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――1days
どうやらこの中には、村人が13名、人狼が2名いるようだ。
今宵よりの宴に集う踊り手達
人よ、一夜の果てを恐れよ
彼の者達は、現実を超える幻想
ああ、それはそうだろう
古より決まっているのだから
神を殺すのは常に人の幻想
その幻想の現界に……人が敵う道理が無い。
吟遊詩人が「時間を進める」を選択しました。
―― 中央通り ――
[ 時刻としては、キャスター達とバーサーカー達が流廻川にて遭遇するよりも暫く前だろうか?
…いや、考えると問題が生じる恐れもあるとして不問にしておきたい。
ともかく、ツカサは自分の店より二つほど角を曲がった先にある古書店に立ち寄っていた。
流行らぬ風貌のその店にはマンガなどは一部週刊誌や月刊誌を取り扱うのみで、後は若者が興味を持つとも思えぬ古めかしい書物ばかりだった。
だが、故に価値ある史料は豊富であり、ツカサにとっては馴染みの店である。客としても…術師としても。
左之助を外に待たせ、ツカサは店内で調べ事を始めていた。]
織田信長で不動明王…ねえ。
[ が、しかし。どちらの史料から紐解いてみても、この二つが繋がるような記述は見つからない。店主に尋ねてもそんな話に心当たりなどないという。]
[ と、幾つかの書物を棚に戻した時。店主がツカサを呼び止めた。
「おう、ツカサちゃん。不動明王にゃ関係ないがこんなのはどうだね」
そう差し出しされたのは本日発売の月刊コミック誌で、その中に掲載されている作品のひとつでは織田信長が悪魔と契約し第六天魔王を名乗るシーンが描かれていた。]
…いや、それは関係ないんじゃー、ないかな。
[ 苦笑と、ため息。]
しかし… 第六天魔王か。でもそれは確か日本の史料には存在しない話でしたよね。
[ 突飛な話ではあるが、藁にも縋る思いだ。一応、自分の記憶から店主に確認を問うてみる。
「ああ、欧州の方の史料であった記述だな。まあ最近はこんなもんもマンガのネタになっちまうもんなんだねえ」
その言葉に頷き、やはり突飛な話なだけかなと次の書物へと手を伸ばす。
突飛といえば、いま調べている書物もすでに突飛の域だ。不動明王がインド神話のシヴァ神の化身であるなどという説話からシヴァ神に纏わる史料に手を伸ばしてみたとか、最早これは無関係でしかないだろう。]
…て?
[ が。
その書物には次のように記されていた。
――は仏教用語では大自在天と呼ばれ、またその名よりブッダを誘惑した悪魔…第六天魔王・波旬と同一の存在であるとも――]
――流廻橋の下――
[――解説しよう。
バーサーカーが光から解放された時、既に獲物の姿は無かった。それは彼女らが飛翔という、肉弾しか持ち得ない彼にとって凡そ手の届かない場所へ逃がしてしまったこともある。
しかし、それよりもっと大きな問題があった。
戦闘、魔術へ突っ込み自滅、魔力弾を注がれ満身創痍。
更には。
キャスターの宝具が放った光と巨躯が交差した瞬間、真名こそ紡がれなかったものの――ほんの刹那、確かにバーサーカーの宝具は「条件」を満たして発動し、迎撃の様相を見せていた。
結局は獲物を逃がし、それが活躍する機会も無い。
何より、輝きの向こうから届いた少女の声に、麗しい声が放った神秘よりも強く、己の心頭に冷水染みた理性の回復を浴びせられてしまったのだ。
スキル「我心不離」の再発動。
それ自体は自身の意思で行えるはずだったが、何かに驚いたバーサーカーは発作的に発動し、狂化のスキルごと宝具の発動を剥がしてしまった。
残ったのは膨大な魔力の消費。また、バーサーカーは与り知らぬことだが、少女も僅かばかり回避の為に魔術を行使した。
結局――得たものは二つしかなかった戦い。]
[相手の宝具と、そのマスターが肉弾戦を好むらしいということ。……尤もバーサーカーは情報を理性に蓄積出来ていなかったので、理性が吹き飛んでいた彼にとっては成果など無かったに等しい。
加えて問題だったのは、少女の魔力は膨大な消費の上であってもまだ尽きていなかったという点だ。
いや、バーサーカーもその一端は覗いてはいた。召喚し、力尽きないどころか偵察の同行をも提案し、挙句に拠点の時間を引き戻す為に魔術まで行使している。
だから――先に気付いておくべきだった。
マスターである小さな体は、ぼろぼろのバーサーカーを半ば引きずる形で橋の下まで連れてきた。更に、その傷を癒す為の魔術まで行使した。
さすがに限界だったのだろう。
傍らで、瀬良悠乎は拠点でないにも関わらず、軽い睡眠を取っている。バーサーカーもまだ万全とはいかない。傷も完全に回復してはいないし、何より麦藁帽子をどこかへ置いてきてしまった。
いずれにしても。
この場所を離れるわけにもいかないようだった。]
[結果は分かっていた。
バーサーカーには、凡百の英霊を上回る神秘も無く、知名度が高いとは言えないこの地で、白兵戦を行うにも限界がある。
だからこそ――そう、かつて行ったように策が必要だったはずだ。
だのに。
くだらない妄執に振り回され、一人突撃した結果がこの無様。]
…………、悪かった。
[仮面は川の流れを見つめたまま、謝罪の呟きを口にした。
手には敵に一撃も入れることも無かった二剣。
仮面には常に笑みが張り付いている。情は見て取れない。
代わりに、力任せに橋脚へ剣を打ちつけた。
刃と橋脚の双方にヒビが入る。
刃の先端は折れ、数多の石の中へと+埋没する+。]
―― 中央通り ――
[一度、古美術店に戻った後、左之助は梧桐には無断で店を抜け出していた。
目的は槍の鍛錬ではあるが、もう少し今の日本を見ておきたかったという理由もある。]
しかし、面影ねぇな……。
[かつて自身が見ていた日本とは全く異なる光景に、左之助は戸惑いを隠せない。
街を走り回る車輪のついた鉄の塊に、動く映像を映し出す箱。それらはまだ用途の見当もつくが、行く人々が頻繁に弄り回している細長い異物については想像もつかない。]
こう、どこに行っても人ばかりじゃ、槍を鍛錬できる場所もありゃしねぇ。
[左之助はあてども無く歩みを進め、西ブロックへと入った。]
―― 西ブロック・神社 ――
[左之助は、旧市街の外れにある小さな神社を見つけ、境内へと入った。周りに人がいないのを確認し、外出した時から行っていた「気配遮断」を解く。]
神社だけは昔と変らねぇんだな
[その事に少し安堵し、手先に気を集中させる。
耳を突くかすかな音と共に、光が長細い棒状の形を成し、愛用の槍が現れる。
刃の根元にはぶ厚く長めの布が巻かれており、丸に横一文字を引いた図形が記されていた。
それは、左之助が生前定めた自身の家紋である。
その家紋は、愚直なまでに武士であろうとした過去の自分の証。
少し複雑そうな表情でそれを見つめた後、槍を大きく振った。]
くっ……。
[振った時に感じる体の痛みが、明らかにまだ本調子ではない事を左之助に悟らせる。
だがいざという時に太刀先がにぶらぬよう、その痛みに慣れておきたかった。
「高楊枝」をかみ締めながら、左之助は*槍を振り続ける。*]
[久しぶりに見る夢は、両親からはじめて魔術を教えてもらったときのこと。
概念など分からなかった。
自身の中にある魔力量も、受け継がれた素質も、理解できないほどの幼い頃。
両腕の刻印は、歳を重ねるごとに増えて行った。主に父親から受け継いだ魔術は、それこそ魔法に見えた。
球根が、次の瞬間に花を咲かせる。真新しい鉄板が、次の瞬間に腐食していく。
手品のような、魔術。
物質にのみ介されるそれは、幼い頃はただの遊び道具だった。]
[夢を侵食するのは、呼び出した英霊の記憶。
初めはただの画像。フラッシュバックのように、画面を切り取った記憶。
石畳。怒声。赤く流れる、視界。
びくりと、身体が動く。
目を覚ますと、視界に笑う仮面が*映った*]
[思考の渦の中、宝具の存在を不意に思い出した。
発動した宝具の行く末を自分はまだ知らなかった]
ダビデ、宝具はどうなったんだい?
いや、まずは君の宝具についてもう少し詳しく教えてくれないか?
[概要は昨晩に説明を受けている。
しかしまだ理解が十分ではないのも確かだった。
詳細を聞く良い機会だと思ったのだ。
ダビデは静かに頷くと自らの宝具の詳細を語り始めた]
[鋼弾の命中をもって強制的に対象を“いと高き御座”に接続し、魔力基盤を書き換える。
ダビデより宝具の詳細説明を受けた時に一つの死体を思い出した。
最強の魔術使いと呼ばれた男に殺された死体。
それは無残なほどに魔術回路がズタズタに破壊されていた。
若輩だった当事は全くもって理解できなかった。
しかしダビデの宝具の詳細を聞いてようやく推測が出来た。
きっと、同様に強制的に魔術回路を破壊するものだったのだろう……。
人間にして英霊と同じ力を行使できるマスター。
そんな存在がいたらきっと自分はあっという間に殺されているに違いない。
無意味な考えが頭に浮かぶがすぐに振り払った。
今はそんな想定に意味はないから]
つまり、命中さえすれば相手の魔術回路をは破壊することが出来るって事だね?
[自分なりに出した宝具の結論をダビデに問いかけた]
[問いかけに対するダビデの答えはYESでありNOであった。
正確な効果は破壊ではなく信仰の光による調伏。
対象の存在、属性によってその効果の程が変わる。
善であればその効果は低く破壊にはなりえず撹乱が良いところである。
悪であればその効果は絶大であり対象の存在すらをも消し去る]
なるほど、君らしい宝具だな。
そして効果を考えるとジャック・ザ・リッパーにはかわされたという事かな?
