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ここには昼夜の別がない。
窓は昼間でも閉め切られ、分厚いカーテンに閉ざされて、室内に日の光が届くということがない。
常にぼんやりと薄暗く、そこここに灯された淡いランプの明かりが、書架にずらりと並んだ背表紙を、箔の押された表紙を、黄ばんだ紙面を照らし出す。
ランプの上の金属の皿から漂う、熱せられた樹脂の甘い香り。
影に沈んだ、飾り机の上の獣の頭骨。大きな巻貝。「毒薬」と記されたラベルの貼られた小壜。
ここでは時は、外とはほんの少し異なる流れを流れる。
古書蒐集家 アルマンは、村人 を希望しました。
この部屋の主――アルマンはそう言って、手に持った本の表紙を撫でる。
幾人もの人間がこの本を手に取って読んだのだろう、古びた革表紙の端は擦り切れ、小口は黒ずんでいる。
物語とは本来語られるものだ。
太陽の下で、木陰で、炉辺で、瞑(くら)い闇の中で。
代々人から人へと口伝えで受け継がれてゆく。
語り手から聞き手へ、そしてまた聞き手は語り手となり、新たな聞き手へと。
しかして、物語は生き物だ。
口伝で語られる物語は、語り手が変わるごとに、そして時代とともに、新たな挿話が付け加えられ、或いは削られ、筋を変え、結末を変えられてゆく。
物語とは成長し、衰え、繁殖して血を伝え、死に絶える生き物なのだ。
物語はだから、時間の流れの中で生き延びるために、語り継がれねばならない。
だが、文字で記された物語は違う。
一度記された物語は、形を変えることがない。
語られたその形のまま、記録された物体が消え去るまで残る。
本に記録された物語とは、時間から切り取られた物語なのだ。
――標本のように。
謎の少年 ミシェル が出現した。
謎の少年 ミシェルは、見物人 を希望しました。
―或る酒場にて―
[軽やかな足取りで、少年は初老の男に近づいた。噎せ返るようなアルコール臭が少年の鼻孔を鋭く突き、彼はキュッと眉を顰める。]
――なぁに?オジサン。
何でボクみたいなコドモがここにいるんだ?ってカオしてる。
なんでだろうね……?
[くすくす、くすくす。口元から、笑い混じりの吐息が漏れる。]
ねえ。
オジサンも、何でこんなところにいるの?
オトナだからって、酒場にいてもいいかどうかなんて、分からない。
――だよ、ね?
[初老の男は、奇妙なものを観察するような目で少年を見つめている。「なんだこのガキは」――それ以外に形容する言葉が、見つからないような目で。]
「人間」が立っているこの大地はね、
[酒場の床の上で、黒い革靴が跳ね踊る。
少年はくるりとひとつターンをして、天使が羽根を広げるように両腕を伸ばした。]
――ホントは不安定なものでしかないんだって、ボクの「ご主人様」が言ってたんだ。
[顎をくいと上げ、少年は誇らしげに微笑んでみせる。]
ボク達が足をくっつけているこの床も。
オジサンが「オトナだから」酒場にいてもいいっていう理由も。
――ボクが「コドモ」だっていう、「推測」も。
自分が「正しい」っていう目で見ていることは、実は自分が「あってほしい」位置に、「正しい」大地があると信じ切った上で見ているだけのことなんだって――…ね。
ねえ、オジサン。
[広げていた片方の「羽根」――否、片腕を、初老の男に伸ばした。]
――…オジサンの「望み」って、なあに?
ふふっ。
「あるにはあるけど、どうせ叶わない」ってカオしてる。
それはホントに「叶わない」の?
それはホントに「正しい」大地の上に立っている理屈なの?
アルコールの向こうに其れを追いやってしまったフリをしているだけじゃぁなくて?
――だってオトナは、アルコールを飲んで「望み」を忘れようとしているって、ボクの「ご主人様」から聞いたんだもの。
ねえ、オジサン。
「叶わないコト」なんて、ないんだよ。
オジサンが「望みさえすれば」、ね。
そう――…オジサンが「其れ」に、取り憑かれている限りは――…
黒い外套の ザファル があらわれた。
黒い外套の ザファルは、おまかせ を希望しました。
―砂丘―
[砂埃の舞い上がる、石英の砂は黄金に
砂丘に風紋を描き出す。
蒼の空は尚高く、陽射しは影を生み出して
遠い廃墟の輪郭を鮮やかに浮かび上がらせる]
――……あれか
[駱駝の上で呟く人影、
黒い外套で全身覆い、覗いた瞳も黒い色。]
『旦那――あンな与太話信じてるんですかい?』
[案内役の中年男が黒い青年に声をかけた。
黒い外套の隙間から青年は男をひと睨み]
――金は払ってるだろう。
[余計なことは聞く耳持たぬとその口調。
案内役は肩を竦めてそれから先は黙ったままだった。]
不滅隊隊長 スィフリア があらわれた。
不滅隊隊長 スィフリアは、おまかせ を希望しました。
― 白く熱い砂の上 ―
[ざし、と、駱駝の蹄がめり込む。
首を前へと突き出して、倒れそうに体を傾いでも倒れずに
砂の上をゆっくりと力強く 歩いて行く。
影は 殆ど 無い。]
村の設定が変更されました。
[照りつける光は天上から、熱は地面からの照り返し
細かい砂は、靴服の中に忍び込み肌を撫ぜる。
揺れる駱駝の高い背の上で、
大きな羊皮紙を広げている人物がひとり。]
[背に大きな白い革のマントが揺れ、下の紅赤の軽革鎧を日に晒す。
頭皮毛を護る分厚く柔らかい布もその上へと長く垂らされ揺れ
唯一布で覆われぬ目元すら、鳩羽色の前髪で隠されている。
布にまみれ、厚さの判らない腰には曲がった刃の剣を携え
広いか判らない背には、折りたたまれた大きなクロスボウ。
施された金色の装飾は小さな皇国の国旗を象っていたが、
それは砂風により黒ずみ始めていた。]
[ばさばさ と 揺れる布や革が乾いた音を重ねる。
一時、布を跳ね上げようとする強い上向きの風に
頭を手で抑える横、長い鳩羽色が暴れ踊った。]
この辺り、だろうか…――
[小さな低い呟きは砂に消え
駱駝の小さな鼻息と嘶きが 後を追った*]
薬売り レヴィーカ があらわれた。
薬売り レヴィーカは、村人 を希望しました。
―隊商の交易路―
『良いのかい、ここで』
[隊商の頭は、駱駝の向きを変えた女に問い掛けた]
[砂漠を行き交い交易によって生計を立てる彼らは、互いを護衛するために十数人で行動を共にしている。
女がそれに加わったのは、彼らが数日前に立ち寄った町でのこと。
