情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新
>>149 ソウビ
「もう二度と会いたくないかもしれないが。」
そんなことを言う彼に、アヤメは瞬ききょとんとし。くすくすと、手で口を隠しながらも小さく笑う。
「二度と会いたくないのなら、今だってこんなふうに話していないわよ。」
「そりゃあね、一緒にレイちゃんのこと守ろうって、そう同じように思っていると思っていたのに。ソウビったら、自分の出来ることも放棄してセツさんとの仲に惚けていたり。その癖、その気もないのに恋仲にって思うならアヤメかなー、なんて書いちゃって。怒らない方が無理な話よね。」
頬をぷくりと膨らまし、冗談めいたように彼を責めてはみるものの。
段々と熱を帯びてくる目頭に、止めようとしてふるふると、唇が震えて。
「本当……困っちゃうよ……。」
「それでもソウビのこと、嫌いになれないあたしに…一番、困っちゃうよ…。」
震える唇から、本当は。言うつもりのなかった言葉がぽろぽろと溢れ出す。
せめて涙は見せまいと。両手で目元を覆い、下手くそにぐいと拭い。
「セツさんのこと、幸せにしてあげてね。」
あの人は、あたしのお姉さんみたいなものなんだから…。傷つけたら許さないからね。
そう言って。今できる、精いっぱいの笑顔を見せた。
>>145 >>147 ミゲツ
「そうなんや!ミゲツくん物知りやねぇ……
次やる時はそうしてみるね、ありがとう。」
金魚すくいのコツを頭に叩き込み、もしまた次があるなら実践してみようと心に決めました。まぁ、その次があればの話なのですが……。
「そうなん?なんや意外やわぁ……。ミゲツくんカッコええから、引く手数多やと思ってんけどなぁ……」
少し冗談めかして言えば、彼の表情に気が付きます。ごにょごにょと、最後の言葉を言いあぐねているようで。
「……恋仲?」
言いにくそうにしている事を、セツから彼に問うてみます。そして、さらに続けるように口を開けば、少しだけ悲しそうに笑って。
「……ひとりで回りたい気分やったんよ。
それに、ソウビは今………」
アヤメと一緒にいる。
その言葉だけはどうしても口に出せなくて、口を噤みました。
けれど、すぐに明るい調子を取り戻して。
顔をあげれば、先程の悲しげな微笑みはそこになく、にこりと笑って、
「あ、そうや、ミゲツくん!これあげる。
射的で落とした景品なんやけどな、ようよう考えたらアタシが持つのもなぁ思てね。」
そう言うと、手に提げていた袋を見せました。中のものをひとつずつ確認するかのように取り出しながら、
「大きい将棋の駒に、マッチ箱に、招き猫やろ……あとは、コマとか木彫りの熊とかもあったんちゃうかな……
あ、あとこれ!狐のぬいぐるみ!目玉商品やったらしいんやけど、一発で取ったったんよ!」
なんて。少し自慢気に言ったりもして。
けれど、言葉とは裏腹に、無心になって取り続けたそれらは、セツにとって悲しい思い出でしかなくて。
取り出した景品を再度袋の中に戻せば、
「…要らんかったら捨ててええから、貰ってくれへん?」
隣に座る彼に、そっとその袋を差し出しました。
>>152 アヤメ
「…………そうだな。でも、アヤメは魅力的なおなごだ。」
そこまで言うと、彼女の異変に気づく。続く言葉に困った様に眉根を寄せた。
道理で、セツが会いに行けと言う訳だ。
この調子だと……涙を流したくても、我慢しているのだろうと懐からハンカチを出して押し付けるように渡す。
「……勿論だ。それと、あんたの幸せも願っている。……それくらいは許されるだろうか。」
守り人としての任を放棄しても。彼らを大事に思っていた気持ちまでは捨てきれないのだと問う。
>>155 >>156 セツ
「僕も子供の頃、金魚すくいが出来なくて。
でも得意な子がいたんです。それで教えて貰って…」
そう。そうだ。この感じ。
自分はりんご飴を食べていて。あの子は金魚すくいをキラキラとした目をしていて。その横顔を見ていたこの感じと。
そうぼんやりと思い出していると、セツは冗談をいうので「…そんなことないれふ……」とりんご飴をもぐもぐしながらこたえ、自分が言えない言葉を彼女は勘づいたのか言いたかった言葉を言われるとどきりとしてすこし咳き込んだ。
でも、彼女はあまり嬉しそうではなくて。
むしろ、苦しくて悲しいように感じて。
もしかしてまた自分は人を困らせてしまったのかと気付く。
「……あ、の、ごめんなさい…」
謝るけれどそんなこと気にしていないという素振りをする彼女は次から次へと射的でとったという景品を広げる。
ひとつひとつ説明をするが、段々と弱々しく感じた
そして「貰って欲しい」とその景品がはいった袋を差し出される
(…)
霊媒として。わかったことがある。
悲しみという感情は。人による。
彼女のは名前の通り。
雪のような冷たい、哀しみだった。
(僕は、その雪を溶かすことは出来ないけれど。)
出来たとしても、その役目は自分ではないのも。
(貴女の気持ちがそれで和らぐのなら)
「わかりました。
でもこんなに僕が沢山貰ってばかりではいけないな…」
「ちょっと、待っててください。」
そういって狐のお面を渡して、屋台の方へと走り出した
狐のお面を渡したのはセツがいなくならないように。
ちゃんと話したのは初めてだけどこの人は悪さをする人じゃない。とわかったから。
自分よりも大事かもしれない狐のお面を渡した。
屋台にきては華やかな通りだ
そういえば屋台をみるのはここにきて初めてだった
キョロキョロとなにかないか、と探すとあまい焦げた砂糖の匂いした
その匂いの先をたどると「かるめやき」とかかれた屋台があった
グルグルと砂糖とお水をかき混ぜては秘密の粉をいれるとぷくぅと膨れるあのお菓子だった
それをひとつ買い、急いでセツの元へと戻る
>>セツ
「あのっ…これ……」
ゼェゼェと息を切らしながら渡すのはすごく格好が悪いけれど。
彼女はそんな自分をみてはキョトンとしているけれど。
「……景品をくれるから…そのお返し、です…」
しまった、匂いにつられて買ってしまったけれどカルメ焼きよりももっと素敵なものがあったんじゃないか。
なんせ人に物を差し上げることなんて余りないから喜んでくれるものなのだろうか……
あげてから不安が募った。
>>157 ソウビ
少し強引に、ハンカチを渡してくるソウビに。
(そんなんだから、嫌いになれないのよ…。)なんて悪態をつきながらも素直にそれを受け取り、そっと瞼を抑える。
「………あたしがソウビの幸せを願ってあのおみくじを渡したのに、ソウビがあたしの幸せを願わないなんて、そんなの不公平だとは思わない?」
優しいところは優しいのに。
負い目がある為なのか、尚も及び腰の彼に、やっぱりなんだか腹が立ち、思わず可愛くないことを返してしまう。
「そんなんじゃ、甲斐性なしだってセツさんに振られちゃっても知らないんだから。」
それでやっぱりあたしに着物を取り上げられるのね。
なんて言って、ふふんと不敵に笑ってみせる。
帯びていた熱が治ってきたのを感じてハンカチを瞼から離し、もうこれが最後と彼に言う。
「セツさんと、一緒に街を出るんでしょう?」
いつまでも、話していては、きっとレイもヤガミも待ちくたびれている。
それに、きっと。ここに来るまで。彼の背中を押したのであろう、セツさんに、これ以上は申し訳が立たないから。
「これ、洗ってから返すね。」
言外に。また会いましょうと、と言葉を込めて。ハンカチを振り、アヤメはソウビの元を後にして、祭りの喧騒の中へと消えていくのでした。
>>162 アヤメ
アヤメから掛けられた言葉に、間を開けて驚いたような素振りを見せた。
一言で済ませたくないほど、良いおなごだとそう思ったのだ。
「……そうだな、それは不公平だ。では、俺もアヤメの幸せを願うとしよう。あんたがくれた大吉以上に、強く。」
柔らかくそう言えば、続く言葉に困った顔をした。
「それは……そうならないように善処しよう。あんたみたいな良いおなごに追い剥ぎのような真似をさせるわけにもいかないし、セツの涙も見たくはない。」
どちらも本音を零せば、言外に込められた意味にふ、と小さく笑う。
「……そうだな。そうしてくれると助かる。」
彼女の背が祭りの喧騒に消えるのを見届け、自分も反対側へと歩いて行く。心做しか、会う前より足が軽くなった気がした。
>>セツ
レイとヤガミの姿を探して、祭り会場の中を歩いていると、ふと。
人混みから離れたところに、もうひとり。
アヤメの探していた人物が、石段に腰を掛けているのを見つける。
気づかれないようにと、そろりそろりと近づきながら彼女を見れば。伏せられた瞼に、その姿に、悲しい色を纏っているようで。見ているだけで胸が締め付けられるような気持ちになって。
「っ、セツさん、!」
思わず名前を呼ぶも、続く言葉は特に考えてはおらず、兎に角と、彼女の側まで駆けてゆく。
目の前まで来れば、彼女の手にあるカルメ焼きや膝の上のヨーヨーを見て、焦った気持ちがすう、と少し引いてゆき。
「それ、カルメ焼きですか?」
甘くて香ばしくて、いい匂い…なんて呟きながら、
隣いいですか?と聞き、彼女の隣へと腰掛けた。
道すがら、祭りの雰囲気を楽しんでいれば背丈の違うおのことおなごが歩いてくる。これは、逃げるなという神の思し召しだろうと小さく息を吐いて心を落ち着かせると側へと駆け寄った。
>>レイ、ヤガミ
「……レイ、ヤガミ。久しぶり…だな。
祭りを楽しんでる最中に悪いが、レイを借りてもいいだろうか?不安なら、あんたが側にいてもいい。」
>>レイ
レイちゃん、どうしたい?