[婦女子だけを狙い続けた殺人鬼。
善の存在であるわけがない、故に当たれば必滅。
そう判断したからこその発言だった]
[しかし、返ってきた答えは否であった。
ダビデの宝具の効果。
健在するジャック・ザ・リッパー。
先程、ダビデが発した「事件」「架空の英雄像」といったキーワード。
元々自身の中に存在する知識。
それらをはめ合わせてロジックを構築していく]
やはり、ジャック・ザ・リッパーは群像と考えるのが妥当だろうね。
世界を恐怖に陥れた殺人鬼。
その存在の大きさから類似の事件が起きるたびにその名前が出てくるようになった。
そして、その事件の集合体として生まれたのがサーヴァントのジャック・ザ・リッパー。
つまり、ダビデの宝具は効果がなかったわけじゃない。
一つ、いや少なからず事件の存在は打ち滅ぼしたんだろう。
だけど事件の集合体である全ての彼を消滅させるには至らなかったってことかもしれないね。
ま、敵サーヴァントを倒せなかった事を悔やむ必要はないよ。
僕が依頼したのは探索だし、ジャック・ザ・リッパーに関しては大体の情報が纏まったからね。
[一気にそこまで喋ると若干喉が乾いてきた。
冷蔵庫を開けてドリンクを取り出す。
ダビデにドリンクを渡すと缶を開けて*喉を潤し始めた*]
−3日目・茜の部屋−
[とりあえずは情報収集。
そのように方針が決まり、一度部屋へと戻った。
山から離れると、不思議と頭痛は治まった。
だが、最後に何かが聞こえた気がする。
そう、その言葉は確か……。
――『あと少し』。]
[両手にマグカップを持ち、その片方を信長に渡す。
つがれていたのは温かいココア―
なんとなく、茶道具くらいはあってもいいかもしれないと思い、帰宅途中に買い揃えた。
もっとも、飲み物の種類は、自分の嗜好を通させてもらったが。]
どうぞ。熱いから気をつけて。
…らしくなく、浮かない顔をしているのね。
少し……な。
[そう言ってカップを受け取る。
ああ、なんだろうか。
自分が何か重大なことに気付いていない。
忘れてはならないことが消えている。
そんな気がする。]
ほう、変わった茶だな。
[カップから漂う濃く甘い香りが新鮮だ。
そして一口飲むと、予想外の味に少し眼を白黒させた。]
これは驚いた、菓子より甘い茶があるたぁ……。
[そしてもう一口、楽しげに口へと運ぶ。]
そういえば、アカネ。
お前はいったい何を望んで戦っているんだ。
[目を白黒させた信長を見て、噴出しそうになるのをなんとかこらえる。]
糖分は、疲労回復に良いのよ。
[続く質問に、カップを口に運ぼうとしていた手がぴたりと止まった。]
そうね……。
ありていに言えば『復讐』かしら。
[そう言うと、質問者に向かってにっこりと笑った。]
復讐、か。
[その言葉と表情が余りにも不自然で、茜の顔をじっと見詰める。
この色が無く、からっぽの部屋。
これも、それに深く関係しているのだろう。]
ソレは……お前を幸せにするのか?
……。
[感情の無い目で信長を見つめる。口元には笑みを浮かべたまま。]
…幸せなんて、とうに無くなったの。
今、私を動かしているのは、…汚い怒りの感情だけ。
でも、それで充分だわ。
[淡々と言い放ち、マグカップに口をつけた]
堕ちる?
(どこへ―?)
[むしろ、ここよりはマシなのでは無いだろうかと、そんな事を考えてしまう。
―あの、赤い夜に比べれば―]
…?
[近づいて来た信長を、ぼんやりと見つめた。]
[茜のすぐ前まで行くと、そこに胡坐で座る。
そして、まっすぐに茜を見ながらゆっくりと言葉を続けた。]
思い描くのは常に理想を、最高に幸せな自分を望め。
願いは常に最上を、それじゃねぇと意味が無い。
まだ、お前は生きれる。
生きるために、俺を信じろ。信頼しろ。
……信じて用いるんじゃねぇ、信じて頼れ。
[まっすぐに見つめてきた目を、見つめ返す。]
…信じる?
[血に染まった部屋の光景が脳裏に浮かぶ]
…信じて……また置いていかれるの?
[まるで、小さな子供のようなか細い声で、そう呟いた。]
ああ、置いていく。
このままじゃな?
[きっぱりと言い切る。]
だが、今は立ち止まって傍に居る。
だから、その間にアカネが選べ。
俺を見送るか、追いついてくるか。
……もしくは、俺を此処に留まらせるか。
全て、アカネ次第。
アカネの思い描く"幸せ"次第だ。
[きっぱりと言い切る信長に、顔を上げる。]
……。
[突き放すような言い方だったが、安易に『置いていかない』と言われるよりは、心に響いた。
それは、自分の只の我侭だとわかっていたから。]
(我侭……それを言える様になってるなんて)
[それは相手に対する、自身の甘えでもあったのだから。
先ほどとは違う笑みで、信長に答える。]
…貴方みたいなデカブツに、側に居られるのは視界が悪くなってしょうがないけど、……夏場は日差し避けになって丁度いいかもしれないわ。
私のデリケートなお肌の為にも。
……側に、居てくれる?
[最後の方は、明後日の方を向きながら、消え入りそうな声で。]
[その言い様に、思わず笑ってしまう。
自分の感情を素直に表に出せないのは元からなのかもしれない。]
眼を見て話せっていっただろ?
[その言葉には咎める様な物は無い。
楽しげに、からかうような響きがあるだけだ。]
嗚呼、俺は此処にいる。
[そして、そっぽを向いている姉の頭を撫でた。]
[撫でられると、相変わらず慣れず、少しだけ身をよじるものの今度は口から文句も出なかった。
ほんの少し赤くなりながら、ちらと相手の目を見る。]
(…子供みたい)
[自分の今の姿は滑稽かもしれない。でも―
そこで思考を閉じ、目を瞑って撫でられるままでいた。]
[缶の中身を飲み干すと机の上へと置いた。
体に浸透してくる水分が心地よかった]
さて、ダビデの方の状況は大体把握できた。
次は僕の番だね。
僕は、恐らくマスターであろう人物の屋敷を探ってきた。
[言葉と共に荷物から蒲生家に関する簡単な資料を取り出した。
蒲生延について纏めたページをめくると資料をダビデに手渡した]
大まかなデータはそれで確認してほしい。
で、結論から話そう、サーヴァントを召喚されている事に僕は確信を持った。
あらかじめ、今回の戦争に向けて現在の頭首にはついて調べておいたんだ。
資料にもある通り、魔術師としての才能はあまり高くない。
しかし、それにしては結界が高度すぎたんだ。
現在存在する魔術師の工房としては超一級の結界が張られている。
この時点で僕はキャスターを召喚したと予測を立てたよ。
[蒲生家の結界を思い出す。
恐らく破ろうと思ったら相当の時間がかかったに違いない]
結界は対魔術師のトラップと同時に辺り一体の一般人から魔力を奪っていた。
こっちの術式は拙いものだったよ、僕でも明らかに分かる程度のね。
そして、此処が一番のポイント、結界から強く感じ取れた魔力は二種類あった。
なぜ二つか? その疑問に僕はマスターの結界をサーヴァントが強化したから以外の回答を考え付かなかったよ。
そこで確信をもった、蒲生延がキャスターを召喚したと、ね。
[話を終えてダビデを見つめた。
王であるダビデは民からの略奪をどう考えただろうか?
その表情から感情を読み取る事は出来なかった]
そういえば、人にばっかり質問してないで、貴方の…上総介の願いはなんなのかしら。
[なんとなく気恥ずかしくなってきて、話を逸らすようにそう問いかけてみた。]
…本能寺の…明智光秀に対する事とか?
[史実で習った事を、なんの気なしに聞いてみる]
―― 中央通り ――
お待ちどうさま一文字…て、あれ、あれえ?
[ そこに、左之助の姿はなかった。
いや、ほったらかしのまま結構な時間を読書に費やしたかもしれないがそんな何も言わずにいきなりいなくなるとは。
心当たりなど自宅に戻ることくらいしかないが…自宅に駆け戻っても左之助が帰った形跡はなかった。]
どこいったんだ、あいつ。
[ まあ、魔力を辿ればなんとかなるか。考え財布から地図を取り出すと絵の具を一滴…の前に。地図は流廻川の霊道に異変が起きていた事を示していた。]
…なんか見えるよね、この辺にさ、選択肢とかいうのがさ。
[ 自分の胸の前あたりを指刺しつつ意味不明な事を呟く。左之助も気になるが、ツカサはひとまず流廻川へと向かう事にした。]
光秀……、あいつがどうかしたのか?
本能寺っていえば京の寺だな。
何でソレが俺の願いと関……係……。
[頭が……痛い。
思い出せない。いや、"知らない"。]
ッ!グッ……アッ……!
光秀……、あいつがどうかしたのか?
本能寺っていえば京の寺だな。
何でソレが俺の願いと関……係……。
[頭が……痛い。
思い出せない。いや、"知らない"。]
ッ!グッ……アッ……!