砂漠の途中まで――とある廃墟の辺りまで護衛して欲しいと言う女に、隊長は訝しんだものの、相応の対価を受け取ることで合意したのだった]
ええ。ありがとう。
[女は隊長に向けて頷いた。
そして、砂漠の中の廃墟に向けて――商売など行えぬはずのその場所に向けて、駱駝を歩ませ始めたのだった]
そう、それは魔宮の伝説。
何百年もの昔、ひとりの偉大な魔道士が、魔神たちを使役してたった一夜で築かせたという宮殿――
純白の大理石と数多の輝石で飾りたてられたそれは、諸王たちでさえも羨む壮麗さであったという。
その後、魔道士は没し、広大な宮殿もまた砂の海に呑まれて廃墟となったが。
一つの伝説が残った。
百年に一度、星辰が整った夜。
砂漠の廃墟に、いにしえと寸分違わぬ美しさの宮殿が姿を現す。
宮殿には、かつて魔道士が使役した魔神が今もまだ封じられており、新たな契約者を迎え入れるためにその門を開くのだという。
そして、魔神と契約を結んだ者は、いにしえの魔道士と同じく強大な力が得られるのだと――
[道無き道を進む女。
全身を濃紺の布で包んだ彼女と、砂色の毛並みを持つ駱駝は、さながら快晴の空と砂漠の風景に溶け込むようであった]
[女の左目は、前方を静かに見据えている。
右目はわからない。蜂蜜色の長い髪が、完全に覆い隠していた。
口元もまた、黒いヴェールに隠されて、表情を窺い知る事は出来なかった]
[ただし、砂漠を独り進む事への怯えは、ない]
緋の者 イーヴ が出現した。
緋の者 イーヴは、見物人 を希望しました。
[遠目にも目立つ色彩。
広い砂海を越えたにしては軽装で、辺りには駱駝の類も見当たらない。]
――嫌ぁね、砂漠って。
そうですか。
[掠れた女の声と、抑揚のない男の声。
緋の姿は一つ以外に無い。
絡む砂を払う左の袖口からは金の蛇が覗く。]
――同じ風景ばかりでつまらないじゃない。
[首を振りばさりと落ちた布の下、現れたのもまた緋色。加えて白い肌と、]
それよりも、
[青い目が双つ、砂の向こうを見据える。]
来たようですよ。
――そのようね。
[唇が開き、声が二つ重なった。]
―砂漠―
[吹き荒れる砂嵐の中で、少年はひとり立っていた。側には、供をする人間も駱駝も居ない。
やけに乾いた強風と、照り付ける太陽の光に時折衝突しながらも、微動だにせず、にこにこと笑いながら砂漠の中にある一点を見つめている。]
――…ふふっ。
もうすぐ「お祭り」の時間がやってくるよ。
楽しみだなぁ……
アルコールと、煙草と、男と、女。それから、お金。
――…いっぱい。
ここには、「人間」の欲望が、いっぱい。
渦巻くんだ。
楽しいんだ。
気持ちいいんだ。
なんて言ったら、また「ご主人様」に叱られちゃうや……ふふふっ。
― 砂の上 ―
[目を細めると、薄く幕を張る風の向こう
固い黒と灰の気配に、鳩羽色の奥で目を窄める気配。]
――ふむ…?
[染みのような茶色が彩る羊皮紙にまた視線を落とす。
駱駝の上で揺られる白のはためきは、
カスル(城)の上の旗にも似た態。]
―廃墟前―
あれか……。
[目的の場所をようやく目にした女は、駱駝上にて独り言ちた。
魔人の宮殿が現れるというその場所は、未だ廃墟の様相を呈している]
まるっきり廃墟じゃないの。
ま、そうよね……魔人の宮殿、だなんて……。
[首を緩く振り、しかしそれでも駱駝を引き返させる事はせず]
―廃墟―
此処でいい。
[案内人に向け、短く伝える。
胡乱げな眼を廃墟に向けていた男は
銀貨の擦れる音に俄かに笑みを浮かべた。]
『毎度』
[手を擦り合わせて袖の下、少々多めの心づけ。
もう黒い青年は案内人の方を振り向かない。
背に砂を踏む音を聞きながら
人の気配のない廃墟へと歩みを進める。]
やがて、ゆるりと日は傾いてゆく。
天空を巡る太陽の戦車は西つ方へと駆け抜け、東の空には、夜の女神が薄闇のヴェールを広げようと待ち構えている。
魔宮の出現するという夜まではあと僅か。
― 廃墟から少し離れた砂の上 ―
[駱駝の足は、何かを感じるかたたらを踏む。
その首に、白い手袋をした手を ひたひたと 宛て
布を巻いた中 口元を動かした。]
…どうした?
何か感じるのか…?
[布の内からの、くぐもった低い声。
ざぐり、砂を踏む蹄の音は緋くなる砂に溶け込む。]
…あぁ――
この風は、まるで…――
[夜の帳の予感を吹き下ろす風が運び
白いマントの人物の鳩羽色の長い後ろ髪を、揺らした。
髪の奥から、見えぬ目が廃墟を捉え
小さく呟く声は 人に向けられるものでは 無く*]
案内人 ユーグ があらわれた。
案内人 ユーグは、おまかせ を希望しました。
―廃墟近くの砂丘ー
[振り返り、今自分が後にした廃墟に視線を落とす。
案内して来た男はその中に入ったのだろうか。既に姿は見えない。]
近頃は物好きが多いこった。
[今月に入ってもう3人。
自分が案内して来た旅人を指折り数える。]
よほど力のある神様の神殿なんかねぇ。
それにしちゃあ寂れたもんだが。
西の地平から射掛かけられた最後の光の矢が消え、夜の帳が大地に降りる。
黒闇の天蓋に嵌め込まれた星々が音もなくさざめき、互いに囁き交わす。
不意に空気が変わった。
大気が痛いほどに張り詰め、甲高い悲鳴の如き高音が辺りに響き渡る。
悲鳴は鼓膜を振るわせる無音の叫びに変わって、廃墟に集まった人々の脳髄を揺さぶった。
轟、と地が鳴く。風が喚く。
光の柱が幾本も、廃墟の中心の大地から天に向かって伸び始める。
最初はまばらに、やがて密に、廃墟を覆いつくさんばかりに光は広がり、砂の大地は今や人々を宙に放り投げんばかりに鳴動している。
そして、数瞬の後。
太陽が落ちたかと思えるほどの閃光。
しばらくして、地が鎮まり、光に盲いた眼がもののかたちを元通りに映し出す頃には。
先刻まで何もなかった……崩れた柱や岩壁の立っていた場所に、巨大な白亜の宮殿が聳え立っていた。
―廃墟―
[青年は暫し石のように動かず、廃墟を見つめている。
黒い外套がはためいて、奇妙に広がり翼のように見えた。]
――魔神……
[呟く声は少しばかり掠れている。
案内人はとうに去ったものだと思っていた。
ふと顔を上げて辺りを見回す。
気配がある。砂に飲まれながらも足跡もあった。
噂を、伝承を聞きつけて集う者たちがあるのだろう]
――……。
[黒の青年は長い前髪の下、眼を細めた。
空気が変わった。]