僕もいた方が良ければ一緒に行くし、2人で話したければここで待ってるし。レイちゃんが決めていいよ。
〔屈んでレイに聞く。昨日までの騒動を経てレイがソウビに対してどのような感情を抱いているのか。ヤガミにはわからなかった。〕
こうしてちゃいけねえ。
村を出るってえ決めたんなら、けじめだけは付けなきゃあなんねえ。
皆に悲しい顔をさせたんだから、ちゃあんと謝んなきゃよう。
蔵に閉じ込めちまったやつにも、アタシがこんなやつだってわかっても、それを許してくれたやつにも。
……あの夜一緒にいてくれたレイや、こんなアタシと友達になろうっていってくれたアヤメは、なんて言うんだろなあ……
付き合いの長え千代やセイヤは、なんて言うんだろなあ……
──────────────────
ふら、と立ち上がり、ゆっくり、ゆっくりと歩き出す。
まるでその場だけ重力が増したみたいに、身体が重くて、足がなかなか進まなかった。
黙って去ってしまえば、と何度も思ったが、その度にそれはいけないと思い直した。
それは、自分が楽になりたいだけだろう?
──────────────────
>>168 ヤガミ
ぎこちない様子のヤガミに寂しさを覚えた。無理もない、あんな事をされれば、俺だって……。
「……そうか。それも…そうだな。」
固唾を飲んでレイの返答を待てば、あちらから駆け寄ってくるのが見える。いつものように、屈んで目線を合わせた。
>>170 レイ
「…大丈夫だ、痛くはない。……悪かったな、あんな事になってしまって。…すまない。」
深々と頭を下げる。幼心に傷がついてしまっていないかと、心配していた。謝れば済むものでもないが…それでも、ここを去る前に彼女に声を掛けねばと思っていたのだ。
──ぽすっ
ソウビに抱き着く。
「私、ソウビさんとお祭りで会えてよかった。
いっぱいのご飯ありがとう。いっぱいの楽しさをありがとう。いっぱいの優しさをありがとう。
アヤメさんと同じくらい、ソウビさんのこと
大好きだった。
また、会えるよね?」
ソウビから漂う哀愁に、ここから居なくなってしまうと察したのだろうか。
>>160 >>161 ミゲツ
半ば無理矢理押し付けてしまった悲しい思い出を、ミゲツは嫌がることもなく受け取ってくれました。
その様子にホッとして、ありがとうとお礼を言おうとすれば、突然手渡された彼のお面。
「えっ、え?ミゲツくん?どないし……
え!?待って待って!!どこ行くん?!」
理由を聞く間もなく、待っててくれと走り出す青年。本当は、あの袋を手渡せばお礼を言って去るつもりだったのに。待っててくれと言いながら、初めて会った時から彼が付けていたものを手渡されれば、行くに行けなくなってしまうではないですか。
「…………うぅ………どないしよ…」
姿が見えなくなった頃。どうする事も出来ずに、ただ彼が置いていったお面を見つめることしかできませんでした。
一人で居るとどうしても考えてしまいます。
彼は、あの子と仲直りできたのでしょうか。
あの子は、彼にきちんと気持ちを伝えることができたのでしょうか。──と。
あの時、背中を押したけれど、本当は行って欲しくなかったけれど。
彼とあの子の事を想えば、ああするしかなかったのです。だからもし、それで、彼の気持ちが変わったとしても、セツは……
グルグルと巡る思考は止まることがありません。ただただ、嫌な方向へと物事を考えてしまい、堂々巡りです。
ぶんぶんと頭を振れば、手元に残ったイカ焼きの最後の一口を口に放り込んで。そのまま考えることをやめました。
暫くして、息を切らしながら戻ってきた彼の手元には、カルメ焼きが握られていて。
「……………………へ?」
思わず、キョトンとしてしまいます。
しかし、息を切らしてまで買いに行ってくれたお礼の品は、セツの好きな甘いお菓子で。
「……ふふ、ありがとう、ミゲツくん。
アタシ、こういうお菓子大好きなんよ。」
ふわり笑うと、嬉しそうにそれを受け取りました。
「あ、そうや。これ、お返しするね。
大切なもんなんやろ?ごめんね、アタシの為に…」
そう言って、持っていたお面を差し出します。
そして、彼がお面を受け取ったのを確認すれば、
「……それに、ほんまは誰かを探してここまで来たんとちゃうん?アタシの為に時間割くのは勿体ないよ、はよ行ったげて。」
何となく、そうじゃないかと思っていたのです。けれど、あの時は寂しさで引き留めてしまったから。
「お祭り、まだ回ってないんやろ?
ふふ、ミゲツくんやったらきっと大丈夫。優しい子やもん。上手くいくわ。」
恋煩い、とはまた少し違うのかもしれませんが、それでもきっとこの子なら大丈夫だとそう思えます。セツの為に、ここまで必死になれるのですから。
だから、セツはそう言うと、にこりと優しく微笑みました。
>>173 レイ
レイの素直な言葉に言葉に言い表し難い、暖かな気持ちになった。泣かれたらどうしようかと思っていたが…俺の杞憂だったらしい。
「……そうか、そうだな…。」
アヤメの名を出されれば、神妙な面持ちになるが、次こそは彼女の笑顔が見れるようにと深く反省するのであった。
ふと、肩の辺りにぽすりと軽い衝撃が走る。レイに抱きしめられたのだと分かれば、背中に手を回してぽんぽんと優しく叩いた。
「…………俺こそ、レイに沢山の物を貰っている。…レイの素直さに、救われた者もきっと多いだろうな。……俺も、その一人だ。
……そうだな。あんたが望むなら会いに行くさ、どこにだって。
……レイは、お祭りが終わったらこれからどうするんだ?」
家庭の事情に余所者が口を出すべきではないのかもしれない。だが、彼女の幸せを強く願う思いが、そんな事を口走らせる。
場所を知らなければ会いに行けないしなだなんてらしい事を言いながら、そんな心配をしていた。
>>175 >>177 >>178 セツ
自分の息を切らした様子がきっとおかしかったのだろう。彼女は先程の悲しそうな様子が、雪が少しだけ溶けたような、そんな表情をしていたように感じた。
本当に好きではないのかもしれない。
でもその表情には嘘がなくみえたからきっと本当に好きなのだろう。
カルメ焼きを受け取ってくれたあと託していた狐のお面を返してくれた
「いいんです。
貴女の為じゃなくてそれは僕が我儘で持ってくれ。ってお願いした、それを貴女は聞いてくれた。それだけ。」
「それと。
たしかに僕は用はあったけれど、貴女と過ごした時間は無駄でもなんでもないのです。
僕は貴女の持ってたりんご飴を食べたかった。お祭りの話を貴女はきいてくれた。それでいいんですよ。」
気を使わせたくはなかったから、自分なりの返しだった
「…ねぇ、セツさん。
誰かに気を使うのはとても大事なことだと思います。
でも自分が自分の為に、行動するのも大事だと思うんです。
少しだけ。我儘になってもいいと思います。」
「僕も貴女が優しい人だと思ってます。
優しい人貴女だからこそ、お面を持たせられたのですから。
だからこそ、我儘になりましょう。
迷惑とかじゃない。自分の為に。
……それは今の僕にも言えてます、かね?」
そういって、くるりとセツに背を向けた
何かを覚悟したような、そんな表情をして。
「僕は行きますね。りんご飴と景品たち、有難うございました。
お互い、残りのお祭りを楽しみましょうね」
「……あ、」
何かを思い出したかのように、顔だけをセツの方に向けて
「このことは、内緒にしましょうね」
人差し指をたて、口元においてはにかみながら言った。
「では、また」
そういって歩き出した。
今度は自分の為に。
ふんふふーん♪
アジミおいしかた。ゼンブ上手に出来たネ
[リェンがスペースを借りた屋台からは、香ばしい異国の匂いが漂ってくるだろう]
おしながき、って言うの作ってみたかったカラ、張り出さなくちゃネ
ワンタンスープ、エビ焼売、肉まん、あんまん、炒飯
これだけあればおけかな?ふふん
【リェンのごはんやさん おしながき】
たべもの
・わんたんのすーぷ(ふかひれはないよ)
・しゅうまい(えび🦐)
・にくまん
・あんまん
・ちゃーはん(にく)
のみもの
・おちゃ
・らむね
・おみき
・ぱいちゅー
おまけ
・おまもりふだ
[リェンの料理は、高祖母の代から伝わる家庭料理だ。その高祖母は、主に祭を渡り歩いて行商をしていた兄に習ったらしい。何も無い山奥の出身であった高祖母は16でお嫁に出されたが、その料理の数々と、《おまじない》の方法を自分の子らに教えた。
リェンの名は、その、高祖母の兄の名から付けられた。リェンが産まれた時、高祖母はまだ健在で、産まれたばかりの赤子を抱いたときに『この子の名は、リェン』と突然宣言したという。
残念ながらリェンに高祖母やその兄のような、まじないの才は無かったが、何か不思議なものを見る視力は受け継いだらしい。ただし、神様の類までは見えなかったようだが。
兎にも角にも、先祖代々受け継がれた家庭料理と、祖国への物資調達ルートにより、リェンは現在、村や周辺の町で料理や祖国の品を売って細々と生活をしている。
質素倹約の生活をしていた高祖母の気質か、リェン自身に、金銭への執着はなく、自分一人暮らせれば問題ないと思っている]
>>182 〜 >>184 ミゲツ
「そっか。なら、よかったわ。」
セツの言葉に、目の前の青年は優しく言葉を返してくれます。無駄ではなかったと、セツと過ごせて良かったと。
きっと、彼なりに気を使ってのことなのでしょう。けれど、それが嬉しくて。柔く目を細めて彼を見つめました。
「……………せやね、うん。」
けれど、次の言葉には、眉根を下げて、ぽつりと、そう返すしかできませんでした。
我儘になれと、そう言って、ミゲツはセツに背を向けます。そうして、彼がありがとうと礼を言えば。
「うん。こっちこそ、楽しかったよ、ありがとうね。ミゲツくん。」
しかし、何を思い出したのか、ミゲツは顔だけこちらを振り返り。
「……ふふっ、そうやね。ないしょ、やね。」
セツも彼に習って口元に人差し指を当てて、秘密の約束を交わします。