[故郷の民は虫の息。
死んではいないが、生きているとも言えなかった。
ローマは戦争を繰り返す。
戦争を行うには十分な兵が必要であり、兵糧が必要であり、軍費も必要だった。拡大する戦場に長期に渡る衝突。戦争に必要な「武力」は泉から湧き出るわけでも、空から舞い降るわけでもない。
戦争に参加する兵は市民であり、兵糧を税として捧げるのもまた支配された土地の民。戦争が拡大すればするほど搾取の幅は粗くなり、長引けば長引くほどに民も土地も枯れていった。
それは当然の帰結であり、またトラキアに済む彼らも同じであった。
彼らにとって必要なのはローマの繁栄。
吸い上げる土地はあくまで必要な犠牲。
輸入奴隷幾人、収穫合計幾千万。
そこに生きる人々の苦楽ではなく、記号の上で纏められた「その他大勢」でしかない。飢えにやせ細る子供も、帰るはずの無い夫を待つ女も、酩酊の神に縋る老人の姿も、見えない。
生きてはいるが、呼吸のごとに苦しみを吸う。
多くは奴隷として労力にも引き裂かれ、ローマの経済を回す器具の一つとして、或いは侵略の戦争を続ける為に、文字通り骨まで搾取され続けた。]
[民を纏める王子は言う。
このままではトラキアに未来は無いのだと。
よしんば未来が来たとして、土地に住まうのは明日を生きる人々ではなく、人の形をした屍が蠢いているだけであるだけであろうと。
民を纏める象徴であり、スパルタクスの友人でもあった彼は言った。
ローマに相対する者であれば誰でも良かった。反抗を貫くことさえ出来るのであれば。その一つがポントスとローマが争うミトリダテス戦争であっただけだ。
彼らが戦争を起こした理由も、その影で死んでいった命も知らない。
かくして傭兵として参加することを決定し、その決断にスパルタクスも賛同した。
友人でもあり、王子でもある彼の苦悩は知っていた。
望む未来はローマからの脱却。
そして、苦悩ではなく明日を呼吸にする民の姿。
苦悩に耐え切れず、徴税兵に憎しみをぶつけ、その首を掻き切り――報復の代償に己の命をも噴出する民の姿ではなく。
幸福を啜り、誰も欠けることのないトラキアの明日を。]
[出発の朝。]
「行ってくるわ。
知らん間に癇癪起こしてくたばんなよ。
あんたがおらんようになったら、みんな元気なくなる」
「……スパルタクス。お前も必ず生きて帰ってくることだ。
そして、必ず生まれ変わったトラキアの姿を見て欲しい」
「――――。さらっと無茶苦茶言うなぁ」
「阿呆。お前は民の一人でもあり、私の大切な友人だ。
安心して死んで来い、などと見送れるわけもあるまい」
「――――。じゃあ、なるべく」
[そんな会話も、したような気がする。]
[一人を殺した。首を貫いた。
二人を殺した。腹を裂いたのだろう。
三人を殺した。頭だったと思う。
四人目を殺した。血が温かいことに気付いた。
五人目を殺した。人間は脆いものだと気付いた。
六人目を殺した。骨は白いのだと気付いた。
――人目を殺した。今まで怒号を上げていたのが嘘のよう。
――人目を殺した。虚空を見つめて止まる眼球を見た。
――人目を殺した。切断された自分の腕から武器を取った。
――人目を殺した。射られた兵が倒れ掛かってきた。
――人目を殺そうとした。死んだ人間は冷たかった。
――人目を殺した。踏まれてぼろぼろになる死肉を見た。
――人目を殺そうとした。己の体が血に塗れていると知った。
死ぬまで彼らはどんな表情をしていただろう。
瀬戸際の夢を見る間も無く、呆気なく死んでいった。
死に際に誰かを思い出すことなどする暇なく、中身を晒した。
今まで生きた想いを振り返ることなど出来なかった。
みんな、動かなくなっていった。]
[それはスパルタクス齢21の時の記憶。
次に繋がる過去は、捕虜として連行された後のもの。
奴隷として――奴隷同士が殺し合い、ローマ市民の見世物となる為の、養成所。
「くだらない過去」を回帰するのは、まだもう少し先の話。
瀬良悠乎が続きを知るには、まだ心の繋がりが+薄いようだ+。]
[揺さぶる茜の腕を掴む。
その様子はどこかおかしく、息が荒く汗もかいている。]
……大丈夫、収まった。
俺の願いは……俺が俺らしく生きる事。
よくわからないが、その二つは……関係ない。
――流廻川の下――
……まだ疲労しているだろう。
まだ周りに気配らしきものはない。
[自身の過去を観られていることなど知らず、身じろいだ小さなマスターへと言葉をかける。
仮面の向こうには平和を奏でる川のせせらぎ。
折れた剣は放置し、もう一方の剣は握ったまま、立ち上がった。
足元の小石を鳴らしながら、川へと近付く。]
[掴んだ肩ごしに、じわりと滲んだ汗を感じる。]
……本当、に?
[大丈夫なの?と呟いて、顔を見つめる。
言いようの無い不安が小さな棘のように*胸に刺さった*]
―― 移動中 ――
まいったね、こりゃ。
[ 移動しがてらに左之助の魔力探知も試みてはみた。が、左之助の足取りはとんと追えなかったのである。
意識を自分の内側へと沈ませれば、キャンバスボードに左之助の姿が浮かびあがる。その一画に滲む「特技:気配遮断」の文字は鮮やかで、特に優秀であることが見てとれた。
マスターなのに引っ掛かっててどうするんだろうね。
心の中で、ため息ひとつ。そうしてツカサは、意識をまた外の世界へと戻した。]
ま。現在地点とかそんな都合のいいものまでは表されたりしないねやっぱり。
[ そんな、ゲームでもあるまいし。]
僕からは以上だけど、疑問は何かある?
[互いの報告を終えた時に気づいた。
ダビデが自らの姿を気にしている事に。
改めて見ると身に纏った衣服の状態は酷くとてもそのままにしておいて良い格好ではなかった。
すぐに鞄から用意しておいた服を取り出しダビデに渡した]
そういえばダビデ、携帯はもってるかい?
先程コールしたんだけど気づかなかったかい?
[ダビデは服を着替えながら携帯を探すも出てくる事はなかった]
戦闘があったからしょうがないか……。
しかし、こんなに早く無くすとは予定外だったよ。
まだ予備はあるから心配しなくても良い、ただ数はそんなにないんだ。
だから、出来れば大事に遣って欲しいな。
[かける言葉に刺はなかった。
鞄から今度は携帯を取り出してダビデに投げ渡した]
[着替えの終わったダビデと今後の方針について幾つかの会話を交わした。
必要な打ち合わせは、それで完了した。
ならば、自分がホテルに引き篭もる必要はなかった]
ダビデ、君はもうしばらくその魔法陣で体を休めているといい。
君自身が大丈夫だと判断した時点で再び偵察に向かってくれるかな?
戦闘は出来るだけ避ける方向で頼むよ。
[7人のサーヴァントがいる以上、ダビデが連戦をする必要などない。
敵同士で戦わせれて弱った所を討てばいい。
これは戦争だ、卑怯なんて言葉はないのだから]
じゃ、僕は偵察に行くよ。
眞奈家を探って来る。
[目的はジャック・ザ・リッパーのマスター。
眞奈みなみ、眞奈家の血を引く者に違いなかった。
元々、蒲生家の次に探る予定だったが後にして正解だった。
マスターがいる事がわかっているならば後は対策を探れば良いのだ。
ダビデに声をかけるとホテルの外へと歩き出した]
―― 流廻川 ――
[ そして、右の掌に違和感を覚えて堤防の端で立ち止まる。絵の具で隠した令呪が何かに反応しているのか。これが共鳴というものなのだろうか。]
隠し事さえ出来ないなんて、ね。
[ 呟いて川原一帯を見渡せば、少し遠く流廻橋の下に人影があるように思えた。水鏡でも作るかと川原に降りれば、自分たちが築いた“霊道”のあちこちに楔のように魔力が注ぎ込まれていることに気付く。]
結界か… いや、罠か何かでも作られたかな。まさか、他の輩に活用されるとはね。
[ 最早いったいどうなっているのか。とりあえず霊道としての機能は生きているようだ。後はこの結界だか罠だかにかからないようにだけしておこう。触らぬ神に祟りなしだ。
川原からまた堤防へと登り、流廻橋へと向かい歩きはじめる。]
――流廻橋の下――
[バーサーカーは浸していた手を川から引き上げた。
雫が滴る。泥に汚れているわけでもない、綺麗な雫だ。
マスターを一度、振り返り、橋桁の屋根から出る。
目的は橋の確認。
マントもぼろぼろなままだったし、破れた箇所からは傷口だって見えている。麦藁帽子だってどこかに吹っ飛んでしまった。
周りを見渡した後――きっちりゴドウツカサの存在は見落とし――橋を川原から見上げた。車体も通ることの出来る幅の広い橋。
天を覆う鉄骨に昇れば、奇襲の一つも可能になるのだろうか。]
……アーチャーやキャスターの領分か。
[投槍程度ならばマントを探ればあるかもしれない。
尤も、「最も隆盛していた頃の姿」で限界したものだから、奴隷の象徴であるグラディウス以外はてんで使い物にならない。
恐らく先日の刀使いとの戦闘であれば、一撃の下に粉砕されるだろう。]
[ 自分はいま、独りである。それはよく理解していた。
そして、向かう先に見える人影は二人分だ。それがはっきりと認識できる距離まで来ている。
では、何故に自分は尚も近付こうというのだろうか。]
…なんだろうね。本当に。
[ なんというかこう。その人影達からは殺気や怒気というものがいまいち感じられず。
橋の下で和んでいる仲良し親子に微笑みを浮かべ、通り過ぎる通行人のような気分だったのだ。]
―― 西ブロック・旧市街地 ――
[ひとしきり槍の鍛錬を終えた後、左之助は槍を消して神社を出た。「高楊枝」を片手でいじりながら歩みを進める。
そうしながら、未だにこれをくわえる癖が抜けない事に、どうにも煮え切らない気分になる。]
以前はそんな事、気にもならなかったんだがな……。
どうにも気が晴れねぇな。
信長がいるんだから、どこかに武蔵や小次郎辺りもいないかねぇ。
[強者と相対してる時は何も考えずにすむ。今の左之助は戦いの高揚感を求めていた。]