――… ッ
[耳を劈く悲鳴のような“声”
眼を眇めたが、その場から逃げ出すことはしない。
目覚めだ。
目覚めだ。
空気がざわめいて螺旋を描き
巻き上がって砂を躍らせる。]
…来た…
[外套の下、呟いた声は声なき声に掻き消される。]
[風は青年の顔を覆っていた外套を引き剥がす。
光がはじけた。
口元で押さえた布の下、金細工の首飾りが
この世のものならぬほどの眩さの中で強く煌いた。]
――…、 ……
[暫くの間
闇に塗りつぶされたようになった視界。
耳の奥が静寂に痛みを訴える。
だが、それよりも]
― 廃墟に程近い砂の上 ―
[駱駝に括りつけた荷物の揺れが、激しくなる。
頬を撫でるも落ち着かぬ長い首、動物故第六の感ずるか、
不意に空を切り裂く白い帯に、髪に隠れた目を奪われる。
同時、鼓膜を突き破り脳を揺さぶる楽音にも似た噪音。
生まれ落とす痛みに耐えるにも似た、大地の胎動。
その人物は、目を離す事なく背筋を伸ばした侭
駱駝を手綱と挟んだ足で操り、廃墟から目を離さなかったが
不意に、光が爆発した。]
…――ぅ、
[自身の呻き声も耳には届かない。
空気を奮わせるのは光か音か、認識する事も出来ない。
駱駝を挟んだ足に力を入れ
怯えるそれに手を添えて、光が焼きついた目が慣れて来た頃]
あ、った…
[白亜の宮殿。
ざぐり、よろめくような駱駝の足取りは砂に埋まりつつ
ゆっくりと、引寄せられるかのように歩み始める。]
[チラホラと周りには人影。
輝石や宝玉の煌く絢爛な宮殿の前、
揺れる焔がそれぞれの影を伸ばし揺らす。
駱駝に乗った白い人物は暫く宮殿を見上げるようにしていたが
やがて、駱駝の腹を足で小さく蹴り、歩を進める。
ずぐり、砂に沈み沈み進んでいた蹄が、硬質を捉えた。
突然変わる感触にか、駱駝はゆらと横へたたらを踏み
上に乗った白い人物ごと、揺れる。]
進め。
[低く冷えた声。
だが駱駝は拒絶をするように長い首を振り、
宮殿の奥へと歩を進めぬ様子。]
[仕方ない、と、諦め肩を落とし、白い人物は駱駝から降りた。
手綱を持ったまま近く、見えぬ視線を彷徨わせると
美しい召使めいた者が近寄り、掌を天向けて差し出してくる。
駱駝に括りつけた荷物を背へと背負い手綱を渡すと
先程まで落ち着かぬ態だった駱駝は素直に引かれ
宮殿の脇へと連れて行かれたようだった。]
さて…
[暫し駱駝の尻を見送ると
白いマントをはためかせ、宮殿の大きな入り口の前。]
―廃墟・白亜の宮殿前―
[階段に足をかける。
花の甘い香りがした。
咲くはずもない月下香にも似た香り]
――… …
[ふと歩みを止めて黒い外套の肩越しに振り向く。
遠目に見える装飾品。長い鳩羽色の髪をした人が見えた。
黒い青年は、眼を細め長い前髪の下僅かに眉を寄せる。]
……『不滅隊』
[呟きには厭う色が滲んでいたか。]
― 廃墟・白亜の宮殿前 ―
[風を孕むマントを背に小さな呟きを耳にしたか、
ピクリと動きを止めて天の上辺を見上げていた目を白い人物が降ろして行くと、
絢爛な装飾の中、その色はまるで影のように佇んでいるように見えた。]
貴殿も、この宮殿が目当てで来られたのか。
[声は、よく通る。
歩みを止めた目の前の黒へと、対照的な白が真っ直ぐに歩み寄った。
髪に隠された目は、表情を影の中へと塗りこむ。]
― 廃墟・白亜の宮殿前 ―
[風を孕むマントを背に小さな呟きを耳にしたか、
ピクリと動きを止めて天の上辺を見上げていた目を白い人物が降ろして行くと、
絢爛な装飾の中、その色はまるで影のように佇んでいるように見えた。]
我が隊を、知っておられるか。
貴殿も、この宮殿が目当てで?
[声は、よく通る。
歩みを止めた目の前の黒へと、対照的な白が真っ直ぐに歩み寄った。
髪に隠された目は、表情を影の中へと塗りこむ。]
―廃墟・白亜の宮殿前―
知っている。
[歩み寄ってくる鳩羽色の影を見据えたまま半身を其方へと向ける。
大雑把に巻いた首元の布に口元が隠れる
白と黒はまるで交わらぬように向き合った。]
そうだ。――其方も魔神に用向きか。
公的か、私的かは知らねぇが。
[謂って、白亜の宮殿を見あげた。
水の気配。花の香り。いずれも廃墟には
似つかわしくなかったもの。
ぎ ――と黄金に縁取られた扉が開く。
抜けるような白い膚の 亜麻色の髪の女が現われた。
――お待ちしておりました。
歌うように謂う。]
―廃墟・白亜の宮殿前―
ふむ。
「も」と、言う事はそういう事か。
[厭うとも言える様子に、鳩羽色の隙間からチラと細く一度だけ、表情浮かべぬ白目が現れた。
が、ゆらり、水と花の存在感が流れ、白の顔は其方へと向けられる。
重い扉の重さを感じぬ開き。
亜麻色の髪の女に、白は恭しく頭を垂れた。]
バルク皇国イシュク朝第21代聖皇アザリー2世様が側近。
不滅隊隊長、スィフリアと申します。
[手を胸の前で合わせる、小さな皇国式の、敬礼。]
帝王の妻 エルハーム があらわれた。
帝王の妻 エルハームは、村人 を希望しました。
― 砂漠 ―
[黄金から赤銅へと移り変わる砂の海。
壮麗に飾られた駱駝が列をなして歩む。
急かず弛まず夜の帳は天蓋に広がり、星々が煌いた。
百年に一度の星辰が整う。
目に見えず耳に聞こえぬ先触れに、先頭にいた一頭が止まる。
列の中心に在る女が、翡翠で飾られたフードを押さえた。
風が鳴る。]
……来るわ。
[ヴェールに隠す深紅が笑みを刷き、目元に隠せぬ皺が寄る。
閃光が目を焼き、列に従う人々の呻きが女の声を消した。]
―廃墟・白亜の宮殿前―
察しの通りだな。
[一定の距離を保ったまま、
覗く白目を見る黒い三白眼。
頭を垂れるスィフリアの皇国風の礼に
矢張り一度だけ眼を眇めて――]
……ザファル。
[対照的に、無礼とも取れる態度で一言だけ名乗った。
亜麻色の髪の女は人間ではない。使い魔だろう。
無礼を気にする様子も咎める風もなく、客人たちを案内する態。]
―廃墟・白亜の宮殿前―
…あぁ、貴殿はかの魔神殿では無いのだな。
これは失礼を。
[亜麻色の髪の女は案内のようだと察した様子で
白の人物は、再度頭を垂れた。
近く、ザファルの様子に白のターバンの中から、
蛇の喉のような、ざりとした音と共に小さく響くは]
ザファル…
幸いか残念か、記憶に留まっていない名だ。
我が隊が滅ぼした隣国の者か?
それともただ機を逸した我が聖皇様の親族か?