去っていくミゲツの後ろ姿が、少しだけ彼に重なって。その背が人波に飲まれるまで、見つめ続けたのでした。**
>>166 アヤメ
ミゲツと別れ、ほぅと息を吐きました。
我儘になってもいいと、そう言われたのは2人目で。けれど、どうしたって我儘になる方法がわからなかったのです。
自分が我慢すれば、それでいいと。気持ちを抑えて、それで他が上手く回るのなら自分を犠牲にすることだって厭わない。だって、今までそうやって生きてきましたから。
もう一度、ため息をつけば、手元のお菓子をかじろうとして。
「ア……ヤメ…ちゃん?」
聞こえてくる声にハッとして顔を上げればあの子がいました。
駆け寄ってくる彼女を前に、セツは動くことが出来ません。
「う、ん。せやね………カルメ焼き、やよ、これ。」
曖昧に返事をすれば、彼女が隣に座ります。
どうしてここに居るのかとか、彼とはちゃんと会えたのかとか、それよりも先に謝らないと、とか。
色々なことが頭を駆け巡るのに、一向に言葉に出すことはできませんでした。
ただただ、気まずくて。彼女を見ることはせずに、手元のお菓子に視線を落とすだけでした。
>>189 セツ
セツの隣に腰掛け、ちらりと彼女を見るも。
彼女の目線は下へと落ちており、アヤメもすっと、彼女の手の中にある甘いそれへと視線を落とし、
その甘い香りに、祭りの出来事を思い出す。
「りんご飴も、甘くて、しゃりしゃりしていて…美味しかったなぁ。」
「あの時セツさん、びっくりした顔をして。初対面なのに、何言っちゃったんだろうってあたしめちゃくちゃに焦っちゃって。でも、セツさんが笑ってええよって言ってくれたから…」
「あたし、それがすごく、すごく嬉しくて…、」
ぽつりぽつりと、懐かしむように話しをつづける。
「あたし、夢だったんです。お祭りで、女の子の友だちと…りんご飴を食べるのが…」
おかしいですよね、そんなのが夢だなんて……なんて笑いながら、目を細め、正面に並ぶ出店を見る。
「セツさんは、そんな、あたしの夢を叶えてくれたんです。ありがとうございます。」
どこにいる?
どこへいく?
自分の足は。足取りは。段々と重く感じてきて。
どうして?どうして?
こわい。こわいから。
もし会えた時。なんて声をかければいいのだろう?
もし会えた時。あの子はなんて声をかけてくれる?
もし会えた時。あの子は自分のことを忘れていたら?
ぐるぐると。ぐるぐると。
回り、廻り、巡り。
ーミゲツくんやったらきっと大丈夫。
ああなんで。
その言葉がなんだか自分の背中を押してくれたみたいで。
>>狐の嫁入り
「……カヨ、ちゃん。」
やっと出た言葉。
それは不安が強いのかかすれ気味だった。
>>190 アヤメ
ぽつりぽつりと、耳に届く言葉は彼女と初めて話をした思い出で。
「……そんな、お礼やなんて……別に……」
ありがとうと礼を言われれば、ふるふると小さく頭を振って否定します。
「それに、変やなんて思ってないよ。素敵な夢やと思う。……お祭りは皆で回った方が楽しいもんね。」
遠くで聞こえる喧騒も、目移りしてしまう出店も、煌びやかで楽しげな雰囲気も。一人だと寂しく感じるのは当たり前で。だから、それを友達と楽しみたいという彼女の夢を、セツはおかしいとは思いませんでした。
りんご飴を一緒に食べた日。アヤメとレイが美味しそうにりんご飴を頬張って、セツもそれを見て嬉しくなって。……幸せでした。
「……………………っ、…………………。」
けれど、それよりも強く刻み込まれた光景があって。神楽殿で打ち明けられたあの日の事。皆の前で告白をして泣き崩れたこの子の姿。その姿でさえ、目を逸らしてしまった事。
その記憶が今のセツを支配していて。楽しかったはずの思い出が、ぐちゃぐちゃと塗り潰されてしまうのです。
「………………………ぁ、アヤメ、ちゃん、」
早く謝らないと。そう思って彼女の名前を呼びました。
「あの、アタシ………」
けれど、どうしてもその先の言葉が出てこなくって。ただの自己満足で終わってしまうのではないかと思ってしまって。
口を噤んで、顔を俯かせてしまいました。
せめて、涙は見せないように。震える唇を強く噛み締めて。
>>179ソウビ
「私は、何かあげられるようなものはないよ。
本当に・・・このお祭りは楽しくてあたたかくて
毎日が輝いてた。
ずっと続けばいいのにって思ってるけど
ダメだよね」
悲しそうな表情でソウビを見る。
お祭りが終わる。その事をじわりじわりと実感していく。
「お祭りが終わったら・・・私は・・・
わかんない!」
にへら、と誤魔化します。
帰ったらあの人達がいるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。どちらにせよまた一人。
けど私には縁がある。どうにかなる....はずだ。
「空樹さんみたいに妖術取得の旅!みたいなのも面白そうだし、アヤメさんとお花売るのも楽しそう。
ソウビさん達と一緒もきっと楽しいだろうなあ」
その瞳には憧憬の色が見て取れるだろう。
>>194>>195 セツ
アヤメの話しに、変ではないと、返してくれたセツの声は、何故だかやはり悲しげで。
少しの沈黙の後。
まるで、絞り出すかのように。自分の名前を呼ぶ声に。隣に座る彼女を見るも、続く言葉は小さく消えてゆき。
まるでなにかに耐えているかのように震える彼女に、思い出される幾つかの光景。
(ああ、そうか、)
彼女は、アヤメがソウビのことを慕っていることを知っている。
そう、あの、神楽殿での夜に。
でも、それは…
アヤメはすっ と、セツの手を両手で優しく包み、意を決したように口を開く。
「セツさん、あたしね。ずっと、知っていたんです。セツさんと…ソウビが。2人が惹かれあっていることに。」
2人とも隠していたかもしれないですけど、あたしの目は誤魔化せませんよ。
そう言って、小さく笑う。
「だから……」
「だから…ごめんなさい。あの夜のこと。セツさんの気持ちを、どうしてもちゃんと、直接確認したくて。でも一方的に聞くだけじゃ、ダメだから…。本当のことを聞く為には、あたしも、嘘はつきたくなくて…。本当はあの後。もっとセツさんの話し、もう一度ちゃんと聞こうって、思ってはいたんです…。でもあたし…やっぱりこわくて…それで… 目を逸らしたんです…。」
「だから、もしあたしのせいでセツさんが苦しんでいるなら…ごめんなさい…あたしが、あたしが臆病なせいで……。」
「だから、自分を責めないで……。」
彼女に添えた手が、僅かに震える。
今ここに、悲しくひとりでいたことが。彼女が何より優しくて、そして、自分に気を遣ってのことなのだろうということは、想像に容易く。
どう言葉を紡いでいけば、いいのか。
見えない正解に、それでも。どうか、どうかと願いながら、ぎゅうと強く、その手に力をそっと込めた。
>>203 狐の嫁入り
「そう、ですか…それなら、よかった」
ホッと安堵した表情でそう言う。
微笑みを絶やさないあの子はにこにこと笑っていた
…けれど次に伝えた言葉は自分にとっては残酷だった。
「…ああいえ、貴女と話すのに無礼ではないかと思いましてとっただけなのです。」
「………、少し、すこしだけ、いいですか。」
「このお面、は僕が小さい頃、仲がよかった女の子の幼なじみと買ったお面なんです。
一緒に買おう、と言われてその子がこのお面を選んでくれた、大切な思い出なんです。」
思い出して欲しいわけじゃない。
ただ君との会話を終わらせたくない。
それだけの一心で話を続けた。
[真面目な顔をしたままのこの方は、何を話したいのかしら。お狐さまのこと、お祭りにいらした誰かのこと、100年前のこと….まさか、ね。そう想いを巡らせながら、静かにその言葉を聞きました]
お面ひとつ取っても、そんな素敵な思い出になるものなのね。…あら、私ったら。先程はとんだ失礼なことを。"ただの"お面だなんて、そんな軽いものではないのね。
「アヤメちゃんの気持ちを初めて聞いた時に、ちゃんと言えばよかったんよ……やのに、曖昧にしてしもて、その後も、何も言えへんくて……
言う機会は何回もあったのに、アヤメちゃんの気持ち知っとったのに、やのに……あんな突然の告白になってしまって……アヤメちゃんがソウビに気持ちを伝える機会すらも……奪ってしまって……」
きっと、気が付いていたとしても、この子は気持ちを伝えに走っていったでしょうから。その機会すらも、全て自分のせいで奪ってしまって。自分が彼女の立場なら耐えられないでしょうから。
だからこそ、彼女のせいなんかじゃないんです。全て、セツが──
「……アタシに、こんなん言う資格なんかないと思う……けど、アヤメちゃんはアタシの顔なんか、見たくもないやろうっ……けど……」
ぽたり、ぽたりと涙が落ちていきます。
声が掠れて、嗚咽が漏れて、それでも真っ直ぐ彼女の瞳を見つめて。
「………ごめん、ごめんね、アヤメちゃん………
ほんまに……ごめんなさい…。
アタシのせいで……辛い思いさしてしもて……ほんまに……っ」
「ごめん………ね……」
>>205 狐の嫁入り
「いいえ、貴女は狐の嫁入りさまですから。」
本当は、そのお面をすぐにでもとって素顔を見たいけれど。それはきっと御法度なのだから。
「いいのです。
貴女にとってはこれは………」
言葉が、詰まる。
これを言ったら認めてしまいそうだ。
あの子はもう、これは記憶にないということを。
「″ただのお面″……なのだから…。」
「……その子は、金魚すくいが好きでした。
和紙がどうなろうと水面がどうだろうと金魚がはねようとも、金魚をすくうことが好きで、「金魚さんを助けるんだ」なんていって…。」
「僕は、その彼女の楽しそうな表情を見るのが好きでした。本当に金魚を全部すくえちゃうんじゃないか、助けちゃうんじゃないか。そう思えるくらいの彼女の表情が。それをみながら食べるりんご飴が。」
「………す、き…だったんです。」
ああどうしよう。
空樹なら、ヤガミなら、どうする?
