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>>+11 ヒルダ
「あ。ごめーん、木で寝てたから。
よっし、じゃあ材料集めてくる。」
ヒルダから小さな悲鳴が聞こえて漸く、彼女を驚かせてしまう方法をとったのだと気付く。自分でも心がひよっている事に呆れながらも、背を向けて川へと向かった後に調理場へ歩き出す。
調理場には卵、玉ねぎ、川魚、青葉、チーズ、カラスノエンドウ、塩胡椒、少量の牛乳、乾燥パセリが並ぶ。
牛乳は明け方に野生の牛から取ったものだ。気が荒くて手を焼いたが、それをヒルダは知らないだろう。
牛乳は加熱殺菌したものを冷まして、出来た膜は捨てる。
「具材は私が切るから後で使っていいよ。手でも怪我されたら困るし。誰が切っても変わらないから、いいでしょ。」
玉ねぎは薄くスライスし、川魚は等分に切り身ににして並べた。カラスノエンドウは鞘から豆を取り出し、鞘はみじん切りにする。青葉もみじん切りにして並べたら混ぜる具は完成だ。
「続いて、卵液。これはよく混ぜる。こぼさない程度に、焦らず、ゆっくりと。ここでふわふわのオムレツが出来るか決まるから。」
次に、卵液を作る。
卵、牛乳、塩胡椒を入れてよくかき混ぜる。ここの混ぜがふんわり具合を決めるのだ。
>>+11 ヒルダ
「これで下準備は完成。ここからが焼きだけど……弱火でじっくり焼いていくのがベストだよ。強火でやったら焦げるし固くて不味くなる。焦らずゆっくりとふわふわを出していく。」
フライパンにオリーブ油を引いて、材料を炒める。今回はチーズとカラスノエンドウのオムレツと白身魚と青葉のオムレツを作るが、まずはチーズから作っていく。
「チーズはオリーブ油、白身魚はごま油で仕上げるのが美味しいかな。ヒルダはチーズの方がいいんじゃない?こっちの方がサリーナ風だがらさ。」
そう言いながら、玉ねぎとカラスノエンドウとチーズを炒めていく。痛め終えればオリーブ油をまた引いて卵液を半分入れ、ふわふわになるように優しく混ぜながら焼いていく。外見が固まったくらいでもう半分を入れて、ゆっくりと形を整えながら焼いていく。
丁寧なヘラさばきで半円に形を整えれば、皿に盛って、乾燥パセリを乗せれば完成だ。
「敷かれたレールの上を歩いているだけだったけれど、たしかにわたしはわたしの意志で黒狼騎士に憧れていた。わたしも彼らのように強く気高くあれば、いつか未来を切り開けるのではないかと思った。
黒狼騎士は──このアメジストの石は、わたしにとっての祈りだった。
騎士として認められたかった。わたしはわたしを誇れるようになりたかった。この国に忠義を尽くし、そしていつか同じように苦しむ同胞に手を差し伸べたかった。」
クロエは一度目を伏せ、ほどなくしてソラの瞳を見つめた。
「ただ異種族の血が流れているからという理由で、わたしたちは意志を持つことすら赦されない。それはおかしい。だからわたしたちは、ウィアと共に戦うことを決意したのよ。
……そして、負けた。悔しいけれど、騎士に二言はないわ。わたしたちはその決意を持って剣を取ったのだから。わたしが初めて自分の意志で決めた道。だから、悔いはない。」
>>+11 ヒルダ
「はい、出来た。ヒルダもやってみなよ。コツは私の手順を絶対遵守と弱火でやる事、後は焦らない!
大抵、料理初心者は自己アレンジ加えようとするけど……基礎が出来てない人がやると変になるだけだからやめた方がいいよ。剣術だって、基礎の脚力や筋力があって成り立つでしょ?あれと一緒。
私が側にいるから、何かあれば手出しするけど安全の為だから許してね。」
そう言いながらも、白身魚の方のオムレツに取り掛かる。
隣に並んでいるので、ヒルダが怪我をしかけたら押し退けてでも庇う気でいた。
そんな話をしながらも、ヒルダが一個作る頃にはカリンは五個くらい作ってしまっているのだが。
カリンは黙々とオムレツを焼きながら、クロエの懺悔のような心の内を聞く。
私達は、負けたのだと思うと心に翳りが見え、そして。
「……あちっ。」
カリンにしては珍しく、調味料を取ろうとしてフライパンに手が当たって火傷する。
昨日のブレイに殴られた傷すら寝たら完治した体だ。きっと、小さな火傷は半日で治るだろう。
じんじんと痛む手を暫し見つめて、料理へと戻る。
人と違う体を持つ事が、魔法を使える事が、個性程度で受け入れられる世の中であればいい。
私も何度だって考えた事だ。
その後はぼんやりとしながらも、手際よく二種のオムレツを焼き、カリュドーンの干し肉を添えて、軽く焼いた食パンと出す。
今日のメインはオムレツだ。なので、主食は敢えてシンプルにした。
オムレツは皆がどちらも食べれるように、沢山作って大皿に並べた。
「妙だな。
巡回に言っている奴等が戻ってこない……。
それにこの臭いはぁ」
どこか遠くから、硫黄の臭いが漂い、カラスの鳴き声が聞こえた気がした
[すっかり出ていくタイミングを逃しちゃってたけど、クロエの話に区切りがついたようだったので、おずおずと食堂に入った。そして、いい匂いのするごはんは一旦お預けにして、あたしはクロエの近くに座った]
>>クロエ
「クロエ……お姉さんと別れてからここに来るまで、ずっと……ひとりだったんだね」