[敵意めいた物は含まぬ声音。]
[光が収まり、人々の目が砂丘一つ越した先の宮殿を映した。
ざわめき広がる動揺。
伝説を目にした畏怖が従者を襲う。
立ち上る光の柱、その源を見つめ続けていた女だけが動いた。]
わたくしは行きます。
お前達はオアシスで待ちなさい。
[円やかな声が短い命令を残し、駱駝の首を細い手が叩く。
合図に蹄が前に出て、星の光に照らされた銀砂を踏んだ。
翠色の刺繍が施されたローブが四肢の歩みに揺れる。
頭を下げる人々に振り向くことなく、残す香は甘い夜の花。
女と一頭の駱駝だけが砂丘を越え、白亜の宮殿へ*赴きゆく*]
門の内側は広大な中庭であった。
水の少ないこの地では考えられぬほどふんだんに水の溢れる噴水を抱き、そこここには繁れる樹木と、生息する場所も季節もばらばらな花々が植え込まれている。
白い敷石は更に奥の、内宮の門扉へと続いている。
亜麻色の髪の女は二人を先導し、しずしずと進む。
見上げれば、宮殿を挟んだ両翼には、花開く前の蕾の如き丸屋根を備えた双子の塔が聳え立つ。
片や燃え立つ炎の赤と、煌めく黄金でくまなく飾り立てられ、
片や凍てつく氷の青と、透徹の光放つ銀を程良く利かせた意匠という、
全く同じ形状ながら、きわめて対照的な双塔であった。
―廃墟・白亜の宮殿前―
[ザファルが頭を垂れなかったのは見て“分かった”故か。
蛇の咽喉の音に緩く眼を伏せ見下ろす形]
――…。
[横目に鳩羽色を流し見る。]
殺された方だな。
好かん。
[一言。
足音も立てず召使は進む。
黄金は眩く煌いて赤と青は空を貫いている。
ほう、と小さく感嘆めいた声はかすかにだが聞こえた。]
― 宮殿内:中庭 ―
[水分を含む空気が流れ、長い前髪を揺らす。
口元を覆う布が少し動き、くぐもった声は]
そうか。
構わぬ。
[それ以上に言葉を紡ぐ事は無く。
自身より背の高い男を見上げるように少し上向いた顔は
開かれた扉の奥へと足を踏み出した途端
周りへと、ゆらり、向けられた。
中庭の自然や水の薫より、
双塔へと、それは向けられ。
胸の前で手を組むと、敬礼をどちらへも。]
[しずしずと、足音も無いかのように歩く女に
布にまみれ肌見せぬ白は、敬礼で取られた時間分と
小さく歩を刻んでから背を追った。
豪華絢爛で華美な装飾。
布の奥で小さく呻いた声は、
間違いなくザファルに続く感嘆の音(ね)。]
[前髪の下、ザファルは眉を僅かに寄せた。
されどスィフリアに何か言うこともなく、
双子塔の煌めきを漆黒に映し込む。]
―――まるで楽園だが。
[水音豊かにゆらゆらと
天を映して揺れている。]
主は何処か。
[召使が居たなら掴まえて聞くだろう。
今暫く待て、寛ぐ部屋は幾つもある――と、たおやかに勧められたか。]
あぁ。
サフィーナ…駱駝の事だが。
彼には沢山の水を与えておいてくれ。
此方の持成しよりも優先して欲しい。
[何時の間にか、背後に邪魔にならぬ程度の存在感を持って
金の髪の男女が歩み来ていた。
手に水差しや盆を持つ所から召使だと判断し
白の人物は、声をかける。
慇懃に見えるザファルからは二歩、離れ。
それ以上問いを重ねるも話しかけるでも無く
白のマントを揺らせば さらさらと砂が 落ちた*]
―廃墟―
……所詮、伝説は伝説、なのかもねぇ。
[呟く女は落胆した風でもなく。
初めから期待などしていなかったという素振り]
[『如何なる願いでも叶う』と聞けば、すぐに飛び付く者など幾らでもあるだろうに、この閑散とした光景。
信憑性のなさを物語るようでもあった]
ま、折角だし、ひとつ商売でもしてみるか――
[女が呟き積み荷に手を掛けたその時。
駱駝が尋常でない声で嘶いた。
そしてその声をも掻き消す高音の響き。
女自身も悲鳴を上げながら、その場で蹲り、世界になされるがまま揺さ振られ続けた]
―宮殿前―
[そして、女は目にする。
魔の力で出現したとしか思えぬ、白亜の宮殿]
嘘でしょう……?
[見開いた左の眼に浮かぶ驚愕。
しかし、周囲の者が一人また一人と宮殿に向かうのを見れば、女もそれに倣った]
[畏怖よりも好奇心が勝る表情。
手綱に手を差し出した使用人らしき人物は、人ならぬ美しさで。
尋常でない魔力がこの場を出現させていると、予測はより一層確信に近付いた]
―宮殿・屋根上―
[風に煽られ緋がはためく。
昼光の下であれば大層目立つであろうそれは、夜闇の中に溶け込むように存在している。
宮殿の中へと踏み入るそれぞれを、二つの目は見つめた。]
――主様は何れをお選びになるかしら。
[愉を含む女の声。]
さて、如何でしょうね。
[淡白な男の声。]
何れにせよ、そろそろ向かわねば。
彼らは客人なのですから。
[笑み一つ浮かばない貌で促し、]
――ええ、そうね。
[同じ表情で同意を返したかと思えば、
既に緋は其処に居ない]
―中庭―
……こりゃあ。
[女は絶句する。
扉の先の中庭は、砂漠の中心とは思えぬ程に潤った土地]
どんな王様や貴族だろうと、こんな庭は作れやしない。
[止まる事無き水音に目を向ければ、なみなみと水を湛えた噴水が見える。
オアシスの如き、という形容すら追いつかぬそれに近寄ると、思わず両手に掬いヴェールの陰へ流し込む。
飲水でなくとも喉を潤す快さがあり]
[と、ごくごく控えめに肩を叩く感触があった。
振り向けば金の髪の使用人が、盆に水差しを載せて佇んでいる。
この宮殿では、清らかな水が望むままに飲めるのだと、使用人は言った]
魔神 ヒエムス があらわれた。
魔神 ヒエムスは、人狼 を希望しました。
― 青と白銀の塔 ―
[ことり、と、銀の駒が、濃紺と純白の升目に区切られた大理石の盤上を動く。怪し気な幻獣の姿を精緻に写し取った駒を運ぶ指先は、白銀を曇らせる熱を持たず、それ自体が雪の彫刻のように白く冷たい]
………集まってきたか。
[物憂げに伏せられていた視線が、ゆるりと、その部屋に一つだけある窓の外に向けられる]
― 砂漠 ―
[砂丘の頂へと駱駝は重たげに歩む。
重いのは携えた荷であり、背に乗る女は軽い。
女奴隷であった時、サフサーフ(柳)と呼ばれていた程に。]
そこの者。
お前は向かうところか、去るところか?