レイは?ソウビは?セツは?
もうこれ以上言葉が、上手く出てこない。
言葉の代わりに、目から何かがこみあげて。
お面を握りしめる手が強くなる。
>>207->>209 セツ
アヤメの最後の言葉に被せるように、顔を上げたセツは、まるで我慢していた何かが一気に溢れ出したかのように、全部自分が悪いんだと否定する。
まるで全てを自分のせいだと否定する彼女に。ぽたりぽたりと、彼女の綺麗な赤い瞳から溢れだす涙に。
年上のはずの彼女が、自分の前で、まるで小さなひとりの子どものように、震える姿に。
「〜〜〜っ!」
思わずぎゅううと、強く彼女を抱きしめた。
「もうほら、やっぱりセツさん、こんなにボロボロになるまで、自分のこと責めて。
言う資格はないとか顔なんか見たくないでしょとか、もう、2人とも勝手なことばっかり。」
涙の溜まる目に、声は下手くそに鼻声になりながらも、本当に困った人たちだなぁと言いながら、やっぱり強く抱き締めて。
「あの時はあたしも気が動転しちゃって、でも、だから。セツさんが寄越してくれたんでしょう?ちゃんと会えたよ。でもあの人、まるで全部自分が悪いんだーみたいな言い方してくれちゃって。挙げ句の果てにあたしの幸せを願うことすら本人の許可を得ようとするのよ?いる?そんな許可。もういやになっちゃう。そんな甲斐性なしで、セツさんのこと幸せに出来なかったら今度は服を剥いでやるっておどしてやったわ。」
そうして抱きしめた腕を緩め、彼女の顔を見て。
「ほらもう、こんなに泣いちゃって。セツさん、今すごく辛いでしょう?それならこれでもう、ほら。おあいこでしょう。」
そう言って、親指で彼女の目に溜まる涙をやさしく拭い。ね?と濡れた頬で優しく笑った。
>>197 レイ
「……始まりがある事には終わりがある。だが…終わりがあるからこそ、祭り以外にも楽しい事がまた始まるんだ。」
レイがそうであれるように、俺や他の者が守っていければと思う。
彼女の答えを聞けば、薄く微笑んだ。
「……そうだな。それは、きっと楽しい。
空樹の懐からは何でも出せるそうだからな、種明かしでも聞いておくといい。」
空樹のハードルを勝手に上げると、少し緊張気味にこんな提案をする。
「……この祭りが終わったら、一先ずは家に帰るんだろ?送り届けるついでに、御家族の方に挨拶に行ってもいいか?」
もし、碌でもない親がいれば守れるように。いなければ、誰かの家に預けれるように。彼女を傷付けないように、慎重に言葉を選んだ。
>>215 千代
「……おうよ。アタシを誰だと思ってんだあ?
生きてる?の質問は愚問ってえもんよ。なあ?
いろいろ、悪かったなあ。」
>>179ソウビ
「そうだよね、狼様もお狐様も、明日でちゃんと帰るんだもんね。
お祭り以外に楽しいこと・・・あるといいな」
今までの記憶を辿っても、お祭りがレイに取って楽しい事でした。
「空樹さんのは種も仕掛けもないって、あれ?あるって言ってたっけ・・・?
空樹さんに習って出来るようになったら、魅せにいくね」
あまりにも眼前の妖術に目を奪われ、言葉を聞いていなかった。彼みたいに妖術が使えれば、レイの道も少しは良いものになるだろう。
ソウビの口から親に挨拶と聞こえた。
ぴくっ、と身体が震えた。
「お母さんもお父さんも、お祭りがくる少し前に居なくなったんだ。
だから・・・」
この先の言葉が喉から出ない。
なんと言えばいい?これ以上彼を心配させない為には・・・
>>218 レイ
「帰らなかったらまた一悶着起きそうだな。神社の者がそれを許さなさそうだが。」
レイはまだ幼い。あり方一つでこれからも楽しい事があるだろう。……いや、俺がそうしてみせる。
「そのあたりも聞くといいさ。
ありがとう、楽しみにしてる。」
体を揺らす彼女に、ああこれでも言い方が柔らかくないかと考え込む。
「それもそうか。……では、旅路の見送りをさせてくれ。
これでも大人だからな。何が必要か一緒に準備して…安全な所まで見送ろう。……外の世界は危険が多いからな。」
余計なお節介かもしれない。それでも、彼女の身に何かが起きてからでは遅いのだ。
……自分の側でなくとも、レイには笑っていてほしい。
──────────────────
あいつにも……一言言っとかねえとなあ。
なんだかんだ言ってもよう、長え付き合いだからなあ。
──────────────────
>>セイヤ
「おう、セイヤじゃねえか。
蔵でも元気でやってやがったか?アタシの醜態見て、さぞ楽しんでただろうなあ。
……いや、ちょっと待ってくれ
そんなことが言いてえんじゃあねえんだ。
アタシが言いたいのは……あれだ、その、
悪かった。すまねえ。」
>>221 千代
「狼さまとやらに憑かれて、悪事働いちまったことと
それを知っても言い出せなかったこと。
アタシが弱かったからなんだ。全部全部よう。
そのせいで、千代や、みんなに辛え思いさせちまったんだ。だから、謝らせてくれねえか。
本当に……すまなかった」
>>212 >>213 アヤメ
ぎゅうと、抱きしめられた瞬間、驚きでセツの涙が止まります。
「アヤメちゃん…………?」
けれど、続く彼女の言葉に、再び涙が零れ落ちて。アヤメの肩に顔を埋めれば、彼女の肩がセツの涙で濡れていきます。
聞こえてくる彼女の優しい言葉に、時折混ざる鼻声に、涙が溢れて止まりませんでした。
ソウビに会えた、そう言って。彼女は彼に悪態をついていたけれど、きっと、想いを伝えることができたのでしょう。甲斐性なしだという言葉には、少しだけ笑ってしまいましたけれど。
胸の中にあったつっかえが、ひとつずつ取れていく気がしたのです。
抱きしめられた腕が緩められて、彼女の顔が見えました。おあいこだと、そう言って。
セツの涙をそっと拭って、優しい笑顔をこちらに向けて。思わず。
「ううぅ……アヤメちゃん……アヤメちゃんっっ!!」
涙を拭う指の先、彼女の頬もまた同じように濡れていました。だから、セツも彼女の事を抱きしめていて。
「……アヤメちゃん、ありがとう。」
強く、強く。
彼女の優しい想いに応えるように、強く。
そうして、彼女の事を抱きしめたまま、未だ収まらない涙と、鼻声で、
「アタシ……、アタシな?こんな事、してしもたんやけど……アヤメちゃんのこと、大好きやからね……だって、初めてできた女の子の友達なんやもん……」
妾の子として疎まれて育ってきたセツにとって、お祭りを見てりんご飴を一緒に食べたり、何気ない会話をしたり、恋バナをしたりした事は、どれも初めての経験で。どれも大切な思い出でしたから。
「ほんまに、ありがとう、アヤメちゃん。」
そう言って、再び強く抱きしめました。
セツの涙が枯れるまで。アヤメが離せと言っても、きっと離すことはなかったでしょう。
暫くして、抱きしめていた体を離して、涙もほとほと枯れた時、ふと気がついた事がひとつ。
「あっ、カルメ焼き………」
ミゲツに貰った甘いお菓子は、力強く彼女を抱きしめた衝撃で、すっかりボロボロになっていました。
けれど、まだ粉々になったわけではなかったので……
「ど、どないしよ……アヤメちゃん、半分食べる?」
おずおずといったように、アヤメに尋ねてみるのでした。
>>224 レイ
やっぱり、大丈夫ではなかったと。幼い頃の自分と同じような気持ちだったんだと、彼女の言の葉を聞く。
「……思い出にしなくていい。これからも、皆との楽しい出来事を増やしていっていいんだ。
ヤガミが言っていたが…レイの自由にしていいと、俺もそう思っている。
もし、あんたが決められないのなら俺がその手を引こう。……自分で、自分の道が決められるその日まで。」
そっとレイの両の手を包むように握る。
十になったばかりの彼女の手は、とても小さかった。
>>229 千代
「自分の中に何かいる感覚はあったんだがよ、狼さまは昼間はなりをひそめてやがった。
夜も、何かしてる記憶はあったが朧げなもんだった。
はじめは嫌な夢か何かだと思ってたんだあ。
まあ、二夜もありゃあアタシがどうなっちまったのかは理解してたがなあ。
強かったなら、狼さまの支配に抗えたかもしんねえ。
強かったなら、気づいた時に全部をみんなに話せたかもしんねえ。
でもそれができなかったんだ。アタシは……」
「僕、貴女にお会いしたかったんです。
貴女の神楽を、唄を、聴いていたかった。
貴女とお話がしたかった。
貴女とこうして、お祭りを。
……お祭りの楽しい雰囲気を、過ごしてみたかった。」
