彷徨える哀の運命 サダメは、レフェリースーツを着たままキメ顔でそう言った。

病弱少女 リリウムは、初日犠牲者 アナスタシアに黙祷を捧げた。

重鎮 Ｗは、黙祷した。

彷徨える哀の運命 サダメは、病弱少女 リリウムの勘違いに涙した。いったい、何人もの被害者が出ればこの呪われた宿命は終わるのだろう。

自称勇者 アナスタシアは、アナスタシアさん……と黙祷を捧げかけたが、自分はまだ死んでいないことに気づいた。「リリウムさん……」

病弱少女 リリウムは、大工 ダグラスの死体にそっとシーツをかぶせた。

自称勇者 アナスタシアは、リリウムのせいで死にかけたことは言い出せなかった。今だけは無垢な笑顔が少し恨めしい。

自警団員 ボールドウィンは、疑わしげに旅人たちを見回した。

魔王 ミヅチは、まだ寝床だ。

病弱少女 リリウムは、激しく咳き込んだ。

病弱少女 リリウムは、薬を手に、井戸へ向かった。薬瓶には「つよしスペシャル」と書いたラベルが貼ってある。

魔王 ミヅチは、のそのそ起き出してきた。

魔王 ミヅチは、寝癖あたまをぽりぽり掻いた。服が着乱れてえらいことになっている。

魔王 ミヅチは、昨晩食べそびれたサンドイッチに気づき、テーブルに着いてもそもそ食べ始めた。

魔王 ミヅチは、サンドイッチをくわえたまま、うつらうつらしている。

重鎮 Ｗは、お昼寝中である。

自称勇者 アナスタシアは、サンドイッチを探している。確か自分の分はまだ残っているはずだ。

悪徳商人 エチゴヤは、自称勇者 アナスタシアに自分のサンドイッチを手渡した。食事が喉を通らないようだ。

悪徳商人 エチゴヤは、彷徨える哀の運命 サダメに困惑した表情を向けた。

自称勇者 アナスタシアは、サンドイッチを丸呑みした。美味い。

彷徨える哀の運命 サダメは、自称勇者 アナスタシアに、遠い過去に葬られたおぼろげな記憶を投影し、ため息をついた。

自警団員 ボールドウィンは、旅人たちを不審な目で見ている。

重鎮 Ｗは、帽子からとっておいたサンドイッチを取り出しむしゃむしゃやりだした。

魔王 ミヅチは、起きた。

魔王 ミヅチは、大きく欠伸をすると、左右に首を傾げて肩を鳴らした。凝りすぎているせいかボキボキと派手な音が響く。

魔王 ミヅチは、ショックに目を見開いた後、心底口惜しそうな表情で「不覚……」と落ち込みだした。

自警団員 ボールドウィンは、書庫に入り、古書の山と積もりに積もった埃に遠い目をした。

悪徳商人 エチゴヤは、深い本の海へと分け入っていった。

魔王 ミヅチは、古書の山から無造作に何冊かの本を引っ張り出し、自警団員 ボールドウィンに渡した。

魔人 イングスは、書庫を物色し始めた。

魔王 ミヅチは、書庫を調べる魔人 イングスを、不思議そうな顔つきで見つめた。

自称勇者 アナスタシアは、適当に本を手に取って読み始めるが、内容がよくわからない。どうやら逆さに持っているようだ。

重鎮 Ｗは、自称勇者 アナスタシアを馬鹿にしている。

自警団員 ボールドウィンは、本を開いた拍子にページを破いてしまった。