ん。
[魔力感知は疎い。それでも死線を幾度と潜った身。
注がれる視線にすら気付かないほど愚鈍ではなかった。
橋から目を離し、気配の下を探る……見つかった。]
あれは……。まずい、か。
[堤防の上に、ヒト。
マスターの忠告を思い出し、咄嗟に仮面を背けた。
だが、もう既に目撃されてしまっているのだろう。
まさか微笑ましい親子に見られているなどつゆ知らず。
更にはそれが魔術師で、マスターであることなど知り得るはずもなく、恐る恐るもう一度、視線を注いだ主を見た。
男。浮かぶ表情は微笑みから驚きへ。]
なんだ……今の笑みは。
[呟く。自身の格好も相当可笑しいのだろうが、男が浮かべていた笑みは滑稽なものを嘲笑うものとは種別が違ったように思う。]
…………。そうだな。
付近の住人であるなら。
[マスターを一瞥してから、堤防の上へ登るため歩く。
一歩ずつ近付く。
マントの汚れや傷に気付かれてしまうかもしれないと気付いたのは、既に話しかけられる程の距離まで近付いた頃だった。
仮面は見つめる。男の目を。
風貌はぼろぼろくたくたであるのに、それだけは真っ白、変わらず笑みを湛えた不気味な仮面。細長い仮面の目が、正面から男を見据えた。
マントがはためく。
片手に持っていた武器を懐へしまう。
そして――口を開いた。]
――君。
この辺りの食材屋と花屋を知らないか。
――??/??――
[泣いていた。蛙の様に足を曲げて、覆い被さる相手を受け入れながら、泣いていた。幾度行為を繰り返しても、慣れる事は無い。激痛と快楽。嗚咽と水音。涙と粘液。
嫌だ、嫌だと、泣きしゃくれば、頬に走る衝撃。パシッ。遅れて音が耳に届き、叩かれた事を知る。少女は恐怖に身を震わせ、ごめんなさい、ごめんなさいと繰り返した。やがて律動は止まり、相手が離れて行った。けれど、終わらない。これだけでは、終わらない。少女は知っていた。
闇が全てを包み、視界が利かない。その中から複数の足音と笑い声が響く。逃げなければならない。何とかして、逃げなければならない。
異物感を抱え、力の入らない足を鞭打って立ち上がる。躊躇している時間も、衣服を整えている時間も無かった。右の足首に引っ掛かったままの下着を抜き取った。スカートから入り込む空気を直に感じながら、一目散に走り出す。長袖のブラウスはぱっくりと肩口から脇腹まで開いていた。腹部に出来て一度は塞がった傷が、また広がった。白いブラウスを血が重ねて染めていく。
いつか死んでしまう。殺されるかもしれないし、殺すかもしれない。逃げなくてはならない。早く、早く]
[走っても走っても、光は見えなかった。何分走ったのか、どのくらいの距離を走ったのか、そういった感覚も無い。ただガムシャラに走り続け、足音と笑い声がその後を決まった間隔を開けて追って来ていた。
あっ。少女がそう思った時には、遅かった。地面の何かに躓いて、足が縺れる。そのまま倒れ込んだ。足はがくがくと震え、立ち上がる事が出来ない。首元のロケットペンダントを強く握り締めた。
(助けて、パパ! 助けてっ!)
少女は心の中で必死に叫んだ。その時、後方ではなく、前方から違った足音が聞こえる。訳もなく、助けに来てくれたのだと、そう確信した。
やがて足音は少女の前で止まり、手が伸ばされる。その手は少女の目に神の使いの手として映った。その手が少女の首を掴むまでは。声を上げる間もなく、壁に押さえつけられて体が宙に浮いた。首を片手で強く掴まれ、苦しさにもがく。少女はその耳元で笑い声を聞いた気がした。かかる吐息にぞくりと走る刺激と、途切れそうな意識の境目で、その人物が強い――到底、人間が有することの出来る量ではない――魔力を宿している事に気がついた。最後に聞いた笑い声は、神の使いのものだったか、悪魔のものだったか]
――二日目夜/自宅マンション(東ブロック)――
――っ!!
[ベッドから跳ね起きた。辺りを見渡す。日本人には到底見えない色素の薄い瞳は、暗闇の中で良く視界が効いた。そこは、自分の寝室だった。深呼吸を二度繰り返し、みなみは段々と現実を思い出す。
あの後、マンションに帰ってくると、みなみはそのまま寝室へ直行した。玄関近くの使っていない寝室をキラーに指し示した気がするが、意図が伝わったかは定かでない。服装も何もかもそのままに、ベッドに倒れ込み、意識を手放したのだった]
嫌な、……夢。
[ベッドサイドに置かれた写真立てに手を伸ばす。みなみの父親と、まだ幼いみなみが、幸せそうに笑ってこちらを見ていた。その近くには、いつでも見につけているロケットペンダント。隣には二つ置かれた携帯電話。嫌でも目に映る、しっかりと刻まれた令呪。気付けばみなみの頬を、涙が*伝っていた*]
眞奈 みなみが「時間を進める」を選択しました。
ランサーが「時間を進める」を選択しました。
[ その姿は、微笑ましい親子との形容とあまりにもかけ離れたものだった。
どこを見ても異様でしかない風体。感知してしまった、嵐のようなその本質。いまさら逃げることなど、叶うべくとは思えない。というか。
…イマ、刃物カクシマシタヨネ?]
………っ
[ 動けぬまま、息を呑む。相手はゆっくり此方へと歩み寄ってくる。橋下の影にいるのがこいつのマスターなのだろうと想像はつくが…そちらに意識を向ける事さえ、ツカサには出来ないでいた。だから――
――問われた内容に、頭の中は真っ白になった。]
ええと。コンビニならこちらにちょっといけば。大型スーパーでしたら郊外になりますのでこの橋を渡ってから…まあ結構歩きますか。
個人的には、中央通りに行けば花屋も含めて色々なお店がありますのでそちらをお勧めします。中央通りにはこの道を道なりに右方向へと進んで駅前に出れば…。
[ コンビニやスーパーという単語に首を傾げるようなそぶりを見せたが、目の前の人物は概ねうんうん、と素直に頷いて説明を聞いている。
しかし。なんでこんなことを懇切丁寧に説明しているのだろうか。笑顔の端に冷や汗を浮かべつつ、自分の対応がどれだけ間違っているのかを脳内で自分会議しているツカサだった。]
[息を呑む気配。目の前の男は明らかに動揺している。
しかし後からの説明はとても明瞭なものだった。精密だった。流暢だった。夜に飛んで跳ねてビルの上から把握していた地理を思い返し、地図を空想する。
知識としては知っていても、聞きなれない単語については素直に首を傾げる。相手も詳しくは追求してこないようだった。物分りがいいのか、懐が深いのか――実際にはサーヴァントと気付かれているからなのだが、バーサーカーには彼が大層親切な人物に見えたようだ。
見えるものは笑顔。きっと暑いのだろう。午前とはいえこの陽射しだ。汗も浮かんでいる。
最後に大きく頷いた。]
ありがとう、青年。
実はもう一つ頼みたいことがあるんだ。
[一歩、青年へとにじり寄る。
――――チョットDeathッテクレナイカ?
左目に血のような赤で装飾された仮面は、そんな言葉が出てもなんら不思議ではなかった。仮面は男をじっと見つめ、懐へ手を伸ばし――。]
――――実は、あそこに私の娘がいるんだ。
[橋の下へ視線を移した。]
今から娘に食材を仕入れてきてやりたいんだが、娘を一人にするのは不安なんだ。どうすべきか困っていた。いっそ、川で魚を取ろうかと思っていた――。
しかし、これも神の配剤だろう。君が通りかかってくれた。
[男へと仮面の視線は戻る。]
君はとても好い人物のようだ。
私が戻るまで、娘を介抱してやってくれないか?
いや、迷惑な提案だとは分かっている。しかし――このままでは娘が衰弱を続けてしまう。どうしても私は「中央コンビに花屋」とやらに行かねばならないのだ。
[更に一歩、にじり寄った。
仮面が無ければ息だってかかったかもしれない。]
頼まれてくれないか?
[バーサーカーは魔術感知に疎い。
生前も神秘に触れることも無かった一般人である。
そして今も、目の前にしたサーヴァントくらいしか判別できない。目の前の男が魔術師であるかなど論外だ。
故にバーサーカーはこう考えていた。
「仮にキャスターが戻ってきたり他のサーヴァントの奇襲を受けても、あのマスターならこの男を壁にして上手く逃げるに違いない。」]
いや、ええと、私は…
…はい。
[ 頷いてしまった。なんか勢いに飲まれて頷いてしまった。目の前には満足そうに何度も頷いている奇怪な男。
片っ端から間違っているとしか言い様のないその男の言い分にしかしツッコミを入れる事さえままならないまま頷いてしまった。なんと押しに弱いのか。
――いや、違う。
頭の中の何かがそれを否定する。違う、冷静に考えての結論なのだと。これで厄介なサーヴァントを追い払い、マスターを亡き者にする絶好のチャンスじゃないか乗るしかないこのビッグウェーブに!AA略なこの気持ち判るだろう聖杯戦争に勝つため長い時間を費やしてきたお前なら判るだろうと。
…いや、冷静ならこれは罠だと思う気もするがあまりに想定外の展開すぎてすでにツカサの脳みそは状況についていけていない。]
そうか!
ありがとう。やはり見込み違いでは無かったようだ。
では、娘のことは任せた。
出来るだけ早く戻るよう尽力しよう。
[男の肩に手を乗せて、バンバンと叩く。
最後に一つ、バンと叩いて、すれ違い様に歩き出した。]
この道を道なりに進んで…………左だったな。
[確認するように口の中で呟く。
困惑と冷静で挟まれた男から去って行く。
――だが途中、思い出したように立ち止まり。]
そうだ。君。
――もし、娘に手を出したりしたら。
[振り返る仮面。
半分が、暗い影に呑まれて見えない。
細長い片目の仮面が、男へと注がれた。]
―――を―――して貰うからな。
[言葉の重要な部分は風に紛れて届かなかった。
男は背中越しに手を振りながらマントを揺らし、教えられた通り道を道なりに進み「左」へと急いだ。]
ぃいえいえいえいえいえいえ私は妻一筋ですから!