[今は銀砂に聳え立つ白亜の宮殿と化した元廃墟。
砂丘にいた男が振り返り見つめる先を、翠がかった瞳で見る。]
魔神 アウルム があらわれた。
魔神 アウルムは、人狼 を希望しました。
―赤と黄金の塔―
[ 駝鳥の羽根が広げた扇のように取り付けられた額冠と、モザイクの床に広がる何尋もの長さの白貂の外套。
侍女たる女魔の捧げ持つ大鏡に映る自分の姿を、矯(た)めつ眇(すが)めつ眺めているのは、この黄金の塔の主、魔神アウルムそのひとなのである、が。]
[ 殆ど反射的に答える女魔の声を聞き流し、鏡を前に魔神は独り唸る。
魔神である以上、元より鏡など見る必要もなく己の姿など自在であるのだから、これは単に「そのようなふり」を愉しんでいるだけである。
磨きぬかれた鏡面に映るのは、人間であれば年の頃なら二十歳と少しの、壮健な若者。
薔薇色の頬は輝き、唇は艶々と血色良く、すらりと伸びやかな肢体はさながら羚羊のよう。絵から抜け出したかの如く、いかにも美々しい美丈夫。
……勿論、そのように見えるだけなのだが。]
―宮殿―
[漆黒の眼を細めて、ザファルは今一度双子の塔を見た。
強大な魔力と、楽園のような庭、
この上なく豪華絢爛なたたずまい。]
―― …あの塔に居るのか…
[細めた眼は剣のようで、
白亜の宮殿に浮く漆黒を翻し散策と洒落込む様子]
待てというなら、待つとしよう。
[召使は頭を下げたか。
月下香か、芳しいにおい。香り立つ。]
[庭を取り囲む廊下がある。
見渡す木々は青々と生い茂り、翡翠の如く透きとおる。
水晶のきらめきを宿し惜しげもなく溢れる水は
此処が砂漠の只中だと忘れさせるほどで]
……――ン
[召使でもなく、魔神でもないだろう。
群青色の布を身に纏う女が居る。
口許の黒い布を引き下げる。黒髪が風に揺れた。]
[問う間も手綱は緩ませず、駱駝の蹄は従順に背の荷を運ぶ。
フードの翡翠が揺れながら案内人の横を通り過ぎる。]
向かうのならば、魂奪われぬよに心しておくことね。
去るならば蜃気楼の宮殿など忘れなさい。
[忠告とも脅迫とも取れる円熟した声音。
翠のヴェールの内で真紅の唇を引いて、女は砂丘を下る。
残された男がどうするのか、前だけを見る目には映らない。]
あー、止め止め。
まーたあの偏屈なヒエムスが嫌味言うに決まってる。
[ 眉を顰めてひらひらと手を振れば、馬鹿げた衣装は瞬時に消え去り、代わりに身を包むは金糸の縫い取りが入った真紅の短衣に純白の袴。
髪をかき上げ、形の良い唇をへの字に曲げる。]
もう大体読めてるんだよな、あれのやることは……
[喉を潤した所で漸く落ち付きを取り戻したか、女は周囲を見渡す。
巨大な宮殿な中でも特に目を惹くのは、一際壮麗な双子の塔。
忙しなく動いていた左の眼は、今度こそ感嘆の色に染まっていた]
[ぱちり。乾きに耐えかねたように一つ瞬きをしたその時、何者かの気配を感じ振り返る。
黒衣に黒髪の男は召使ではなかろう]
御機嫌よう。
[群青に包まれた女は控え目な挨拶を送る。左目は男に興味を示した色]
― 白亜の宮殿:中庭 ―
[ザファルが女に挨拶をするのを耳に入れる。
白い手袋に包まれた手を伸ばし、噴水の水に触れれば
じわり、薄茶へと染みとなって広がった。]
…珍妙なものだな。
[布の奥で、くぐもるが通る声。
別な女の姿も前髪の奥に隠した目で認め、
小さく首を傾ければ、背のクロスボウが軋んだ。]
吟遊詩人 コーネリアス があらわれた。
吟遊詩人 コーネリアスは、おまかせ を希望しました。
[唄は紡がれる――
其れは、栄華を築いたある王族の物語
其れは、世界を救った一人の酔漢の物語
其れは、今は亡き楽園の物語
真実の詩と偽りの詩を奏でながら辿りつく先。]
― 宮殿が現れる前の廃墟 ―
……――有難う御座います。
此処で十分です。
[案内の男が刹那気遣わしげな目線を送ろうとも見ていないのか気にしていないのか特に何かを言うわけでもない。
ただ、此処までの送りの礼としての対価を握らせる。
塞いだままの目――それは光を失ったかのよう。
されど男は道なき道を違わず進む。]
― 宮殿 ―
[波打つ銀砂が途切れ、駱駝の蹄が硬い音を立てて止まる。
女は手綱を引き、磨き上げられた大理石の床に降り立った。
貴石で作られ、宝玉で飾られた宮殿は贅に慣れた目にも眩い。
中でも目を惹くのは対照的な色合いの意匠をなす双子の塔。]
面白い趣向ね。
宮殿の主の趣味かしら。
[駱駝の手綱を出迎えた美しい形の召使に手渡す。
女の零した言葉に召使は首肯か歓迎の意か、頭を垂れた。]
[刻が満ちるのはいつごろのことか――――
やがて訪れる"目覚め"の時。
閉じた眸は開かれぬまま、ただ空気の震えを受け止める。
不思議な色を映す銀の髪は透き通るほどのものでもない。
年月と心労によって白く変わったようにも見える、色。
その髪色もその顔も、薄茶けた外套に覆われ今は見えもせず。
その瞳とて薄い肉の壁より表に現れることもないだろう。
ただ、一言――]
無駄足ではなかった。
[そう、吐き出すまでには幾許かの間があったか。
男は駱駝を伴い焦りもせずゆるりと宮殿へと向かう。]
― そして白亜の宮殿へ ―
[黒衣の男の無愛想が感染ったように、女の眦が心なしか持ち上がる]
そうよ。
ま、まさか本当に宮殿が現れるとは思ってなかったけど……ね。
[ちらと宮殿を見遣る瞳に、再び浮かぶ驚嘆の色合い]
あなたも、なのかしら。
魔神の伝説を聞いて?
[左目を男へと戻して、今度は女が問い掛ける]
―赤と黄金の塔―
ところで、外に行かせた連中はどうしたの。
[ くいと頭を回らせると、壁を抜けたか床から湧いたか、別の使い魔が跪いて何事かを主に囁く。入れ替わりに、鏡を掲げた女魔は影の中に溶け込み消えた。
黄金の魔神は、気短かそうに指で拍子を取り、]
まあいいや。
客人はちゃんともてなしてるな。ならばよし。
そろそろ頃合だろ。
お目にかかる前に身支度は出来て?