「でも、それは全部叶っちゃいました。」
「こうして、貴女に会えてお話が出来て。
狐の嫁入りさまとの時間をひと時だけいただけました。
……きつね、いえ、お狐さまにはもしかしたらヤキモチを妬かれてしまうかもしれないけれど。」
「お話、聞いてくれてありがとうございました。
では。また」
そういってくるりと背を向ける
「……」
大好きだったよ、またね。
>>223 レイ
「なに、少し旅に出るだけさ。定期的には帰ってくる。
レイの成長も見たいし…何より、皆が心配だからな。」
俺が心配せずとも、何とかするかもしれない。それでも、この村の者達を放っておけないと、そう思ったのだ。
「……ちゃんと自分の言葉で言えたな。……なら、そいつの所まで送り届けよう。」
居たいと思う人の側にいる。俺にとってのセツがそうであるように、レイにとってはアヤメがそうなのであろうと悟る。
ひんやりとした手を繋げば、ゆっくりと歩き出した。
>>225->>227 セツ
涙を拭った側から、溢れる涙に濡れながら。
今度はセツから抱き締められ、その背中を優しく撫でる。
自分と同じくらいか、それ以上の鼻声で、自分のことを「初めてできた女の子の友達」と言ってくれた彼女に、
「一緒だね。あたしも、セツさんが初めての、女の子の友達だもの。」
そう言って。もう、どちらの涙で濡れたのかもわからぬままにアヤメも強く強く、セツを抱き締めた。
どれくらいそうしていたのか、お互いに乾いた涙の跡にふふ、と笑っていると。
思い出したかのように声を出したセツが、ボロボロになってしまったカルメ焼きを取り出して。
どうしようと焦りながら半分食べる?との誘いに
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
そう言って、甘くてそして時折しょっぱい、きっと思い出のひとつになるような、お菓子を2人で食べたのでした。
足取りは意外にも軽くて。
ああそういえば。と、握っていたお面をみつめる
(……物に罪はないよね)
変わらずお面をつけて、彼は歩き出す
もう、祭りも終わる。
各々のしたいことは尽くせたのだろうか。
自分の為に行動出来たのだろうか?
(……また、どこかで会えますように)
(そして、君と次会える時は友達として。)
狐のお面をつけた青年は、明日へ向かって。
>>237 千代
「……そう、かあ。
すまねえ、そんなこともわからねえでよ。
そうだよなあ。
アタシはあのときも、自分のことばっか考えてたんだ。アタシが寝てる間に、千代になんかあったらって考えたらよ……それも、アタシの手で千代を傷つけちまうのが怖かったんだ。
アタシは……千代を傷つけちまう自分の姿が見えるようで……それから逃げたかった。だから、あんたを強く庇ってやれなかったんだ
……最低だよなあ、反吐が出らあ」
隣を歩くレイの歩幅を気にしながら、お面屋へと向かう。
長い事話していたのに、ちゃんと待っていたヤガミに手を振った。
>>ヤガミ
「ヤガミ!こっちだ。」
賑やかで華やかなお祭りも終わりを迎えます。
神楽殿では狐の嫁入りが終の儀として神楽を披露し狐の嫁入りとしての役目は終わりを迎えました。
お狐さま、お狐さま。
どうかこの先、この街がずぅっと平和でありますように。
そう人々は願いました。
この1週間弱で様々なことがあったでしょう。
その1週間はもう終わってしまえばただの思い出となってしまうけれど。ただのひとつの出来事になってしまうけれど。
それはきっとあなた達の心の中に。
ずぅっとずぅっと、残っているでしょう。
おやすみ。お狐さま。そして、狼さま。
どうかこの先100年安泰でありますように。
>>243 ヤガミ
レイの頭を撫でるヤガミの和やかな雰囲気を暫く見つめてたから、そういえばと切り出す。
「……アヤメを迎えに行くんだろ?そこまで見届けよう。」
>>244 千代
「……そうだったなあ。
昔っから、ずーっとそうだった。アタシは悩まなかった。ごめんなさいって言えば、それで終わりだったからなあ。
なんで今んなって、そんなこと忘れっちまってたんだろうなあ。」
──────────────────
そうして、千代に真っ直ぐ向き合って、
頭を下げた。
──────────────────
「ごめんなさい。もうしません」
「それと、ありがとう」
/**/
村立て様に合わせて、こちらで狐の嫁入りも終わりとさせていただきます。
嫁入りは役目を終えますが、これからも金髪で優美な巫女を境内で見かけることがあるでしょう。その時は、ぜひ話しかけてくださいませ。
みなさまが幸せでありますように。それとリェンとツユリもありがとう!
>>246 セイヤ
「……らしくもねえ、か。違えねえや。
アタシもどうしちまったかねえ。ったくよ、あんたにしおらしく頭下げたのがばかみてえじゃねえかよう。
……ああ?なんだ急に改まっちまってよ」
ヤガミの返事>>249を聞き、頷けばアヤメの姿を探す。三人で祭りの会場を見て回れば、そこにはアヤメと…セツがいた。
そうか、俺と話すなら彼女とも話すかと思いながら近づいて行く。
>>アヤメ、セツ
「アヤメ!…とセツ。丁度良かった。ヤガミとレイを送り届けたら、探そうとしていたからな。」
>>252 セイヤ
「……ああ?何言ってやがる?
あんたこの村にいたろうが。あのうるっせえ祭り囃子とそのちんちくりんの見た目を見間違うかってんだ」
だからこの俺にゃ、この地の知り合いなんぞいねえはずってことを、俺さえ忘れちまってたんだなあ!
いや、なーんかな、あちこちいってりゃ、どっかでえみた顔ってこともあらあかと思いやしたが……こんないい年にこさせてもらったんだ。俺様も一泡食わされたんだろうよ。
【おまえさん。何者でい】
>>254 セイヤ
「ここに知り合いがいねえって……どういうことだってんだ?どっかに頭ぶつけたか?熱でもあんのかあ?
誰って、あんたこの、金物屋のキキョウがわからねえってえのか?」
セツと2人、笑いながらカルメ焼きを食べていると、祭りの人混みの中。
(あ…)
人一倍背の高い彼の姿は直ぐに目に入って。
セツを探しに来たのだろうか、と思っていると、次いでレイとヤガミの姿が見えて。
きっと、随分と待たせてしまったために探しに来てくれたのだろうか。
「レイちゃん、ヤガミさん!」
>>255 千代
「…………っはは…………千代にゃあ、かなわねえなあ…………
すまねえけどよ、もうちっとだけ……
こうしててもいいかあ?」
──────────────────
こうやって、誰かに抱きしめてもらったのはいつぶりだろうか。
千代の体温が伝わってくる。それは思っていたよりもずっと柔らかく、温かかった。
甘えてもいいんだろうか。こんな自分でも、この身体を預けることが許されるのだろうか。
そう思った瞬間に、涙が止まらなくなった。
いつから泣くのを我慢してたのだろう。
いつから甘えるのを我慢してたんだろう。
心から、身体の全てをを預けられる人がこんなにそばにいたんだ。
嬉しさなのか、後悔なのか、もはやわからない。
溢れ出る感情の渦に、しばらくその場で飲まれていた。
──────────────────
>>251 ソウビ
ボロボロになったカルメ焼きを2人で分けて食べている頃。
名前を呼ばれてそちらを向けば、レイとヤガミと、そして、
「ぁ、ソウビ………」
目立つ朱色の髪と大きな背丈。遠目から見ても分かる彼の姿に、少しだけ視線を逸らしてしまいます。
あそこで待っていると言ったのに、随分と違う場所で見つかってしまって。オマケに目なんて、また涙を流したから腫れてしまっていましたから。
「えっと………、レ、レイちゃんとヤガミくん連れてきてくれたん……やね、あ……ありがとう……」
しどろもどろになりながら、連れてきた2人の方を見て、彼にそう言いました。
>>260 セツ
アヤメと話がしたかったのだろうと、離れた場所にいた事に対しては追及しない。
それより……。
「何、さっき道すがら二人に会ったからな。
……鈴、失くしたのか?」
巾着につけていてくれた鈴がないなとふと思った。それに、目が腫れているのは……まあ、察しがつくが。
>>258 ヤガミ
自分たちの姿を見つけ、駆けてくるであろうレイを抱きとめながら、ヤガミを見る。
「ありがとう、迎えに来てくれたんですね。」
そう言うと、にこりと彼は微笑んで。
祭りを回ろうとの誘いに、はいっ!と笑顔でそう返した。
>>262 セイヤ
「…………!!