[ 思わず本音で否定した。本当に親子かこの二人?などと一瞬本気で考えてしまいながらもそうか、と理解した。
つまり、このサーヴァントは今、私をマスターだと気付いていない“フリ”をしているのだろうと。
だから、奇怪ながらどこまでも親子のフリを通して、己のマスターに危害を加えさせぬようプレッシャーを与えてきたのだろう。なるほど、とひとつ頷く。]
大丈夫です。見も知らぬ私を信じてくれたお礼に、ちゃんとお嬢さんのボディガードを為しましょう。
[ 自然に喋れただろうか。こうした演技に自信はないが、ともかく信頼を得るための言葉を紡いでみせた。]
[目を覚ましてすぐ、もう一度、堕ちた。今度は何も見ない。ただ、キャスターのマスターである男の声が、耳に残った。
魔法。
期待された言葉。期待に沿うことは出来なかった自分。
魔法などではない。魔力回路は人よりも多かった。けれども、魔術は、まだ発展途上の、幼いものだった。
人体にかけることはできない。それを聞いた上官の、失望の眼差しを思い出す。
植物と、無機物、後は魔力に馴染ませた自分の身体だけだと、告げた。
魔術師同士の戦いにおいて、自分の使える攻撃手段は、自分の手足を使うしかない。
それでも、だからこそ、鍛錬を怠ることは、無かった。
手に馴染んだ柄は、持ち込むことが出来ずにおいてきたのだけれど。]
……。話し、声?
[ゆっくり目を開けると、バーサーカーの姿が遠くに見えた。佇む男。
令呪が、疼いた。何より、その後姿を見たことがあった。
はっとして、起き上がろうとする。
力の入らない身体を持ち上げて、そしてそばにあった折れた剣に気づく。]
元に戻すには古すぎる。
[もっと魔力があったなら、と思ったが今更な話だった。]
さて・と。
[ 振り返り、橋の下に眠る娘の姿を見る。油断はしないつもりだが、これが罠である可能性は低いだろう。
あのサーヴァントが親子のフリをしてまで危害を加えぬようにとの念を押していったのを逆に考えれば、マスターの方は本当に動けないのだろう。寝ているのか、意識がないのか。]
細工をするならば…いまが最良。だね。
[ ポケットより絵の具をひとつ取り出す。]
すまないね… さすがに、私もチャンスを逃すわけにはいかないだけの理由があるんだ。
[ く、と。喉の奥で微かに笑う。]
/*
という事で質問が来たらしいので説明コーナー入れてみました。
そんな無茶な設定はそこまで入れません。
ただ。
エリートなのに魔術で攻撃とか防御とかできないんだけどね。
スピードしかないので魔術師が魔術で抵抗とかすると割りと(´・ω・`)な結果になります
[何かをしまったらしい男の方を見た。声をかけようとして思い直す。マスターであることはばれているだろう。そして今、動けない自分。
どうやって切り抜けようかと、一瞬で考えた。]
……貴方はマスターですね。
私のこともお分かりでしょう。
あの仮面に何を言われましたか。
[結局、ごまかすことはやめにする。例えば薄幸の少女を気取ったところで、魔術師相手にそれがうまく行くとも思わなかった。]
ああ… いや。
[ おとなしい態度に、まずは自分の気持ちを落ち着け、気分を切り替える。
そして、ひとつ深呼吸。]
娘に手を出すな。ってさ。
それから、彼は君のための食べ物と花を買いに行くとかいってどっか行った。どこ行ったかは自信がないな。教えた道を間違えていった雰囲気がある。
うん、私もマスターだ。
…いいよ、いま危害を加える気はない。発信機くらいはつけさせてもらおうかとは思ったけどね。
[ ポケットの中をごそごそと、潰れた絵の具の処理をしている。どうせ寝込みを襲うとか殺すとかなんてする度胸も気概もない。洗脳なんていう術式な心得ていない。結局、まあその程度しかできなかっただろう。]
彼が戻ってくるまで待つって約束したしね。会話をする気があるなら、付き合うけど?
[ そのまま… これ以上近づくと警戒されるかなと。その場に腰を下ろした。]
食べ物と、花……。何故花なのかは判りませんが、彼なりに気遣ってのことでしょうね。
[腰を下ろす様子に、ひとまず危険は無いことを知る。自分も身体を起こして、橋桁の壁に凭れかかった。]
発信機、ですか。拠点を見つけるために?
ここで私を殺してしまうか、令呪を奪ったほうが早かったのでは?
……いえ、物騒な話はやめましょうか。
名前をなんと仰るのですか。そちらのサーヴァントが何か存じませんし、マスターと呼ぶのも可笑しいでしょう。
私は瀬良 悠乎と申します。
[にこ、と笑って男を見た。]
[その後、比較的早く体の異変は収まった。
だが、アカネは依然として心配そうな視線を送る。]
いや、本当にもう平気だ。
そんなに心配そうにしなくても大丈夫だぞ。
―西ブロック―
[眞奈本家から少し離れた所より自らのセンサーで探り続ける。
そこには蒲生家の時に感じたような違和感は存在しなかった。
そこに存在する結界は、蒲生家にあった結界と比べると随分と簡素に見えた]
どう判断すべきかな。
こいつにも反応はないし。
[令呪にマスターの反応はない。
本家付近に眞奈みなみがいないのは間違いなかった]
正直、血生臭いことは苦手なんでね。
[ 苦笑してみせる。我ながら、これがフェイクなどではないというのが困ったものだ。]
ツカサ。と呼んでもらえればいいよ。フルネームは勘弁してくれ。それなりに土地付きの人間だから、拠点がバレてしまう。
よろしく、セラ ハルカ。
[ 挨拶代わりに手を挙げて、軽く会釈をする。ここで微笑む事が出来ればいいのだろうが…生憎、女性に微笑む術などツカサはすでに忘れてしまっていた。]
[訝しげに顔をじっと覗きこむ。]
…まぁ、さっきよりは大分マシになったみたいだけど。
そんな事で戦えるのかしら?
信じろって、言葉だけで終わるようなら鼻で笑ってやるわ。
[ふふん、と鼻を鳴らす。]
はっ、笑えるようなら上等。
泣いたりしたら此方が笑ってやろう。
[素直な言葉が出せないのだろうが、態度でバレバレだ。
まったく、遠回りにしか言葉にできない難儀な奴だ……と心の中で笑う。]
情報収集するんだろう?
此処にいても仕方が無い、表へ出るぞ。
逢引の誘いでもいいがな。
――三日目午前・中央通り――
[
――……キャスターは、一人で街を歩いていた。
その指には、草で編んだ指輪が填められている。
即席で作った、魔力を遮断するための小道具――自分の魔力を隠す代わりに、外界の魔力も探知出来なくなるのが難だが――だった。
無論、服装もまた、人目を惹き過ぎるローブ姿ではない。
屋敷の衣装棚の奥を勝手に漁って見つけた、白いシャツとジーンズという出で立ちだった。
眠りこける主を起こすのも気が引けて、黙って出てきたわけだったが、勿論、目的はあった。
離脱の度に宝具をしようしていたのでは、流石に魔力が持たない。
空飛ぶ絨毯(フライング・カーペット)の素材となるものを求めて、街に出たのだった。
ただし――その旨を主に伝える書き置きを、母国の言葉で記していたことには、気付いていなかったが。
]
…そんな誘い、するわけ無いでしょ。
[また語尾が荒くなりそうになるのを何とかこらえた。
ふぅ、と息を吐くと、信長の言葉に頷き、マンションから外に出る。
外の日差しは、相変わらず明るく、刺す様に強かった。]
ツカサ。ではそのように。フルネームは、そうですね。もっとも、こちらの地理には明るくありませんから、調べていくのも面倒ではありますが。
[会釈する姿。口調とは逆に、その表情の少なさに疑問を覚える。相手の年齢も考慮すれば、わからなくも無い、と思い直した。]
この川の近くを歩いてらしたのですか?
なら、麦藁帽子を見なかったでしょうか。
うちの仮面があれなものですから、仮面を隠すのに被らせていたのですが、飛んでしまって。せっかくいいサイズだったのに。
[
全く、気持ちの良い朝だった。
一睡もしていなかったが、身体の調子はいい。
サーヴァントには別段、睡眠は必要なものではなかったし、
戦闘で昂ぶっていたらしい主の相手を、一晩中――五回だったか六回だったか――勤めたお陰で、宝具を使用して半減した魔力も充分以上に回復していた。
なんとなく、お肌の艶もいい。
]
――……それにしても、豊かな国ですね。
[
商店街を目指して歩みながら、素直な感想を零す。
国を支える大臣の娘として生まれ、王妃として人生の大半を過ごした。
その生前の経験からか、自然、街を観察する目線は、政に関わる者としてのそれになってしまう。
]
――漆路山麓・川付近の道――
[バーサーカーは焦っていた。行けども行けども、好青年に教えられた……名称はもう忘れた……中央屋とかそんな感じだったと思う……は見えてこない。
懐から剣を取り出したりはしなかった。
ただ焦っている。
もしかしてあの男は少女趣味で、己のマスターを誘拐しようと好人物を演じていたのではないかと。つまりそれは自身が騙されていたということであり、急いで戻らなければ危ない。]
人買いの類だったのか、奴め!
…………い、いや。
余程のピンチであれば令呪とて使うはずだ。
[数日すごして、少女の性質を完全に理解したわけではない。
それでも、簡単に身を攫わせるとは思えなかった。
マスターと青年を信じ、道を行く。
時折、不気味な雰囲気を放つ山を瞥見しながら。]
そうだな、アカネが良い女になったら俺から誘ってやろう。
光栄に思えよ?