…そう、ならばわたくしの荷も部屋に。
[会えるのは宮殿の主次第、滞在の間は自由に過ごすよう。
魔神の意向に背かぬ限り何なりと従うと言う召使に頷く。
駱駝を連れて行く者とは別に傅く召使にフードを預けた。
翠の紋様の更紗の衣服、共布の被り布が褪せた髪を隠す。
ヴェールから瞳のみを覗かせて、部屋へ案内する後を歩む。]
― 青と白銀の塔 ―
[塔と同じ白銀と青に包まれた姿は、今は窓辺に佇んでいる]
ああ、わかっている。「アレ」がそろそろ痺れを切らす頃だ。
[客人がほぼ揃ったと伝える使い魔の言葉に、煩わしそうに白い手を振った]
すぐに行く。客人を広間に案内しておけ。
――知りうる者以外には
与太話か伝説でしかねぇ か。
[廊下と庭を繋ぐ階段へ足をかける。]
そうだ。
[女の言葉を、短く肯定した。
顎を少しだけ上げ、塔を今一度見遣る]
まだ待てと謂われたがな。
客人はおれたちだけじゃないらしい。
客人を大広間に集まるように案内しろ。
ああ、それから。
一応、ヒエムスのところにも使いをな。いい加減向こうも準備してると思うが、面倒くさがる奴だから。
[ 一通り指図を終えると、使い魔が了承の印に頷くのにも目もくれず。
肩から見えない埃を払う仕草をし、黄金の髪を手で撫で付ける。
にっかりと極上の笑顔。]
さあ、行くか!
久しぶりの娯楽!!
知りうる者?
……ふうん?
[男の言葉に、女は片眉を――と言っても、片眉以外見えなかったろうが――くいと持ち上げ]
与太話だと思わない奴の存在の方がびっくりだわね、あたしには。
[続く言葉には]
あら、そうなの。
ご大層な伝説の割には、むしろ人は疎らだと感じるけれど。
……客人、ねぇ。
[呟きに混じるのは訝しむ響き。
周囲を見る目は、未だ夢幻と疑うかのようであり]
―中庭―
[緋は長躯を屈め、片膝を突き、いつからかそこに控えていた。
俯けた顔がふと上がる。
二つの目が見る先は幾つかの人影。]
――客人方。
[開く唇は女の声を紡いだ。]
間もなく、主が見えるそうです。
大広間へご案内致します。
[男の声が続ける。]
―中庭―
[緋は長躯を屈め、片膝を突き、いつからかそこに控えていた。
俯けた顔がふと上がる。
二つの目が見る先は幾つかの人影。]
――客人方。
[開く唇は女の声を紡いだ。]
間もなく、主が見えるそうです。
どうぞ、大広間へ。
[男の声が続ける。]
― 白亜の宮殿:中庭 ―
[噴水に濡れた手袋を、ゆらりと揺らし
触れた葉から、ぽたりと水滴がひとつぶ。
緋色の女の声に白の布を揺らし貌を向け]
ふむ。
[ひとつ頷き、胸の前で手を組んでの敬礼。
男の声についていくように、先を見た。]
― 宮殿 入り口 ―
[程なくしてか暫くしてかのことは瑣末なことなれ、其の場所へと到着すると使いの者が表れ世話をすると言う。
駱駝を預け、外套は未だ纏うまま。
白亜の宮殿の中へと進み入れば楽園のごとき緑の風、溢れる水の音、香る花々――外套の下で僅かに笑みを零した。]
此れは、さぞ美しいことでしょう。
[駱駝を受け取った使いに柔らかく話しかける声。
その者の返答もまた柔らかいものであっただろうか。
促されるままにその奥へと足を正確に進めてゆく。]
[女の言葉に漆黒の眼を眇める。]
――伝説だろうと縋るやつは居るもんさ。
[さてそれは己のことであったかどうか。]
蹴落とすものは
少ねぇ方が都合がいい。
[疎らであれば、と。そう少し掠れた声で呟く。
夢か現か。未だ定かではない様子の女から眼をそらしたのは
新たな声が響いたからだ――]
― 自室 ―
[滞在中に使うよう案内された部屋。
宮殿の外見に劣らず絢爛豪華な調度を細い指が撫でた。]
幻でなく触れられるのね。
一夜にして白亜の宮殿を築く魔神。
わたくしの願いを叶えられて?
[呟きは、宮殿の主が広間へ来るようとの知らせに消えた。
従順に傅く召使に湯を運ばせ、簡単に旅の砂を落とす。
通りすがりに見た中に旅姿の人影は幾つあったか指折り数え、]
白い者、黒い者、群青の者……砂丘の者は来るかしら。
[若さの代わりに得た円みを帯びた声で歌うように荷を開け。
手土産に数冊の本を携え部屋を出る。]
―宮殿の屋根の上―
――ふふっ。
[突如現れた宮殿――とはいえ、彼はそれが現れるのを知っていたのだが――の屋根の上で、少年は外套の裾をはためかせながら飛んでいる。]
みんな驚いてる。楽しい。
でも、驚くのはまだまだこれから。
宮殿が出てくるのなんて、序の口だもの。
[屋根の上に座り込み、脚を広げて大の字に寝転ぶ。大きな太陽がミシェルの目に入った。]
あ、そうだ。こんなふうに「さぼって」たら、ご主人様に叱られちゃうや。それから、イーヴにも。
[ケラケラと笑いながら、寝転んだまま屋根の縁へと擦り寄る。]
ボクだって、ちゃあんと仕事してるのになあ――…多分。
[そう呟くと、頭を下にして、屋根から真っ逆さまに落ちた。]
― 青と白銀の塔 ―
[すぐに、と伝えながら、すぐに動く気配はなく、凍った蒼玉の瞳は窓の外を見つめる]
要らぬものまで、紛れ込む…煩わしいことだな。
[閉ざされし砂漠の空に、銀の月が冴え冴えと輝く。その月の光に溶け込むように、ふいに塔の上から、魔神の姿は掻き消えた]
ご案内致します。
[全ての視線が向けば、男の声で深く一礼。
目深に被ったフードの下の表情は動かない。
背を向け、長い裾を引き摺りながら先導を始める。]
蹴落とす?
なるほど、誰のどんな願いでも叶えるという訳ではないんだね――
[男の言葉に眼を細めた。落胆ではなく、むしろやや勝気な調子が声に混じる]
[と、そこに現れたのは緋色の人物。
女と男、二つの声が、彼もまた魔の者であると知らせた]
主?
この宮殿の主――と言うならば、やはり。
[女は促されるまま、大広間へと向かう]
― 宮殿 中庭 ―
[其処は幾人の声が聞こえる場所。
顔をそちらへと向けてやはりゆっくりと歩く。
明確に此方へと向けられた声は女の声と男の声。
大広間へ。
告げられる声に、導かれるままに歩いてゆく。
少々遅れましたかね、という呟きは到着後すぐの移動に対して。
他の"客人"より少し後方をとり、まだ声はかけぬ範囲。]
―宮殿・中庭―
[駱駝色の外套を纏った少年が、頭を下にして、真っ逆さまに落ちてくる。彼の身は、白亜の宮殿の真ん中に「置かれた」中庭の、大理石の真上に叩きつけられようとしていた。
空では、太陽が、ギラギラと揺れている。
逆光に照らされた少年の身体は、もう少しで地上へと――]
― 廊下 ―
見事な宮殿だこと。
宝石も果実も布も持たぬは正解ね。
[女が手土産に選んだのはこの百年の間に綴られた希少本数冊。
しなやかな細い腕の中の本を大切に抱え直し、再び顔を上げて]
…アッ、
[まっ逆さまに落ちる少年に、ヴェールの奥で声を上げた。]
[――そうして歩きかけたその時、女は落下する少年に気付いた。
遊んでいて落ちたとも思えぬ平然とした姿。
女は眼を見開き――ヴェールの下では、きっと口もあんぐり開けていただろう]
[中庭へ落ちて来る少年にも、何時ものことといった態で緋は振り返ろうとはしない。
それに客人が気を取られるのであれば、その場で一度足を止めたであろうが。]
―宮殿・中庭―
[頭を大理石の上に叩きつけ、中途半端に食された柘榴のように――]
……よっと。
[――なる寸前で、少年は空中で半身を起こし、軽やかに着地した。]
ふう。
あれ?意外と驚いてる人、少ない?