[クロエの爛れた肌を見た]
「卑怯だ、こんなの。卑怯だよ。
そういうやつを倒すのが、騎士の仕事なのに。なんで……」
[口をつぐむ。その先を言っていいのか、わかんなかった。この期に及んでって感じだけど、でも、巻き込まれて、石を砕かれた、ヒルダたちのことも頭をよぎったから]
>>クロエ
彼女の話を聞いて、想起したのは自分の両親の最期でした。
人は他者を"正義"の名の元に虐げる時、どこまでも非情になる生き物だという事を、記憶を取り戻した時、無理やりにでも自覚させられました。
その時にも抱いた、魔法が使えて何が悪いのだろうという疑問。
この国ではそんな疑問を抱く事も許されなかったので、当時は零す事はありませんでしたが、蓋をしていたその気持ちが溢れてくるのを感じました。
そして異種族…ハーフエルフだと言う、ただそれだけでこの国の“正義”にズタズタにされた彼女にも同じ疑問を抱きました。
7年…。最早命を絶ったとしても不思議ではない期間に、絶句します。
こんなの、おかしい。
そんなの、理不尽だ。
口をついて出そうになる言葉を、拳を握りしめて抑えて、彼女の願いと、決意を聞きました。
今日ほんとは追放されるのやっぱりアルバートやったんか………それはそれで美味しかったけれど、村は混乱するしワンチャンクロエ真やったな…こわ…
クロエとグラジナ、それにもう1人の異種族
ゲームメイクめっちゃ上手かったです
おつかれさまです
>>クロエ
「……話してくれて、ありがとう。
…キミ達が、黒狼騎士で良かった。
それに、クロエの願いも。ボクは…その"願い"を砕かなきゃいけないんだね。」
砦を解放する為にも、それは避けられない運命です。ですが。
「…クロエや皆の"願い"が砕けても、ボク達がその"想い"を聞いて、背負っていくから…安心してほしい。
キミ達異種族がやった事は…許されないかもしれないけど、無駄じゃなかったって事を、きっとボク達は証明してみせる。だから…。」
隣で彼女に話しかけるミズリを見やりながら、歩み寄れる未来があると一筋の光を感じさせる光景に微笑みながら。
「………キミ達だけでやらなくたっていいんだよ。」
誉れ高き黒狼騎士団の"仲間"に、そう笑いかけるのでした。
**オパール メロ
オパール(蛋白石)…見る角度によって色合いを変化させる美しい「遊色効果」がある
宝石言葉…「純真無垢」「幸運」「忍耐」「歓喜」「希望」
メロ・オルドリッジ
セルナリアとの国境付近、ウェンデル男爵家の次男。
ウェンデル家では、跡継ぎ以外は女子として育てる(無駄な争いが起こらないようにするため)風習があるため、この様な姿をしている。
メロが他の『妹』達と異なる点は、幼い頃は男子として育てられたことだろう。というのも、双子の兄が病弱だったため、影武者として育てられていた。
その後、兄は奇跡的な回復(魔法によるもの)を見せ、メロは女性として育てられるようになるのが今から10年前。
当然、当主に相応しい様に育てられていたメロが女性らしくなることなど無理だったため口調と姿のみが何とか女性……?ぐらいのレベルである。
あーでも利用されなくてよかったー…
されてたらグラジナ恨んじゃうかもだったし……
というか黒出しされるかとひよってたけど
まさか仲良く追放される予定だったとか想像してなかったわー
**武力のみが優秀なのは、知力面は兄が学んでいたため、あまりやらなくてもいっか…と幼い頃思っていたため。
あまりにも『妹』として出来損ないだったメロは15歳の頃にオルドリッジの姓を与えられ、一人で生きていくことを余儀なくされる。
ウェンデル男爵が治める地域にはオルドリッジの姓を持つ者が多いが、皆ウェンデル家の血縁関係である。
メロ・オルドリッジになってからは元の男性としての姿に戻ろうとするが、男性の姿をしていても染み込んだ女性の所作が抜けないことに嫌悪感を抱き、「中途半端な男よりは中途半端な女の方が吹っ切れる」と思い今に至る。
そうだとしても、アルバートスクルド2死体ならどうなるかなー結局詰みは詰みなんだよね、▼イグニス→▼ソラ→▼クロエで終わり
まあ1人でも多く追い出せるならこっちか
それにしてもアルバート狙われてたのなら、スクルド狐知ってたんか、事故やったんかな
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異種族だけじゃむりだよね
ファルスが聞き届けたとしても一緒に歩ける人がいるじゃん
って思ったけどいーかないーのかな
村陣営に顔を向けられる答えになっただろうか
「あら……メインのお料理なのにこんなにシンプルでよいのかしら?」
/*
つい、宮廷料理の本を夢中で読み漁ったときのことを思い出す。
彩りに滋養のある食材の数々。
時には花をお皿に添えて夢のように美しい料理の絵。
もちろんここは宮廷ではない。それはわかっているのだ。
そして教えを請う身。口を挟むなど無粋なのだ。
まずは教わった通りにやってみよう。
大丈夫。イメージだけはとても豊かに頭の中に広がっているのだから。
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