[そんな軽口を叩いて、茜に付いていく。
どうやら山の方面へと向かうようだ。]
……。
[昨日の事を思いだす。
何故か突然襲ってくる頭痛、そしてあの声。]
一体、如何なっている……。
[己の体に静かに問いかけるが、答えは返ってこなかった。]
む…。
[ 問われて、思案する。
が、ここに来るまでは色々と気をとられるものが多すぎた。そうした風景の中にあるものになど目がいくはずもなく。]
ん、見ていないな。
というか、あの仮面とマントに麦わら帽子もすごい組み合わせじゃないか?
[ 真顔で、眉をひそめた。]
セイバーが「時間を進める」を選択しました。
そうですか……。
[残念そうに視線を落とした。]
マントもあの服も、昼間は目立つからと言ったのですが。
生前はよほど目立ちたがり立ったのでしょう。
それにしても。
買い物に行ったといいましたね。財布も持っていなければこちらの買い物のシステムも知らなかったと思うのですが。
――無事だろうか。
[呟いた口調はいつものものに。]
でっかいお世話だわ!
[信長の言葉に、結局は熱くなって言い返す自分が少し恥ずかしい。思わず早足で歩く。
まずは、山に何が仕掛けられているのか―
その痕跡が残っていないか探りたかった。
その為には、いつもと違う道…正式な裏門からの出入りでなく、山の周辺からの探索を始める事にする。
どこかから、水音が聞こえてくる。どうやら水源が近いようだ。
川が近い― そう告げようとした途端、何かの力の痕跡を感じた。足を止めて、ゆっくりと振り向く。]
……わかる?『セイバー』
その呼び方は【他の誰かが居た時の呼び名】
準備は万端かしら?
―西ブロック―
[結局夜まで待ったが何も動きはなかった。
何事も起きずただ時間だけが過ぎていった]
本家とは別に拠点があるのかな……。
とりあえず今日は撤退しよう、夜に独りでいるのは拙い。
[急ぎ足でホテルへと戻る。
休息を取っていたダビデに眞奈家について報告すると休息のためにベッドに+体を預けた+]
[麓ということもあるのだろうか。
もしくはこの山が放つ威圧のせいか。
せせらぎは歌えども、ヒトの気配はとんと無い。
郊外へ向かうには、あの橋を渡って行くのだろうか。
――――だからこそ、気付く。
背後、自分のものではない足音が、二つ。
方や気配は分からなかったが、もう片方は――。]
…………。
[懐に手を入れ、剣の柄を握る。
振り返るのは大きな隙。
だが、背を向けたままでは此方から切りかかれない。
少しずつ、少しずつ、仮面は気配へと振り返った。
少しずつ、少しずつ、懐から剣を取り出した。
完全に振り返った頃には、左手にぼろぼろの70cm。]
―― 中央通り ――
[神社から出た左之助は、再び中央通りに戻ってきた。
中央通りに入る前に「気配遮断」を実行している。
ふと見ると、商店街付近で妙に目を引く女性の姿が目に入った。]
えらい別嬪さんもいるもんだな。
[目を引かれた訳は彼女の美しさのためだろうか。
何か周りの空気とは浮いてる気がして左之助は気になった。
サーヴァントなら魔力の強さで解るはずであるが彼女からはそれを感じない。]
気にし過ぎかも知れねぇが、ツカサの店もある所だしな……ちょいと試してみるか。
[左之助は「気配遮断」をしたまま、キャスターへと近づく。]
[ ふむ。と、ここまで観察したことを思い返す。
口調は敬語。いまの自分と同じく社交辞令的喋り方なのでそれが素とは思い難い。
見た目は、うら若き女性。この年齢で魔術師とは…などと、そんな間違った見方をする気はないが。逆に若い身空でサーヴァントの召喚などをこなせるのだ、自分よりも才能は高いと思った方がいいのかも知れない。
現在の状態。動けない様子は演技ではないのだろう。昨日にあったと思われるここでの戦闘。それに関わったと考えて間違いはないだろう。]
ええと。この戦争についての情報交換は、ありかい?
[ 聞いていいものか、ためらいながら。]
……ほんとうに。
迷子になっているのかもしれない。
[立ち上がろうとして、身体を揺らす。魔力回復はまだ。睡眠とったことによって少しは戻っていたが、まだまだ足りなかった。
宝具などどこかで使われたときには、この「身」はもたない。
かといって、ただ呼び戻すだけに令呪を使うつもりも無かった。]
まだ、か……。
[立ち上がれずに、また+膝を折る+]
[若々しい葉が散り、互いの間を横断した。
仮面は男女と相対し、正面から見据える。]
……………。
[小さなマスターは疲弊していた。
送られてくる魔力は細い。
本当なら、スキルを解除して飛びかからなければならないのに。
剣を握り直し、出方を疑う。]
万端か……といわれりゃ微妙だが。
所詮この世は常に準備不足の連続よ。
そんな事、かまいわしねぇさ。
[茜の前に出ると、刀を持つ。
体にはいつの間にか鎧と外套。]
それでも前に進むのが、粋ってもんだ。
なぁ、お前もそう思わねぇか?
[目の前に居る、人間からかけ離れた者にそう問いかける。]
[ と。
なにやら立ち上がろうとするハルカの姿に少し驚いた。]
ああ、いや、うん。君と君のサーヴァントについてじゃない。他のサーヴァントやマスターに会ったかという話で…。
というか、まだ動かない方がいいのでは?
[ いいながら、ポケットより絵の具を取り出し立ち上がる。]
簡易ながら人避けの結界を施しておくよ。本気で魔力探知されたら知らないが、意識されない限りは大丈夫だと思う。身体が回復するまでは休んでいくといい。
君のサーヴァントに約束されてしまったからね、このくらいはさせてもらう。
[ 返事を待たず、ハルカが座る近辺のみに絵の具で印を施していく。立ち上がろうとした意図を読み違えていることには、気付いていない。]
[
商店街を歩いて、十数分。
串に刺さった菓子を眺めていたら、店主の老人が味見にと差し出してくれた。
氷菓子を眺めていたら、若い青年が親切にも、身銭を切って贈ってくれた。
民は親切で、食べ物も美味しい。
この街のことは、好きになれそうだった。
]
――……ああ、あれも美味しそうですね。
[
ふと、立ち止まってみて。
長細い、棒――だろうか。
それを口にと咥えた、引き締まった身体の男が、こちらにと歩いてくるのが、目にとまった。
]
―中央通り商店街・スポーツ用品店―
[一夜明けて、再び午前。
中央通りの商店街にあるスポーツ用品店に少年は居た]
ええっ、と。
……ボールといっても、色々あるんですね。
昨夜の球技、野球? でしたっけ。あれに使われてたのって――これじゃないです、ね。
[各種の用具が陳列された通路で、傍らの青年に問いかける。
手には黄色いボールが二個封入されたプラスチック製容器。
困惑したように、マスターを見上げた]
[目前から、ゆらりと大気が揺れるのを感じる。
そこには―
ぼろぼろの刀を携えた、奇妙な仮面の男―]
……っ!
[自分の前に立ちはだかる信長の背中を見つつ、懐の短剣を、そっと握る。]
それが自身独りならな。
討ち崩そうとも、命を落とそうとも。
己の決めた結末と道だ。
[蘇る記憶は――――。]
連れ添う者まで地獄へ付き合わせることはない。
[解除しないまま――狂化を施さないまま、疾駆した。]
―中央通り商店街・スポーツ用品店―
[休めるうちに休んでおくのが得策と思い翌日まで休息をしっかり取った。
朝の打ち合わせでダビデが求めたのは野球のボールだった。
戦争に相応しくない物を求める真意を尋ねると対マスター用に使うとの事。
そんな理由から、自分はスポーツ用品店にいるであった]
ああ、それじゃないよ。
えーっと、どこだろうな……?
[野球のボールを探すがすぐには見つからなかった
時間が惜しいので店員を呼び、ボールを出してくれるように依頼する。
店員は笑顔で返事をしレジの裏へと戻っていった]
[歩みながら左之助は考える。]
同じ英霊なら何らかの術を使ってない限りは解るが、呼び出した奴だといまいち解らないからな……。
まあ、どちらにせよ日中の商店街でチャンバラなんて出来やしないが、もやもや考えてるのも面倒くせぇ。
[こちらに気づいたらしい、キャスターに向かって声をかける。]
何か探してるみてぇだけど、俺が案内しようか。
[そう言って至近まで近づくと同時に、「気配遮断」を解いて自身の魔力を限界まで高めてみた。]
[二本目がないのが悔やまれる。
ならば能力値の低さを技術で庇うことも出来ただろう。
しかしこの手には現界より持ち続けた――生前、血をすい続けた忌まわしい奴隷の剣一つ。目の前の敵を打倒するには足りない。
それでも。
――確実に勝てる相手にしか、手を出さないとでも?]
[疾駆した勢いを殺さぬまま、目の前の男へと剣を振り落とす。]
―中央通り商店街・スポーツ用品店―
[籠の中には平たく四角い紙製の箱。隅に貼られたフィルムから覗き見えるは均等に凹凸が付いた硬そうな球。ゴルフボールと言うんだ、と魔術使いは少年に教えた]
確かに、これくらいが一番手ごろな大きさなんですが……。
あまり殺傷力の高い弾は、人に向けては打ちたくないんです。
[呟きの原点は昨朝の戦闘だった。
その最後、みなみを狙って放った弾丸。鋼で出来たそれが命中していたなら、今頃は無惨な死体になっているだろう。しかし、それらしき騒ぎもニュースも、彼らの元に伝わってはこなかった]
……さすがに彼の者も、自らのマスターは守る、か。
[令呪によるものか、サーヴァントとしての利己的な判断によるものか。少年の推測は、彼の者が行なっただろう行動の真意から程遠かった]
[腰を落としたところで、ツカサの言葉に顔を上げた。
情報交換。悪い話ではない。多少は交叉市について調べてきた。霊脈の集まる場所、魔術師の家名。
けれども、調べるには時間が足りなかった。]
他の、ですか。
……今、ここにこうしているのは、キャスターとそのマスターに会ったからです。恐らく向こうも疲れてはいるのでしょう。
キャスターは女性で、マスターは男性でした。あれは、恐らく日本刀。それも魔力が宿るほどには古いものです。
剣を振るう魔術師はなかなかいません。ご存知ではないですか?