うーん……何でだろう。これ、他の所でやると大騒ぎなのに。自警団とか呼ばれたりしてさ。
[少年は、不思議そうに首をかしげた。]
[駆け寄るも、すんでの所で手は届かず。
が、反転した様子に揺れる白は引き戻されるよに
体へと戻り、ゆらり揺れた]
―大事無いか。
[先の濡れた、白い手袋をきゅと握り
少年を、見下ろした。]
…また一人増えたわね。
[落ちた少年がどうなったか、気を逸らすように呟く。
直接確かめず、その者の反応を見て知ろうと見つめた。]
ええ、全然。
[真っ白なマントを着込んだ人間の方を見て、屈託の無い笑みを浮かべた。]
百年に一度だけ皆様の前にお目見えする、この神秘の宮殿へようこそ。よくぞここの場所を探し当てましたね。すごいや。
ボクは、ここの使用人のミシェルと申します。
以後、よしなに。
[片膝を大理石のタイルに近づけ、恭しく一礼した。]
[変わる空気に顔だけを動かす。
聞こえる声は悪戯な少年のもの。
見えていないのか見ていないのか驚くに至らぬ男は、外套の下で少年の声の内容にかくすりと笑う。]
驚いて差し上げられなくて惜しいことをしました。
[柔らかい声は少年の声へと投げかけられる。
悪戯が失敗したかのような言葉に被せるように。]
あ、あ、あのねぇ……
心の臓に悪いわ、今の曲芸は……
[女は収まらぬ動悸を示すように胸に手をやった。
驚きというよりは呆気に取られた表情をしている]
人間じゃないわね、あなた。
それにしても――
[助けに入ろうとしたのだろうか、駆け寄ってきた白いマントの人物を見遣り]
――よくやるわ。
[呟く声音は称賛か呆れか。苦笑が一番強かったかもしれぬ]
−砂丘−
[互換を麻痺させる光と音の洪水の後、最初に戻って来たのは嗅覚。
砂漠では嗅ぐことの無い花の香に、地面に伏せていた体を起こした。
まだ少し眩んだ目に映るのは白亜の宮殿。]
な、なんだ、こりゃ。
[思わず飛び起きて、呆然と口を開けたまま、眼下の光景に沈黙した。
立ちすくむ男の側を通り過ぎて行く一つの影にも、ろくな言葉を返せず見送る。
緑のヴェールが遠ざかってようやく、意識がはっきりしてきたように目を瞬いた。]
魂を奪われぬように、ね。
ああ、イーヴ!ひっさしぶり!
元気にしてた?「ふたりとも」!
[先ほどの恭しさはどこかへ消え去り、イーヴに向けて大仰な仕草で手を振った。]
うん、うん、わかってる。今から仕事だよね仕事。
[窘めるような男の声に肩をすくめ、同調する女の声に舌を出して笑った。]
魔神1柱につきひとり――
それが契約だと聞いている。
[群青の女に答える。――と、
垂直に落下する少年に眼を僅か見開き
其方へ一歩。それは止まって]
…… 魔の者か。
[些か深く眉間に皺が寄ったか。
前髪に隠れて見えにくくはあったろう。
少年の挨拶にも、無愛想に視線を向けただけ。]
――2人とも?
[ああ、確かに。女の声と男の声が、緋色のひとつから発せられてはいた。]
[驚かぬ様子に顔を落ちた場所へ向けると、少年は何事も無く。
女は呆れと感嘆を混ぜた視線を投げた。
先程は見なかった緋の者もいる。]
悪戯な召使もいるのね。
一段上の自由を許されているのかしら。
[緋の者も少年も、人とは違う雰囲気を纏って見えた。
何か話している様子にももう興味は見せず、女は先へ急ぐ。]
宮殿の主を待たせてはいけないわ。
それに……
[翠のヴェールが笑みの気配に微かに揺れた。]
― →広間 ―
[窘めるような男の声。
少年との同調を示す女の声。
告げられる少年の名には一礼を返して名を告げる。]
私はコーネリアスと申します。
此処より少しばかり遠い土地から来た者。
[姿は外套で、眸は瞼で覆ったままに自らを告げる声は別段抑えたものでもなく、周囲にも聞こえようもの。]
バルク皇国イシュク朝第21代聖皇アザリー2世様が側近。
不滅隊隊長、スィフリア。
――よしなに。
[少年は人には見えぬ様子に、首を小さく傾けて
白を揺らし――頷いた後、胸元に手を組んで敬礼ひとつ]
広間だったか?
[ばさり
右手で左腕を払うようにすれば、
マントはばさりと音をたて、砂がまた、さらりと落ちた。]
変わりませんよ、私達は。
[少年にちらりと青い目が向き、淡々とした声が答えて、]
――貴方もね。
[何処となく笑みを含んで続けられる。]
謎の少年 ミシェル は肩書きと名前を 奔放たる使い魔 ミシェル に変更しました。
[呼びかける名はひとつ。
形容する人数はふたつ。
少年の声に"二人"へと顔を戻すも眸は覆われたままで。
ふと――顔を上向きにして時を止め思案の素振りを見せるも
刹那のことなれば広間へと向かう流れを留めることもなく。]
[ここの使用人――ミシェルの言葉に察したというように頷いた所で、黒衣の言葉は耳に届く]
一柱で一つ。
二柱で二つ?
……詳しいのね、あなた。
[知りうる者はいると言っていたか。伝説にすら縋る者であれば]
― 広間 ―
[一足早く辿りついた女の目の前で、豪奢な扉がひとりでに開く。
内なる調度は、威光を示し贅を凝らした帝王の謁見の間も霞む。]
……。
[嗚呼、と声にならぬ溜息が零れた。]
大変失礼しました。
改めて、ご案内致します。
[男の声で客人へと頭を下げ、緋は再び背を向けた。
ゆるりとした足取りで大広間へと向かう。]
遠き地より来たるコーネリアス様に、バルク皇国…のスィフリア様。
[名前を飲み込むように何度も呟き、2人を交互に眺める。
時折、彼を取り巻く「人間」のにおいが近づくのを、くんくんと嗅ぎながら。]
まずは広場へお集まりください……でいいんだよね、イーヴ?
