人、誰かがいる様子。
猫は止めていた足を動かし、ベンチの方へと歩き出しました]
みゃあん
[猫は二人の傍までやってきて、それぞれを見上げながら一声鳴きます。
会話の途中であってもお構いなし、なタイミングでした]
何、って、………うーん、
[口調に加え今は目つきまでぶっきらぼうになっているが、怖かったり箔が付くような肩書は持っていない。
特撮の主人公じみて「通りすがりのヒーロー」とも名乗れない。
手に持った一輪の花包みをとんとんと肩に当てて、特に意味もなくふんぞり返るように肩を逸らしていたが、
結局それもすぐにひっこめてしまった]
…………。
[さてはヤケになってるなこいつ。
と、いうのがフード姿の人物と言葉を交わした後抱いた印象であった。
だが、ここが墓場である、という自明の事実を改めて口に出されれば、
ばつが悪そうに俯いた。目の前の人物を知らなかったことが災いしたのだとも思った。
もしかしたら自分のそれよりも深すぎる何かを抱えているのかもしれない。それでも]
確かにここは墓地だよ。悲しいことを思い出しもするさ。
だからって、 悲しいとか辛いとか全部、そのままにしておくみたいなことを、する、なら、……。
[するなら、なんだというのだろう。
自問自答には答えられなくて沈黙を挟む。
知ってる猫の鳴き声が聞こえてもとっさにそっちを向けなかった]
……そりゃあここは墓地だもの。
墓参りに来たに決まって、 ………『貴女“も”』?
[自棄になってても口調はそれなりに丁寧らしい。
が、そことは別に気になるところがあった。
彼(?)が顔を動かして指し示したのは――小高い丘のある方。
そこに眠る猫の墓守を、既に誰かが偲びに来ている]
そりゃそうか、なにせあのぺるだもんねえ、……む?
もしかしたらさあ、猫も墓参りに来てやしなかったかい?
茶色い猫だよ。あと赤い首輪をつけてる。
[どうやら思いがけず確実性の増すうめちゃんの手掛かりを拾った……のかもしれない。
さっきまでの煮え切らない感情を一瞬だけ忘れてそう訊いていた。*]
/*
いかんな、最近の慣れた書き方になってきてる気しかしないなーーーーー(=心情描写を盛ってる)
うめちゃんsideはえーと、レディに嬉しいが伝わったようでほこほこするムーブをかましてー、それからピクニックに加わってー、
[フードの下の表情は、鼻から下が見える程度。
それでも大体察せられるだろう。
ふんぞり返る様子には、何するものぞと眺めていたろう。
だが、]
…………、
[ここは墓地でと、幾らなりか受け止められる言葉を向けられれば、ばつ悪そうに鼻白む。]
大人げ無かったですね。
貴女よりは、年上だ。
[尻すぼみになってゆく声に、言葉の切っ先を向けるのを濁らせる。
或いは、その続きを最後まで言わなかった、答えが出せない事に、同じように何か言えなくなっただけかもしれない。
ここが墓地だろうというのも、口が回るが故に出た言葉でもあった。]
[猫の鳴き声には、視線だけを寄越した。
フードの下の、濃い茶、黒にも見える色の目が、僅かの間、リリーを捉える。
それから、気を取り直したよう]
ここからでも見えるでしょう?
猫の墓の前に今だって何人かいます。
貴女もその口じゃないか、と推測をしたまで。
違いました?
[微かに口端に自嘲含む笑みを浮かべる。
声は、男の声だと分かるもの。]
猫、ねえ。
………………
いたように思いますよ。
どうでも良かったので、あまり見ていませんでしたが、ええ。
[その時から、呆としており、集中して見ていなかった為だったが、言う必要を感じなかった為、ありのままに言った。*]
/*
アー!
しまった。容姿…を書いてないのに、年上だとか、この姿で年上だとか書いたら、そう扱われちゃうじゃん。(背伸びしたい系扱い、じゃなくなる。。
[鋭さのない言葉しか向けぬ相手になおも追撃をする趣味はない、――という以前に、自分が喧嘩腰どころではなくなっていたのだが。
ふんぞり返っていた時の不躾な目つきは影も形もない]
私の方こそ何も知らないで、勝手なこと言ってた。
……ただまあ、私だって大人だよ。
[「おそらく、あなたが思うよりは」とは付け加えない不親切さ+若干不機嫌そうな調子で、付け加える。
……この顔立ちだと下手すると中学生くらいに見られることもあるのをひとしきり気にしているからだった]
……いや、たぶん。
[だがやはり見かけだけで相手を判断するのはなんというか、危険だ。
小声で付け加え、それからようやくリリーの方に視線を移した。
安堵じみた笑みが浮かんでは消える]
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