ああ。でもこれは、一方的にこちらが情報を得てしまうことになるかもしれませんね。
[隠すつもりも無いと、知る限りのことを口にしていく。]
[ふと、相手が単体である事に気付く。
マスターは?どこかに隠れているのだろうか。
意識を集中してみたが、近くから魔力を感じる事は出来なかった。]
(ならば―)
[まずは結界を敷き、この膨大な魔力のぶつかり合いを隠さなければ。
幸い、霊脈の山は近くにある。
地面に短剣を突き刺し、詠唱を始める。]
オン キリキリバザラ
バジリホラマンダマンダウンハッタ
オン サラサラバザラハラキャラウンハッタ
[金の光が短剣から伸びる]
……ああ、そりゃ同感だ。
でも悲しいかな、その願いすらもままならぬ世に生まれた身。
[迫り駆ける仮面の者。
己の腕に力を篭めて刀を握り、己も駆ける。]
その願いの重さと儚さ、知るのは己だけと思うな……!
[刃が、仮面へと向かって翻る。]
オンアミリトドハンバウンハッタ
オンビソホラダラキシャバザラハンジャラウンハッタ
オンアサンマギニウンハッタ
オンシャウギャレイマカサンマエンソワカ――!
……え?
[
――そういえば、自分は絨毯を探しに来たのだった。
男に掛けられた言葉で、目的を思い出した。
]
絨毯を売っている店を探しているのですが……案内をして頂けるのですか?
それは助かります。この国の民は、皆、親切なのですね。
それでは、御好意に甘えても宜しいでしょうか?
[
眼前の男が発した魔力には、終ぞ気付かずに。
商店街に入ってから、幾度目になるかも判らない、微笑みを浮かべた。
]
[ダビデと並んでレジへと向かう。
籠の中にはゴルフボールと野球のボールが入っていた。
正直な所、無駄な出費だ、敵のマスターの安否など気にする必要はない。
いや、殺してしまったほうが有利ですらある]
ん? テニスボールもか?
[物騒な事を考えていると籠にはまた一種類ボールが追加されていた。
無駄な出費は更に増えたが異論を唱えるつもりはなかった。
金額は大した額ではない、それでダビデが気持ちよく戦えるなら安い買い物だ。
マスターについては必要なら自らで手を下せば良い、そう結論付けた]
[左之助自体はキャスターのはめている指輪の効果など知りもしない。
全く無反応のキャスターからは演技の色は感じ取れず、「こりゃ弱った事になった」の左之助は思った。]
お、おう!絨毯だよな!……えと、確かこっち……かな?
[「気配遮断」をせずにキャスターの横に立って商店街を歩いていく。]
[ 着々と人避けの結界を施しながら、ハルカの言葉に耳を傾ける。]
剣を振るう魔術師…。それは多分、蒲生家じゃないかな。武家の家柄と名乗りながら、裏では魔術を扱う家系だったはずだ。蒲生家の事はあまり詳しくは知らないが…そうか、あそこのお殿様もこの戦争に参加していたのか。
[ いや。地元の魔術師はひとおりチェックしておくべきだった。早くから準備をしていたといいながら、なんたる失態。顔には出さずに舌打ちをする。]
魔力が宿る古刀は…どれだろう。色々あるからな、蒲生家なら私の知らない名刀・妖刀の類を持っていてもおかしくないだろうし、これは憶測でも物をいえないな。
それで、サーヴァントがキャスターで女性であると。ふむ。なるほど。…なんだか前衛と後衛がおかしな事になってそうだな。うーむ。
[ ぶつぶつと呟いて、聞いた情報を反芻しておく。出会った時に驚かないよう、版画のように、心へと刷り込む。]
[バーサーカーの仮面は宝具ではない。
そして本来は防具ですらない。
友がいた。大勢いた。
みんな同じ奴隷達だった。
仲間を殺すのが嫌だと、自ら自殺した者もいた。
まるで罪人のように磔にされ、猛獣に食い殺される「見世物」にされた誰かもいた。
そのどちらで無かったとしても。
自身が生きる為には、友を殺さねばならなかった。
客が――「首を切れ」と命じたならば。
一人殺した。二人殺した。
三人を殺し、四人を殺し、五人を殺し――。
みんな、友達だったし死んで欲しくないと思った。
――それでも、己が生きる為に殺し続けた。
一人を殺すごとに、自分が死んでいく気がした。
世界が色を失っていった。]
――――!
[こぼれた刃より先に、刀の身が仮面へ迫る。
敵へ打ち据える気概で疾駆した。それだけなら身を捩って回避も可能だっただろうが、相手も此方に向かって疾駆していた。
故にバーサーカーの刃は届くことなく。
仮面へ、刀が直撃した。
打たれた勢いに後退する。
身を支えるために足でブレーキをかけた。
――キャスターの魔術の中でも傷一つ無かった仮面。
横一文字にヒビが入り、]
願いか。
生憎と、私のそれはただの八つ当たりだよ。
[二つに割れた仮面。
バーサーカーの顔面から剥ぎ取られ、地へ堕ちる。
地へと堕ちて砕ける――前に、まるで幻のように消えた。
はがれた仮面の下から現れたのは、――まったく同じ仮面。]
[バーサーカーの仮面は無限の牢獄。
殺した友と、その度に切り刻んだ己の顔を――心を封じた仮面。
物理的な衝撃で破壊は出来ても、「消滅はしない」。
ただの概念。ただの自縛。]
[踏みとどまった勢いで反発を生む。
剣は水平。
己の体と共に突きを繰り出す。]
−西ブロック・蒲生邸−
[戦闘による昂ぶりからか、キャスターの身体を激しく求めた夜。起きると、隣にあったはずの温もりは消えていた。
そして書き置きに気付く。]
……読めん。愚か者め。
―中央通り商店街・スポーツ用品店―
[籠の中の品数が増えたことに対しても、問い質す口調ではなくごくさりげなく尋ねるマスターに、少年は小さく頷いた]
ええ……駄目、ですか?
[内心では甘えていることを自覚しつつも、当然のように支払いを済ませた青年から商品を受け取る]
ありがとうございます。ヒジリ。きっと活躍してみせますから!
蒲生家……。
そうですね、代々続く家なら、どこかで魔術とかかわりがあってもおかしくはないでしょう。
刀は、サーヴァントに効くことは余り無いかもしれません。ですが、マスターにとっては脅威になりますし、キャスターと連携すればサーヴァントにもダメージを与えられるかもしれません。
やっぱり、どこかで武器を調達しなければ。
後は……今のところは。
情報があるとすれば、キャスターと、それから、ツカサたちのこと位です。
[そこまで口にしたところで、魔力消費が上がっていることに気づく。回復と消費と、僅かに消費量のほうが勝る。]
[楽しそうなキャスターに相槌を打ちつつ、絨毯が何なのかということを、さり気なく聞き出した結果、どうも敷物らしいという事が解った。
後はどこにあるかである。
左之助は全く知らないが、絨毯探しに全幅の信頼を置いてるらしい、女の姿を見ていると今さら知らないとは言い出しづらかった。]
絨毯、絨毯ね……。
[結局、左之助の苦悩は無駄に終わる。歩いてるうちに寝具やカーペットと言った家庭用品を扱う店が見えてきたのだった。]
[ ツカサたちの、と言われて一瞬焦る。そんな把握されるほどの情報を見せただろうか、と。
ともかく、なるべく動揺を表に出さないようにしつつ、会話を続けた。]
キャスターについて詳しく聞きたいけれど、まずは一度こちがら知り得ている話をするべきだろうね。そのキャスターの情報まで込みで、私の持っている情報が釣り合うか自信がない。
…先日、セイバーらしきサーヴァントとそのマスターに出会った。
セイバーは男。マスターは女。どちらもかなり好戦的だったね。
[ ハルカの反応を伺いながら、少しづつ喋っていく。]
―中央通り商店街―
[怪訝そうな表情の店員に見送られ、店を出た。
とはいえ、少年には微妙な雰囲気に気づいた様子も無かった]
良い魔術師―魔術使いに召喚されたって、感謝してますよ。
[おそらくは召喚されて以来、最も警戒心が緩んでいたのだろう。それ故に、左方から歩いてきた二騎のサーヴァントに気づいたのも、彼らが通り過ぎた後だった]
アーチャーが「時間を進める」を選択しました。
――……あ、あのお店ですか?
[
男の歩む先に、家具を売る店を認めて。
街を歩いているあいだ、入れ替わり立ち替わり、常に誰かの視線を浴びていた。
そのなかに、また新たな視線が加わったのを、ふと感じた。
現代に合わせた衣服を着たのに、まだ目立ってしまうようだなと、訝しく思いながら。
]
[仮面の下には、再び同じ物。
防具の類か?とも思ったが、そのような気配はない。
疑問が浮かんだその刹、相手の切っ先が己を捕らえる。
切り払った流れのまま、何とか身を翻して後ろへと飛んだ。
鎧に刻まれる剣閃は、その鋭さを十二分にあらわしていた]
…八つ当たりか。
なら…俺は、罪滅ぼしか、餓鬼の愚痴って所だな。
[乗りたい風があった。
それに乗りたくて、周りになんと言われようと変えなかった。]
[友や民草と笑っていられればそれでいい。
それ以上は何も望みたくなく……。
民を死地へ向かわせるものにはなりたくなかった。
乗りたい風に乗らないのは間抜けだ。
うつけと呼ぶなら呼ぶが良い、間抜けになどなりたくもない。
だが、そんな想いとは別に……政秀が死んだ。]
[政秀にも乗りたい風があったのだ。
だが、その風に乗らせなかったのは己。
故に、政秀は自害した。
誰よりも傍にいた物を間抜けにしてしまったのは。
誰よりも間抜けになりたくなかった己だった。
だから罪滅ぼしだ。
奴が乗れなかった風を、この天下に轟かせる為に。
だから愚痴だ。
なぜ、この姿を見ずに死んでいったという愚痴だ。]
餓鬼だった自分への、餓鬼の喚き……。
死なせたくなかった故に、死なせてしまった奴への懺悔だ!