それから、ご用の向きはなんなりと、イーヴやボクや、使用人にお伝えください。できる限り生活に不自由の無いようにいたします。
よろしくお願いしますね、レヴィーカ様。
レヴィーカ様、薬の行商……
[続いて名乗る人間の名を呟き、漂う臭いをかいでいる。]
――視線。
[く、と笑って顔は其方に向けず。
――否、向けよう頃には視線は去ったためか。]
願わくば友好的にいきたいもの。
[相手の正体もまだわからない。
其れが人であるか、使い魔であるか、魔神であるかさえ。]
――… 魔神の力を欲するのには
それなりの理由がある。
[詳しいのね。その言葉へ返す言葉は
些か抽象的であったか。
男の声が導くならば、そのまま後へと着いて行き。
その途中、ちらと翡翠の眼の婦人を見た。
眼を細める。]
[少年の確かめるような言葉には無言で頷き、肯定を示す。
先導する歩みは止めない。
視線が向けられようとも、自らを語ることもない。]
−宮殿入り口−
へえ、他にも居たか。
[緑のヴェールのあと、褪せた外套の男もまた白亜の宮殿へ。
少し離れた場所に立って、彼らが消えていった門を見上げた。]
そういや、あの兄ちゃんもここに居んのかねぇ。
[道案内をした男の言葉を思い出す。
与太話と彼を馬鹿にしたそれは、真実だったと言うことか。
愛想の無い男の様子を思い出すと肩を竦め、ひそやかに門へ近づく。
暫く辺りの様子をうかがい、召使いらしき人影が遠ざかるのを確認すると、その身を門の内へ滑り込ませた。]
[臭いを嗅ぐミシェル。
訝しみつつも、人ならぬ者のする事だからと殊更嫌がりもせず]
……そりゃあ、そうでしょう。
[黒衣の男――ザフィルに返すのは、当然と肯定する言葉。
だから何と深く探る事は今はせず、ただ使用人らの促すままに広間への歩みを再開した]
[一つ瞼を下ろし、再び上げた時には凛と背を伸ばす。
広間に踏み込む前に、招かれた女は名乗った。]
カウス・クザハのエルハームですわ。
まずは御挨拶代わりにこれを。
[魔神の姿があろうと無かろうと、ここは魔神の領域。
傅く召使に手土産の書物を渡すように手を伸ばす。
直接でなくても、女が持って来たことが*わかればいい*]
[こちらを見て訝しむレヴィーカを見て、ぱちくりと目を瞬かせる。そうか、不穏な行動なのか、と思いつつも、自らの「癖」をやめる気配は特に無かった。
ひととおり「人間」の匂いを「確かめ」たのか、ミシェルはイーヴに向き直った。]
それじゃあイーヴ、皆様のご案内をよろしくね。
ボクは他の「ヒト」がいるかどうか、見てくるよ。
[緋色に身を包んだ「同僚」に片目を瞑って微笑むと、くるりと踵を返してどこかへと向かった。]
[白のマントは、足を踏み出せば後ろに浮き
交差すればはさりと落ちる。
広間への流れを案内されつ、
白は鳩羽色を揺らす――聞き及んだ名を、口で一度復唱して。]
―広間―
[ 打ち鳴らした両手の音が響くは黄金の塔の上の棲み処ではなく、謁見の間を模して作られたのであろう広間。
軽い響きが丸い天井に反響して消えた。]
ええ、では。
――任せたわ。
[少年にはそれぞれの声が告げた。]
―大広間前―
[やがて緋は一際大きな扉の前へ。
既にいた客人には頭を下げた。]
こちらです。
[後続の者に開いた扉を指し示して、自らは脇に退いた。]
……犬か、お前は。
[薬の匂いを嗅ぐミシェルへ向かって。
使い魔に向かっても態度は常通りだった。
肯定するレヴィーカに浅く頷く]
――…やんごとない身分の者も居るようだしな。
[エルハームは此方を見はしなかった。
別段それを気にする素振りも見せなかったが。
よもや案内人までも宮殿に入り込んでいるとまでは思わず。]
……んー?
[軽やかに駆け回りながら、周囲をきょろきょろと見回す。]
ニオイ、する。まだ他にいる。誰だろ……?
コーネリアス様でもないし、スィフリア様でもないし、レヴィーカ様でもないし、あの淑女っぽいヒトでもないし、真っ黒なヒトでもない……
だけど……「人間」のニオイだ、これ。
まだ曖昧なニオイだけど、だんだんとはっきりしてきてる。
―大広間―
[頭を下げる緋色の者を一瞥して、女は周囲の者らと大広間へ踏み込んだ]
…………!
[息を呑む美しさ、とはこういうものであったのか。
女は今、ごく自然にその動作をしていた。
物の価値のわからぬ女でさえ、その光景には圧倒され。
背後に人がいなければ後退りすらしたであろう]
[そしてその光景の中に、それと引けを取らぬ――少なくとも女の目からは――身形をした婦人がいた。
鮮やかな翠。
彼女はどうやら、使用人に物品を渡しているようで。
女は周囲に聞こえぬ程度の音量で、女は不愉快な吐息を漏らした]
−宮殿内/中庭−
[豊かな葉影に隠れるように中庭を進み、きょろきょろと辺りを見回した。
砂漠では見たことも無い樹や花はどれだけ貴重なものなのか、想像を巡らせながらも探し求めるのは主だった建物。]
植物は持って帰れねぇもんなぁ。
[呟いて、近くに見える鮮やかな尖塔へと視線を上向けた。
その壁を飾る金に舌舐めずりして笑む。
近づいてくる人ならぬ気配には気づかぬまま。]
さっき嗅いだのは、「欲望を持つヒトのニオイ」。
すっごくぷんぷんしてた。
こういうニオイは大好きだ。
そして、今感じるのは――…まだカタチは曖昧だけれど、だんだんと「欲望のニオイ」に近づきそうなやつ。
ふふっ、楽しい。
[廊下をスキップしながら、新しいニオイのする方へと向かっている。]
やんごとない身分――
そこまで行きついても、まだ叶わぬ望みがあるのかしら。
[それはザフィルに答えたというより、半ば独り言めいた響きを帯びていた。
と、広間に響いた軽い破裂音に、女ははっと顔を上げ視線を巡らす。
反響するその音が打ち鳴らした手の音――ましてや魔神の――とはわからず、合図めいたそれの意味を探ろうとするかのように]
―広間―
[ パン!
響き渡る軽い音と同時に、豪奢な赤と黄金がモザイクの床を踏む。
打ち鳴らした手の音の他には物音一つなく、気配の前触れもなく、黄金の髪の青年は出現――まさに出現した。]
[タン、タン、タン。
黒の革靴が大理石の上で軽やかにリズムを刻み、少年の赤い唇からはボーイソプラノが織りなす鼻歌が流れている。]
……オジサン。
[ニオイを元に探し当てた人物を見つけて、スキップをやめて立ち止まった。柱の後ろからひょっこりと顔を出し、中庭を散策する男の背中をじっと見つめる。]
何やってるの?
[――まさにその瞬間出現していた人物に、ようやく女の視線が至った]
……え?
[情けない事に、そんな反応しか返せない。
ただ、豪奢な衣装に全身を包んだその青年を、見開いた左目で眺め回す]
[1]
[2]
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