あんた……自分が誰かもわかんねえってか!?
そんなこと……あってたまるかってんだ!
大馬鹿こくのもいい加減にしやがれ!
あんたはいつもいつも変な掛け声で村ん中練り歩きやがる大馬鹿野郎じゃねえか!
何回文句食らってもちっともめげやしねえ、ふらっと来たかと思えばしばらく来ねえこともある気まぐれ野郎だ!
何が面白えのか知らねえが挨拶も全部セイヤだったしよ、ロクなやつじゃあなかった!
なかった、けどよう!
そんなのってあんまりだろうが!」
…そろそろ半裸に掛け布団一枚じゃ起きた時に寒い季節になってきましたがぁ…。
いかんせん…仕事終わりに飯食って熱い風呂に入って、一杯引っ掛けてる間に、冬支度なんていつの間にかぁ忘れてる。そんなある日の事。
「あぁ…俺にだって向かいの七郎みてえによ!ベッピンさんな嫁が居りゃ上手いこと行くんじゃねえか!?それなりに稼いでんだけどなぁ」
なんて蕎麦屋でデケェ声上げてる与太郎が一人。
「なんでぇ?お前嫁なんて面倒だ「ずっと一人でいいやい!」ってぇ三日前にここで喋ったばっかじゃねぇかい?何かあったのかい?」
向かいの席には大工仲間の一八(イッパチ)
今日の二人は稲荷神社の後片付けで大忙し。合間の時間で腹も減ったし蕎麦でも食いに行こうやなんて。
>>266 セツ
巾着の中から出てきた鈴に安堵し、そっとその鈴を手に取る。
「……よかった。
外れにくい結び方をするから、付けていてくれ。……これがないと、探す時不便だからな。」
そう言いながら結ぶと、手を差し伸べた。
「……まあ、これがなくとも探してみせるが。
……せっかくだから、俺とも祭りを回らないか?確か、今日が最終日だろ。」
>>267 ヤガミ
3人でお揃いのお面を、との誘いにアヤメの目がきらきらと輝く。
「お揃い…!やったぁ。行こう、レイちゃん。」
そうしてレイと手を繋ぎ、3人。
お面屋の方へと歩いてゆく。
ちらりと後ろを振り返れば、あわあわとした様子のセツに。
(が・ん・ばっ・て)
と口をぱくぱくと動かして、小さく手を振るのでした。
──────────────────
祭り太鼓を叩くセイヤの姿を、後ろから呆然と眺めていた。
何があったか、もはや定かではないが、彼が以前の記憶を……アタシのことも含めて、覚えていないのは明確だった。
「馬鹿だなあ、本当にこいつはよう。」
そう呟いて、自分の頬を伝う涙に気付いた。
アタシはなんで泣いてるんだ?
ちょっとはかわいそうだと思うけど、別にモノ盗られたわけでもあるまいし。
……ダメだ。涙であいつの姿がぼやけて仕方ない。
どう、して
こんなに
悲しいんだ?
──────────────────
えいえいやあやあなんでえなんでえ!
この祭り男が目に入らねえってのか!
ああん? 面と鋲がおかしいってえ?!
べらんめえ! 江戸っ子がんげな細えこといいやしねえよ!
囃子も太鼓も騒ぎゃ変わらんねえ! っはっはっはっは!
さあ世紀一代の祭り男!
セイヤの囃子、あご覧いただこう!
「したってお前嫁はそりゃあ出来た方がいいけどよぉ?当てでもあんのかい?」
「いや…ねぇな。俺のあてなんて花売りの姉ちゃんか金物屋の姉ちゃんかくらいしか会う女なんか居ないねぇ!」
「だろうな…、俺も会う女なんか隣の家のめんこいガキとなんか変なもん詰めてた姉さん位だね…」
「変なもんってえ確かあれ金平糖だぞ?俺もらった事あるそれにその子確か、何処ぞの男に引っかかって居なくたったらしいぜ」
「はぁ!?そうかい?今のご時世夜逃げかい?うめぇこと行くもんかね?」
「俺らには分からんねぇ…、そうだ与太、最近カンナの切れが悪くてよぉ、買い出しに行こうや」
ーー歪な囃子が鳴り響く。
さかしま囃子が鳴り騒ぐ。
そんなことに気付くものも、
この賑やかしい祭りの場に、たったの一人、いれば良いものか。
こんな、かほどの違和感では、
祭囃子の向こうへ、灯籠のように流れ行くのだった。、
>>276 セイヤ
「……はっ!渾身たあ笑わせやがる!
あんたの祭り囃子はよ、こんなもんじゃあなかったぜ。
腕も喉も、錆びついちまったんじゃあねえのかあ?
……あんたが元通り、あのうるせえ祭り囃子で文句貰えるようになるまで、せいぜい腕磨いてな!」
──────────────────
後ろ姿に、言葉を投げつけた。
受け取ってもらえたのかは、わからない。
それでもいいんだ。あいつは、まあそれなりに、元気そうだからよ。
……そうだ、受け取ってもらえてるかわからねえついでだ。アタシが言いたかったのはよ、
──────────────────
「また会いに来いよ、セイヤ。
あのうるっせえ祭り囃子で店の邪魔しに来るまで、ずっと待ってっからよう」
隣に立つ彼を見上げれば、
「アタシ……アタシね?金魚掬いやりたいんよ。コツ教えてもろてね、試したくて!……あかん?」
と、小首を傾げながら、尋ねてみるのでした。
>>277 ヤガミ
ヤガミにどのお面が良いかと聞かれ、暫くうーんうーんと見ていたが、やがてレイと一緒にこれがいい!と、なんだか笑っているような顔をした可愛らしい動物のお面を手に取り見せた。
あそおれ!
鈴の音すんざく寒空なれば
お狐お狼この地に寄るも
三つ四つ五つじゃ足んりもせんし
人の身呼べや増やせと騒ぐ
ーー今際も黄泉も分かりはせねど
人身つなぐは心の縁
昼夜も朝夕も構わず騒ぎゃ
また先100年安泰だ
「買い出しだぁ?なんで男二人ででぇとなんかしなきゃいけねぇんだ」
「良いからよ、ここの蕎麦代出してやっから」
「なら良いけどよぉ」
とまぁ二人は祭りの片付けそっちのけで買い出しに。
着いた所は四季みてぇな名前のお店、かけてる絵巻は読めやしないし、南蛮渡来のお人形がこっちを見てる気がする、終いにゃ古ぼけた狐と兎と天狗の面も飾ってある。
「…こんな所、ちゃんと開いてんのかい?俺は気味悪りぃよ…」
「大丈夫だあっちに他の客も居る心配すんなって」
与太郎が目を向ければ、造花にぶつくさ言ってる二人組どっちも学生さんか?制服着て買い食いかい?せいが出るもんだ。
>>281 セツ
何処か歯切れの悪いセツを気にしながらも、祭りの人混みの中を歩いて行く。
彼女から金魚すくいがしたいと提案されれば頷いた。
「ああ。コツ、か。俺にも教えてくれると嬉しい。」
そう言って、金魚すくいの屋台まで連れて行く。まずはセツのお手並み拝見といこうかと隣に座る。
「こんな薄気味悪い悪りぃ所早くでようや…」
「分かった分かった暑苦しい!引っ付くな!」
『いらっしゃい、お二人さんのお求めはこちらですか?』
………店主の手にはカンナの刃が一つ。
「そ、それだよそれ…気、気がきくじゃねぇか」
『いえ、お客さん達おっきい声で刃は何処だー!なんていうもんだからちょろっとねぇ……」
『一つお節介ついでにもう一つ、この店の前の通り、………出るらしいですよ?毎度あり』
>>288 ソウビ
「えっと、金魚掬いのコツは、取るやつの和紙の部分を、全部水に漬けやんようにするのがええんやって。」
歩きながら、簡単に先程ミゲツが教えてくれた方法を彼に話します。そして、金魚掬いの屋台にたどり着けば、屋台の店主からポイを受け取って、腕まくり。
「ふふふ、見といてソウビ、こう……金魚の頭の方から……すくうと………」
ポイを握りしめ真剣な眼差しで赤の金魚に狙いを定めれば、今!とばかりに水面にポイを滑り込ませます。
和紙の端で金魚を姿を捕らえれば、えいやと持ち上げ、そして──
「……あ、あ、あ!!取れた!!取れたよソウビ!!!」
セツの手元のボウルの中には、赤い金魚が一匹泳いでおりました。
嬉しそうに取れたことを彼に報告すれば、ニコリと笑って。
「ソウビは?ソウビは金魚取れた?」
と、隣で座る彼に聞いてみました。
>>287 ヤガミ
ヤガミに選んだお面を見せれば、彼はそれを受け取って。
はい、と3つお揃いのそれを渡してくれた。
(あれ、買ってもらっちゃった…。)
あれよあれよと言う間に自分の手にあるそのお面に、「ありがとう」とお礼を言い、早速頭の横に被り、似合うかな?なんて、くるくるまわって見せれば。
笑顔でそれを見ていた彼から出てきた言葉に、思わず目は瞬き、口からはえ…?と思わず漏れ出たような声。
たしかに。このお祭りが終わった後。
アヤメは今の仕事を辞めるべきかと、心のどこかで、否、強く、そう思っていたものの。
だからといって、何かアテがある訳でもなく。
未だ詳しく聞いてはいないものの、何か家庭の事情を抱えていることだけはきっと確かなレイと祭りの後。別れて良いものかとも悩んでいたものの。
まさかヤガミから、そんな誘いが来るとは思わず、思わず「どういうこと…?」と素直な疑問がこぼれた。
………買うもの、買って店を出た二人、おかしいな?店に着いた時は明るかったが店を出てみりゃもう暗い。まるで狐につままれた様な気がするが。なんだ、もう冬じゃないか日が浅くなったんだな、なんて呑気に帰路に着くと………、何処からとも無く。
ーーーーーーセイヤッ
「ひっ!?なんだ今の!?」
「いやっ!俺にもわからねぇ!?」
「早く祭りの会場に帰ろうや!」
「そ、そうだな!薄気味悪い悪りぃや」
と二人は元いた会場に戻ってきてみると。あんなにしっちゃかめっちゃかしていた。片付けの跡が無い。どういう事だ?何にもねぇぞ!?あたふたあたふたしていると。
絆創膏を付けたお嬢ちゃんが、りんご飴舐めながら