[叫びとともに、喉へと突きを繰り出す。]
[活躍を約束するダビデに満足そうな表情を見せる]
大した額じゃないから気にしなくていいさ。
感謝する必要はないさ、こちらも昨日のアイツみたいに暴走しないサーヴァントでよかったと思っているからね。
[店を出て少し歩くと膨大な魔力を感知した。
体の魔術回路が自発的に開きだし戦闘態勢へと即座に移行した]
ダビデ、早速出番のようだぞ。
この魔力量は尋常じゃないぞ、サーヴァントに違いない。
[魔力を徐々に開放する。
僅かではあるが地面が陥没し、重力の結界がその場に形成されていった]
[一方、左之助の方も絨毯探しに気が行っていたせいか、アーチャーの気配にすぐ気づく事はなかった。
すれ違った後、ぞくりとするような感覚を覚えて振り返る。]
うわあ、間が悪いなあ、おい。
少し前なら「ちょっと面かせや」ってなもんだったが、今はまずいわ。
[思わずそうつぶやく。]
[ 特別大きな反応があるわけではない様子に、まだセイバー達に出会ったわけではないのだろうと予想する。]
マスターは自分の血を媒介に術を行使していたね。蝶になって、それがまた色々変化してきた。
それでセイバーは…織田信長と、名乗った。
[ ここで、言葉を止めた。]
―中央通り商店街―
[ごく最前の記憶を辿ってみるまでも無かった。
何気なく目で追っていた後ろ姿。見覚えというよりも馴染みがあるように感じた雰囲気。――紛れも無い。それはサーヴァントだった。
少年の全身に緊張が走る]
……ええ。でもヒジリ、こんな人目のある所で良いのですか?
人払いをするにも、人間の数が多すぎるのでは。
[傍らの青年にだけ聞こえるように、そう囁いた]
[
それにしても、と。
男の鍛え上げられた身体と、隙のない歩調をじっと見つめて。
自らの主に通ずるものを認めて、
この男も何かしら武術を嗜んでいるのだろうなと、ふと思った。
]
ん――……どうかされましたか?
[急に振り向いて、何やら剣呑な気配を漂わせて呟いた男に、小首を傾げる。]
[みなみに与えられた寝室の隅で、キラーはただ影のようにたたずんでいた。
自らの気配は遮断し、外への感覚は鋭敏に。
時折、身体のどこかが蠢き、小さな頭が様々な表情で現れる]
[青年と少年の2人組、少年のように見える方がサーヴァントだと言う事はすぐに解ったが、やる気に満ち溢れているのは青年の方らしいと言う事が魔力の高まりから解る。]
おいおい、まさかここでやる気か?
別嬪さん、そこがどうもお目当ての店らしいから、入ってたほうが良いぜ。
[そうキャスターに告げる。]
[鎌鼬で書き置きを切り裂きながら、昨日の戦闘を思い出す。]
サーヴァントはおろか、小娘にまで歯が立たんとは、な……。とんだ井の中の蛙だったということか。まだまだ足りん。
今後の戦闘方針も見直す必要があるな。あの愚か者め、どこに行ったのか。
[蒲生正宗を鞘から抜き、庭で戯れる使い魔のハトを一羽切り捨てた。]
これで気付くだろう。
血? では、呪術の類でしょうか。
魔術とは本来、自分の内にある魔力回路から魔力を精製し魔術と成すもの。
魔術師の血は、媒介としては充分ですが……。
[少し考える。呪術。魔力を持つことに変わりは無いはずだ。でなければ、サーヴァントを呼ぶことが出来ない。
呪術も魔術の一つだと、教えられた。日本の歴史を紐解けば、呪術師が顔を出すこともたびたびあることを理解している。]
織田、信長。
[言葉を止めた。この日本において、一定以上の年齢になれば、その名を知らぬものはいないといっても過言ではなく。眉を顰めた。]
―中央通り商店街―
[振り向いた男の口から出たのは、聖杯戦争の事情を知る者としての言葉。一般人ではありえなかった。視覚だけでなく五感全てで相手の気配を探る。内包された魔力。そうと気づけば早かった]
――サーヴァント!? 何故、連れ立って歩いている?
[喉へと突き出される一撃に、どれほどの想いが篭められていたか、バーサーカーに知る術は無い。
だが、風ごと裂く刀は苛烈。先の一撃など比べるまでもない、打倒する為の純粋にして凶暴なる単一性能。
回避を始動するには数瞬遅い。
ならば――――。]
何の事かは皆目見当もつかないが。
[右腕を引き上げ――わざとそこへ突き刺させる。
皮膚を貫き、肉を貫き、骨へと達して痛みが暴れる。
その寸前。
血が流れ出ると同時に、右腕ごと横へ弾いて刀の軌道を流した。]
そいつには、覚えてくれているお前がいるんだな。
[もう片手。強く握った刃で、刀を握ったその腕を薙ぐ――。]
[気配遮断。
昨朝に干戈を交えた敵手ほどの物では無いにせよ、平常時ならば見過ごす事もあり得るレベルだった。
だが少年には解せなかった。彼の傍らで小首を傾げた娘もまた、紛れも無くサーヴァントだというのに――]
同盟でも結んだのか?
それにしては、随分とまた――茫洋とした。
[手痛い敗北を、すでに三度。
一人は何もできず逃げられた。
一人は内包する魂の約半数を失い、追い詰めておきながら殺せなかった。
一人など、今もこの薄い壁を隔てたすぐそばで眠っている]
……要るな。
うん、要る。
欲しい。欲しい。
アレ、ヨカッタ。
あれは駄目だ。
なんで?
刃物じゃない。
ああ、確かに。
でも、じゃあ……。
[全身に頭が泡立ち、口々に言葉を連ねる]
[展開した重力の結界はあくまで餌である。
此処で戦闘を起してしまえば不利なのは自分達である。
男が振り返ると同時にすぐに結界は消し去った]
正解だ、それでいい。
あくまで挑発だよ、これだけ煽っておけば追いかけてくるだろう。
さて、ダビデあとは任せるよ?
君が有利なポイントに誘い込むんだ。
[重力を操り高速移動を開始する]
[ その反応を見て、改めて言葉を続ける。]
そう。その土地々での知名度が能力に影響を与えるサーヴァントシステムにおいて、日本ではほぼ間違いなく最強クラスの知名度をもつ英霊だ。
厄介なもんだと思わないか?
[ 肩をすくめながら、さりげなく自分も結界の中へと。]
それは、厄介ですね。
英霊の格としても、知名度においても、この日本で、彼に敵うサーヴァントは極僅かでしょう。
ならば、マスターを狙うのが策としては正しいかもしれません。
[女性のマスターだと耳にした。相手が魔術師であるなら、手にかけることに躊躇はしない。
けれど不思議と、それでいいのかと声がした。]
……っ。
ツカサ、どうやら、うちの馬鹿はどこかで戦闘をしているようです。これでは、魔力の回復が追いつかない。
[
――男の発した言葉が、緩みきっていた思考に冷や水を浴びせた。
男が纏うそれは、戦いの気配そのもの。
そんな異常を無意識に感じ取っているのかどうか、周囲の人影はいつの間にかまばらになっていて。
]
……え、ええ。そうさせて頂きます。
[
――……この男もサーヴァントなのだろうか。いや、十中八九、そうだろう。
異常を悟られないように、頭を下げて。
]
ええと――……そう。私はシエラ、と。
助かりました――……有り難うございます!
[言わずもがなのことを口にして、家具店へと駆け込んだ]
……っ。
[内から、目の前のサーヴァントに魔力が流れていくのを感じる。
これくらいなら、なんとかなる。
ふう、と息を吐いた。
以前のように、相手のマスターが居なければ、むしろ自分が戦いの中に割り込むのは邪魔になる。
意識を集中して、信長に出来るだけ多くの魔力を提供できるように蓄えておこう―]
(それにしても…)
[―― 人、なのだろうか。仮面の下には、また仮面。
訝しげに、セイバーと対峙するサーヴァントをじっと見つめた。]
連れ立って?何言ってやがる。
[アーチャーの言葉にキャスターの方をちらと見るが、やはり魔力は感じない。]
血迷ってんのか、それとも人違いか……。
しかしなあ、まだがきじゃねぇか。あまり燃えねぇなあ。
[屈強な武芸者とは程遠いアーチャーの姿に左之助は、ぼやきにもにた言葉をもらした。]
[己の体を省みない防御手段。
それにより、己の武器を同時に封じられる。
そこへ襲い掛かる、鈍く輝く刃。]
……っ!
[咄嗟に右手を刀から離し、肩で防ぐ。
その衝撃は凄まじく、飛び散る鎧の破片とともに後方へと飛ばされる。
左手が握った手を刀から離さなかったのは僥倖と言えるだろう。
何とか立ち上がり体勢を立て直すが、右腕が衝撃で動かない。
相手の右腕も負傷しているが、このままではどう転ぶかわからなくなる。]
――だが、それも前で終幕。
決して忘れない、だが俺は今度こそ俺の風に乗る。
織田家当主ではなく、織田上総介信長個人として生きる!
シエラって異人さんかい。
おうよ、機会があればまた今度な。
[軽く手を振り、アーチャーと対峙する。]
呼び出し人は行っちまったみたいだな、まあいい。
やるなら場所を変えとやらに付き合うぜ。
[そう、つぶやいた。]
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