『どうしたの?おじさん達…お祭りなら三日前に終わったよ?』
………。
お後がよろしいようで「あとの祭り」ちゅう短いお話でした。
「ふう、おなかいっぱい。リェンさん、ごちそうさまでした!」
今まで食べてたんですか…。
ヤヨイは屋台に設えられた椅子から降り、くるりとひとつ回りました。
「おまつり。今年もたのしかったな。」
ヤヨイにとっては、百年に一度のおまつりも、毎年のおまつりも大差ありません。
それどころか、毎日毎日が特別で、たのしい日なのです。
お家のお手伝いをして、お暇を貰って外に繰り出します。今日は誰に会うのかな。どんなことがあるのかな。
そのひとつひとつが、ヤヨイを形作っていきます。
初めて出会う誰かさんとお友達になって、ふらりと立ち寄ったお店で素敵なものを見つけて。
そのひとつひとつが、世界をきらきらと輝かせます。
「百年。きっと、あっという間だよ。」
そうですね。
「お狐さまとも、また会えるね!」
ええ。
「一緒にあそぼう。
まだぼくの知らないたのしいがいっぱいあるんだから!」
>>291 アヤメ
〔くるくる回っていた可愛らしいアヤメが、ふと驚いた顔をして聞いてくる。
確かに急すぎたな、とは思いつつも、伝えた言葉は大真面目だった。〕
あのね。実は僕の家、お仏壇屋なんです。父さんが店主で僕も手伝ったりしてたんだけど……最近、有難いことに手が足りなくて。丁度、お手伝いさんを雇おうって話になってたんです。
それで良かったら、住み込みで働かないかなって。勿論、レイちゃんも一緒に。
〔にこり、ヤガミはレイにも笑いかける。この子はきっと、アヤメと一緒にいたいだろう。
父と母の説得が不可欠だが、そこは何とかしようとヤガミは心に決めていた。金銭的な面での指摘があれば、学業の傍らとはなるが自分が働く時間を増やそうとも思っていた。〕
>>290 セツ
セツが金魚を取る様を眺め、取れた時の綻ぶような笑顔を見れば自然と薄く笑みが零れた。
「……なるほどな。どれ、俺も試そう。」
言われた通りにポイを動かせば……。
表→取れる。
裏→取れない。
+表+
>>290 セツ
「……取れた。セツ、俺も取れたぞ。」
思わずワントーン高めの声を出した事に自分でも驚き、咳払いをした。
「……すまない、金魚すくいが初めてだったものでな。……宿屋では金魚は飼えなかったから。今回も離さねばならないが。」
持ち帰れない事にほんの少しだけ落ち込む。
>>続き
アヤメさん、僕ね。
あの日、中途半端な気持ちでずっとそばにって、言ったわけじゃないですよ。
〔正直、あの日、アヤメが泣き伏せる姿を見るまでは、こんな気持ちになるなんて思いもよらなかった。アヤメの恋路を応援していたくらいだ。
けれど、想い破れて泣いているアヤメを見て、彼女を守りたい、と思った。支えたいと思った。
できることなら、そばで。〕
……勿論、ご迷惑じゃなかったら、なんですけど。
〔急にこんなことを言っても重い気がする、なんて気持ちもある。苦笑しながら誤魔化すように、自分の被ったお面を頭から顔に移動させてみた。〕
>>296 >>297 ソウビ
きっと、余程嬉しかったのでしょう。思わず上がる声のトーンに、セツはクスクスと笑いを堪えきれずにおりました。
「………ふふ、ええんよ。嬉しいもんね、初めて取れたら。」
以前、可愛いと口走って少し不機嫌になってしまいましたから、それは心の中に押しとどめて。
「せやね、せっかく取れたけど……」
ここを離れるのであれば、この子達を飼うことは出来ませんから。そっと、店主に金魚とポイを返して。
「でも、これでコツは掴んだわけやし、次のお祭りでもきっとまた取れるわ。その時は……」
言いかけて、やめました。未来のことを想像すれば、少しだけ恥ずかしくなってしまいましたから。だから、こほんとひとつ咳払いをして、すっと立ち上がれば、彼に手を差し伸べて。
「次、行こ?なにがいい?」
金魚掬いはセツの希望。ならば、次は彼の願いを叶える番だと、そう思って。
>>300 セツ
セツにばっちり見られた事をバツが悪そうに目を逸らせば、彼女に倣って金魚とポイを返す。
「……そうだな。また来よう。」
この村に帰ってくるつもりでいたソウビはセツと考えが同じだった事を密かに喜んだ。
差し伸べられた手を取ると、じっと射的を眺める。
「セツは、射的をやった事はあるか?」
>>295 ヤガミ
アヤメの漏れ出た疑問に、ヤガミは優しくも、真面目な声で話してくれる。
「住み込みで、レイちゃんも一緒に…。」
舞い込んできた願ってもない申し出に、二つ返事をすれば良いものを。この期に及んで迷惑をかけぬものかと不安になり、ちらりとレイを見れば。
祭りの後もアヤメと一緒にいられて嬉しいと喜ぶ子の姿に、
(良いのかな…)
とヤガミを見つめれば、続く彼の言葉に、思わず顔を真っ赤に染め上げ、こくりとひとつ頷いて。
見上げた彼のお面から、ちらりと見えた彼の赤い耳に、ふふ、と笑い
「よろしくお願いします。」
>>301 ソウビ
告げられた先は、射的屋で。
「やった事は……」
ほんのついさっき。無心で商品を撃ち落とし続けておりました。それはもう、屋台の店主にもうやめてくれと頼まれる程には。
うーんと少しだけ唸って、けれど、あの悲しい思い出のままだと嫌でしたから。彼の手を引いて。
「…ええよ、射的屋さん!行こ!」
そう言えば、笑顔で射的屋に向かって歩きます。射的経験の有無は曖昧にしたまま。
そうして、その前にたどり着けば、一瞬凍った店主の顔。けれど、それには気が付かないフリをして。
「おじちゃん、ふたり分ね。
……はい、ソウビから、どうぞ?」
先鋒を彼に譲りました。
ソウビの出方次第では、少し腕を落とそうとそう考えながら。
>>303 セツ
セツが先程まで何をしていたか露にも知らないソウビは、快い返事を貰えば一緒に歩き出す。
射的屋の親父が自分とセツの顔を見比べながら玉を置いた事を訝しげにしながらも、コルクの玉を詰めていく。
「分かった。……取れればいいんだが。」
腕の長さという意味でリーチはあるので、1つは取れるかと高を括る。そして、狙いを定めて引き金を引けば……。
2(3)
>>303 セツ
パンッ!といい音を立てて、玉が飛ぶ。コルクを詰めて、引き金を引くのを繰り返せば、二個の景品が落ちていた。
ひとつは小さなキャラメル、もうひとつは箱に入ったラムネだが初めてにしては上出来だろう。
「……次はセツの番だな。」
横に逸れて、台を譲った。
>>304 ヤガミ
アヤメの返事に、目の前の青年はお面を少しずらして。
ちらりと見えるその笑った顔に、笑顔を返し。
「よし、それじゃあレイちゃん、次はどこ回ろうか。」
そう言って、新しい未来に思いを馳せながら。まだまだ続く祭りの喧騒の中へと消えてゆくのでした。
(ねぇ、ソウビ。
貴方が願ってくれたあたしの幸せ。
ちゃんと、届いたよ。)
思えば一番初め。祭りの会場でぶつかって。
次の日に謝ってくれた彼に自分の心を吐露して。
だんだんと彼の優しさに惹かれてゆき…
時には叶わぬ想いに涙した日もありました。
それでも、一番初めに。きっと繋がれたその縁が。こうして今、新たな縁を呼び込んで。
きっとまた来年も、その次の年も。
アヤメは祭りへと足を運んでゆくのでしょう。
願わくば、その隣にヤガミとレイがいることを祈って。
ふふ、お祭り、今年はコッチ来れないとおもてたケド……やっぱりワタシ、おもてなしする、スキ
あ、でも、カヨチャンとがんばた
ソレはたのしかた
……カヨチャン、きれいなおよめさまだった
カヨチャンがステキなおよめさまだったカラ、神様もホントに来ちゃったノネ
みんな無事だったし、おーるおっけーダネ
……もう少し、ミンナのタメに、ゴハン追加しとこカナ
[お祭りが終わるその時まで、リェンは屋台で故郷の味を作り続けるだろう。
大切な友だちとの、ひとときの思い出をきれいなまま胸にしまって]
>>続き
パンッと撃てば、倒れる景品。
大物は狙わず、小さい物を狙いました。
パタパタと倒れたのは、手の平サイズ程の小さな狐の人魚と、ソウビの取ったもの同じキャラメルでした。
「………ふぅ。あ、取れた!取れたよソウビ!」
ひと息つけば、ハッと我に返って、彼に取れた事を嬉しそうに報告しました。
>>310 セツ
「…ありがとう。」
褒められれば照れ臭そうにしながら譲った。
やけに緊張しているな…と思いながらも、声を掛けずに見守る。
2個取れたのを見届ければ小さく拍手をした。
「……すごいな。それと…セツもキャラメルか。なら、こっちを。」
そう言って、ラムネを渡す。
「よければ食べてくれ。……ん。」
遠くから、祭囃子の音が聞こえてくる。祭りも宴もたけなわだと気付けば、寂しげに眉を下げた。
「……楽しい時間というのは、過ぎるのが速いな。
セツ、そろそろ行こう。……あんたと一緒に旅をする約束を果たす時が来たようだ。」
旅なんて生まれてこの方した事はないが、セツと共になら楽しいだろうと。その顔は晴れやかだった。
[松風が鳥居に消える前]
ここが町外れの宿屋かぁ…ソウビが居た所、ねぇ?どれ、私好みの男でも居るだろうか?ごめんください。
「いらっしゃい旦那、やや、これはこれは蒔常家さんじゃないですかこんな所にご入用で?選り取り見取り、いろんな子が居ますよ?」
………ここにゃソウビって子が居るって聞いたがぁ今居るかい?
「おや旦那そっちの方ですかい?生憎ソウビは祭りに出てましてね。何なら呼びつけましょうか?旦那がご贔屓にしてくれるならこっちも有難いってもんだ」
ふと、狐面のあの子の言葉を思い出します。
"少しだけ、我儘になってもいい"という言葉を。
誰かの為ではなく、自分の為に。我儘を言ってみてもいいんじゃないかと、言ってくれた、あの子の言葉を。
「…………なぁ、ソウビ?」
鳥居を潜る前、足を止めました。
こちらを向いた彼に、少しだけ困ったように眉を下げて見つめれば、ぽつりと言葉を零します。
「……ワガママやって思ったら、放っといてくれてええんやけど……な?」
こんな事、彼に言ってもいいのかと、そう思えば思う程、自信が無くなっていきました。
それでも、意を決して。
ずっと、思っていたことを口にして。
「アタシ、まだ、ソウビの気持ち、ちゃんと言葉で聞いてへんな……って、思って……」
手紙でなら何度でも。セツの返事でなら何度でも。けれど、まだ直接言葉で聞いた事はありませんでした。
きゅっと、彼の手を強くにぎって。
それでも、こんな事をお願いしている自分が恥ずかしくて、顔を俯かせたまま。
「………ワガママやって思ったら、無視してくれて、ええから……あの……」
最後は消え入りそうな声でそう言って、彼の返事を待ちました。
>>316 セツ
「ああ、その為に取ったようなものだ。受け取ってくれ。」
ラムネを手渡し、二つの下駄の音が響く。
鳥居で立ち止まるセツにどうしたものかと振り返る。続く言葉に驚いたように目を丸くした後に、天邪鬼は今までの行動を思い返した。
……そういえば、口では直接言った事がないと。
告白はした事はあれど、直接的な愛の告白は初めてで。さて、どうしたものかと考えた後、向き直って柔らかく手を取れば意を決したように口を開く。
「…………セツ、愛している。これからも、共にいてくれ。」
考えど、上手い言葉は出てこない。それでも……彼女を愛している気持ちは確かで、ずっと共にいたいのだと伝える。
じ、と黄金色の瞳は赤色の瞳を見つめていた。
徐々に気恥ずかしくなり、さてどうしたものかと赤くなっていく顔を隠す事もままならぬまま、セツの返答を待った。
………いんや、その必要はないよ。じゃあ、女将さんは居るかい?
「はぁ、女将ですか?居るにはいますが…」
何、蒔常家が商売の話があるってもんで呼んでくれませんかぃ?
「…分かりました。少しお時間頂きますよ」
ーーーーーーーーー
「女将がお通ししろと。こちらです」
おんや?思ったよりも早かったねぇ?一服しながらで悪いね。
「ようこそ、おいで下さいました。蒔常家の旦那様、申し訳無いですが。わたしも忙しい身、商売の話からでよろしいですか?」
あぁ、私も長居する気はねぇよ。いや良い男でも居るってんなら話は別だが…で商売の話なんだがぁよぉ。ここにソウビっちゅう「奉仕に来た子」が居るやなぁ?
「………ソウビですか?えぇ…ソウビ居ますよ、私の大事な家族ですよ、でソウビが何か?まさか蒔常家さんお買いになるとでも?」
おんや、おめえさん話が早い、そう買いに来た。みみっちい事は言わねえぇよ二倍出す。足元みんなら三倍出そう。どうする?」
「………二倍でええです。わたしも商売人です。吹っかけるような事は致しません、ただ何故ソウビ何ですか?」
いやよ?男ざるもの飛ぶ鳥跡を濁さず…老いぼれがちょいと若いのに引っかかるのなんて良くある話だろぅ?私が預かる訳じゃねぇから、心配かもしれんが一端の男ならなんとかすんだろ。
「………………なんだ。大きくなったね、あの子も駆け落ちする時は「奉公分の代金は十分稼がせて貰ったよ」ってほっぽり出す気で居たけども。こんな愛人作ってくるなんてびっくりだわ」
クツクツ、相手は私じゃねぇよ。ともかく。商売の話はこれで終いで良いかい?
「えぇ、毎度。その代わり…今頂いた半分渡しますから。少し…蒔常家さん、私の自慢の息子の話聴いてもらえます?」
あぁ…構わねぇよ。自慢の息子ちゅうんだから、さぞかしイイ男なんだろぅねぇ?
ーーーーーー
>>319 ソウビ
暫し訪れる沈黙に、やはり言うべきではなかったと後悔し始めた頃。ふわり、優しく取られた手に顔を上げて。
ぶつかる視線に、彼の言葉。初めて耳にする彼の愛の告白に、セツの顔は真っ赤に染め上がってしまいました。
「……………………ぁ、ぅ…………ぁ……」
望んでいた言葉を耳にして、大好きな彼の瞳がこちらを見つめていて。自分で願った事なのに、なんだか無性に恥ずかしくなってしまって。
「あ……………アタシ……」
視線を下に逸らしかけた時、ふと、気がつくのは彼の表情。
徐々に染め上がる赤に、あぁ、彼も同じ気持ちなのだなと思えば。どこか、心の内が少し軽くなって。
もう一度、彼の綺麗な瞳を見つめて。
「…アタシも、愛しとるよ、双弥。
いつまででも、アタシは双弥の傍におるからね。」
ふわり、花の咲いたように笑いました。
>>322 セツ
熱い顔にああ、赤い顔をしてしまっていると思いながらもセツの顔も赤らんでいくのを見て、可愛らしいと思った。
愛しい人の花の咲くような笑顔に、目尻が下がるように目を細めれば白魚のような指に自分の指を絡めて繋ぎ直す。
「……雪、ありがとう。」
短い言葉の中に暖かい感情を込めて告げた後、鳥居を潜る。
どこへ行こうか、なんて二人で話しながらも道中にある伊勢屋に寄る事になるだろう。神社に行って、突然消えたとなればそれこそ神隠しと騒がれかねないからだ。
叱られるだろうか、だなんて上手い言い訳を考えながら敷居を跨げば、存外にも優しい言葉を掛けられる。その陰に松風殿がいた事を知り、彼に恩義を返さねばだなんて二人で笑い合った。
きっとこの先、長い旅路で大変な事もあるだろう。でも、雪となら乗り越えられる。隣に誰かがいるという以上に、心強い事はないのだから。
゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚゚*.。.*゚
ころころ、ころん。
口の中に放り混んだラムネを舌の上で転がしながら、セツは通りを歩いておりました。
日はすっかり落ちていて、空には月と、煌めく星がありました。
それを見ようと顔を上げれば、先に目に留まるのは朱色。………愛しい彼の髪でした。
くすくすと笑えば、きっと彼はこちらをむいて。何だと尋ねることでしょう。
そうすれば、セツは彼を見つめて、こう返すのです。
「………なんでもないよ、ただ…」
彼の奉公先である伊勢屋に向かった時。きっと、強く言葉を浴びせられると思っていました。
けれど、そんなことは無く。
優しい言葉と共に、彼をお願いね、なんて頼まれてしまったのでした。
そのお願いに、セツはこくりと頷いて──
「……ただ、幸せやなぁって思っただけ。」
絡められた指を見て、セツは目を細めます。
自分には、こんな幸せな出来事が訪れることはないと思っていました。
"妾の子"と、そう疎まれてきましたから。
けれど、彼と出会うことが出来て、今まで生きてきた人生も、捨てたもんじゃないな、なんて柄にも無いことを思ったりもして。
カランコロン、チリンチリン
そう音を鳴らせば、ふふとまた小さく笑って。
繋がれた手に力を込めました。
楽しげに、嬉しげに。
彼との未来に、想いを馳せながら。
゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚゚*.。.*゚
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新